2006年07月15日

mihimaru GT「気分上々↑↑」

気分上々↑↑
ユニバーサルJ
mihimaru GT, hiroko, mitsuyuki miyake, Genki Hibino

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<「新しい言語層」へのアピール、新しい「ヒップホップ世代」への移行>

 さて、一気にその知名度を伸ばしたユニットmihimaru GT。スマッシュヒットとなったこの曲は、非常にテンション高くてノリノリのアッパーチューンとなっています。

 タイトル「上々」に「↑↑」がついていたりするあたり、DJ OZMA「アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士」にも登場する「アゲアゲ」というワードを思い起こさせます。
 また、こうした記号は、昨今の顔文字文化の影響も感じさせますよね。実際、中高生の間ではこうした上向き/下向きの矢印や、とか(表示されない方ごめんなさい、○の中に上とか下とか入っている記号です)を文末につけることによって、文章の気分やテンションを表現するような書き方が広まっているようです。
 そのあたりを踏まえて「あえて」こういうタイトル表記にしたのでしょう。それは、歌詞の中身もまた現代のティーンエイジャーの文化を汲み上げているように思えるからです。

 まあ、たとえば『再起動のボタン クリック!』という言い方も「現代的」と言えなくもないし、「リセットしてオンとオフを切り替えて、楽しむときは楽しもう、とするのが今の若者の…」とかって方向も広げられそうですが、ここはもっと別のところに注目してみましょう。それは『ピーポー』『ファンキーナイ』など、各所に差し挟まれる略語です。ええと、『パーリナイ』は「Party night」でしょうか。ちょっと考えないとわかんないですね。
 矢印付きといい、この「無理やり略語」といい、乱れた若者文化の象徴だ!美しい日本語が…なんて憤慨する方も、そりゃあいらっしゃると思います。でも、どんなことでもそうですが「崩す」ということはただ「すでにあるもの」をなぞるだけではない、そこからさらに働きかけを行っていることには違いないわけです。この曲なんかでも『シャシャれ』なんて言い方は新しいなー、とちょっと感心してしまいました。「しゃしゃり出ろ」だと当然はまらないし、ちょっともたつくし、「シャシャれ」だったら何か新しい感覚がその裏に生まれているっぽい感触もするし。こういうのを見ると、「言葉を破壊している」んじゃなく、「アレンジを加えている」といったほうが合っているんじゃないかな、と思ったりもします。
 ま、それで世代の断絶が起きてしまうのは間違いないところなんで、なかなか一概にいいことだとは言えないのですが…とりあえず、この辺りは新しい時代の言語感覚をうまく取り入れ反映できていたんじゃないか、それがヒットにつながったんじゃないか、と思いましたと。


 それに、『ピーポー』『パーリナイ』とかって、ヒップホップが認知され始めた最初期から頻出していたような単語ですが、こういうカタカナ表記は絶対に主流ではなかったはずだと思っていまして。なぜなら、当時は英語表記にしておくのがカッコよかったから。「Check it up」とかなんとか、英語をガンガン混ぜて行くのが、本場から直輸入しているみたいで、それが一番それっぽかったわけですね。
 で、そのうちに変化が起きます。日本人なんだからラップも基本的には日本語でやるべきだ!という流れができ始める。そういう流れがそのうちに、ケツメイシなどの哀愁美メロ系ヒップホップという独特の路線を生み出していくわけで。
 そしてここに出てきたこの曲。英語も日本語も混ぜ混ぜで、しかも一部の英語は噛み砕かれてカタカナになり、極めて日本語的になっている、と。これはつまり「英語か日本語か」とスタンスを決めるべき時代ではすでにないこと、ヒップホップの英語フレーズがすっかり日本に定着していることを示しているのではないか、と感じます。
 この曲を支持している層にとっては(おそらくはかなり若い層ですが)すでに、ヒップホップは新しい輸入モノだ!という感覚はないのでしょう。「新しい、スゲエ!」とか、「いや、今まで培ってきたものを疎かにするな!」とか、そういう葛藤をすっ飛ばして、飲み込んでしまっている感覚なんじゃないかな、と。


 とりあえず、DJ OZMA「アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士」でこれからのアッパーチューンは「ディスコ」ではなく「クラブ」に移行していくのではないか?という心配をしましたが、この曲を聴くと、そんなに急激に進むでもなさそうですね。DJのスクラッチ音がかなり大きく取り入れられたりしてはいますが、きらめくストリングスとかはまだディスコ、その背後のギラギラ歌謡曲路線もまだまだ背負っているようですし。


posted by はじ at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(ま行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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