![]() | CRY NO MORE ソニーミュージックエンタテインメント 中島美嘉, 康珍化, 河野伸, Lori Fine(COLDFEET) このアイテムの詳細を見る |
<力強い祝福のサウンドに、力強さではなく、繊細さ弱さを込めて>
昨年はNANAとしてロックテイストの「GLAMOROUS SKY」を出したりしてましたが、またいつものスロー路線に戻ってきました。今作はゴスペル風味の壮大さを感じさせる一曲になっています。本人的にも「アメイジング・グレース」を歌ってみたりするなど、実力を磨いて難しい壮大な歌を歌っていきたい、みたいな欲求があるのかなとも。パンチ力はそこまでじゃないけど、声質を生かした歌いこなし方で悪くないかも。
『I don't wanna cry no more』と『あとどのくらい』と韻を踏んでいるわけですが、どちらも「強さ」を感じさせる言葉ではないです。むしろ、「弱い」自分だからこそ口にするタイプの言葉ですよね。『矛盾ばかりの 自分を生きてる』『この淋しさに/いつか終わりはあるの?』などからも、この歌から発せられている感情/メッセージは、弱さゆえの辛さ苦しさの吐露、また強くなりたい(=「泣きたくはない」)というものだと言えるわけですね。
ゴスペルというのは本来賛美歌から来ているもので、生きる喜びとか祝福とか、本来はハッピーな内容と結びつきやすいもの…なんだったかと。ただ、そこに「弱さ」と「強くなりたい」気持ちを歌うというのは、むしろ彼女らしいんじゃないかなとも感じます。荘厳な曲調で幸せに満ちた歌、力強さに溢れた歌を歌うというのは、中島美嘉の声とはちょっとそぐわない気がしますし。そういう意味で、彼女らしくゴスペルサウンドを取り入れている、という印象を受けたわけです。