![]() | ソツギョウ ソニーミュージックエンタテインメント 加藤ミリヤ, Miliyah, 3rd Productions このアイテムの詳細を見る |
<赤裸々すぎるほどストレートにつづられた、集団内での「ひとりぼっち」の空虚さ>
現役女子高生シンガーソングライター加藤ミリヤの卒業ソング。17歳ってことなんで、まだ今年卒業するってわけではないようですが。
卒業おめでとうありがとう、お別れだね思い出ずっと忘れないよ…というのがまあ卒業ソングの王道というか、一般的に想像できると思うのですが、この曲はそうではないです。煙田さんも書かれてましたが、尾崎豊「卒業」と共通するところがある感じです。
まあ、彼女の場合は、アンサーソングとして発表された「ロンリーガール」、UAのカバーだった「ジョウネツ」など過去曲との親和性が高い曲を連続して出してきたという経歴もあって、今回も何か関連があるんじゃないかとか思い浮かべちゃう…ってのもあるんですけど。
たとえば『今 支配の中を抜け出して』とか、『教科書も捨てた 風に吹かれた 自由になった』とか。学校に縛られていた、気持ちが癒されなかった、解放されたかった…と思い悩み続けた果ての卒業、そこにあるのは喜びではなくとまどい…みたいなところはかなりリンクしてますね。
また、窓ガラスを壊して回ったりしませんけれど、『すれ違う大人たちの 視線ひどく感じる/(苛立ってくる 睨んでみる)』というように、「オトナ」を敵視している様子も感じます。
とはいえ時代やら性別やら何やらが違うことですし、いろいろと違う部分ももちろんあるわけで。上のフレーズを見ても「壊す」ではなく「睨む」までですし、『うるさい 聞きたくない ほっといて わかる訳ない』など、やっぱり時代のせいか、もうちょっと内向的な感じがします。「焦燥感」というよりは「孤独感」がクローズアップされているみたいです。これは「ロンリーガール」から続く流れなんでしょうかね、やっぱり。
『寂しい 虚しい 一人だけ取り残されてる』というような、イマドキの若者の空虚さ、生きづらさが表現されています…が、どうもこの人は「孤独感」にしろ「大人への反抗」にしろ、もしくは前回の「ジョウネツ」で描かれていた「恋心」にしろ、めちゃくちゃストレートなんですよね。それが貴重だなあと思うと同時にちょっと心配なんですよね。
特にイマドキの孤独感って、あんまり赤裸々に歌われちゃうと、同じ気持ちを抱えている人って一歩後ずさりしちゃいそうな気がするんですよねー。共鳴する内容であっても共感したくないと考えちゃいそうというか、自分は違う!と反発しちゃうような気が。
ま、そういう意味では、卒業という特別な状況を描いているぶん、受け入れられやすいかもしれませんけれども。