2006年03月18日

吉井和哉「BEAUTIFUL」

BEAUTIFUL
東芝EMI
吉井和哉

このアイテムの詳細を見る


<紆余曲折の末に到達した、穏やかで静か、自然体の生き方の素晴らしさ>

 YOSHII LOVINSONから本名に名前を戻し、吉井和哉として初のシングル。そんな名前の変化にも沿って、この3拍子の曲は、穏やかで飾り気なく歌われています。

 3拍子で、スイング…というにはとてもゆったりした弾み方のリズムからして心地よい雰囲気が漂っていますが、その上に『簡単な格好でいいじゃないか/コンビニの菓子パンでいいじゃないか』と、平凡な日常をプラスに受け止めようとする意志が感じられます。「Let it be」、「あるがまま」ですね。
 何も特別なことはいらない、壮大ではない『小さな祈り』や、どうしても叶えたい!という熱烈さもない『静かな願い』を知ってもらえればいい、そんな気持ちが描かれています。それは決して、気持ちが弱い、大した思いじゃない、というわけではありません。特別なもの、壮大なものばかりが素晴らしいんじゃない、ただ『草原で揺れている小さな花』が『雨が降り風が吹き育っていった』と描かれる情景がどこか神々しさをもって見えてくるように、「どこにだって素晴らしさは宿っている」というような主張が込められているように感じます。

 真実を追い求めようとすることよりも、『わからないほうが BEAUTIFUL』。それは諦めや妥協ゆえの負け惜しみではなく、そんなものを知ろうとしなくてもじゅうぶん幸せは得られるんだ、というメッセージが込められているように感じます。


 イエモン時代は、スパークしたかったり、楽園に行きたがっていたりしていたわけですね。そんな吉井和哉が『公園で散歩もいいじゃないか』と歌うのは、なかなか感慨深いものがあります。「愛とは〜」のくだりなども、「LOVE LOVE SHOW」を想起させたりしてちょっとニヤっとしてしまいました。…とはいえ、『なぜか きびしくて 苦しいって』という切り取り方をしてくるあたり、酸いも甘いも噛み分けた経験を感じさせる書き方になっていますよね。
 このように、今までのキャリアをおさらいして変化を感じられるぶん、この歌に「たどり着いたんだ」と聴き手は実感を伴って考えられるわけで、そこはベテラン選手の強みでもあるでしょう。10代のデビュー曲がこれだったら、やっぱりちょっと感情移入しにくいでしょうし。「大人の歌」ですよね、これは。


この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。