2005年12月10日

加藤ミリヤ「ジョウネツ」

ジョウネツ
ソニーミュージックエンタテインメント
加藤ミリヤ, UA, 加藤ミリヤ loves mflo, mflo, Shingo.S

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<90年代ミュージックリスペクトを前面に出しつつ、個人の解釈を混ぜ合わせる新しさ>

 いまさら解説するのもなんですが、9年前リリース、UAの出世作「情熱」をサンプリングしてできあがった1曲。彼女はこの前も「ECOのロンリーガール」のアンサーソング「ロンリーガール」なんてのを出したりと、過去の曲をリスペクトするのに非常に積極的です。
 まだ高校生ということで、いろいろ吸収したい!という本人の意向も強いのかもしれません、が、今回はマーケティング的にもひと考えある気がします。いわゆる90年代ミュージックを聴いて育った世代へのアピールというかなんというか、そういうものが。
 自分と同世代の友人とか、みんな最近の曲はわからん90年代が懐かしいとか言うわけです、これが。業界的にも、まだ00年代も折り返しのところですが、どうも90年代カムバックな傾向も感じられるし…その点、今回の「情熱」のセレクトはなかなかいいツボ押してるなあと。

 で、さらにサンプリング度合いがかなり強いのです。本来の歌部分もがっちり使われていて、でも加藤ミリヤ自身は歌わないので、カバーというわけではない。で、新しく付けた歌詞は、掛け合いのように元歌詞と響きあうように作られている。この前のアンサーソング的な要素もあり、より元の曲そのものに接近したといった感じ。
 なんというか…サンプリング、フューチャー、カバーというよりは…「二次創作」とでも言うべきものですね、これは。「二次創作」というのはまあ、マンガや小説のキャラや設定を基にしてマンガや小説を書く、同人界隈から生まれた言葉です。もともと出来上がった世界から自分の解釈なり創造なりを広げて描いていく、という点では、かなり近いような気がします。
 最近は同人の流通するオタク業界もなんやかんや脚光を浴びているし、オレンジレンジが批判の槍玉に上がったり鮎見だのが出てきたり(最後だけかなり違いますが)、出来上がっている作品に自分の色をつけるというのはなんだかブームなのかもしれません。まあ昔から日本人はそういう民族性があるわけですが。自分はそれでいいものが出来ればいいんじゃん?という立ち位置です。貪欲にいいものを取り入れるというのは全然いいことだと思いますし。すでに一定の評価を受けている「いいもの」に胡坐をかいて、クオリティが落ちたりしなければね。

 っていう前置きをした上でこの曲を評価するとすると、単に話題づくりやセールスを狙っただけじゃない、曲に対する思い入れは伝わってくるなあ…だけど、という感じ。曖昧だなあ我ながら。つまり、「情熱」という歌に胡坐をかかず、彼女なりに曲を再構築して「ジョウネツ」という歌を作り上げていて、それはすごくいいことなのだけれど、でも自分の好みではないなあという。今度はミもフタもない。
 『恋しすぎて もう苦しくて あなたが愛しくて』とか『愛してる100回言ったって足りないよ』とか、「どうしようもないほど愛してる」というのをひたすらにアピールしているわけです。確かに「情熱」という曲の一辺を表してはいると思うんですけれど、この辺のどうしようもないほどのあふれる感情を表に出さないのが「情熱」という曲だったんじゃないかなあ、と自分なんかは考えてしまうわけなんです。『きっと涙は音もなく 流れるけれど赤裸々に 頬濡らし/心まで』という原曲のフレーズ、確かに心までも涙が伝って、どうにもならないほどの想いを抱えている状態ではあるんですけれど…それをあえて吐き出さず、ただ音もなく涙だけを流しているそんな情景が、自分の頭の中にはずっとあって、う〜ん…と唸ってしまうんですよね。

 まあ、歌も雰囲気もいいし、こういう解釈でも間違っているとは思いませんし、高校生の等身大って感じもしますし。若いっていいな〜ということで。いくつだお前、っていう感じですが。 あと忘れてはならない着目点は、90年代の音楽がリスペクトされ、取り入れられた…っていうことですね。今までは洋楽か、あるいはニューミュージックの影響を色濃く受けていたJPOPですが、ついにJPOPをルーツとしたJPOPができつつある、と。これは最近のバンドなんかを聴いていてもそう思うわけですが。


posted by はじ at 23:51| Comment(0) | TrackBack(2) | J-POPレビュー女性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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「ジョウネツ」加藤ミリヤ
Excerpt: 「きっと涙は 音もなく 流れるけれど 赤裸々に   こんなにも張り裂けそうでツライ 息さえできなくてcry  壊れるくらい 抱きしめて 欲しかったけど 想い出に  恋しすぎて もう苦しくて あなたが愛..
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