2005年10月24日

NANA starring MIKA NAKASHIMA「GLAMOROUS SKY」

GLAMOROUS SKY
ソニーミュージックエンタテインメント
NANA starring MIKA NAKASHIMA, AI YAZAWA, HYDE, KAZ, Lori Fine, 根岸孝旨, mmm.31f.jp

このアイテムの詳細を見る


<断片的な映像の連続でつづられる、作品イメージクリップとしての詞>

 ええと、説明するまでもないかもですが、矢沢あい原作の大人気少女漫画「NANA」がこの9月に映画化され人気を集めてまして、その主演も務めた中島美嘉が、登場キャラの名前で歌っている主題歌…というものです。
 こういうキャラ名義で出すのって、ほんとちょっと前までは色モノ扱いされたものですが、今回はわりと普通に受け止められているようです。原作や中島美嘉の人気っぷりによるものなのか、それともあるいは、コミックというものが社会にそれだけ違和感なく浸透してきているのではないか…といった考察を、最近の漫画系の映画の隆盛(「タッチ」とか「SHINOBI」とか来年の「ハチクロ」とか)を例に挙げて展開してみる…というのも面白そうですが、それはまた機会があればということで。
 ちなみに映画は行ってないですが、原作は最新13巻まで漫画喫茶で読みました。比較的、男性でも読みやすいんじゃないかなと。「のだめ」や「ハチクロ」に比べるとやや敷居は高いかなあとも思いますが…


 作詞が原作者の矢沢あい、作曲がラルクのhydeと、語るネタがいっぱいです。

 まず曲。確かにhydeらしさ満点で、自分の中で密かに設定してある「hydeらしさ」を存分に発揮しています。ラルクやソロでセルフカバーしても違和感なさそうな。軽快さ、というとちょっと違うんですけれど、柔軟でしなやかさのある特徴的な旋律が、けっこう中島美嘉に合っていますね。アップテンポの曲はあんまり歌っていなかった彼女ですが、ミディアムにしろバラードにしろ、質としてはhyde楽曲に共通する傾向はありました、そう言えば。
 これが例えばGacktだと、けっこう違ってくるわけで。もうちょい重心の低い感じになるんじゃないかなと。中島美嘉的にはhydeでしょうね、やっぱり。


 で、詞のほう。これはかなり断片的な単語のつながりになっていて、けっこう面白いことになっています。『廻る乱舞の DEEP SKY』ってどんなんだ!とかツッコんでいくのもそれは面白そうですが、でもこれは、「作詞作業に慣れていなくてうまくいかなかった」で片付けられるものではないように思います(それもあるんでしょうけれどね、やっぱり)
 なんというか、非常に「漫画的」な書き方なんじゃないかな、と。漫画っていうのはコマで展開されていくもので、断片を繋げ合わせて話を展開していくわけじゃないですか。そういう印象を受けるんですよね。各コマに1フレーズずつ、みたいな。
 で、そういう場面場面を見ている視線…つまり、漫画を読む読者の目から描かれていんじゃないかなとも感じます。だから『履き潰した ROCKING SHOES/跳ね上げる PUDDLE』なんていう客観描写から、急に『フラッシュバック』が起こり、『君は CLEVER』と今描写のあった人物の内面に移り変わったりするんじゃないかなと。これは言葉だから戸惑いますけど、漫画の台本で「小物の描写から、急に『君』のことを強く思い出す主人公」という流れだと考えると、わりと楽に読み解けるんじゃないかなと。
 あー、漫画でなくてもいですね。PV、ミュージッククリップ的といったほうが当てはまるかもしれません。どちらにせよ映像的です。詞の中にテーマ/メッセージを込めるのではなく、イメージを喚起させるように散りばめようとしているわけですね。

 あと、ほら、少女漫画なんて特にですけど、展開の合間合間で、どんどんモノローグ入ってくるじゃないですか。リリカル/ポエジックなやつ。ああいうモノローグを書くような考え方で書いている部分も、かなりあるんじゃないでしょうか。
 サビの『あの虹を渡って あの朝に帰りたい/あの夢を並べて』と執拗なまでに「あの」と過去を強調するのは、上で述べたイメージ喚起的な側面であり、かつこれは原作「NANA」の手法でもありまして、ひとつのエピソードが始まるたびに、その出来事を回想しているらしい主人公のモノローグが入るんですね。「過去を追想するモノローグ」という点で、原作の表現へとつながっている感じがします。というか、漫画のモノローグをもっと押し広げるとこんな感じになるんじゃないかな、と思います。

 てなわけでまとめると、映画主題歌というよりは、原作のイメージクリップという要素が強いんじゃないかなと。
 原作者としての思い入れがたっぷりこもっているので、それは作品読者としては興味深いところですが、1曲のしとして見たときの内容のわかりづらさにも繋がってしまっているのかもしれません。


 ああ、長くなってしまった。
 中島美嘉本人の歌については、まあいい意味でミスマッチ感があっていいんじゃないでしょうか。パンクロックの迫力があるかというと微妙ですが、でもとにかく原作のイメージにハマってるがためにそんな違和感ありませんし、まあそもそも曲がこれパンクかってところで、どうなんだろうってとこですし…いいんじゃないですかね、その辺は。ああいう映画でゴリゴリのパンクやっても仕方ないでしょうし。
 で、『眠れないよ!』のシャウトがけっこう好きなので、案外こういう路線を断続的にやっていくのもアリなんじゃないかなあと思ってます。


posted by はじ at 08:38| Comment(0) | J-POPレビュー企画もの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。