2005年07月17日

スネオヘアー「ワルツ」

ワルツ
ERJ
スネオヘアー, 渡辺健二

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<一方的ではなくお互いに想いを絡めあおうとする、淡くぼんやりとした空間>

 アニメ「ハチミツとクローバー」のエンディングテーマに抜擢、そしてそれが超名曲!と来たので、スネオヘアーもついにブレイクかーと思ったらそうでもないようです。以前「ストライク」という曲をサスケ「青いベンチ」と比較しつつレビューしたときにも触れたのですが、やっぱり曲に引っ掛かりがなく、知らない人を惹きつける力が弱いのかなあと。
 しかしこの曲の魅力(そしてスネオヘアーの魅力)はまさにその「引っ掛かりのなさ」言い換えれば「淡さ」「ぼんやりした雰囲気」「耳障りのよさ」だと考えているのですね。

 コード進行をとっても、前奏やサビがUmではじまる循環だったり、M7(メジャーセブン)のコードだったりすることで、薄くも深い印象を与える使い方をしていまして。ピンと来ない方、ジャズによく見られるタイプの響かせ方だと言うとなんとなくイメージできるでしょうか。

 加えて、歌詞もまた淡い雰囲気を醸し出しています。『パステル模様の未来』だとか、『あれは、そうね いつだっけ』というつぶやくような言葉とか。全体を通して、自分の感情を一方的にほとばしらせぶつける、というのではなく、ゆっくりと丁寧に吐き出していくという感じ。そして相手の想いとうまく混ざっていけたらいい…というような。それが、「ワルツ」というタイトルの言葉に集約されているように思います。

 こうして全体のトーンが穏やかに抑えられているので、たとえば『引力に逆らいながら出会った』というフレーズも、強引に行動した、みたいな印象は受けません。むしろ、自然と導かれたというように伝わってくるのです。おかげで、「流されてではなく、二人の意志で出会った」と主張する一方で、「運命的な出会いだった」という一見矛盾しそうなイメージをも、聴き手に与えることができていると言えるのではないでしょうか。

 あと、淡い雰囲気の中で一箇所だけ、ギターだけが鳴り響くハッとさせられる場面があります。それが『原色で塗り替えてしまえ』というフレーズのところ。わざと全体の淡色的な雰囲気から詞・音ともに外れることで、印象付け、力強さを出そうとしています。


posted by はじ at 15:58| Comment(5) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(さ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも読ませてもらってます。<br />
<br />
>やっぱり曲に引っ掛かりがなく、知らない人を惹きつける力が弱いのかなあと<br />
<br />
私はスネオファンなのですが、初めてスネオヘアーを聴いた時は、やっぱり引っかからなくて、何度も聞いているうちに好きになりました。デビューしたての頃は、結構プロモーションにお金かけてやってたみたいですが、レコード会社が予測したより売れなかったみたいですね。いい曲が多いですが、売れ線かと聞かれれば違う気もします。<br />
<br />
はじさんはスネオヘアーの1stアルバムは聴かれたことありますか?曲も好きですが、詞がほんとにいいと私は思いました。もし聴かれたことがなければ、ぜひ聴いてみて下さい。<br />
<br />
長々と失礼しました。これからもがんばって下さい。
Posted by れな at 2005年07月19日 03:07
はじめましてー。<br />
自分も、友人が好きだったのですが、はじめはそこまではまらなくて。<br />
「訳も知らないで」なんかはけっこうお気に入りだったんですが、ピントがあったのはこの「ワルツ」でようやく、といった感じですねー。<br />
曲に引っ掛かりがないかわりに、タイアップで引っ掛かりができるかなーとも思ったのですが、そこまでの効果はなかったのかなと。<br />
<br />
でも、自分がそうなったように少しずつじわじわファンを取り込んでいって、そのうち大勢力になったり…したら面白いなあ。
Posted by はじ(管理人) at 2005年07月20日 01:56
わたしはこの曲がスネオヘアーと認識して初めて聴く曲でした。<br />
名前は知ってたんだけど、曲と結びつけて聴くのは初めて。<br />
聴いた瞬間から、すごい吸引力を感じました。<br />
重心の狂ったメリーゴーラウンドみたい。<br />
<br />
せつなさにぎゅうっと引き寄せられたかと思ったら、つないだ手も引きちぎられるように遠くなって、でもまた近づいてくる。今度こそ、って手を伸ばすけれど、そのときにはもう、指先がぬくもりすらも感じられないほど遠くになってて。<br />
まわるまわる、繰り返すのが運命の、かなしいメリーゴーラウンド。<br />
<br />
周囲には大丈夫だよ、って笑ってみせるけど、<br />
ほんとうは座り込んで、流れる涙をどうすることもできなくって、<br />
<br />
ああ、感情移入して聴いちゃってるんだろうなあ。<br />
このサイトの趣旨とは外れちゃってるよね、ごめんなさい。<br />
Posted by M at 2005年07月23日 01:02
なるほどー。貴重なご意見です。<br />
確かに、この曲は、どこかアンバランスな感じがします。歯車が一本だけ抜けて、表面上はあんまり異常はなさそうだけど、どこかで静かにズレが続いている…みたいな?<br />
<br />
その「アンバランス」さの原因を分析してみましょう。<br />
<br />
・メルマガのほうで<br />
“コードからの微妙なはずし方、たとえば「ドミソ」<br />
の和音に対してメロディが「シ」をなぞっている”<br />
と書いてまして。<br />
(これ、ブログでいう“M7(メジャーセブン)のコード”になる響きなのですが)<br />
この響かせ方を「ぼやけた雰囲気」を出す要素として説明しましたけど、和音からちょっと外れた位置にメロディを置くというのは、それだけ不安定な響きになってきます。<br />
<br />
・リズム隊の動きが凝っています。ベーシックなタイプならどっしりと安定感が出るものですけど、そうではなく。<br />
そこだけ注意深く聴いていると、落ち着きのない感じを受けますね。<br />
<br />
・メロディラインの上下が、意外と激しいんですよね、この曲。<br />
それも、ふわーっと上がっては下がって、という滑らかな動きで。<br />
この緩やかだけどダイナミックな上下動は、「ぐるぐる回っている」という感覚を抱かせやすいものではないかと思います。<br />
<br />
・記事を書いた後で気がついて、補足しようかどうしようかと悩んでいた点なんですけれど。<br />
スネオヘアーの曲って、メロやサビなど、曲のブロックごとのつながりがとても緊密なんですよね。今回なんて得にそうで、Aメロ→Bメロ、Bメロ→サビ、どちらも隙間がゼロ。なだれ込むように次の部分へとつながっていくんですね。流れが切れないんです。<br />
<br />
<br />
と、改めて考えてみると、「重心の狂ったメリーゴーラウンドみたい」と感じる要素って、こうしてみると実はいろいろ揃っていたりしますね。<br />
<br />
ただ、やっぱりその辺を一聴して感じられるのは、もともとスネオヘアーの曲が大好きな人、興味を持って聴いた人、あるいは、今回のハチクロタイアップでアニメのほうに思い入れがある人たちなのではないかと。<br />
何も知らない人のぱっと聴きでは、やっぱり「淡い」という印象になると思うんです。その耳障りのよさ、引っかかりなくすっと聴けそうな、その裏に隠れているMさんのご指摘したような部分が、スネオヘアーの真骨頂なのでしょうね。<br />
<br />
<br />
「私はこう感じる!」という意見がきたら、「じゃあなぜそう感じるのか」を考えてみる、というのがこのサイトのスタンスです。<br />
今回のように、記事の補足的な内容にまで発展させられることもありますんで、どんどんご意見をいただければと思いますー。
Posted by はじ(管理人) at 2005年07月23日 13:36
あー、こんなに膨らんだんなら、メルマガの1記事にすればよかったような…
Posted by はじ(管理人) at 2005年07月23日 13:40
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