2005年05月03日

加藤ミリヤ「ロンリーガール」

ロンリーガール
ソニーミュージックエンタテインメント
加藤ミリヤ, Takashi Matsumoto, Miliyah, Shingo.S, MaestroT

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<ステレオタイプなレッテルを、自ら認め、主張する哀しさ>

 ECDというラッパーの方が1997年に出した「ECDのロンリーガール」という曲に対してのアンサーソングということで。ちなみにさらに大元には、佐東由梨って人の「ロンリーガール」があるとのことですが、どちらも全然知らないです。
 しかしネットというのは便利なもので、その辺りをきちんと詳しく解説してくれているサイトがあるものです。以下のブログは、この記事を書くにあたって非常に参考にさせてもらいましたので、トラックバックするとともにここに紹介させていただきます。

everyday/music「佐東由梨/ロンリー・ガール」

でも、私には「今」がある「ロンリーガール」

 「everyday/music」さんの記事を読めば、だいたいの流れがわかるかと思います。大ざっぱに言えば、「ECOのロンリーガール」が渋谷の少女たちを眺めている視点なのに対し、加藤ミリヤ「ロンリーガール」はその少女たち側からの返答である、という形。ただし、サビの『ロンリーガール』というコーラスは、佐東由梨の「ロンリー・ガール」にあった旋律だということらしいです。ややこしいですね。

 ただ、そういう成り立ちのややこしさのわりに、歌われている内容は、いたってシンプル。『メール携帯手放せない』『どんなに 言葉くれても/満たされないの』などと、「現代の病んだ少女」みたいな、ステレオタイプな描かれ方です。
 ただし、アンサーソングという形式になっている、言い換えれば「少女たち」の代表として歌われている、というところに、重要な意味があります。客観的な視点から「近頃の若いモンは…」と決め付けるのなら目新しくもなんともないですが、そうではなく、決め付けられる側が、「自ら認めた」形になっているわけですね。
 そのために、どんなことが起こっているか。押し付けられた「イマドキの女の子はみんな刹那的で、誰もが実は病んでいる」というようなレッテルを否定するのではなく、いや、『容易く分析なんかしないで』と否定したがっているのにもかかわらずそうできない、そんなステレオタイプから抜け出すことができない、というある種絶望的な心情が、ここに立ち表れてきます。

 独りぼっち、どこにも行けない、楽しもうとしているのにふとため息が出てしまう…
 しかしそんな感情は、至極ありふれたものです。いつの時代にも、この年ごろになら誰でも、多かれ少なかれ経験するものでしょう。それは、8年前に書かれた歌に今ごろ返事をしていてもあんまり内容としては違和感がない、ということからも裏付けられると思います。
 ただし、上に述べたように、「答え」として言えるものがそれしかない、というのは、かなり悲痛な叫びであるように感じられます。また、さまざまな名前を羅列するのも、効果的な手法と言えるでしょう。ただ記号のように並べられる名前は、まるで表情もなく街を漂っているたくさんの少女たちの姿のようで、少しぞっとします。
 こういう点で生々しさを出せているので、ありふれたつまらない内容にはなっていないと感じました。アンサーソングという形式も、自分のこの観点からしてみたら、成功しているかなと。


 さて、付記というかなんというか、この女性名の羅列について、二点ほど。
 上で紹介した「でも、私には「今」がある」さんの記事で指摘されていますが、佐東由梨の「ロンリー・ガール」の発売と同時期に出た中島みゆき「あの娘」でも、女性の名前の羅列があるとのことです。そちらはどうやら、「こんなにたくさんの名前がある中で、私は選ばれない」という意味を持たせてあるようです。「私の名前」(=私自身)の唯一性を際立たせるために、別の名前を列挙してそれらを無個性化させているわけです。対して、「ロンリーガール」での使われ方は、無個性化する羅列の中に、自らの名前もまた混ざり、埋没していくといった雰囲気が感じられます。
 もう一点。こっちは、単純に疑問なんですが。この羅列の先頭が「マリア」という、いわゆる聖母としての意味合いがある特殊な名前なのは、何か意図的なのでしょうか?これは曲からは読み取ることができませんでした。


posted by はじ at 01:05| Comment(2) | TrackBack(3) | J-POPレビュー女性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
アユミって二回出てくると書いてありますが一回目はアユミで二回目はアイミだと思います<br />
Posted by 美里 at 2006年10月10日 14:38
す、す、すみません!仰るとおりでした。<br />
本文を修正しました。<br />
<br />
ミスご指摘くださってありがとうございました。<br />
言ってもらえなかったらずっと恥をさらし続けるところでした。<br />
もしまたどこかで見つけたら、いただけると嬉しいです。
Posted by はじ(管理人) at 2006年10月16日 08:13
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ロンリーガール/加藤ミリヤ
Excerpt: 2005年03月24日発売。 Amazon.co.jp 売上ランキング: 1,1
Weblog: Heavenly Children
Tracked: 2005-01-01 00:00

☆ロンリーガール14日記☆
Excerpt: ECDのロンリーガール。 一度聞いたことある人ならばきっと耳に残るなかなかの名曲。 特にサビ部分(HOOKというのがHIPHOP的には正しいのか?)の 「ロンリーガール さびしいんじゃないよ(だっけ?..
Weblog: ☆ヒキコモ14日記☆
Tracked: 2005-01-01 00:00

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