2004年11月12日

ORANGE RANGE「花」


ORANGE RANGE
ソニーミュージックエンタテインメント

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 彼らのジャケットは、毎回オレンジがあしらってあって面白いですね。

 さて、「花」をテーマにした曲は星の数ほどあります。RAG FAIR「HANA」の記事を書いたときに、歌詞内の主張から大きく「バラ派」と「タンポポ派」に分けてみたりしましたが、レンジはちょっと具体的に「どういう花になる」みたいなことは言ってないですね。どちらかというと、タンポポ系のが強いような気がしないでもないですが。

 そういう見方よりも、たとえば『花びらのように散っていく事/この世界ですべて受け入れてゆこう』というような、ある種の悟りのような気持ちを「花」に関連付けて表現している、という点に注目してみたいです。こうした「悟り」は近年のメッセージソングに見られがちな傾向で、「今を精一杯生きる」がメインでありながらも「すべてはいつか終わりがくる」「今を振り返る時がくる」という達観めいた視点があったりするわけです。ポジティブな熱さと儚さゆえの切なさを、同時に聴き手に与えようとしているわけですね。
 この曲なんかまさにそうで、『今という現実の宝物』と現在を大切に考え精一杯生きながらも、散りゆくことを受け入れようとしています。なんか、実に素晴らしい若者の姿ですよね。無理やり最近の邦楽事情に組み合わせてみると、青春パンクなどのメッセージソングの流れが、あの「世界に一つだけの花」が見せたような、「花から悟りを得る」視線と重なって結実したのがこの「花」なのだ、と言ってしまってもいいのかなヤバそうかな。
 まあ少なくとも、ここ最近の邦楽の好まれる歌詞の潮流に乗っているのは確実です。

 ただねー、どうも自分の言葉でつづっている感じがしないんですよね。『生まれ変わっても あなたのそばで 花になろう』とか、どっかから言葉を借りてきたような感じ。パクリとかそういう意味じゃなくて、台詞が身の丈にあってないというか。
 それはまあ、ある意味では偏見なんでしょうけど。自分くらいより上の年代、つまり彼らと同じかそれより上の人は、やっぱりどうも「わかったようなことを言うな」みたいなものを感じてしまうと思うのですよ。「最近の若いモンは云々」と言いたいわけですよ。なんだかオレンジレンジって、支持層と不支持層の温度差をビンビン感じません?
 とにかくあんまりそういう見方で低く評価するのはここの方針として嫌なんですけど、ただやっぱり『花はなんで枯れるのだろう』からずっと「なんで〜だろう」が続いて『なぜボクはココにいるんだろう』、『何故キミに出逢えたんだろう』と続き、そして今なぜと言ったのに次で『キミに出逢えた事 それは運命』と断言しているのは、やっぱりちょっとどうかと思います。はい。
 その前までも多少安易ではあるんですけど(わざわざカタカナ使うのもそうだし)まあ感情は盛り上がるのでいいかなって思えるんですけど、そこまで疑問を積み重ねたのに「運命」で片付けちゃうのは、ねえ。
 この辺が、「今を生きる」と「ずっと先まで達観する」とのメッセージ併用の危なっかしいところでして。うまく組み合わせないと、矛盾が出てきたり、こうして「今現在のわからないこと」をあっさり「悟っちゃう」とかいう事態になっちゃうわけですね。

 サウンドのほうは、感動を演出するのがすべてストリングス任せになってしまっているような気がします。バンドセクションもいるんだから、もっとギターのアルペジオが前面に出てきてもいいんじゃないかと。「ミチシルベ〜a road home〜」の「ラララ」のとこのような、強烈に耳に残る部分がないのもちょっと残念かな。ボーカルは、多人数を生かして低いほうにオクターブ重なるのとか、面白いと思うんですが。


この記事へのコメント
はじさんと同感です。<br />
さて「花」については、私も書こうと思いました。<br />
「花」と言えば、泣きなさい〜笑いなさい〜の各国でも歌われている喜納昌吉の「花」と私は思っていて<br />
特に沖縄では「花」というタイトルは<br />
いわば永久欠番なわけです。<br />
そんな中で沖縄出身のオレンジレンジが<br />
「花」を書いたのは、どういう背景があるのだろうと。。。<br />
そんな展開のエントリーだったのですが<br />
<br />
結局喜納昌吉の「花」とは比べ物にならない詞の浅さ、というネガティブな結論に行き着き、<br />
はじさんも仰ってる「最近の若い者は」論調になりそうだったので<br />
ボツにしました。<br />
<br />
ただ30代読者層の多い私のブログでも<br />
オレンジレンジ「花」の支持が多いことを考えると、<br />
たぶん若者である彼らが、稚拙ながらも意外に「直球」を投げてきたことに<br />
我々世代が感心してるのかも知れません。<br />
<br />
Posted by 39bon at 2004年11月14日 02:31
死ぬほど長くなりました。うう。適当に読み流してください・・・<br />
<br />
喜納昌吉の「花」は頭から抜けてました・・・そうですね、同じ沖縄ですしね。<br />
<br />
レンジは前にも「ビバ★ロック」で、米軍発祥のコーラスの節で『オレンジレンジを知ってるかい?』と歌っていたりします。<br />
(ネタ元:菊地成孔「CDは株券ではない」<br />
http://www.bounce.com/article/article.php/950<br />
ここの文章は毎回タメになります。特にこのレンジの考察は、すばらしい指摘だと思います)<br />
今回の「花」といい、レンジはあえて「沖縄」イメージに挑んでいる可能性がけっこう高いですね。そういう点ではまさに、新しい価値観を社会に投げかけるものである「若者文化」の代表選手と言えるかもしれません。<br />
<br />
直球のメッセージソングというのは、その巧さのなさ、芸のなさをも武器にしているところがあると思うんです。高倉健を引き合いに出すまでもなく、日本人は(だけじゃないかもですが)「不器用」を好む向きがあって。「真剣だからこそ、うまく伝えられない」というのは片想いソングの王道ですし、そういう部分は別に最近に限ったことじゃなく、世代を超えて好まれるんじゃないかと。<br />
なんで、上の年齢層で「直球」ゆえに受け入れている方がいるのかもという39bonさんのご意見には同意です。<br />
・・・ただ、そうすると、喜納昌吉の「花」も言葉自体はすごくシンプルで、「花」という一語に込められた重みがずっとあるよなあ、っていう話になってしまうのですけれども。<br />
<br />
本文でも触れているんですけど、最近の詞は「今を精一杯生きる」といういつの時代の若者も主張していたことのほかに、妙に冷めて達観している部分があるのがどうもなあ、という思いが個人的にはあります。本文ではこれは書きませんでしたけど。<br />
「癒えることのない傷」を早くも引きずっていたり、生々流転の観念があったり。そういうのが、どうも安易に重くしようとしているみたいに感じられてしまって。<br />
ただこれも、むしろあまり若者の音楽を聴かない上の世代の人は、「真面目でいいじゃないか」と思えるんじゃないでしょうか。少なくとも、90年代後半の小室時代とか、退廃的な世界のビジュアル系の音楽よりも、ずっと健全でいい楽曲に見えると思うのですよ。<br />
<br />
だからレンジに対してもっとも批判的な視点を持ってしまうのは、案外自分くらいかちょっと上の世代、90年代の音楽に深く影響された人間あたりなのかもしれません。自分が親しんできたのとは、方向性の違う音楽なわけですからね。
Posted by はじ(管理人) at 2004年11月14日 20:41
レンジの歌詞は3MC隊が自分の歌う部分をそれぞれ書いてるから矛盾が出たりするんです。だから歌詞がおかしいのはそれはそれでいいのだそうです。(レンジのメンバー談)<br />
みなさんのコメントを読んでると深く考えすぎです。本人たちはまぁいいっか!!的な感じにしか思ってない様ですよ。(^^)
Posted by セニョリータ at 2005年08月15日 14:32
情報どうもです。お返事遅れてごめんなさい。<br />
<br />
まあいっか!的な感性で曲が作れる、というのはやっぱり新しいのですよ。今まであった「沖縄」のイメージを無視する、あるいは知らないでいる、ということは、やっぱり時代が流れたからなのだろうと。<br />
あ、この点は「だからダメだ」とは言いませんが。<br />
<br />
バラバラに歌詞を作るのはまあ複数MCでは普通ですが、やっぱりある程度は内容に整合性がほしいなあ、と、これは個人的にマイナスです。うーん。<br />
<br />
ま、本人たちがどうであろうと、ムズかしくあれこれ考えてみるのがこのブログの趣旨ですので。<br />
彼らにとっては「沖縄出身」ということはどうでもいいのかもしれませんが、周りはどうでもいいとは思っていないわけですしね。
Posted by はじ(管理人) at 2005年08月20日 14:31
はじさん、あなたはアンチオレンジレンジなんでしょうか?<br />
沖縄出身だからなんなんでしょうか?沖縄出身だからこんな音楽を作らなければならないと言う様な決まりがあるのでしょうか?はじさん的には沖縄出身だとどんな音楽を作るべきだと思うのですか?<br />
ちなみに今回の新曲はとても沖縄っぽいと思うのですが、新曲についてはどう思われますか?
Posted by セニョリータ at 2005年08月29日 09:50
>沖縄出身だからこんな音楽を作らなければならないと言う様な<br />
>決まりがあるのでしょうか?<br />
<br />
や、決まりはありませんよ、もちろん。<br />
けれど、「沖縄出身」というのは、他の場所出身よりも特別視される傾向がある、ということはあると思います。<br />
<br />
最近では、「沖縄」よりもインパクトのある出身地として「韓国」があるわけです。そこにはどうしても、「韓流」だから好き、とか、「韓流」だから嫌い、という感情も出てきてしまったりするわけです。<br />
「沖縄」は、今は一時期ほどではありませんが、やはりそういう部分があるなあと自分は感じています。<br />
<br />
個人的には、「そんな社会的『沖縄』イメージが何だ!そんなもん俺たちがぶっ壊してやる」というのは、ぜーんぜんアリだと思いますよ。本人たちがホントにそう考えているかはわかりませんが。考えてないとしても、今までにない新しい流れを作っているわけですし。だから、“「だからダメだ」とは言いませんが”と書いたのです。<br />
その辺は全部抜きにして、曲そのものにつたない点があるなー、とは感じてしまうんですけれど。<br />
<br />
今回の「キズナ」は、うーん、難しいですねー。<br />
「沖縄っぽさ」に逃げているのか、「沖縄っぽさ」をあえて取り入れることで、本当の意味で沖縄にこだわっていないんだ、とアピールしたいのか、そこが判別できません。<br />
とりあえず、もうちょっと聴きこんでみようと思います。
Posted by はじ(管理人) at 2005年08月30日 01:35
早速のお返事ありがとうございます。<br />
新曲のキズナについて、「沖縄っぽさ」に逃げてるとかこだわってないんだアピールをしたいのかとかいろいろ言いたい事はあると思いますが、まず言いたいのはオレンジレンジと言うグループについて、もっと勉強してからこう言ったことを書いてほしいです。<br />
今回のキズナが沖縄っぽくなっているのにはきちんとした理由があるんですよ。<br />
はじさんはどうしてこんなにオレンジレンジにこだわるのでしょうか?
Posted by セニョリータ at 2005年08月30日 09:35
どもです。お返事遅れてしまってすいません。<br />
<br />
もっと勉強…したいんですけど、なかなか片手間ではできないんですよねー。紹介するすべてのアーティストをスピッツ並にカバーできていたらいいんですけどね…ほんとに。<br />
<br />
なので、こうしてファンや事情通の方々から情報をいただけるのはとってもありがたいです。<br />
自分の書いた記事を、何倍も有意義にしてくれたりしますから。<br />
「キズナ」が沖縄を取り入れた理由、不勉強ながらまだ知らないので(テレビで「自分たちの原点に戻って〜」みたいな解説がされていたのを、ちらっと耳にした程度で)できれば教えていただけませんでしょうか?<br />
ここでも、あるいはメールとかでも構いませんので。<br />
<a href="mailto:haji@basil.freemail.ne.jp">haji@basil.freemail.ne.jp</a><br />
<br />
オレンジレンジだけにこだわっているつもりはないです。<br />
けれど、やっぱり今のJPOP業界全般の動きを考える上で、避けられない重要なアーティストであることは間違いないと思ってますね。<br />
ファンというわけではないし、一部の方々みたいに毛嫌いしているわけでもないのですが、でも非常に興味深いアーティストだと感じています。<br />
<br />
いかがでしょうか?<br />
煮え切らない意見だとお思いかもですが、まあ、このブログそのものがそういうスタイルなので…
Posted by はじ(管理人) at 2005年09月03日 15:46
沖縄風にしたのは脱退したメンバーへ向けたものなんじゃないんですかね。別に知らないけどファンでもないので想像ですが(笑)。<br />
<br />
メンバーの脱退は音楽性の違いとかって表向きに言われてますが、ただレンジが騒がれて売れて、彼はそれに戸惑っただけだと思うんですがね。<br />
ただ地元を中心に回るサークル的なバンドだったのに、ソニーの力も借りてキーボードを入れポップ系な曲を出すようになって、それがヒットして。<br />
レンジの本来の姿は「チェスト」みたいなものですしね。<br />
そういう意味では音楽性の違いということなのかもしれないですが、まぁ・・・(笑)。<br />
<br />
ところで、レンジは一時期のといっても去年までの勢いは薄れてきて、最新のアルバムも普通の売り上げになってますね。<br />
すぐ消えていくと思っていたんですが、僕はこのままというかもっと売り上げは落ちていくと思うんですが、なんとなく残っていくような気がしてます。なんとなく。。ん(笑)。<br />
<br />
Posted by 硬水 at 2005年10月29日 19:39
どうもです。<br />
メンバー脱退の線も考えたのですが、確かにリリース前の出来事とはいえ1ヶ月弱ほどしか間がないので、脱退が決まってから沖縄風にした、というのはけっこうギリギリな気がします。<br />
レコーディングにどれくらい時間がかかるかはよくわかんないですが、とりあえず省いておいたんですよね。<br />
<br />
これからのレンジですが、どうなるんでしょうね。今の路線を拡大していくか、あるいは段々ポップじゃない実験的な路線に移行していくような気もします。いったん売れてしまったので、あとはより拡大を狙うか、売り上げ関係なくやりたいようにやり出すか、どっちかかなあとは思うのですが。
Posted by はじ(管理人) at 2005年10月30日 14:42
レンジは活動を見ても分かるようにかなり切羽詰ってレコーディングしているようです。<br />
メンバー脱退自体も前から決まっていたものと思うので。<br />
まぁ彼らのサウンドは全然聴くきしないんですけどねどっちにしろ。それいっちゃお終いですが。。
Posted by 硬水 at 2005年10月30日 18:57
この夏は特に押せ押せなリリースラッシュでしたしね。インタビューでも「沖縄に帰りたい!」と言っていた記憶があります。脱退の件も合わせて、この辺に曲を作った動機がありそうですよね、やっぱり。<br />
<br />
まあ映画タイアップ、という事情が先に来ていたのかもしれませんけれども。
Posted by はじ(管理人) at 2005年10月30日 22:27
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