2004年07月23日

TUBE「夏祭り」

夏祭り/涙を虹に (CCCD)
TUBE, 前田亘輝
ソニーミュージックエンタテインメント

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 今年もTUBEの季節がやってきました。が、「夏祭り」は全編アコースティックで、いつになく湿っぽいです。まあそのぶん「涙を虹に」で炸裂しているわけですが。

 タイトルは夏祭りですが、実際には歌詞にも触れられている通り「七夕」的なシチュエーションです。故郷の町で、久しぶりに再会する二人。そこだけ取り出せばなんてことはない王道シチュエーションですが、ポイントは「町」を離れて暮らしているのが「君」、つまり女性側だということです。「僕」ももしかしたら「町」を離れて別の場所に住んでいる可能性はありますが、『変わらない景色 変わりゆく君よ/止まったままの心が動き出す』で「変わらない」町と「止まった心」が、「町」を離れて「変わりゆく君」と対比されていて、また『送り出すあの日』なんて箇所からも、「僕」は「町」に残っているように推察できます。

 この構図って、逆パターンのが今まで圧倒的に多いように思うんですよね。都会でしばらく暮らして疲れた青年が故郷に戻って、そこで女の子と再会して、やれ変わっただの変わってないだの言い合う、みたいなやつ。大学の創作の授業で、毎年必ずそういうのを誰かしら書いてくる、と先生がおっしゃっていたような記憶がありますし。でも、この曲はそうじゃない。
 たぶん単純に「待つ恋」を描きたかったから、こういうことになったんじゃないかなと。女性の社会進出がどうたら、てなことを挙げつらえないこともないですが、それだったらむしろ視点人物における受身の姿勢を焦点に置いたほうがよさそうです。性別はあんまり問題でなく、主人公が「君」を追いかけようとかまったく思わない、「待つ」姿勢への共感を見込んで書かれている、ってことがポイントになるかなと。
 この主人公は『やっと会えたのに 涙が止まらない』と、「君」と会うのを心待ちにしていたのにいざ会ったら泣いてしまうばかりで、『手をのばしたら届きそうな笑顔』つまりは届かない、「君」に触れさえもできないわけです。夏祭りの晩、一夜だけの邂逅、引き止められなんてできなくて、ただ祈るだけ。そういう無力感みたいなものへの共感ってのは、あまり男女の差異はないように思うんで。

 あと、「君」が町を出る理由をはっきり「就職」だと言ってしまっているのもわりと珍しいですよね。だいたいは「夢のために」とかだけで済ませるところなんですけど。これ見て槇原敬之の「LOVE LETTER」って名曲を思い出したんですけど、そういやあれも『「就職」の二文字』ってフレーズでした。あっちは「ふたもじ」でこっちは「にもじ」ですけどね。
ラベル:TUBE
posted by はじ at 18:31| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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