平井堅
DefSTAR RECORDS (2008-02-20)
売り上げランキング: 5233
DefSTAR RECORDS (2008-02-20)
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<切なさに終始しない爽やかさ/シリアスでは届かないユーモアでの癒し>
平井堅、両A面シングルは、それぞれ切ないバラードとアゲアゲのアップテンポ。テンションや方向性がうまく対比されています。
「キャンバス」は、卒業を思わせる別れの心情を描いたバラード。このシチュエーションだといくらでも切なさを煽れそうなところですが、そこに終始しているわけではないようです。
曲自体、そこまで哀愁を募らせるように響くのではなく、暖かみと穏やかさを感じさせる和音や音色を使っていますし。
『僕の顔は 上手に 上手に 笑えていたかな』なんてフレーズは「いかにも」伝えられない想いを盛り上げる要素だったりします。こうした内容で全編が構成されていたらきっと泣きバラードになっていたかと思いますが、そうじゃない。『決して変わらない 決して汚せない ぼくらだけのキャンバス』と、青春のひとときをしっかりと記憶に留めておこうとしています。
「君」へ伝えられなかった想いは胸に残れど、そこに過剰に執着したり後悔したりしている様子はありません。寂しさや哀しさも『涙で塗ったキャンバス』として保存し、「いい思い出」としてずっと抱えていく。そんなふうに結論が出ている、気持ちの落とし込みができているわけです。だから、楽曲のセンチメンタルすぎない暖かみと合わさって、どこか爽やかな印象を与えてくれるのですね。続きを読む