2008年06月30日

宇多田ヒカル「HEART STATION」

HEART STATION / Stay Gold
HEART STATION / Stay Gold
posted with amazlet at 08.06.29
宇多田ヒカル
EMI MUSIC JAPAN(TO)(M) (2008-02-20)
売り上げランキング: 6184


<胸のうちの想いを、インタラクティブに伝え合う>

 宇多田ヒカルの楽曲は不思議なところがあって、そこまで派手なメロディラインやアレンジや言葉でなくても、すっと入ってきて耳に残りやすかったりします。これが「声の良さ」ということなのか、何かはっきりした技巧があるのか、それとも気のせいなのか…ずっと不思議に思っています。
 今作も、『私の声が聞こえてますか?』のあたりなど、他の人が歌ったら違和感がありそうなラインをすっと歌いこなしているのを聴いて、やっぱり悩んだり。

 で、この歌のテーマは「伝わる/伝える」ということ。
 言葉にしていない/できない気持ちを、届いているのかどうかと投げかける。伝わっていってほしい、その想いを発信する人々それぞれが「Heart Station」=心の放送局を抱えているんだ、というようなところでしょうか。
 そんな観点を盛り込みつつ、フォーカスしているのは深夜に邂逅している『ワケありげな二人』のこと。歌詞を読んでいくと、どうやら別れ際のようです。お互いの行き違い、口に出そうとしてもきちんと伝えられない感情…そんな中でなんとかして胸のうちの複雑に絡まった感情を「伝えたい」、そんな切々とした想いが綴られているように思います。

 すごいのは、そんな風にひとつのドラマを浮かび上がらせつつ、この「伝わる/伝える」というテーマを一般的な内容まで広げてもいること。
 まず、忘れようとするほど『どうして/いい思い出たちばかりが残るの?』なんてぐさっとくるフレーズで「ワケありげな二人」の物語も印象付けています。かつ「Heart Station」という単語を生み出し効果的に使うことで、どんな人でも心の声を発信しているんだ、ということを暗に主張しているのですね。
 『私の声が聞こえてますか?』から『今もぼくらをつないでる』と一人称がシフトして広がっている点なども、裏付けとして指摘できそう。


 で、さらにどうしても押さえておきたいポイントがひとつ。続きを読む


posted by はじ at 01:47| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月29日

メルマガ、Vol.148発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.148 2008/06/29 発行部数:めろんぱん 439/まぐまぐ 233

<雑考バトン>
秦基博「虹が消えた日」
 〜独自の味を出しつつ、聴きやすい仕上がりに

<新着レビュー>
NEWS「SUMMER TIME」
〜夏への期待感を煽るポップさ


 そろそろ発行150回に到達しそうです。が、記念して何かできるかどうかはなかなか微妙なところ。息切れしない範囲でできることはないかを、ちょろちょろと考えています。


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。
posted by はじ at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月26日

今週の出張音楽コラム:6/26

 ニュース系メルマガ大手「忙しいあなたの代わりに新聞読みます」にて、毎週木曜日、音楽コラムを連載中しています。
 今週は、こんな内容を書いています・・・



2008年上半期のCDシングル売り上げランキングを、オリコンが発表しました。
http://www.oricon.co.jp/music/special/080620_01_01.html

ご覧のとおり、第1位の座を獲得したのは、かなりのロングヒットを記録した・・・



この続きは、本日発行されたメルマガにて掲載中。興味のある方は、どうぞ読んでみてください。
posted by はじ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 今週のコラム紹介。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月24日

平井堅「キャンバス/君はス・テ・キ」

キャンバス
キャンバス
posted with amazlet at 08.06.24
平井堅
DefSTAR RECORDS (2008-02-20)
売り上げランキング: 5233


<切なさに終始しない爽やかさ/シリアスでは届かないユーモアでの癒し>

 平井堅、両A面シングルは、それぞれ切ないバラードとアゲアゲのアップテンポ。テンションや方向性がうまく対比されています。


 「キャンバス」は、卒業を思わせる別れの心情を描いたバラード。このシチュエーションだといくらでも切なさを煽れそうなところですが、そこに終始しているわけではないようです。
 曲自体、そこまで哀愁を募らせるように響くのではなく、暖かみと穏やかさを感じさせる和音や音色を使っていますし。

 『僕の顔は 上手に 上手に 笑えていたかな』なんてフレーズは「いかにも」伝えられない想いを盛り上げる要素だったりします。こうした内容で全編が構成されていたらきっと泣きバラードになっていたかと思いますが、そうじゃない。『決して変わらない 決して汚せない ぼくらだけのキャンバス』と、青春のひとときをしっかりと記憶に留めておこうとしています。
 「君」へ伝えられなかった想いは胸に残れど、そこに過剰に執着したり後悔したりしている様子はありません。寂しさや哀しさも『涙で塗ったキャンバス』として保存し、「いい思い出」としてずっと抱えていく。そんなふうに結論が出ている、気持ちの落とし込みができているわけです。だから、楽曲のセンチメンタルすぎない暖かみと合わさって、どこか爽やかな印象を与えてくれるのですね。続きを読む
posted by はじ at 02:49| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月22日

メルマガ、Vol.147発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.147 2008/06/22 発行部数:めろんぱん 440/まぐまぐ 233

<雑考バトン>
NEWS「SUMMER TIME」
 〜王道!爽やかサマーポップチューン

<新着レビュー>
谷村奈南 〜楽曲自体の「露出度」は高くない?


 ※メルマガについての詳しい説明は、
こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。
posted by はじ at 23:38| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月21日

BoA「be with you.」

be with you.
be with you.
posted with amazlet at 08.06.21
BoA
エイベックス・エンタテインメント (2008-02-20)
売り上げランキング: 31953


<少しずつオトナへ変わっていく途中で>

 映画「犬と私の10の約束」主題歌のバラード。
 BoAのバラードは、「メリクリ」あたりから、「Everlasting」「Winter Love」と、超ベタでわかりやすい王道メロディラインをずっとリリースしていまして。それは、一方でそれ以外のシングル曲が以前よりも新しい方向にチャレンジしていたりオトナっぽかったりしてきていた中で、まるで反対だなあ、と感じていたりもしました。でもそうしたベタなバラードのほうが売り上げがよかったりするんですよね。

 この冬はすでに「LOVE LETTER」でベタ路線をしているせいもあるのか、今回はちょっとR&Bっぽさも香る、やや年齢の上がった感じのサウンド。歌い方も、多少しっとり感を意識しているようにも感じます。

 まあ、そこまでガラッとオトナっぽくなっているわけではないです。でも、歌詞も『けどなんかシ・ア・ワ・セ』なんて子供っぽい表記を入れている一方で、二人で重ねてきた時間を思い、「これから」をしっかりと見据えていこうという落ち着きもまたありまして。
 そういう意味では、サウンドも歌詞も、大人になっていく途中を示しているかのようで、ちょうど合っているのかなと。

 『あなたとだから 今/わたしはここにいる』という、相手への信頼。約束を『いつか きっと 果たせたとき/もっと深い絆/手に出来るの』という、ずっと先を見据えた思い。この辺りも、『ねぇ、』なんて聞き方をしているわりに、どこか落ち着きを感じさせる一因なのでしょう。プロデュース側としては模索が続いているように思える一方で、きちんと本人は成長していっている気がします。
posted by はじ at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ポルノグラフィティ「あなたがここにいたら」

あなたがここにいたら
ポルノグラフィティ
SME Records (2008-02-13)
売り上げランキング: 3126


<二面の情景描写が「不在」を鮮やかに示す>

 ポルノグラフィティというと、軽快な楽曲とイマジネーション豊かな歌詞世界、というイメージが中心にある人も多いかと思います。
 が、今回はミディアムテンポにメロウな歌詞。二人体制になってからは、「ROLL」「Winding Road」などこうしたタイプの楽曲もありキャリアと落ち着きを感じさせたりしていましたが、それらの曲は岡野昭仁の作詞だったりします。今回は、新藤晴一の作詞。空想性に富んだ世界を得意とする彼の作風にしては、とても現実的な表現が並んでいます。

 空想性がないと言っても、クリエイティビティは高い位置を保持しています。それがよくわかるのが、Aメロのつらつらと言葉を並べていく展開。1コーラスでは『冬の公園 夜のバス停 校庭 帰り道』と様々な風景をひとつずつ示していくのですが、どれもこれも過ぎ去った「郷愁」を感じさせる単語ですし、かつ冬から夏まで、身近な場所から遠くまで、とても幅広く取り入れています。

 さらに、歌い出しのこの流れは、その後ふたつの場所へつながっていきます。
 ひとつは直後のBメロ。さまざまに郷愁を誘う風景たちも、「あなた」がそばにいた間は、ただの『背景だったのに』とこぼしているわけです。どんな胸を揺さぶる景色も、「あなた」の前では脇役だった。それだけ「あなた」の存在が大きかったということが伝わってきます。
 また、2コーラスのAメロでは、単語を並べていく「手法」は同じでも、示される内容が異なっています。『旅立ちの朝 新たな暮らし 出会い 戸惑い』…「郷愁」を導く過去ではなく、この先、現在から未来に属する単語が連なっているわけです。

 「あなた」を失ってしまった。そのことは、ただの背景だったはずの過去の記憶の風景を鮮やかに郷愁たっぷりによみがえらせ、また、これからの生活の風景の中にも『今もあなたがここにいたら』そう考えさせてくる。過去と未来の両面の情景が、そこにいない人物の「不在」を鮮やかに映し出してきています。
 この巧みな構成になっている描写と心象が、『いっそ粉々に砕け散ってほしい』とまで言ってしまう苦しさに結びついているなあ、と感じます。
posted by はじ at 02:49| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月19日

今週の出張音楽コラム:6/19

 ニュース系メルマガ大手「忙しいあなたの代わりに新聞読みます」にて、毎週木曜日、音楽コラムを連載中しています。
 今週は、こんな内容を書いています・・・



女優としてだけではなく、歌手としても確たる地位を築き上げた柴咲コウ。
自分が出演していないドラマでもタイアップで歌ったりしていることからも、
歌い手としてのニーズをしっかりと確保していることがわかります。

その新曲は、「よくある話〜喪服の女編〜」。
なんとも奇抜で不思議なタイトルです・・・



この続きは、本日発行されたメルマガにて掲載中。興味のある方は、どうぞ読んでみてください。
posted by はじ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月18日

湘南乃風「黄金魂」

黄金魂
黄金魂
posted with amazlet at 08.06.18
湘南乃風
トイズファクトリー (2008-02-13)
売り上げランキング: 4613


<アグレッシブな曲調の根底に流れる優しさ>

 熱気を孕んだサウンドと声、力強いメッセージに終始する歌詞、そして相変わらず硬軟取り混ぜたドラマティックな展開…と、非常に湘南乃風らしい作品と感じられる一曲。これらの元々の音楽スタイルであるレゲエっぽさは薄いですが、それでも根底にそのテイストは流れている感じもありますし。

 『走れ 走れ ぶっ倒れるまで』
 『鏡に映る姿に 中指を立て』
 などなど、攻撃的なフレーズも多々ありますが、彼らのメッセージって非常に「優しい」ものなんですよね、毎回。単に闘うことをけしかけたり、厳しい言葉を投げかけて煽ったりするというわけではなく、『ホラ やってなんぼだろ』とか『ゆっくりだっていいんだ ありのままで』とか、口調の端々から思いやりを感じさせる言葉があるのですね。
 また、「いつか生まれてくる子供」を想ってみたり、『だから生きて 生きて 生きて 必死で!』と繰り返し重ねて呼びかけたりなどは、実にドラマティック。ちょっと過剰なくらいの演出効果を発揮しています。

 恋愛を主題に据えた「純恋歌」なんかでもそうでしたが、ぶっきらぼうで無骨な口調ながら、とにかく優しさに溢れた内容。
 少年時代にヤンチャした人って、更正してからはとても男気に溢れたいい人になったりしますが、そんな感じ。で、そのギャップがやはり好まれているのではないでしょうか。

 今の時代、「優しさ」や「感動」は必須条件ながら、それらをそのまま何のひねりもなく提出されるのは面白くない…というようなニーズがあるんだろうなあと。そのニーズに応えると、一方では空想的なストーリーを紡ぐBUMP OF CHICKENやRADWIMPSになり、またある一方ではエロスを押し出す倖田來未になり、もう一方では湘南乃風になる。ちょっと単純化しすぎの極論ですが、そんな仮説も考えてしまいます。
posted by はじ at 02:57| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(さ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月15日

メルマガ、Vol.146発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.146 2008/06/15 発行部数:めろんぱん 440/まぐまぐ 248

<雑考バトン>
谷村奈南「JUNGLE DANCE」
 〜サウンド調整に疑問?

<新着レビュー>
MEG「HEART」
 〜ファンタジックさを醸しだす自己演出


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。
posted by はじ at 23:37| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月13日

木村カエラ「Jasper」

Jasper
Jasper
posted with amazlet at 08.06.13
木村カエラ
Colombia Music Entertainment =music= (2008-02-06)
売り上げランキング: 54256


<マジメさを排除し、楽しさと「らしさ」を鮮やかに演出>

 堅苦しくない雰囲気で、どちらかというと今まではロック色を強めに出してきていた彼女の音楽活動ですが、こちらは電気グルーヴ・石野卓球提供の、どこかチープな打ち込み音が満載の、明るく楽しく不思議なテクノサウンドになっています。昨年の今頃は、BEAT CLUSADERS提供のポップでメロウな「snowdome」をリリースしていた彼女ですが、今年はまた大胆に新しい方向にチャレンジしてきましたね。
 ズンズンとした4つ打ちリズムとコンピュータっぽいベース音がインパクトありますが、自由なフレーズ感とか歌いっぷりとか彼女らしい部分は残っています。というか、新しいジャンルにもさくっと手を伸ばす奔放さこそが彼女らしい、と言えそうですが。

 タイトルの「Jasper」は、碧玉と言われたりする鉱石の一種。その種類はとても多様で、あれこれと色があったり模様があったりするようです。
 『Just like this 宙ブラリブランコ/Just like that 冷めたフラメンコ』など、軽く韻を踏みつつあれこれイメージを列挙していくスタイルは、そうした色とりどりの鮮やかさやカラフルさ、キラキラ感のようなものを表現しようとしているのかなあと。

 「Just like this」と、定型的にこれ好き!と繰り返しているのは、JITTERIN'JINN「プレゼント」を思い出しますね。
 ただ、こうして多彩なイメージを展開するような柔軟な作詞センスは、急に出てきたものではありません。「リルラ リルハ」ですでに片鱗が見えていましたし、「Samantha」カップリングの「Honey B〜みつばちダンス」なんて、子ども向けにみつばちをモチーフとして楽しげな歌に仕上げてみたりしていましたし、もともとかなり幅広く自由に言葉を使うことができる人なのです。

 ただ、曲調ももちろんのこと、今回は既発のシングルにはどこかに含まれていたメッセージ性がすっぽり抜けていまして、そこに違和感を感じた人もいるのではないでしょうか。マジメさはなく、ポップな世界作りに終始しているのですね。堅くならずに楽しんで聴ける!とプラスに取る人、今までのような強い意志が感じられなくて残念…とマイナスに取る人、分かれそうなところではあります。
 自分としても彼女の芯の強いメッセージ性は好きだったので、多少物足りないかなというところもあります。が、まあ、今後ずっとこういう方向性になるわけでもないとも思います。たまにはこういうのもアリでしょう。奔放な彼女のスタイルらしい、とも言えそうですし。続きを読む
posted by はじ at 08:54| Comment(1) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月12日

今週の出張音楽コラム:6/12

 ニュース系メルマガ大手「忙しいあなたの代わりに新聞読みます」にて、毎週木曜日、音楽コラムを連載中しています。
 今週は、こんな内容を書いています・・・



“永久の愛を形にして”“君がいるから 生きていけるから!”
“何十年 何百年 何千年 時を超えよう 君を愛してる”
現役大学生のHIPHOPユニットGReeeeNの新曲は、ひたすら愛を高らかに語る
ラブソングです。

上は特に強い言葉で語っているところを引用しましたが、
全編、とにかくずっと「君」へ向けた愛のメッセージのみ。
彼らの出世作「愛唄」もまた甘く真っ直ぐな囁きが印象的な
ラブソングでしたが、今回はそれよりも・・・



この続きは、本日発行されたメルマガにて掲載中。興味のある方は、どうぞ読んでみてください。
posted by はじ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月11日

大橋卓弥「はじまりの歌」

はじまりの歌
はじまりの歌
posted with amazlet at 08.06.11
大橋卓弥 秦基博
BMG JAPAN (2008-02-06)
売り上げランキング: 23080


<ソロ開始とリスペクトが生んだ、軽妙な語り口と歌い回し>

 スキマスイッチの大橋卓弥が開始したソロ活動の第1作目となるシングル。ユーキャンのCMでかかっていた、非常に爽やかな一曲です。

スキマスイッチ自体、とてもポップな作風ですが、あちらはアレンジャーとしても高い評価を得ている常田真太郎の手により、ストリングスなども絡む手の込んだ作り込みがうかがえるのに対し、こちらの大橋ソロは、よりシンプルで軽妙なバンドスタイルが前面に押し出されているように感じます。

 そしてもうひとつ、ソロになったことで、よりMr.Childrenに近くなった感があります。もともとスキマスイッチ時代から、歌い方や口語的に詰め込む言葉の乗せ方など、明らかに影響を受けている面がありました。それがより加速した感じ。
 特に今回は、サビの展開が「箒星」に似ていることがあり、例によってパクリ争議が起きていたりもしていたようで。確かに聴いているとかなり近いなーと思いますが、たとえば付点のリズムで低音から高音へと駆け上がっていく流れ(『胸に住み着いた弱虫』のところですね)がすっぱりと言い切りの形になっていて、「弱虫」を捨て去ろうという決意を感じさせるなど、楽曲に込めたメッセージに合わせてうまく調理しているなあと。

 歌詞は、新しいスタートを切るためにいろんなものを吹っ切ろうとする自戒になっています。ただ、『ギターを抱えて立っている』『新しい五線譜を眺めて 探し始めたメロディー』『怖がってないでまずは始めのコードを鳴らしてみよう』…と、音楽に関連したフレーズが多数登場。こうした表現を散りばめることも含めて、タイトルが「はじまりの歌」なんでしょうね。
posted by はじ at 02:12| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月08日

メルマガ、Vol.145発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.145 2008/06/08 発行部数:めろんぱん 438/まぐまぐ 248

<雑考バトン>
MEG「HEART」
 〜先行した大ヒットユニットとの差は?

<新着レビュー>
山下達郎「ずっと一緒さ」
 〜短い中に過不足なく詰まった言葉


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。
posted by はじ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月07日

KAT-TUN「LIPS」

LIPS
LIPS
posted with amazlet at 08.06.07
KAT-TUN
ジェイ・ワン・レコーズ (2008-02-06)
売り上げランキング: 28093


<疾走する激しい感情の中にも優しさが>

 メンバー亀梨和也主演の「1ポンドの福音」主題歌として、KAT-TUN史上最速のナンバーという触れ込みでリリースされた6thシングル。
 グイグイ前へ押し出されるギターリフとドコドコと打ち鳴らされるバスドラム、そして裏拍を刻むスネアが、疾走感を演出しています。ここまで高速ビート感にこだわった楽曲は、ジャニーズのシングル史上としても初めてなんじゃないでしょうか。ノリがよくて、かつ余計な音もそぎ落とされていますし、好きなサウンドです。

 サウンドもそうですし、歌い出しのスロー部分からしても、ビジュアル系ロックバンドを意識している作り。『Lips』=口唇に惑う狂おしい感情の昂ぶりを描くところ、それも『近づけて壊したい 激しく』とどこか倒錯気味の雰囲気も香っているところなんか、特にそうですね。
 とはいえ、そこまで狂気的ってほどでもなくて、『自分だけ責めないで』『もう一人きりじゃない』みたいな暖かみあるメッセージも入っています。押さえられない感情を前面に出しつつ、きちんと「君」への気遣いを見せているあたり、やっぱりアイドルグループです。冷静に考えると、実はミディアムバラードでこの歌詞を歌ってもいけそうだったり。その場合はV6あたりになるかな。
 振り切れていないなー、こういう曲のノリだったらもっとダークに退廃的に行ってほしいなーと個人的には思ったりもしますが、あえてそこまで行かずいかに多くの人に受け入れやすいものを作るか、というエンターテイナーのプロとしての意識が感じられます。

 メロディラインは、サビの大部分を構成している前のめりのリズム(付点8分・付点8分・8分。これって何か専門的な名称があったりするんでしょうか)が印象的。疾走感のあるメロディラインを作るには、うってつけのものです。このリズムに『そのままで そのままで』とか『めぐりめぐる』といった言葉を当てているの、実に巧くはまっていますよね。
 で、歌にそこまでパワーがあるかというとそうでもないんですけど、キー的に高い位置が続くこともあり、振り絞った感じになっているので、それはそれで迫ってくる迫力として受け取れるかなと。
ラベル:KAT-TUN
posted by はじ at 12:02| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月05日

今週の出張音楽コラム:6/5

 ニュース系メルマガ大手「忙しいあなたの代わりに新聞読みます」にて、毎週木曜日、音楽コラムを連載中しています。
 今週は、こんな内容を書いています・・・



1998年、SMAP「夜空ノムコウ」提供で一躍有名になったスガシカオ。
10年が経った今では、しっかりと自らのポジションを確立し、
知名度を浸透させている印象があります。

スガシカオの音楽のフィールドは、ファンクミュージック。
ダンサブルで、ノリがよくて、でもどこか妖しげで毒っ気のあるサウンド。
今回の「NOBODY KNOWS」も、そんなファンクの中に独特のかすれた声を
乗せています。

さて彼の作る歌詞は、どんなシチュエーションを描いていても・・・



この続きは、本日発行されたメルマガにて掲載中。興味のある方は、どうぞ読んでみてください。
posted by はじ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 今週のコラム紹介。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月04日

ASIAN KUNG-FU GENERATION「転がる岩、君に朝が降る」

転がる岩、君に朝が降る
ASIAN KUNG-FU GENERATION
キューンレコード (2008-02-06)
売り上げランキング: 7743


<なすすべなく転がっていくその姿に悲壮感はない>

 かっちりしたリズムとその上を疾走するメロディライン、「アジカンらしさ」をきっちりとなぞったかのような一曲です。
 「アフターダーク」から続く…のかどうかはわかりませんが、前作が「夜明け」で今回が「朝」。音の作りも明るくなってきている気もしますし、今までどおりの中にもなにか吹っ切れて新しい息吹を感じさせるものがあるのかなあと。

 歌詞に関しては、むしろ『何を間違った?/それさえもわからないんだ』『初めから持ってないのに胸が痛んだ』など、悲観的な言葉も目立ちます。「朝」にしたって、『君の孤独も全て暴き出す朝だ』という言い方になっていますし。
 ただ、これは悲観的退廃的なメッセージを発しようとしているわけではないようです。原因もわからない喪失感にさらされながらも、『凍てつく地面を転がるように走り出した』とあるように、なすすべもなく進んでいく。否応なしに前進せざるをえない状態になっていながらも、悲壮感はありません。むしろ爽やかなくらい、鮮烈な印象を与えてきます。

 ところでタイトルの「転がる岩」ですが、これはいわゆる「like a rolling stone」からなのでしょう。たいていは「石」と訳されがちなところ、「岩」としたのはあえてなのでしょうか。
posted by はじ at 01:48| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月01日

メルマガ、Vol.144発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.144 2008/06/01 発行部数:めろんぱん 434/まぐまぐ 249

<雑考バトン>
山下達郎「ずっと一緒さ」
 〜ドラマ主題歌の傾向に変化?

<新着レビュー>
KCO「春の雪」
 〜既存路線と分かれる方向性


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。
posted by はじ at 22:34| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。