青春(SEISYuN)
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TOKIO
ユニバーサルJ (2007-11-28)
売り上げランキング: 142535
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<無頼な世界観の中で一人「信じる」>
2006年の中島みゆき提供「宙船」のヒットを(明らかに)受けて、大物に曲を提供してもらう頻度が急上昇しているTOKIO。またその流れの中で、「ひかりのまち」そして「本日、未熟者」と、歌謡曲的なサウンドと、男くさいうねりのあるボーカルスタイルを押し出したものが増えています。
で、今回は長渕剛による楽曲です。
全体のメロディラインや歌詞、そもそもはじめの長い「Oh〜」のコーラスからして名曲「とんぼ」も想起させるパターンで、実に長渕らしい感じです。歌い方もまた、まさに男くさいがなった感じ。…でも今回は、特に例の「Oh〜」とかがちょっとパンチが足りないような気も。
テーマは「青春」ですが、いわゆる爽やかな青春ではなく、独りでもがき傷つく青春を描いています。『言葉がつたないだけです どうかわかってくれよと』と訴えたり、『負けた者たちの泣き言は ひとひらの枯れ葉さ』なんて表現してみたりなど、実に無頼な感じ。
そんなふうに苦しみながらも、いつかはきっと道が開ける…なんて救いも、記述されてはいません。「わかってくれよ」と訴えてはいても、そのうち届く、きっと伝わる、なんて甘い考えはないのです。
そして、進むことを諦めるとか、立ち止まってみるとか、そういう甘さもまたありません。
そのうえで、『信じるのさ 永遠と未来と明日を』と高らかに歌い上げるわけですね。あくまでも「信じる」だけで、本当に報われるかどうかはやはりわかりません。出口も救いも描かれない歌詞世界が、この高らかな宣言を際立たせています。ギャップができているからこそ、「永遠」「未来」「明日」なんてベタな言葉に血が通ってくるわけですね。