大塚愛 愛 Ikoman
エイベックス・エンタテインメント (2007/11/07)
売り上げランキング: 66632
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<一緒に歩もうとしながら、相手を主体にするいじらしさ>
大塚愛のしっとり系ナンバー、2007年は「CHU-LIP」・「PEACH」とアッパー系が2曲続いたぶん、「金魚花火」のような夏らしいものではなく、楽曲の雰囲気も「あなた」の『ポッケの中』で手を繋ぐというフレーズも、肌寒い季節を連想させる内容になっています。
『あなたのポッケにおじゃまして』と、タイトルは「ポケット」ですが、歌詞に出てくるのは「ポッケ」。こういう言い方に象徴されるように、この曲は恋人に対する女の子のかわいらしさ・いじらしさを感じさせるフレーズが多いなあと感じます。
わかりやすい例が、サビの『あなたの重荷とかじゃなくて/荒れやすいあなたの手をあたためてあげよう』です。
サビの頭というのはもっとも聴かれるポイントで、だからもっとも重要なフレーズを置くのが、暗黙の…というか自明のセオリーです。そこに「重荷になりたくない」。
助けてあげたい、じゃなくて、邪魔になりたくない、という言い方は、似ているようでかなり違います。積極的に相手に干渉していこうとするのではなく、主体はあくまでも「あなた」で、そこに頑張って着いていくという感情なのですね。続く、手を暖めてあげたいという感情も、よりその色合いを強めています。
主流としては『二人でステキになろう』と共に歩んでいこうというスタンスを主張していながらも、実はちょっと男性を立てるような想いを混ぜ込んでいるのです。ここに「いじらしさ」を感じてかわいいなーとぐっとくる男性、共感する女性は多いのではないでしょうか。
作った料理を残さず平らげるのを『優しいあなたの心使い』と言ってしまうのも、「料理を作ってあげた」自分の行動より「食べてくれた」相手の行動をより大きいものと捉えていることがわかるフレーズで、やっぱりいじらしさをかき立てる心情になっていますよね。「あたし」の料理が下手でおいしくない、ということではないのです。…たぶん。続きを読む