2008年02月29日

奥田民生「無限の風」

無限の風
無限の風
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奥田民生
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<孤高なイメージを描きながら、その内側には浸らない>

 デビュー20周年、ユニコーンとソロのトリビュートアルバムが2枚一斉に発売などが話題となった奥田民生。が、本人のには相変わらず大きな動きはなく、その活動はマイペースな印象を受けます。
 今回の「無限の風」は、じりじりとした低音のギターで始まり、腰の据わった重さを感じさせる、いつもよりも少々硬派なミドルテンポ。その歌詞もまた、『強い風 止まない風 白い羽根 折れない羽根/追い風 無限の風 大陸を 動かす風』と単語を重ねて厚みを増していく、とても真っ当な技巧を使ったフレーズに唸らされます。
 リラックスした感じや軽妙さも彼の持ち味ですが、今回は基本的にマジメ。全体的にはいつもどおりの範疇にはありますが、何か節目の年に改めて決意を固めるような、そんな雰囲気も漂わせます。

 ただし、『荒野の風になって 砂漠の風になって/遥かに手を伸ばして 空に叫ぶのさ』なんてカッコいい行動を取っているのは、語っている自分自身ではありません。カッコいいのは「あいつ」なのです。
 荒野の中をひとりただ進んでいく。そのイメージは、落ち着いた曲調とも合わせ、寡黙ながらもハッキリとした意志を持つ力強さを感じさせます。が、自分自身をそこに置いてヒロイズムに酔うわけではなく、象徴的な「あいつ」をそこに置くことで、「カッコつけ」感を削ぎ取っている…んじゃないかなと。
 そこまで考えて詞を書いているわけではないのでしょうけれど、自然と奥田民生らしさが出ているポイントだなあと。もしこれが「俺」だったら、もっと軽い言葉も入ってきそうですし。

 それにしても、「風になる」という点では同じなのに、秋川雅史「千の風になって」とはまったくもって異なる方向性を感じますね。あちらが、解き放たれた「自由」や「救い」そして「結びつき」を象徴しているとするならば、こちらの「無限の風」はそんなに優しいものではなさそう。ただ独り、ひたすらに進んでいく「孤高」な雰囲気を纏っています。それこそが、憧れるようなカッコよさに繋がっているわけですけれど。


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2008年02月28日

今週の出張音楽コラム:2/28

 ニュース系メルマガ大手「忙しいあなたの代わりに新聞読みます」にて、毎週木曜日、音楽コラムを連載中しています。
 今週は、こんな内容を書いています・・・



日本のバンドの中でも異彩を放つ3人組・ACIDMANをご存知でしょうか?
ギター・ベース・ドラムの最小限の構成ながら、
音の重ね方や強弱の付け方など、表現や構成の幅が非常に広い。
そして何より、楽曲の世界観にハッキリとしたこだわりがあり、
歌詞には、恋愛どころか感情的な言葉を排した、硬質な言葉が並びます。
緻密な音の構築と硬派な美学ある曲世界が、何よりの彼らの魅力なのです。

そんな彼らがリリースした最新シングル「式日」。
いつになくポップさが漂っているものの、奥行きのある音空間や
随所に光るアレンジセンス、鮮やかな展開の変化など、
飽きさせない展開が続くうえにやたらと感動的な名曲です。
…でも、今回注目したいのは、カップリングのインストナンバーのほう・・・



この続きは、本日発行されたメルマガにて掲載中。興味のある方は、どうぞ読んでみてください。
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2008年02月27日

KOH+「KISSして」

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KOH+
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<ピュアな少年らしさを演出する表現>

 人気を博したドラマ「ガリレオ」の主役二人が、そのまま主題歌をコラボレーション。という、なかなかにセンセーショナルな試みで生まれた一曲。とはいえ、福山雅治にしろ柴咲コウにしろ、どちらもアーティストとしての実績がある人物。
 福山本人のこれまでの実績は言わずもがなですが、さらに加えて過去に女性アーティスト松本英子をプロデュースしたこともあります。音楽に関してはきっちりツボを押さえてエンターテインメントを展開できる、職人肌な作風だなーといつも思っているので、プロデューサー向きだと常々感じています。
 柴咲コウもRUIとしての「月のしずく」を筆頭に、出演していないドラマの主題歌を歌ったり(「タイヨウのうた」における「invitation」)と、女優ではなく歌い手としての一面をはっきりと持っています。バラードのイメージが強いんですけれど、個人でも「Glitter」などアッパーな楽曲も歌いますし、2007年はグループ魂とも共演し「お・ま・え ローテンションガール」なんて吹っ切れたコミカルなキャラクターで歌ったりもしたりと、多彩な活動を展開しています。
 そんなわけで、話題性や意外性を盛り込みつつ、しっくりくる出来に仕上がっています。

 颯爽といいテンポで進んでいくポップロックサウンドの中で語られるのは、『恋愛力学 今日も格闘中』と、恋煩いに悩める「ボク」の心情。テンションはかなり吹っ切れ気味で、明るい曲調や「tu tu tulululu…」という楽しげなスキャットに乗せ、思春期の少年っぽいピュアな煩悶を歌っています。
 こういうノリは、往年のアイドルポップスを踏まえているのでしょう。名義を単純な「×」などの形式にはせずにあえてKOH+としているのも、架空のアイドルといったような見せ方にしたかったのかもしれません。

 特徴は、『幸せの答え 導き出す/方程式 探求中』『でも この人生の難問 解いてみせるよ』などといった、勉強に関する単語を歌詞表現に組み込んでいるという点です。ドラマの内容への関連性を含めているのは自明ですが、硬めの単語で恋愛を語ろうとすると幼さやファニーさ、微笑ましさを感じさせる作用があるんですよね。最近では、ちょっと方向性は違いますが、仲間由紀恵 with ダウンローズ「恋のダウンロード」なんて曲もありました。
 そうしてちょっと幼さを匂わせ、『だから「ボク」が わかんない』と自分自身に戸惑ったり、自分のすべてをぶつけてしまおうとしたりと、純粋な少年の姿を作り出していきます。どこにもそうは書いていませんが、すごく「初恋」っぽい初々しさが立ち上ってきていますよね。

 でも、キメのフレーズは『はだかの くちびる KISSして』。これは、ナチュラルな心情っぽくありながらも、艶っぽさも漂いドキッとしそうな一言です。これは、少年ではなく女性が歌っているからこそのフレーズと言えるでしょう。
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2008年02月26日

ケツメイシ「聖なる夜に/冬物語」

聖なる夜に/冬物語
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<隙のないクリスマス感/叙情性より感情を主体に>

 両A面で送るケツメイシ初の「冬」ソング。片方はゆったりしたテンポに幸せなクリスマスの一幕を描き、もう一方は4つ打ちで迫るリズムの中で失った恋を嘆き続ける切ない感情を投げかけてきます。

 「聖なる夜に」が描くのは、初々しさも感じられる恋人たちのクリスマス。二人で『迎える 初めての冬であっても/大した事など 出来ない』と、平凡ではあるものの、確かな幸せを感じていたい…という内容です。ハッピーさに溢れているのですが、恋人の二人が揃っているのではなく、描かれているのは実は「僕」が「君」に会いに行くまでだったりします。
 1年でも、大きなイベントの日であるクリスマス。その日に二人で過ごせることに浮き立つ気持ちをひたすら語っているんですね。
 『朝から何も手につかず』な状態で、『弾む足取り こらえて笑う』し『もうすぐで 君と手を繋ぎ笑う』という想像に浸る…これが、聴いているほうも何だか嬉しくなってしまうような心地にさせられます。。

 一方では『大事な夜 派手に飾りたい』と期待を膨らませながら、でも『平凡だけど』『僕の言葉で メリークリスマス』なんて、特別じゃなくても自分らしく、みたいなフォローもしっかり。サンタやイルミネーションやジングルベル、聖歌、そして雪まで、とにかくクリスマスらしい単語も大量投入してあって、実に隙のない作りになっているなあと。続きを読む
posted by はじ at 21:54| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月25日

モーニング娘。「みかん」

みかん
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モーニング娘。 つんく 鈴木Daichi秀行 鈴木俊介
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<万人に届けようとする呼びかけ>

 35枚目のシングル。今回は、通算25人となっているらしいメンバーの入れ替えなどもなく、前作「女に 幸あれ」と同じ9名で歌っているとのこと。

 このところパーソナルな内容、かつ歌謡曲な曲調が再び目立ってきていたモー娘。ですが、今回は思い切りソーシャルな歌詞です。『何度も夢を見てきた/あきらめたりは出来ない』と型どおりのメッセージを押さえたり、『苦手な/人だからこそ/大切だろう』と、標語みたいな呼びかけをしたり。内向きの言葉ではなく、外に開けたメッセージになっているのがわかります。
 特に、『愛する星に生まれて』とか『人生は一回』とか、やたらと壮大なスケールの表現が入っているのが大きな特徴。これまででも、地球を持ち出すこと、多かったですよね。単に歌詞のインパクトを出すというだけでなく、いわゆる「国民的アイドル」という矜持もあってのものなのでしょう。そうやって幅を広げるぶん、共感しにくくなるという問題点もあるのですが…
 『女の子でも 男の子でも/おんなじ ことじゃん』『どんな人も朝の陽は/包まれる』とか、すべての人に届けようという意志があちこちのフレーズから感じられるのも、広く広くメッセージを発していくというスタイルの一環なんでしょう。

 そういうわけで、モー娘。らしい一曲という感じですが、アッパーで元気な曲調と内容に対して「みかん」というタイトルがかなりインパクト大。
 「未完」とかけて、まだまだこれから進んでいく!というつもりで名付けたのかなあ…なんて考えましたが、何でも「冬の定番の中で、コタツなどと違って『育つ』もの」だから、というのが由来なのだとか。あれ、想像とそんなに間違っていないか。
 由来からすると「冬の曲」という位置づけにあるのですが、歌詞も曲調も、あんまり冬っぽくはありません。なので、これはわざと引っかかりを作って「なんだろう?」と思わせるつんくの手法ですね。
posted by はじ at 01:47| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(ま行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月24日

メルマガ、Vol.136発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.136 2008/02/24 発行部数:めろんぱん 441/まぐまぐ 253

<雑考バトン>
RADWIMPS「オーダーメイド」
 〜不可思議かつ暖かさ真摯さのある歌詞世界

<新着レビュー>
木村カエラ「Jasper」
 〜マジメさを排除し、楽しさを鮮やかに演出

<ひとこと寸感>
KREVA「ストロングスタイル」
手嶌葵「奇跡の星」
高杉さと美「百恋歌」
音速ライン「青春色」
RYTHEM「WINNER」
℃-ute「都会っ子 純情」
リュ・シウォン「花の首飾り」
平川地一丁目「闇世に生まれて」


 3月、身の回りが慌しくなります。その影響で、今までのように休日に時間が取れなくなるため、メルマガを1ヶ月休止することにしました。いつも読んでいただいている読者の方には心苦しいのですが、さすがにちょっと余裕がないです…

 で、ブログのほうも少々更新がおぼつかなくなるかもしれません。というか、引越しなども月なかばに予定しているので、一定期間ストップすることにはなりそうです。
 こちらは、また改めて告知します。


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。
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2008年02月23日

Hey!Say!JUMP「Ultra Music Power」

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<新世代が担う、事務所の「王道」スタイル>

 全員が平成生まれで構成されていたHey!Say!7で活動していたメンバーに、さらに人員が加わり、Hey!Say!JUMPとしてスタートしました。総勢、10人組。もちろん全員、平成生まれ/1990年以降生まれです。
 さらに、年代で5人ずつ2チームに分かれているとのこと。1990〜1991年生まれが年長組のHey!Say!BEST、1993〜1995(!)年生まれがHey!Say!7。V6がトニセンとカミセンに分かれていたようなものでしょうか。
 ちなみに、以前の「Hey!Say!」をリリースしたHey!Say!7のメンバー
が現Hey!Say!7というわけではなく、また現行のほうは5人だけど「2007」に結成したから7なんだそうです。根本の「平成」はとっても明快なのに、なんだかこんがらかります。

 メンバー名である「JUMP」の由来は、曲中でも言ってますが、『J Johnnys' U Ultra M Music P Power』なのだそうです。「Sports Music Assemble People」が由来のSMAPを想起させますね。
 で、それがそのままこのデビュー曲のタイトルになっています。デビュー曲にグループ名があつらえてあるのも、ジャニーズ事務所では珍しいことではありません。古くは忍者「お祭り忍者」があったり、現在活動中のユニットでも嵐「A・RA・SHI」やNEWS「NEWSニッポン」がありますね。
 こういうのって、ユニットの方向性をはっきりと打ち出そうとする意図が感じられる、とてもコンセプチュアルなものです。…とはいえ、その他のジャニーズ系ユニットも、基本的にはデビュー曲がその後の活動を指し示す明確なコンセプトを感じるものばかりなのだったりしますが。

 というわけで、ユニットとデビュー曲の概要をまとめるだけで、彼らが諸先輩方の要素をあれこれと混ぜ合わせ引き継いでいるということが見えてきます。これまでのジャニーズ事務所の打ち出したさまざまなものを、ひとつ若い世代に集約し、新時代を担わせていく…「平成」を強調しているのも合わせ、そんなスタンスが感じられます。
 世代は若く新しいけど、まったく斬新なスタイルを負わせるのではないのです。それはどちらかというと、KAT-TUNや関ジャニ∞が引き受けています。Hey!Say!JUMPのスタイルは、どうやら「温故知新」のようですね。

 長い前置きになりましたが、ここからようやく楽曲についてです。続きを読む
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2008年02月21日

今週の出張音楽コラム:2/21

 ニュース系メルマガ大手「忙しいあなたの代わりに新聞読みます」にて、毎週木曜日、音楽コラムを連載中しています。
 今週は、こんな内容を書いています・・・



スキマスイッチのボーカル担当・大橋卓弥。
これまでは、相方・常田真太郎のアフロへアがインパクト大なせいもあり、
フロントマンなのにちょっと印象が薄いところもありました。
が、今年に入って、ソロ活動を開始。
ソロ第1作の「はじまりの歌」は、ユーキャンのCMに採用され、
お茶の間に届けられています。

とにかく、爽やか!
もともとスキマスイッチもとてもポップな作風ですが・・・



この続きは、本日発行されたメルマガにて掲載中。興味のある方は、どうぞ読んでみてください。
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2008年02月20日

GReeeeN「人」

人
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GReeeeN
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<「切なさ」と「ポジティブさ」の両立は>

 「愛唄」で一躍「時の人」となった現役歯学部生4人組、GReeeeN。ヒットからけっこう間は空いていますが、「人」という字を書くことでお馴染みの?武田鉄也扮する坂本金八をジャケットにさっくりと起用してくるあたり、強まった影響力を感じさせます。

 前作がストレートに愛を伝える両想いの楽曲だったのに対し、今作は別の道を歩むことになったハートブレイクの歌。『机の横の写真は今も 笑っているからさ』と寂しさをかき立てるフレーズが差し挟まれていたり、『それはつまりね 僕は今でも』…と言いかけて余韻を残してみたり、切ない感情を描こうという意図が見られます。
 そしてサビでは、人は誰もが自分の想いを持っている、そして『今はただ別々の道を歩んで行く』と、別れを俯瞰して、しみじみと述懐しています。

 そして『まだまだこれからも行くぜ 自分らしくあれ!!!』と、ポジティブに締める。…のですが、この部分がちょっと先の「切なさ」とちぐはぐになっている気が。メロではけっこう未練がある雰囲気なんですが、サビだとすっぱりと「強く生きていこう」と前向きになっていて、なんだか違和感あります。
 現在のラブソングは、ただ恋愛を楽しむだけではなく、そこに成長や人間的な強さを見出そうとするスタンスを示すものが目立っている、というお話は何度かしています。それは相手を失った場合にも言えることで、失恋を嘆きつつもそこから立ち上がって一回り大きくなとうろする、そういった流れがあるものが隆盛しているように感じるのですね。
 なのでこの「人」もその範疇にはあるのです。ただ、要素を盛り込んでいるけれど、まとまりきっていないような。Bメロが「切ない想いに浸る⇒強い意志を持つ」転機になっているっぽいですが、『今までただ二人は楽しかったこと』を想起するだけで立ち直る、というのは少々言葉足らずな気がします。

 「人は」と、一段高みから見渡している視点になるのも、個人的な切なさ寂しさと乖離があって、それも影響しているのかもしれません。
 彼らの詞は、なんというか良い言葉を伝えようとしすぎるあまり、ちょっと詰め込みすぎたり、空回っている面があるのかなー、という印象です。「愛唄」はひたすら直球ど真ん中だったので、それほど気になりませんでしたが…
 まあ、拙い部分もまた人間味として共感できる魅力になったりするものですし。伝えたい!という姿勢はハッキリしていますしね。もう少し肩の力を抜き、遊び心を入れたもののほうが、結果的に完成度が高くなる気はします。
posted by はじ at 23:46| Comment(1) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月19日

過去ログ発掘のコーナー その33。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
 毎回そのときの気分で一曲選んで紹介するこのコーナーのバックナンバーから、新しいレビュー更新が滞ったとき、ちょこっとずつ抜き出して紹介していきます。メルマガを読んでいない人にはちょっとした暇つぶしに、読んだことのある人にも何か新たな発見があれば幸いです。



≪現代ポップス雑考。≫ Vol.034 2006/02/05
#坂本真綾「マメシバ」

『私なら愛しさだけでどんな場所へでも 迷わないで走ってゆける』

 マイ「犬」が出てくる曲・その2です。出てくるというか、この曲は主人公自身が「犬」=「マメシバ」として示されているんですね。で、「君」のもとへ駆けていく…という。恋する女の子を「マメシバ」になぞらえたように解釈するのがオーソドックスですが、例えでもなんでもなく犬そのものとしてもあんまり違和感ないです。

 犬って「従順」というイメージがあり、主人とペット、という構図になりやすいんですよね。一方的、あるいはちょっと倒錯した関係みたいな、ネガティブな意味を含んでしまいがちです。
 でもこの曲のマメシバ君はそうではなく、すごく爽やかです。「君」のもとへ一身に向かっていく姿はとても献身的ですし、『だから大きな声で何度も私の名前を呼んで』と求めるのも、少しのマイナス感情が入る隙間もなく、純真さを感じさせてきます。
 むしろ、「あなたを助けられるのは私だけ」という一途な気持ちがあって、それは「女の子」のままで歌われると、ちょっと重くなっちゃうと思うんですよね。むしろ「犬」になぞらえられているぶん、清々しく聴こえてくるというのもあるんじゃないのかなと。

マメシバ
マメシバ
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坂本真綾 岩里祐穂 菅野よう子
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 メルマガで、戌年にちなんで「犬」が出てくる楽曲を募集したときのもの。
 最近、ペットショップの前を横切る機会が多いのですが、通りから子犬がじゃれあっている姿が見えるんです。自分はどちらかと言うと猫派だったんですけど、犬もやっぱりいいなーって思うようになりました。ええ。
posted by はじ at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月18日

L'Arc〜en〜Ciel「Hurry Xmas」

Hurry Xmas
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L'Arc〜en〜Ciel P’UNK~EN~CIEL hyde TETSU P’UNK Hajime Okano Daisuke Kume
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<楽しげな非日常空間をまっすぐに祝福>

 ホーンセクションが華やかな雰囲気を醸し出し、聖夜のイメージが散りばめられていく、どこからどう聴いてもれっきとしたクリスマスソングです。
 クリスマスをテーマに据えるのは、シングルとしては初。ですが、アルバムを見ると過去にも「C'est La Vie」「I Wish」など、それっぽいものも作っていたりします。ジャジーなスイングが楽しげに鳴り響いていますが、ジャズへのアプローチもまた、方向性は異なるものの「Singin' in the Rain」で行っていますね。こちらも今回と同じくhyde曲でした。
 セブンスコードを多用しつつフラット系の進行を取り入れているのですが、これが何ともいえないオシャレ感を演出。ビジュアル系の中でも、La'cryma Christiを思い出す感じ。あんまりJ-POPにはないタイプの流れになっていることもあり、非日常っぽさ、祝祭っぽさも出ていますね。といっても、hydeの手クセなメロディラインのフレーズも多数出てくるので、それほど違和感はありません。

 違和感があるとしたら、むしろ歌詞のほうでしょう。クリスマスムード全開なのはともかく、『イカしたドレス着た 君さえ居たなら何も要らないさ』なんて甘く囁いてみたり、『さあパーティーの始まりさ come on MUSIC♪』なんて♪マークが出てきたり、やたらとハッピーでご陽気。特にひねくれたところもなく、特別な一日を満喫している様子を描いています。
 特に歌詞は本当に純粋なクリスマスソングに仕上がっているので、退廃的だったり耽美なニオイのするラルクが好きな方はちょっと受け付けないかもしれません。最近は確かに明るい方向になっているんですけど、ここまで吹っ切れてくるとは予想していませんでした。
 頑張って挙げてみるなら、冒頭『着飾った街はもう幻想さ 年中でも悪くはないね』。クリスマスの装いに「着飾った街」が年中でもいい!なんてお祭り気分なわけですが、それが「幻想」に過ぎないこともわかっての発言だという。現実よりもフェイクや幻想を愛するhydeらしいと言えばらしいです。

2008年02月17日

メルマガ、Vol.135発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.135 2008/02/17 発行部数:めろんぱん 442/まぐまぐ 255

<雑考バトン>
木村カエラ「Jasper」
 〜新しい分野のサウンドと「らしさ」

<新着レビュー>
青山テルマ「そばにいるね feat.SoulJa」
 〜交錯する視点、共鳴する感情


 用事があって時間がなかったのと、新着レビューとおまけの「今日の一曲」コーナーに力をかけすぎたこともあり、配信時間ギリギリ&内容少なめとなってしまいました。そのぶん濃い感じですが、自分としては。
 それにしても寒くて、キーボードを打つ手がかじかんでいます。指を凍えさせないでタイピングもできる手袋がほしい。


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。
posted by はじ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月16日

UVERworld「浮世CROSSING」

浮世CROSSING
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UVERworld TAKUYA∞ 平出悟
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<メッセージのスパイスとしての「軽さ」と遊び心>

 ドラマ「働きマン」主題歌。働く女性がテーマの番組とUVERworldだと少々ファン層が違うような気がしますが、そういった20代以上の女性層も狙っているんでしょうか。

 『ありのままが素敵だと 言ってくれたことが/うれしくて うれしくて』という「自分らしさ」を掲げるという点はごくごく真っ当なものですが、『それぞれ何か抱えて この平成と向き合っているんだ』とか、『第三惑星から 15時代の2000年』など、時代を上から俯瞰したような言い方が出ているところがちょっとした新味。

 「自分らしさ」を歌う楽曲って、等身大の視点をキーにしたいからか、あんまりこういう見下ろす、総括して語るような書き方をしないんですよね。そこへ行くとこうした書き方は共感を得にくいような気がしますが、人類を指して『死ぬ気で行かなきゃ 神の力作も 行き先なくした子羊』なんて言ってみたり、ユーモア・諧謔味を交えた表現になっているので、わりと馴染みやすいのではないでしょうか。
 『A・lo・lo・lone』なんてのも、印象的かつ面白い書き方ですよね。孤独な時代を俯瞰して嘆き憂いつつ、深刻になり過ぎない、笑ってしまえるし『でもまぁ良いや/気にしないようにして』と言ってのけられるところに、強さ、いい意味での「軽さ」を感じます。

 ラスト、『素直に 生きたいだけなのに 複雑な時代だな』なんて前向きなメッセージを伝え終わった後でつぶやいています。これ、はじめはちょっと締めにしては浮いてるんじゃないか?とも感じたんですね。けど、まあメジャーコードで明るく終わっているし、もういちど悩み始めるというよりは、悩みを吹っ切ったあとで「やれやれ」と肩をすぼめるようなイメージなのかなと。
 そう考えると、ここもシリアスになり過ぎない「軽さ」になり、この曲らしい締めになっているような気がしてきます。

 バンド形式・ボーカルが一人でラップもメロもこなす彼らのスタイルも、すっかり定着というか固定してきている感じです。
 それでも、楽曲自体にはさまざまな部分で遊び心を盛り込んでいる印象があるので、まだまだ新しい方向に向かうモチベーションはありそう。その意欲を、また別の見せ方にも向けていってほしいなあと。
 ちょっと自分とはセンスが違うなーと感じる部分も多々なのですが、なんだかんだで実力もポテンシャルも高いものがあるとも思っています。今のままでも人気を維持していけそうですけれど、まだ満足しないで新しい『浮世離れ』な切り口の音楽を見出してほしいところ。
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2008年02月15日

すぎもとまさと「吾亦紅」

吾亦紅
吾亦紅
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すぎもとまさと すぎもとまさと&KANA すぎもとバンド 千代正行 ちあき哲也 建石一 星川裕二
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<同世代に響く要素は、「母への追慕」以外にも秘められている>

 2007年紅白出場、その前からじわじわと人気を得ていた楽曲。歌い手であるすぎもとまさと/杉本真人/杉本眞人は、音楽業界に身を置いてから35年、58歳で紅白初出場。最年長タイ記録だそう。同率最年長は大泉逸郎「孫」なのですが、こちらは亡くなった母親に捧げた楽曲ということで、好対照を成しています。

 吾亦紅とは、花の名前。秋に咲く、バラ科にしては花弁がなく地味に感じる、特徴的ながらもどこにでもある花です。『盆の休みに 帰れなかった』ために、吾亦紅が咲く頃になってひとり会いにきた…というシチュエーション。そして会いに来た相手は、亡くなった母親です。
 少し肌寒くなってきた田舎の風景が浮かんできます。そんな場所に嫁いできて、ひたすら「強い母」として生き抜いた「あなた」のことを、今になってひしひしと感じられるようになった。親孝行したいときに親はなしの格言のように、「あなた」の大きな愛をようやくわかってきた。『あなたの あなたの 見せない疵が/身に沁みて行く やっと手が届く』なんていうフレーズが、物悲しさとやるせなさと、何より「あなた」の強い生きざまが感じ取れます。

 盆に来ることができなかったこと、そして「あなた」の偉大さに今頃気がついたこと。後悔するかのように、『あなたに あなたに 謝りたくて』『ばか野郎と なじってくれよ』などの言葉が並んでいます。これは、弱気さだったり「あなた」の死に心が折れてしまったりというようなことを思わせますが、ちょっと違うのではないでしょうか。
 最後に噛みしめるように語る『髪に白髪が 混じり始めても/俺、死ぬまで あなたの子供…』という呟き。この「あなたの子供」なんだということを再確認するために、謝る/叱られるというような行動を求めているんじゃないかなあ、なんて思います。
 そしてそこには、子供として親に甘えたいというような感情ではなく、親の生き方を学び見習って強くあろうとする意志が込められています。「吾亦紅」の語源には「われもこうありたい」という言葉から付けられたという説があるようですが、まさに「あなた」のようになりたいんだ!という思いが、歌と言葉から伝わってきます。続きを読む
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2008年02月14日

今週の出張音楽コラム:2/14

 ニュース系メルマガ大手「忙しいあなたの代わりに新聞読みます」にて、毎週木曜日、音楽コラムを連載中しています。
 今週は、こんな内容を書いています・・・



メディアへの露出も増え、歌手活動も紅白出場を果たすなど、
眞鍋かをりに続く「新・ブログの女王」という肩書きがなくても
すっかりお茶の間に認知された感のあるしょこたんこと中川翔子。
最新シングル「snow tears」は、オリコンチャート2位を記録しています。

アニメやコスプレを好み、ディープなオタク気質という、女性アイドル・
タレントとしては非常に特徴的な素質を持っている彼女。
ですが、実際の歌手活動では・・・



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2008年02月13日

倖田來未「LAST ANGEL feat.東方神起」

LAST ANGEL feat.東方神起
LAST ANGEL feat.東方神起
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倖田來未 東方神起 Negin Lira Gustafsson Kumi Koda Tomokazu“T.O.M”Matsuzawa H.U.B.
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<イメージを生かした強い語調のメッセージ>

 映画「バイオハザードIII」日本公開版イメージ・ソング。ということで、なのかはわかりませんが、韓国の歌手グループ東方神起が参加しています。
 ちょっと前にはK×ET-KING「この歌を・・・・・・・・♪」なんてコラボも出ていて、隆盛がひととおり落ち着いてきた感のある韓流勢をテコ入れしていくムードが合ったのかな?とも思いますが、とりあえず楽曲を見ていきましょう。

 デジタルで硬質なダンスチューンは、ズンズンと静かに迫ってくるような圧迫感。その中で、『失った理想 取り戻せるはず』『迷宮入りのStory 解いて見せるから』というような前に進む意志が提示されます。それは、『一緒なら越えて もっと向こうへ』と、パートナーの存在によってより強固なものになっている、という見せ方です。
 恋愛的な要素を残しつつも、主となっているのは明確に「進んでいく」姿勢をはっきりとアピールするメッセージです。まあ今作では「立ち向かう」っぽい雰囲気ですが。正直、この流れだと『この愛を』なんて要らないんじゃないかなーとは思うんですが、恋愛要素もあったほうがリスナーを多く獲得できるんでしょうね、やっぱり。そういうテーマのごった煮加減は、良くも悪くもJ-POPの特徴です。

 さて、詞世界の展開としては王道の作りなのですけれど、注目したいのはまず使う言葉の強さ。『当たり前の日常 繰り返すこと飽きた』など、全体的に素っ気ない口調で歌詞が綴られています。短めのフレーズが連続するメロディラインが制約になっている部分もあるんでしょうけれど、『ココにはもう要らない 消えて』なんてくると、ドキッとしますね。
 これはやっぱり、倖田來未の挑発的・攻撃的なイメージがあるからこその生きてくるものでしょうね。

 もうひとつは、英語の多用です。サビなんて『今すぐにCome on tonight/今なら間に合うかもBreak out alright』と、区切りごとに英語フレーズを差し挟んでいます。
 この手の書き方って「いかにもJ-POP」という印象を持つ方は多いでしょうけれど、でも90年代に比べると00年代は圧倒的に少なくなった手法だったりします。歌詞は日本語で書くべき、みたいな風潮が広がっていましたし、倖田來未より前に女性ボーカリストとしてカリスマ的地位を獲得した浜崎あゆみも、英語はタイトルのみという書き方をずっと貫いていたりします。
 英語はやっぱり日本語に比べると音へのはまり具合がよく、特にこうしたダンスチューンだとそれが顕著になってきます。自分も昔は言語の織り交ぜは嫌いでしたが、今は聴き手の耳に印象づかせるためのテクニックとしてアリだなあと思っています。
 流行には波があるものですし、日本語英語織り交ぜ方のスタイルも、そろそろ再び広がっていくのかもしれませんね。

 それにしても東方神起の影が薄いです。きっとダンスでは見事なコラボレーションをしているんでしょうけれど…歌詞も掛け合いになっていたりするわけではないですし。先のK×ET-KINGとは違い、「×」ではなく「feat.」なのもむべなるかな、という感じ。
posted by はじ at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月12日

ASIAN KUNG-FU GENERATION「アフターダーク」

アフターダーク
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<初期衝動を保ちつつ、自らの道を疾走していく>

 約1年ぶりのシングルリリースも、彼らにとっては長いと感じなくなりつつあります。矢継ぎ早に新曲を出していかず、リリースの間隔をある程度とっていくこのスタンスは、彼らよりも少し前にブレイクしていたBUMP OF CHICKENと近いものを感じるところ。リリース競争には持ち込まない、こうしたスタイルも最近は浸透しつつあるようですね。

 間隔が空いても、硬質な音と言葉、端正に並べられるリズム、強い衝動からくるシャウト、リズムが変わりエキゾチックなムードになる中間部などの特徴は、依然変わっていません。
 『夢なら覚めた/だけど僕らはまだ何もしていない/進め』
 シンプルなリズムの中で、思い切りアクションを起こそうと叫ぶこのサビ最後の部分などは、初期衝動をなお維持しているなあと感じます。
 変わったといえば、ハイトーンでのシャウトがクリアになってきたというところでしょうか。「ワールドアパート」なんかだと、まだかなり濁って(あえて絶叫ぽさを出したかったのかもですが)いましたし。

 あと、詞のモチーフによく近代的・近未来的な言葉を使うのも彼らの特色だと感じていましたが、今回それはやや控えめ。『街角血の匂い流線』あたりには若干そうした気配も感じますが、『夜風が運ぶ淡い希望』『生まれ落ちた雲まで見下ろすように飛ぶ』など、わりと一般的な単語を選んでいるような。
 熟語など硬い響きの言葉を並べて一音に詰め、歯切れよいリズミカルさを演出する手法も今回ほとんどなく、ちょっと個人的に寂しかったり…
 ただ、言葉を詰めないことで音の隙間が広めになり、少しだけ軽快な印象になっている気もします。そう考えると「飛ぶ」「遠く向こう」「進め」といった歌詞世界の方向性には沿っているのかも。

 オーソドックスな構成で3分ちょいですっぱり終わっていくので、前述の点と合わせてちょいと物足りないような気もしつつ、彼ららしい簡潔さ明快さのある曲だ、とも言えそうです。
posted by はじ at 23:15| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月11日

メルマガ、Vol.134発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.134 2008/02/11 発行部数:めろんぱん 445/まぐまぐ 245

<雑考バトン>
青山テルマ「そばにいるね feat.SoulJa」
 〜視点の交錯と共鳴

<新着レビュー>
Perfume「Baby cruising Love」
 〜等身大視点を取り入れた目的と効果

<ひとこと寸感>
Rie fu「5000マイル」
樹海「ヒメゴト」
斉藤和義「虹」
秋山奈々「同じ星」
AAA「Red Soul」
一青窈「つないで手」
鬼束ちひろ「僕等 バラ色の日々」
シド「蜜指〜ミツユビ〜」
植村花菜「あなたのその笑顔はいいヒントになる」
Pabo「恋のヘキサゴン」


 最近はだいぶ安定して更新できるようになっていますが、またちょっと3月から身辺の環境が変化するため、またしても慌しくなりそうです。時間があるとどんどん長くなってしまいがちなので、もう少しかける時間も本文もコンパクトにして、ぎゅっと凝縮しなくては。


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。
posted by はじ at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

NEWS「weeeek」

weeeek【通常盤】
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NEWS 鈴木雅也 Gajin JIN h-wonder GReeeeN zopp
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<軽快でポップな展開にも、さらっとしたマジメさのスパイス>

 2007年に活動を本格的に再開したNEWS、「星をめざして」に続く2作目となるのがこちら。ポップ系ヒップホップの新星・GReeeeNによる提供曲ということで、タイトルがまるでクレジットのようです。インパクト大。
 これ、テーマが一週間なので、個人的にはeをひとつ増やして「weeeeek」にすると計7文字でいいのになーとか思ったりしました。まあ、そうはいかなかったんでしょう。NEWSの現メンバーが6人なので、その点ではちょうどいいですし。

 なんといっても『明日っからまた 日、月、火 ほら水、木回って金、土、日曜』と、小気味よく繰り出されるサビの展開が印象に残ります。これは、いわゆる数え歌の一種として分類できるでしょうか。SunSet Swish「マイペース」が数をつけて言葉を並べていったように、誰もが知っている一週間の曜日を次々に挙げていくことで、聴き手への耳にフレーズが浸透しやすくなるのです。
 で、その後に続くのは『夢の日々を 大事にいきましょう』あるいは『僕ら日々を 楽しんで生きてこう』とだけ。曜日を数える部分からは「どんどんと過ぎていく毎日」みたいなイメージが伝わってきますが、それと合わせても「毎日を大事に、楽しんで生きよう」くらいと、伝えるメッセージは非常に簡潔です。
 このサビの特徴2点だけを見ても、「ノリ」を重視して軽快でポップな内容にしよう、というコンセプトが感じられますね。

 メロに視線を移しても、重さ深さを排除して、単純明快な方向を目指しているのは同じ。ラップで展開されるAメロは、1コーラスではやっぱり1週間をなぞるのみ、2コーラスは日々に追われる自分を省みてみる、くらいです。
 そんな軽さをちょっと引き締めているのがBメロ。『日々生き抜いて 心は曇り 僕たちは過ぎ去っていく』と、過ぎ去る時間で磨耗したり流されたり…という無情さ儚さをさらっと提示しています。

 大塚愛「さくらんぼ」ばりの『もういっちょ!』といい、『めげずにLaugh Laugh (^◇^)』なんて顔文字を入れ込んでいるのといい、とにかく軽く軽く作ろうとしている感満載。シリアスで、重いメッセージを伝えようという一連の流れからは明らかに一線を画す、ポップ重視の内容です。
 でも、刻々と流れ去る時間の無情さを漂わせたり、具体的ではないにせよ「毎日を大切にしよう」という主張に落とし込んだり、マジメさもちゃんと入れ込んでいるわけで。ただ軽薄なだけではなくて、締めるところはきちっと締める。「ノリがよくって楽しくて、でも実は深いし勇気付けられる!」というような感想を狙っているのでしょう。
 ポップさメインの楽曲は、一時期よりだいぶ目立つようになってきているように感じます。ただ、リスナーの感覚値も作り手の意識も、軽くはあってもきちんとしたマジメな部分・メッセージ性も少しはあるべきだ、くらいの温度感なのかなあと。この曲の好調・好評具合に、そんな思考を巡らせています。
posted by はじ at 08:46| Comment(1) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(な行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月10日

移転1周年です。

 さて、早いものでこの歌詞GET!!ブログに引っ越してからちょうど1年となりました。その後、ロゴを作ってもらったり、有名メルマガにてコラム連載を始めたり編集部おすすめブログに紹介されたり、またメルマガ発行100号を達成したり、いろいろありましたが、なんだかあっという間でした。
 前ブログからの完全記事移行がまだできていない状況ですが(データの中身をちょこちょこ修正する必要があり、かなりまとまった時間が必要なのです…)さっき数えてみたら、2003年12月からの約4年ちょっとの期間で、抜けがなければ現在の総レビュー数は955曲。もう少しで1,000曲達成なのですね。よくもまあ書いたもんだ、と自分でびっくりしてみたり。


 で、この機会に、当ブログの裏側をご紹介しようかと。昨年夏ごろから利用している「なかのひと」ブログパーツで計測している<ユーザー属性解析>と、公的機関・企業からの<アクセス一覧>があるので、ばばっとご紹介してみます。

 ブログ更新者の方も、読む専門の方も、興味があれば参考にしてみてくださいませ。続きを読む
posted by はじ at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 近況やお知らせ。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月09日

大塚愛「ポケット」

ポケット
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<一緒に歩もうとしながら、相手を主体にするいじらしさ>

 大塚愛のしっとり系ナンバー、2007年は「CHU-LIP」「PEACH」とアッパー系が2曲続いたぶん、「金魚花火」のような夏らしいものではなく、楽曲の雰囲気も「あなた」の『ポッケの中』で手を繋ぐというフレーズも、肌寒い季節を連想させる内容になっています。

 『あなたのポッケにおじゃまして』と、タイトルは「ポケット」ですが、歌詞に出てくるのは「ポッケ」。こういう言い方に象徴されるように、この曲は恋人に対する女の子のかわいらしさ・いじらしさを感じさせるフレーズが多いなあと感じます。

 わかりやすい例が、サビの『あなたの重荷とかじゃなくて/荒れやすいあなたの手をあたためてあげよう』です。
 サビの頭というのはもっとも聴かれるポイントで、だからもっとも重要なフレーズを置くのが、暗黙の…というか自明のセオリーです。そこに「重荷になりたくない」。
 助けてあげたい、じゃなくて、邪魔になりたくない、という言い方は、似ているようでかなり違います。積極的に相手に干渉していこうとするのではなく、主体はあくまでも「あなた」で、そこに頑張って着いていくという感情なのですね。続く、手を暖めてあげたいという感情も、よりその色合いを強めています。
 主流としては『二人でステキになろう』と共に歩んでいこうというスタンスを主張していながらも、実はちょっと男性を立てるような想いを混ぜ込んでいるのです。ここに「いじらしさ」を感じてかわいいなーとぐっとくる男性、共感する女性は多いのではないでしょうか。

 作った料理を残さず平らげるのを『優しいあなたの心使い』と言ってしまうのも、「料理を作ってあげた」自分の行動より「食べてくれた」相手の行動をより大きいものと捉えていることがわかるフレーズで、やっぱりいじらしさをかき立てる心情になっていますよね。「あたし」の料理が下手でおいしくない、ということではないのです。…たぶん。続きを読む
posted by はじ at 18:37| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月08日

フジファブリック「若者のすべて」

若者のすべて
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フジファブリック 志村正彦
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<淡々と綴られる想いの裏に潜む奥行き>

 往年の名作ドラマを思わせるタイトルですが、中身はとても叙情的で郷愁を漂わせるミディアムバラード。
 季節は「夏の終わり」で、かつ「花火」が登場するという、郷愁モノとしては非常に王道まっしぐらなシチュエーション。ベタな素材を使っているのですが、ポイントは、それをとてもあっさり味で調理していることです。

 夏というのは、何かと印象深い季節です。それが今、ゆっくり終わろうとしている。しかし、主人公の思考には「まだ終わらせたくない」とか「戻りたい」というような、夏を惜しむような心情は浮かんできません。せいぜい、『それでもいまだに街は 落ち着かないような 気がしている』と、客観的な視線で、(自分以外が)なんとなく名残惜しんでいるようだ、くらいの思いしか語られないのですね。
 それは、「最後の花火」を見ていても同じ。「忘れたくない!」というような激しさ強さはなく、『何年経っても思い出してしまうな』という、ぼおっと感じたというような言い方をしているわけです。

 そんな淡々とした感覚は、「夏の終わり」という舞台に重ねられているひとつの恋にも、同様のことが言えます。
 同じリズムで区切られたメロディラインに乗るのは、『ないかな ないよな きっとね いないよな』と、もごもごと言葉を口の中で滑らせていくような、歯切れの悪い想いなのです。はっきりすっぱりともせず、ひたすらに悩み抜いているというわけでもなく、まるで他人ごとかのように『会ったら言えるかな』なんて考えてみたりする。気持ちがどっと盛り上がることがないのですね。

 ただ、そんな激しさのない淡々と綴られる感情や、まるで自分から切り離されたかのような感覚こそが、この楽曲をやたらと叙情的にしているし、ふっと温度が急に下がるような感覚に襲われる「夏の終わり」に、ちょうどぴったりと寄り添っているように思うのです。
 楽曲の作りは、かなり盛り上がるようにできています。サビ前の昇っていくピアノや、『まぶた閉じて浮かべているよ』なんて、とてもドラマティック。このサウンドの盛り上がりは、淡々とした歌詞の裏側に、押し隠している想いの存在を指し示しているかのようでもあります。

 そう、一見ひたすら起伏なく綴られているように思える言葉も、実際はそうではないんじゃないか、わざと見せないようにしているんじゃないか…この曲の歌詞は、そう推測できるのです。続きを読む
posted by はじ at 02:46| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月07日

今週の出張音楽コラム:2/7

 ニュース系メルマガ大手「忙しいあなたの代わりに新聞読みます」にて、毎週木曜日、音楽コラムを連載中しています。
 今週は、こんな内容を書いています・・・



先週ここで紹介した青山テルマ「そばにいるね feat.SoulJa」が、
2週目にしてオリコンチャート1位を獲得しましたね。
これはもう3作目、ハッピーエンドの完結編の制作が
がぜん真実味を帯びてきたのではないところでしょうか。

この曲は、先週も触れたように、昨年ロングヒットとなった
SoulJa「ここにいるよ feat.青山テルマ」のアンサーソング。
この2曲は、離れた後にお互いを想う男女の心情がそれぞれ描かれますが、
各視点からの内容を比較してみると、なかなか面白いものが見えてきます。・・・



この続きは、本日発行されたメルマガにて掲載中。興味のある方は、どうぞ読んでみてください。
posted by はじ at 21:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 今週のコラム紹介。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月06日

コブクロ「蒼く 優しく」

蒼く 優しく
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コブクロ 小渕健太郎
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<回想をドラマティックに演出する技巧>

 昔、一度諦めた夢を思い返し、立ち止まって自らに問い直す。
 コブクロの新曲は、その過程をドラマティックに描き出しています。

 こうした曲の定石は、過去の自分を振り返ったうえで、もう一度夢を追ってみよう、となるのがパターンで、そこまでを曲中で追っていくとそれだけでドラマティックな展開になります。
 しかし、この曲は、ちょっと違います。もう一回やりなおしてみるぜ!とまでは行かず、『あの日の僕』に対し『少しだけ話を きいてくれるかい?』と語りかける…とまででまとめているのです。
 そんなわけで、中心に描かれているのは、「再出発」ではなくて「過去の自分への想い」なのですね。テーマはそこまででも、十二分に盛り上げていくテクニックは、さすがの一言です。

 「過去の追憶」は、使いやすいテーマではあります。無難にまとめれば、たいていの聴き手の記憶やイメージと結びついて、感動を生むことができるので。
 しかし、この曲はそんな使い勝手の良さに胡坐をかいていません。その象徴が、サビ直前『あの日のロッカー』。静かな中でハモるAメロ、楽器が増えるBメロが緩やかに続いてきて、急激にボルテージが上がるのがこの箇所。そこに、視覚的なフレーズをどどん!と提示するのですね。
 ここまではずっと抽象的な言葉を並べて、パッとイメージを与える。そしてサビ、タイトルにも出てくるように楽曲の中心イメージとなる『今よりずっと蒼く 優しく見えた空』に繋がっていく、と。単純に想い出を書き綴っていくよりも、ドラマティックな印象を聴き手に与えることができる書き方になっているのです。

 さて、2楽章の同じ部分では、『引き返して しまえばまた 後悔だけが 僕を待ってる 下り坂』と歌って、そして間奏に流れ込んでいきます。こちらも1コーラス目以上に劇的に歌い上げられているんですが、最初はなんで曲最高潮ともいえる盛り上がりの部分に「下り坂」というマイナスイメージの言葉を当てるんだろう?と疑問に思ったりしまして。
 しかしこれも、どうしても沸き起こってしまう、激しく狂おしい「恐れ」「不安」といった感情を表したかったのかなーと。
 2コーラスでは、その前にもこんなフレーズがあります。『何度負けても 間違っても 夢は 終わりじゃない/何度勝っても たった一度の 諦めに 崩れてゆく』…普通のポジティブ志向のメッセージであれば、この2行は上下反対の順で提示されるはずです。でも、ここでは最後の「諦めに 崩れていく」を強調したかったのでしょう。
 で、「崩れること」への恐れが、「下り坂」の歌い上げに結びついていく、と。この部分はどうも、曲中でのブレーキ、いったん「落とす」ためにフレーズが組まれているようです。

 で、その後、間奏のあとに音が静まり、「再生」が始まるのです。
 『心の叫びなど 誰にも聴こえない/だから笑うんだよ 涙が出るんだよ だから 輝くんだよ』
 そして再び楽器が加わり、もう一度盛り上がって、クライマックスになだれ込んでいく。これだけ展開が徹底してドラマティックに作りこまれていたら、そりゃあ感動するってもんです。続きを読む
posted by はじ at 19:05| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月05日

Aqua Timez「小さな掌」

小さな掌
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Aqua Timez 太志
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<テーマも曲調も、ぎゅっと「詰め込み」型>

 ドラマ「ジョシデカ!-女子刑事-」主題歌。『目に見えぬ傷跡をさすってくれる 優しい掌』を持つ「君」への感謝の思いを込めた一曲です。

 『どんな僕も愛してくれる君へ/ありがとう いつもそばにいてくれて』と、「君」が恋人であることは明確に示されています。ですが、ラブソングっぽくはありません。深い愛情を込めているようではありますが、それだけではないんですね。
 『後ろばかり見てたら明日が哀しむから 人は前に進むしかないんだよ/目の前にいる愛すべき人のためにも』というフレーズを読むとわかりやすいです。「君」への愛を示しつつも、「前に進む」姿勢を語りかけるメッセージもまた、しっかりとテーマに据えられているのですね。

 これは何回か触れてきたことですが…昨今は、恋愛を無邪気に楽しむ歌よりも、相手との関係性を通して人間としての強さや成長を見出していくようなマジメな歌が好まれていると感じています。この歌もまた、最終的な着地点は『こんな僕を愛してくれる君に 「ありがとう」の詩をつくりました』という「感謝」の気持ちです。ただ「好き」だけではないのです。リスペクトの感情が、そこにはあります。
 また、そこに至るまでも、「僕」自身の振り返りという部分が大きいです。『美しい想いだけじゃ生きられず 約束の空も汚してしまえた』というような、進んできた道の回想がたくさん出てきています。もちろんいつも「君」が支えてくれていた、というところへ繋がってくるんですが、それでも自問自答の分量が多い。ここはちょっと軸がブレているようにも感じられますが、「葛藤」や「追憶」というテーマもふんだんに盛り込まれているんだ、と好意的に受け止めてもよさそうです。

 さて、この曲で感じたのは、随所に含みのあるフレーズが差し挟まれているということ。たとえば、「悲しみを知った」と言わずに、『立ち止まらせたはずの涙に/悲しみを悲しむということを教わったのは』と言ってみたりしているわけです。あるいは、「理想を求めて今を省みない」という意味のことを、『ゆれる奇跡の花に魅せられて/守り抜くべき日常を枯らしてしまう』と表現してみたり。今思うと、全体にそういう傾向がありますね。
 流暢と取るか冗長と取るかは好みが分かれそうなところ。ですが、こうした言い回しは詰め込み型の楽曲自体にはハマりやすいものですし、過剰だからこそ数あるメッセージソングの中で埋もれずに台頭してきたのでしょう。特に、ネオアコ〜青春パンク隆盛時代は、シンプルな言葉だからこそ刺さる!という意図を感じる表現が主流だったので、余計に新しい波なんだなあと思わされます。

 ただ、メジャーデビューから5作目となりますが、楽曲の作りが「言葉詰め込み系ミディアムテンポ」ですっかり固定されているような。今回は、サビのコード展開やメロディラインが懐かし歌謡曲を思わせる雰囲気でちょっと新鮮でしたが、もう少し大きな部分で幅を広げていったほうがよい気もします。
posted by はじ at 23:26| Comment(1) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月04日

藤兵衛ドンと農民たち「よろこびのうた」

よろこびのうた
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藤兵衛ドンと農民たち 藤原いくろう 甲本ヒロト
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<古典と民俗音楽の融合、あるいは「民衆の歌」という位置付け>

 THE BLUE HEARTS、THE HIGH-LOWS、そしてザ・クロマニヨンズの甲本ヒロトがベートーベンの第九を歌う。この試みは、“A Project The Present Time Classics”という、ロックとクラシックの融合を目標にしたプロジェクトがあり、その一環として企画されたものだそうです。

 そんなわけで、確かに甲本ヒロトがいわゆる「歓喜の歌」のメロディラインを歌っているわけなのですが、その内容がとにかくぶっ飛んでいます。『あのベートーベン/猪ベートーベン/鵜のベートーベン/絵の・・・』と、ひたすら50音順に「○のベートーベン」と歌っていくだけ。なんじゃそりゃ、とお思いでしょうが、本当にそれだけなのです。
 伴奏も、はっきりとしたものがあるのではなく、ひたすら祭りのような笛や太鼓のお囃子と、「あ、そーれ」みたいな宴席的にぎやかしが続きます。大胆なアレンジ!というどころの騒ぎではありません。

 「藤兵衛ドン」は間違いなく「ベートーベン」のもじりでしょう。和風というか日本の民俗音楽風にしたのも、クラシックを日本らしくアレンジしたい、ジャンルの壁をぶち壊したいという思いによるものなのかも…という推測はできます。
 歌詞に関しては、「これは一見ナンセンスに見せかけて、実は深い意味が隠されていたんだよ!」…なんて考えても楽しそうですけれど、単に意味を付けたくなかったんだろうなあ、と思います。意味のある言葉を乗せず、この音楽そのものを楽しんでほしい!とか、「ジャンルの融合」のためには言葉は不要…とか。考えてみれば、ひらがな50音というのはすごく日本的ですしね。続きを読む
posted by はじ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー企画もの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月03日

メルマガ、Vol.133発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.133 2008/02/03 発行部数:めろんぱん 446/まぐまぐ 190

<雑考バトン>
Perfume「Baby cruising Love」
 〜音はデジタル、主人公は生身

<新着レビュー>
遊吟「Fate」
 〜フレッシュ&ポジティブなイメージの応酬

<ひとこと寸感>
米米CLUB「We Are Music!」
MY LITTLE LOVER「dreamy success」
元ちとせ「あなたがここにいてほしい」
SunSet Swish「ありがとう」
中島美嘉「LIFE」
K「Birth of Treasure」
Chara「Cherry Cherry」
ザ・ルーズドッグス「奏愛」
SOUL'd OUT「MEGALOPOLIS PATROL」
ANATAKIKOU「雨がやんだら」


 今日はすごい雪でしたね。見慣れたはずの小田急線沿線の景色が、まるで知らない場所のように見えました。そして今住んでいるアパートの前が急坂なので、かなり歩くのが大変なことに。でも、あちこちの家の前に雪だるまがあったりして和んだりも。

 暦の上では、明日から春。本当でしょうか…


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2008年02月02日

GLAY「SORRY LOVE」

Ashes.EP
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GLAY TAKURO John Lennon
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<楽曲展開と歌詞展開のリンク>

 前年の「G4」と同じく、4曲入りのEPシングル。ただ内容としては、こちらのほうがバラエティ豊かな印象を受けました。骨太に疾走するロック「Ashes-1969-」は切れ味鋭いですし、「ROSY」はダークな魅力があるちょっと新味のあるサウンドを味わえます。また、ビートルズのカバー「MOTHER NATUER'S SON」も、初の洋楽カバーで初の全英詞。と、かなり多様な表情になっています。
 その中で、今回はバラード「SORRY LOVE」をセレクト。哀愁漂う恋の終わりを歌った、いかにもGLAYらしい一曲です。

 らしい、とは書きましたが、曲構成を見ていくと、興味深い工夫が施されているなあと。
 Bメロ、『どれくらいの愛でなら 君の涙止まるかな?』なんてフレーズの箇所は、ぽっと投げ出されるように独立させてあったりします。ただでさえ印象的で、しかも問いかけてくるドキッとする言葉が、さらにサビかと思うようなキャッチーなメロディに乗って届いてきます。対して、サビも決して盛り上がらないわけではないんですが、その前で一気にボルテージが上がっているので、すっとそのまま入っていくような感じに聴こえますね。

 Bメロでぐっと昂揚し、そのままさらりとサビに入る。この音楽の流れは、そのまま歌詞の流れでもあります。
 Aメロでは、別れの場面に降る雪…というような寂しく辛い心象風景を描いていたのが、Bメロでは『友達でいられたら/傷付けずにいられたのに』など、感情がむき出しになります。で、サビは情況や心情を超え、『こぼれ落ちる涙の雫は/思い出の河となり 流れのままに』というように、ひとつ高い視点から客観的に「恋の終わり」を描いているのですね。

 その中のどこがもっとも激しい内容かと言えば、それはもちろん感情を表に出すBメロ部分となるわけです。で、サビでは『冬が来て春が来て 夏の後秋が来る/それだけ それだけの事』とむしろ気持ちを落ち着かせようとしているという。まあ、「それだけ」とまるで自分自身に言い聞かせているように繰り返すのが、聴き手にはより切なく映るのですが。

 サビをもっとも印象深く聴こえさせるのがヒットソングのセオリーですが、この曲はちょっと違った形で構成されています。ただ、上で指摘したように、それはしっかりと歌詞の展開を考えた上でのものだなあ、と思うのです。すっかり感動的な歌い上げバラードのイメージが付いている彼らですが、単純な再生産に堕さないようにしていることが伝わってくる一曲なのです。
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2008年02月01日

Mr.Children「旅立ちの唄」

旅立ちの唄
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Mr.Children Kazutoshi Sakurai
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<すっと歩き出そうとする中に、ネガティブさを排除した確かな強さがある>

 新垣結衣主演、ケータイ小説原作という、いろいろと話題性の豊富だった映画「恋空」の主題歌。決して派手ではないながら、ドラマティックなメロディラインやどこかリリカルさのあるアレンジなど、ミスチルらしさも充分に感じ取れる一曲だなあと。

 「しるし」「フェイク」は、はっきりとテーマ性を有していてしっかりと曲世界が作られていましたが、それに比べると、もう少しさらっと軽めな印象があります。
 それはメロディラインの動きにも表れていて、たとえば、メロの入りが独特なのです。4拍子の4拍目から、次の1拍目をまたぐというのは、ちょっとあんまり見かけないリズム。バン、と歌い始めるのではなく、するっとアクセントなく言葉が始まるんですね。これは、2007年3月に発売されたアルバム「HOME」収録の「彩り」なんかも同じ傾向があったりします。
 さらに今回は、サビの最後、つまり歌い終わりもまた「終わり」っぽくなく、主音で閉じない+小節の頭を感じさせない緩やかなリズムで締められていますね。不必要に区切られず、伸びやかに流れる自然体スタイルを意識してできているように感じるのです。

 内容を多少乱暴に要約すると、「君」と離れてしまった「僕」が再び前に歩き始める…というところ。タイトルに据えられている「旅立ち」は、自然体のメロディラインと同様、重過ぎない始まりとして用いられているのかなと。たとえば「終わりなき旅」の「旅」と比べても、もう少し身軽なイメージがあります。

 『さぁ どこへ行こう?』『なんか辿り着けそうじゃん』など、別れた後というシチュエーションにしては、けっこう軽い口調がちらほらと見受けられます。それはきっと気のせいではなくて、全体を通じて後ろ向きの心情が出てこないんですよね。これは、注意深く取り除かれているんじゃないかなあ、と考えてしまいます(後述します)
 離れてしまったけど「君」の存在を胸に生きていく…という点は、きちんと王道をなぞっています。しかし、「君がいなくなって辛い思いをしたけど、また歩き出すよ」と語るのではなく、シンプルに「さあ、歩き出そうか」くらいなんですね。感覚としては。

 二人の思い出を描いたり、未練や後悔を綴ったりしていないのは、この「旅立ち」の時点ではしっかりと気持ちを整理しているんだ、と解釈することができます。もちろん、この先辛いときは『君に語りかけるよ』と頼ることもする。しかし、『でも もし聞こえていたって返事はいらないから…』なのです。「返事しなくてもいい」というのは、もう「君」のことを過去のものとして消化しているからこその言葉ではないかなと。
 辛いときに語りかけるのは、あくまでも今まで一緒だった過去の「君」。『僕の体中』に残っている「君」の存在を確かに感じられることが、離れた今の「君」の「返事はいらない」と言い切れる強さの源になっているんだろうなあと思うのです。続きを読む
posted by はじ at 09:37| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(ま行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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