2008年01月27日

メルマガ、Vol.132発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.132 2008/01/27 発行部数:めろんぱん 446/まぐまぐ 193

<雑考バトン>
遊吟「Fate」
 〜「引っかかり」が人気を作る

<新着レビュー>
SMAP「弾丸ファイター」
 〜歌詞のキーポイントは「共感」と「整合性」


 先週はパソコントラブルで1回お休みしてしまい、今週こそと配信しようとしたのですが、どうも今度はめろんぱんのサイトに繋がらないという。世の中、うまく行きませんね。
 とりあえず、まぐまぐのみ配信しておきました。また復旧しだい、めろんぱんにも配信しようと思います。(追記:復旧していたので、配信しました)


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posted by はじ at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

BUMP OF CHICKEN「花の名」

花の名
花の名
posted with amazlet on 08.01.26
BUMP OF CHICKEN 藤原基央
トイズファクトリー (2007/10/24)
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<「言わないで伝える」表現への飛躍>

 映画にも合った、シンプルなアコースティック調の楽曲です。勢いに乗った荒削りなロックテイストはないですが、しみじみと聴かせる雰囲気が出ていますね。「supernova」辺りでも感じましたが、こうしたタイプの楽曲も、すっかり板についてきたように感じます。

 バンプの詞世界の根幹にあるのは、自問自答の中で力強く答えを導き出す大きなメッセージ性です。特に、インディーズ活動をしていた初期から人気を拡大していった時期には、寓話的なストーリーだったり抽象的なイメージを用いたりした作風が、その大きな特徴でした。
 細かく設定した世界と、明確なプロセスを持った歌詞。自分はそれを「オンリー ロンリー グローリー」のレビュー時に「箱庭療法」のようだと書いた覚えがあります。

 『簡単な事なのに どうして言えないんだろう/言えない事なのに どうして伝わるんだろう』
 この「花の名」は、ゆったりした曲調と、上記のフレーズで始まります。
 伝えたい「簡単なこと」は、言葉ではなかなか言うことができない。でも、言わなくても、伝わったりする。これは、曲の中核に当たるサビのフレーズ『あなただけに 聴こえる唄がある』に繋がってくると同時に、作詞者の藤原基央自身の表現の変化にも繋がってくるように感じました。

 あなただけに、僕だけに、歌える、聴こえる唄がある。
 『会いたい人がいるのなら それを待っている人がいる』…
 この曲の歌詞は、それ以上のことは言いません。だから元気出せ!とか、前を向いて進め!なんてことは言いません。せいぜい『涙や笑顔を 忘れた時だけ/思い出して下さい』と言うくらいで、思い出したらどうなるか、どうするべきかを語ったりはしていないのです。…それは、あえて言わなくても、聴き手にじんわりと伝わるものがあるはずだ、と考えているからでしょう。
 すべてを説明したり、明確なメッセージにまでせずに、メッセージに余韻を残す。どう受け取るかは聴き手に委ねる形になっている、とも言えます。「あなた」はたくさんの花たちと変わらないものかもしれない、と言いつつ、それがどういう意味なのかは聴き手がそれぞれに感じるしかありません。『会いたい人がいるのなら それを待っている人がいる/いつでも』の後に「だから…」と続いてはいかないのです。

 曲調と展開も、こうした性質の歌詞を支えています。アコースティックな雰囲気だけど、2コーラス以降にバンドが加わってくると、そこに力強さも感じさせるバッキング。静かな印象ながら、ラインだけを追うと実はファンファーレのようなサビ頭のメロディや、ラスト近くのドラムロールあたりからも、芯のブレない、確固とした意志が宿っているかのよう。
 まるで、「言う」だけでは形にしきっていないメッセージが聴き手に「伝わる」ように、音で支えているかのようだと思いませんか?

 ひとつの物語を紡ぎ上げ、ひとつの明確なメッセージに昇華するスタイルは、大きなカタルシスが得られる作り方です。この曲のような、聴き手がしみじみと噛みしめるタイプはピンと来ない、という人もきっといることでしょう。
 でも、この変化は間違いなく「成長」だと思うのです、良かれ悪しかれ。言葉を費やさなくても「伝わる」んだ、という自信ができたからこそ、最後まで語らない作風にも挑戦することができたのでしょうから。
posted by はじ at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

BUMP OF CHICKEN「メーデー」

メーデー
メーデー
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<「自己と他者の両方を見つめる」視点への飛躍>

 『君に嫌われた君の 沈黙が聴こえた』
 「君」に「君」が嫌われる。このフレーズを、まったく理解不能だという人はいない(少なくとも彼らの曲を好んで聴く人には)でしょう。目の前にいるのに、『水溜まり』の中=『深い心の底』という遠くで「沈黙」している「君」が、つまり「本当の君」なのです。(これって、おそらく解説するまでもない自明のことかと思いますが、しかしこれが自明なのって、実はすごいことですよね。<心の奥底に「本当の自分」がいる>ということが、共通認識としてあるってことなのですから)
 声にならない『救難信号』を頼りに、「本当の君」を探し救い出す。そんな内容の一曲になっています。

 注目したいのは、単純に「僕」が「本当の君」を救いに行く、という流れではないということ。もちろん主軸は「本当の君」を奮い立たせるための真摯な呼びかけなのですが、「僕」もまた沈黙の内に助けを求め、「君」に心の水溜まりへと飛び込んできてほしい気持ちも描写されているのですね。そして『再び呼吸をする時は 君と一緒に』と、お互いがお互いの「本当の自分」を救い合うことをゴールにしています。
 バンプの楽曲って、初期からストーリー性とメッセージ性を有しているものが多くありました。ただそれらは基本的に「自問自答」でした。『ダイヤモンド』や『ハルジオン』なんてわかりやすいですね。「ラフメイカー」や「グングニル」なども、想像の物語や舞台を構築する箱庭を展開させる形で、やはり内側で完結する世界だと言えるものだったかなと。それゆえに、内面を循環する強力なエネルギーも漂っていて、それが魅力に繋がっていたわけです。
 それが、段々と「他者」との関わりを歌っていくようになります。人の関係性をテーマにした「カルマ」、そして他者を見守る視点で語られる「涙のふるさと」と、外側に開かれていく流れが進んでいるなあと感じるのです。
 で、今回も主流は他者=「君」への語りかけ。だけにとどまらず、「僕」も「君」に救ってもら追おうとする。自分自身を見つめる形でメッセージを発していた頃から、それを別の誰かに投げかける術を身につけ、今度はどちらか一方でなく、自己と他者の両方を対象に据える。さらに視野の広がり、一歩進んだスタンスになっているなあと。

 印象的なフレーズが多い中、特に『怖いのさ 僕も君も/自分を見るのも見せるのも 或いは誰かを覗くのも』というフレーズがポイントです。怖さを赤裸々に吐露しているという点そのものも良いのですが、「僕も君も」と「君」を巻き込んで言い切ってしまっているのが何より重要。
 「僕は怖い」というだけでも、聴き手はその「僕」に自己投影して共感することができます。しかし、その共感の範囲は、歌っているバンプ自身とその聴き手までに限られます。そこを「僕も君も」ということで、その「怖い」と感じている範囲を他者、言うなればすべての人がそうなんだとまで広げていけるわけですね。「僕も君も」と目の前の人物に語りかける体裁を取りながら、実際には「すべての人がそうなんだ」というメッセージなのです。

 ところで、タイトルの「メーデー」とは、もちろん5月1日の労働者のイベントではなく『響く救難信号』のことを指しています。もともと無線通信での用語で、その点「沈黙を聴く」という表現にも、ちょうどよく合わさっている表現ですね。
posted by はじ at 00:03| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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