2008年01月31日

今週の出張音楽コラム:1/31

 ニュース系メルマガ大手「忙しいあなたの代わりに新聞読みます」にて、毎週木曜日、音楽コラムを連載中しています。
 今週は、こんな内容を書いています・・・



昨年の秋、切なさを煽るメロウなリリックと曲調でロングヒットとなった
SoulJa「ここにいるよ feat.青山テルマ」。
このコラムでも取り上げましたし、耳にした方も多いのではないでしょうか。
自分もブログのほうであれこれと考察しているので、興味のある方はぜひ。
http://j-pop.kget.ne.jp/article/13227.html

その楽曲では、遠くへ離れてしまった女性へ向け、
男性側から伝えられなかった想いを綴っていました。
が、今度はこの1月に、今度は女性側から男性へ向けて心情を語りかける
青山テルマ「そばにいるね feat.SoulJa」がリリースされています・・・



この続きは、本日発行されたメルマガにて掲載中。興味のある方は、どうぞ読んでみてください。


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2008年01月30日

Every Little Thing「恋をしている/冬がはじまるよ feat.槇原敬之」

恋をしている/冬がはじまるよ feat.槇原敬之
Every Little Thing 槇原敬之 Yasunari“Nam-Nam”Nakamura Masafumi“Massy”Hayashi Kaori Mochida Noriyuki Makihara
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<飾らない会話のリアルさ/細やかな観察眼のリアルさ>

 両A面で、冬らしいバラードと槇原敬之のカバー2曲となっています。

 オリジナルの「恋をしている」ですが、こちらはそういう触れ込みはないものの、「冬がはじまるよ」のアンサーソングというか、同じようなシチュエーションを自分なりに解釈して書かれたかのような印象を受けます。
 とあるカップルが、冬を迎える。何気ない日常が続く幸せを願いながら、決してシリアスすぎず優しい雰囲気が漂っている…と、設定やコンセプトが非常に近い。小物にビールが出てくるところもおんなじです。
 最初から念頭にあったわけではないのかもですが、「冬が〜」を同じシングルの中に入れているということは、おそらく意識してのことでしょう。

 穏やかな恋人同士の描写が歌詞の大半を占めていて、そこに『こうやって/また同じ冬を/君といること/愛しく想うよ』と、飾らない気持ちをさらりと歌っています。
 で、1コーラスでは相手のセリフとして「僕」が、そしてラストでは「僕」が一人称に使われているので、男女双方の視点から歌っているものと推測できます。たぶん、1コーラスが女性、2コーラスからが男性、という感じでしょうか。

 楽曲も派手ではないように、綴っているフレーズも凝った言い回しや目を引く表現があるわけではありません。が、ただ「ありがち」なのではなく、いかに「何でもない」普通の恋人同士を描き、そのありふれた幸せを浮かび上がらせるか?という点にあれこれと心を砕いていることが感じられます。
 わかりやすいのは、ここ数作そういう傾向があるのですが、ひらがなを多用したり、細かく区切って書いたり…という表記上の工夫。きちんとした形で引用してみましょう。

 ちいさくキスをした
 ほら
 愛しいものがたり

 というこの出だしだけでも、柔らかな印象がつかめるのではないでしょうか。

 で、言葉の言い回しもまたさりげない気遣いを感じるのですが、今回は特に、何箇所か挟まれているセリフ部分に気を引かれます。
 『沈んだ日でも/それも素敵な僕だ、と/君は言う』『「やっぱりいいな/こうゆうのが凄く/嬉しいな」』…という言葉たちは、前後関係は特に説明されません。また、言い方が「〜でも、それも」「こうゆうのが」と少しだけ正しくなくて、何のことだかややわかりにくい。
 でも、あえてそんな言い方をさせることで、口語的・日常空間での何気ない一言というような雰囲気が出てきます。そして、話しているお互いはきっと充分に通じ合っているんだな、と聴き手に感じさせる働きもあります。この辺り、さりげないですが「何気ない恋人たちの日常」を巧く切り取っているのですね。続きを読む
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2008年01月28日

FUNKY MONKEY BABYS「もう君がいない」

もう君がいない
もう君がいない
posted with amazlet on 08.01.28
FUNKY MONKEY BABYS 田中隼人 soundbreakers 菅谷豊 大塚利恵
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<「泣ける」曲に仕上げるための表現あれこれ>

 デビュー曲「そのまんま東へ」で東国原知事を起用して以来、毎回著名人の顔をジャケットに据える彼ら。今回は戸田恵梨香で、PVにも出演しているようです。
 そんなプロモーションからも売り手側のプッシュ具合がよくわかるわけですけれども、実際に爆発的ヒットにはなっていないものの、「Lovin’Life」の辺りからだいぶチャート上位に食い込んでくるようになっています。

 で、今回は、『いつもの隣 僕のそばに もう君がいない』別離を歌った内容。HIPHOP界隈でメロウに失恋を歌う楽曲は、2006年にはSEAMO「マタアイマショウ」、そして2007年にはSoulJa「ここにいるよ feat.青山テルマ」とロングヒットが続いていまして、キラーテーマに成長しつつあるのかなあという気がしています。今後、この分野はさらに開拓されていきそうな予感。
 特徴としては、非常に主人公の心情に未練が大きく残っていて、「切ない」雰囲気に浸らせようという方向で表現がまとまっていること。「泣ける曲」という評価を目指して作られているなあ、と感じます。

 サウンド面では、ラップというよりは語りのような、ゆったりとしつつ旋律にもなり気味の、つらつらとしたメロ部分。口ずさみやすいキャッチーなサビは、特に入りの『いっそのこと』の乗り方がちょうど良くはまっていて、印象に残りやすくなっています。
 ストリングスも、ドラマティックな盛り上げに貢献していますね。というか、すっかりバラードの文法です。どういうことかというと、ループするサウンドの一部で使われているというようなHIPHOP的トラックではなく、メロディラインと曲構成の展開を補足するように動き、かつクライマックスへと曲想を膨らませていくために、大々的にフィーチャーされているという使われ方なのです。こうしたバラード文法のストリングスはすっかり定番化していて、これはHIPHOPと普通のポップスの境目がなくなっていく流れの一要因でもあるのかなあと。

 歌詞も、もちろん「切なさ」を感じさせるもの。夕暮れの駅、「君」はもう「僕」の元を離れていかなければならない。でもお互いに離れたくないまま、『最終電車のベルが鳴り響いて』しまうまで動けないでいる。でも、「君」は繋いでいた「僕」の手を振り切って去っていく。そして『行き場を失った左手は さびしく震えてた』…
 夕暮れから最終電車までということは、相当長い時間「僕」は『その右手を離せなかった』ことになります。まあ、歌詞世界はそれなりにローカル線ぽい雰囲気なので、最終といってもそんなに深夜ではないのかもしれません。でも、おそらく数時間はそのままだったはず。ここには、「僕」の未練がたっぷりと感じられますね。…まあ、夕暮れの風景イメージと「最終電車」という状況、演出のために両方欲しかったってだけのような気もしますが。

 でも、この曲は他にも「僕」の未練の大きさを感じさせるフレーズだらけです。『涙溢れ』てしまうのはもちろん、『いまも君のすべてを体中がおぼえてる』というくらいに、少しも忘れることができないままです。想いが変わらずにいるとすることで、その純粋な感情を美しく描いているのですね。別れの場面を詳細に追っている点や、
 また、『想いがにじんで 涙が出ちゃう』『ごめんね まだそんなに強くなれない』と、言葉の端々があんまり男らしくない、弱めな言い回しなのも気になります。この辺りになってくると、傷つきやすい少年のピュアさとして浸ることができるか、それとも女々しいなあと感じてしまうか、だいぶ評価が分かれそうなところです。続きを読む
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2008年01月27日

メルマガ、Vol.132発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.132 2008/01/27 発行部数:めろんぱん 446/まぐまぐ 193

<雑考バトン>
遊吟「Fate」
 〜「引っかかり」が人気を作る

<新着レビュー>
SMAP「弾丸ファイター」
 〜歌詞のキーポイントは「共感」と「整合性」


 先週はパソコントラブルで1回お休みしてしまい、今週こそと配信しようとしたのですが、どうも今度はめろんぱんのサイトに繋がらないという。世の中、うまく行きませんね。
 とりあえず、まぐまぐのみ配信しておきました。また復旧しだい、めろんぱんにも配信しようと思います。(追記:復旧していたので、配信しました)


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。
posted by はじ at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

BUMP OF CHICKEN「花の名」

花の名
花の名
posted with amazlet on 08.01.26
BUMP OF CHICKEN 藤原基央
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<「言わないで伝える」表現への飛躍>

 映画にも合った、シンプルなアコースティック調の楽曲です。勢いに乗った荒削りなロックテイストはないですが、しみじみと聴かせる雰囲気が出ていますね。「supernova」辺りでも感じましたが、こうしたタイプの楽曲も、すっかり板についてきたように感じます。

 バンプの詞世界の根幹にあるのは、自問自答の中で力強く答えを導き出す大きなメッセージ性です。特に、インディーズ活動をしていた初期から人気を拡大していった時期には、寓話的なストーリーだったり抽象的なイメージを用いたりした作風が、その大きな特徴でした。
 細かく設定した世界と、明確なプロセスを持った歌詞。自分はそれを「オンリー ロンリー グローリー」のレビュー時に「箱庭療法」のようだと書いた覚えがあります。

 『簡単な事なのに どうして言えないんだろう/言えない事なのに どうして伝わるんだろう』
 この「花の名」は、ゆったりした曲調と、上記のフレーズで始まります。
 伝えたい「簡単なこと」は、言葉ではなかなか言うことができない。でも、言わなくても、伝わったりする。これは、曲の中核に当たるサビのフレーズ『あなただけに 聴こえる唄がある』に繋がってくると同時に、作詞者の藤原基央自身の表現の変化にも繋がってくるように感じました。

 あなただけに、僕だけに、歌える、聴こえる唄がある。
 『会いたい人がいるのなら それを待っている人がいる』…
 この曲の歌詞は、それ以上のことは言いません。だから元気出せ!とか、前を向いて進め!なんてことは言いません。せいぜい『涙や笑顔を 忘れた時だけ/思い出して下さい』と言うくらいで、思い出したらどうなるか、どうするべきかを語ったりはしていないのです。…それは、あえて言わなくても、聴き手にじんわりと伝わるものがあるはずだ、と考えているからでしょう。
 すべてを説明したり、明確なメッセージにまでせずに、メッセージに余韻を残す。どう受け取るかは聴き手に委ねる形になっている、とも言えます。「あなた」はたくさんの花たちと変わらないものかもしれない、と言いつつ、それがどういう意味なのかは聴き手がそれぞれに感じるしかありません。『会いたい人がいるのなら それを待っている人がいる/いつでも』の後に「だから…」と続いてはいかないのです。

 曲調と展開も、こうした性質の歌詞を支えています。アコースティックな雰囲気だけど、2コーラス以降にバンドが加わってくると、そこに力強さも感じさせるバッキング。静かな印象ながら、ラインだけを追うと実はファンファーレのようなサビ頭のメロディや、ラスト近くのドラムロールあたりからも、芯のブレない、確固とした意志が宿っているかのよう。
 まるで、「言う」だけでは形にしきっていないメッセージが聴き手に「伝わる」ように、音で支えているかのようだと思いませんか?

 ひとつの物語を紡ぎ上げ、ひとつの明確なメッセージに昇華するスタイルは、大きなカタルシスが得られる作り方です。この曲のような、聴き手がしみじみと噛みしめるタイプはピンと来ない、という人もきっといることでしょう。
 でも、この変化は間違いなく「成長」だと思うのです、良かれ悪しかれ。言葉を費やさなくても「伝わる」んだ、という自信ができたからこそ、最後まで語らない作風にも挑戦することができたのでしょうから。
posted by はじ at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

BUMP OF CHICKEN「メーデー」

メーデー
メーデー
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BUMP OF CHICKEN 藤原基央
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<「自己と他者の両方を見つめる」視点への飛躍>

 『君に嫌われた君の 沈黙が聴こえた』
 「君」に「君」が嫌われる。このフレーズを、まったく理解不能だという人はいない(少なくとも彼らの曲を好んで聴く人には)でしょう。目の前にいるのに、『水溜まり』の中=『深い心の底』という遠くで「沈黙」している「君」が、つまり「本当の君」なのです。(これって、おそらく解説するまでもない自明のことかと思いますが、しかしこれが自明なのって、実はすごいことですよね。<心の奥底に「本当の自分」がいる>ということが、共通認識としてあるってことなのですから)
 声にならない『救難信号』を頼りに、「本当の君」を探し救い出す。そんな内容の一曲になっています。

 注目したいのは、単純に「僕」が「本当の君」を救いに行く、という流れではないということ。もちろん主軸は「本当の君」を奮い立たせるための真摯な呼びかけなのですが、「僕」もまた沈黙の内に助けを求め、「君」に心の水溜まりへと飛び込んできてほしい気持ちも描写されているのですね。そして『再び呼吸をする時は 君と一緒に』と、お互いがお互いの「本当の自分」を救い合うことをゴールにしています。
 バンプの楽曲って、初期からストーリー性とメッセージ性を有しているものが多くありました。ただそれらは基本的に「自問自答」でした。『ダイヤモンド』や『ハルジオン』なんてわかりやすいですね。「ラフメイカー」や「グングニル」なども、想像の物語や舞台を構築する箱庭を展開させる形で、やはり内側で完結する世界だと言えるものだったかなと。それゆえに、内面を循環する強力なエネルギーも漂っていて、それが魅力に繋がっていたわけです。
 それが、段々と「他者」との関わりを歌っていくようになります。人の関係性をテーマにした「カルマ」、そして他者を見守る視点で語られる「涙のふるさと」と、外側に開かれていく流れが進んでいるなあと感じるのです。
 で、今回も主流は他者=「君」への語りかけ。だけにとどまらず、「僕」も「君」に救ってもら追おうとする。自分自身を見つめる形でメッセージを発していた頃から、それを別の誰かに投げかける術を身につけ、今度はどちらか一方でなく、自己と他者の両方を対象に据える。さらに視野の広がり、一歩進んだスタンスになっているなあと。

 印象的なフレーズが多い中、特に『怖いのさ 僕も君も/自分を見るのも見せるのも 或いは誰かを覗くのも』というフレーズがポイントです。怖さを赤裸々に吐露しているという点そのものも良いのですが、「僕も君も」と「君」を巻き込んで言い切ってしまっているのが何より重要。
 「僕は怖い」というだけでも、聴き手はその「僕」に自己投影して共感することができます。しかし、その共感の範囲は、歌っているバンプ自身とその聴き手までに限られます。そこを「僕も君も」ということで、その「怖い」と感じている範囲を他者、言うなればすべての人がそうなんだとまで広げていけるわけですね。「僕も君も」と目の前の人物に語りかける体裁を取りながら、実際には「すべての人がそうなんだ」というメッセージなのです。

 ところで、タイトルの「メーデー」とは、もちろん5月1日の労働者のイベントではなく『響く救難信号』のことを指しています。もともと無線通信での用語で、その点「沈黙を聴く」という表現にも、ちょうどよく合わさっている表現ですね。
posted by はじ at 00:03| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月26日

木村カエラ「Yellow」

Yellow
Yellow
posted with amazlet on 08.01.26
木村カエラ 渡邊忍 會田茂一 Jez Ashurst Michael Hopkins Michelle Margherita Andrew Campbell
Columbia Music Entertainment,inc.( C)(M) (2007/10/24)
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<疾走の源には、強気な主張だけではなく焦りも>

 疾走感溢れるサウンドに引き込まれる、木村カエラ10枚目のシングル。10作目にしてはまだまだ初期衝動っぽい新鮮さを残しつつ、すっかり安定した風格も身につけてきているような。
 「You」なんかの時も感じましたが、ゴテゴテせず硬い音だけで構成していくソリッドでロックな雰囲気なのに、聴きやすいポップさもちゃんとあるんですよね。だから、耳に残りやすい、優秀な一曲だなあと。

 彼女の書く詞は、毎度我が道を行っていて清々しいです。言いたいことは「あるがままに生きる」というシンプルなテーマではあるものの、借りてきた言葉感がないので、突き抜けて響いてくるわけです。
 『とけてしまえよ 名誉』なんて独創性ある主張をしつつ、その後で『身を 滅ぼせばいいよ/強くないのよ』と、安全策をとらない無謀さ、かつ弱さを並べて言い切ってしまうのとか、なかなか真似できないところ。とっ散らかってて、優等生ぽくまとまっていないんですが、そこが魅力ですよね。
 ちなみに、「〜よ」で韻を踏んでいます。せり上がってくるようなメロディラインとともに『燃え上がれよ 目よ/見よ 高鳴る胸を/笑えないのよ』と畳み掛けてくるのがリズミカル。こういう軽さで韻を踏める女性ボーカルって、あとは宇多田ヒカルくらいしか知りません。選ぶ言葉のナチュラルさにしても、奥田民生に通ずる自然体っぽさも感じます。

 さて、タイトルの『いつだって Yellow』についてですが、これがちょっと難解でよくわかりません。黄色人種を指しているのかなーという推測はすぐ思いつくのですが、にしては日本とか生まれてからのこととかそういう要素が歌詞中にないので、ちょっと結び付けにくい。赤とかだったら情熱とかパワーとかそういうイメージになりそうですが、黄色だとなかなか。
 で思ったのが、「黄信号」。焦燥感というか、急ごうとはやる気持ちを象徴しているんじゃないかな、という。歌詞を読んでいると、自信たっぷりっぽい言動もあるものの、ネガティブな思考もぽつぽつあることに気がつきます。上に挙げたように急に「強くないのよ」とか出てくるし、『これみよがしに振り回したって/見透かされてんぞ』というような自覚もある。そういう考えをすべて吹っ切るかのように、前へ進む意志を貫こうとしている…そんな風に感じたので、黄信号をダッシュで渡りきってしまおうとするような感覚に近いのかなーと。
 本当かどうかはともかく、自分としてはしっくりきた思いつきでした。ラスト、さらにスピードが上がっていくクライマックスが実に爽快なんですけど、これも「焦燥」を煽っているかのようでもありますしね。
posted by はじ at 03:14| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月25日

CHEMISTRY「最期の川」

最期の川
最期の川
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CHEMISTRY CHOKKAKU 秋元康
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<看取る側にも看取られる側にも、別種の感情移入できる余地がある>

 CHEMISTRYによる、映画「象の背中」の主題歌。
 歌詞は、はっきりと「死別」というテーマが表れている内容です。「消える」とか「終わる」くらいではっきりと示さないようにしているタイプの詞が多い中で、ちょっと珍しいくらい映画の原作者でもある秋元康の手によるものですし、映画との結びつきを重視しているのでしょう。
 とはいえ、さすがに「死」と言い切ってはいません。それは、ぼかすというよりはより綺麗さを際立たせるため、というところでしょうか。どう考えても「死」に向き合っている内容でも、はっきりと言わないことで、余韻を作っているわけです。「川」と表現しているのも、三途の川と直結させるんじゃなく、「向こう側に行く」というような婉曲的なものだと考えたほうがよさそうです。

 そしてこの歌詞は、看取る側ではなく、看取られる側の視点から語る形式になっています。自分の運命を悲しむことなく、穏やかに受け入れていく。そして、『君を残すこと/それがつらかった』『離れ離れでも/君のその胸に/僕はまだ 生きている』と、残していくパートナーに静かに言い聞かせるのです。
 視点は違えども、やはりこの歌は「看取られる側」のための歌というよりは「看取る側」のためにある歌なのだと思います。看取る側が「あなたはこれからも自分の胸で生きていく」というのもグッとくるものですが、やっぱり看取られる側本人が「あなたの胸で生きていく」と言ったほうが、説得力が増すというか。

 聴き手が感情移入しやすいのはやはり看取る側であるわけですが、ただし、看取られる側にもその余地は充分にあります。自分の運命を静かに受け入れる様子は、秋川雅史「千の風になって」が大ヒットした時代の流れにも、ちょうどリンクするものですし。死に行くものの視点からの言葉、そして『僕は陽射しになる』と自然に還るんだという意識があることなど、共通項を見つけられますね。
 それにしても、『太陽の近くで見守ってる』と、「太陽」そのものにはなろうとしない奥ゆかしさが面白いところ。日本人らしいというか、やっぱり日本の「自然に還る」メンタリティというのは、そういうささやかさが含まれるものなんでしょう。

 やたらと感動ものが濫造され、その中で死別ものもどんどん増えているような気がする昨今ですが、まあ流行り廃りは世の常なので。ただ忘れてはならないのは、この歌などでは「死別」がそのまま「純愛」の完成形として描かれているところです。
 看取られゆく人は、ただ「君」を愛しぬいたまま人生を終える。そこには、この先決して心変わりすることのない愛情が残るわけです。たった一人の相手、運命の人と心を通わせる「純愛」が今とても求められていて、それを満たす確実で効果的なシチュエーションが「死別」なのですね。
 自分としては、「死別」を扱った作品が増えていることに憤慨するというよりも、ひたすら「純愛」至上主義が加速していくことに不安を感じたりはします。

 あ、CHEMISTRYの二人は相変わらず歌が上手いです。全体にわりとベタなメロディラインなんですが、それをR&B的に表情豊かに聴こえさせるという点はさすが。
posted by はじ at 02:57| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月24日

今週の出張音楽コラム:1/24

 ニュース系メルマガ大手「忙しいあなたの代わりに新聞読みます」にて、毎週木曜日、音楽コラムを連載中しています。
 今週は、こんな内容を書いています・・・



“君と僕が出会えたことを 人は 奇跡と呼んでみたいだけ”
“かつて地球は四角で 今じゃ地球は丸くて/次は三角にでもなるのかな”
“だって君は世界初の 肉眼で確認できる愛/地上で唯一出会える神様”

軽々と常識の範疇を飛び越える、すごいフレーズのオンパレード。
こんな言葉を歌っているのは、RADWIMPS(ラッドウィンプス)というバンド。
(冒頭の引用は順に「ふたりごと」「ギミギミック」「有心論」から)

彼らの新曲「オーダーメイド」がリリースされましたが、
こちらの歌詞を読んでいくというだけでも、なかなか面白い体験です・・・



この続きは、本日発行されたメルマガにて掲載中。興味のある方は、どうぞ読んでみてください。
posted by はじ at 12:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 今週のコラム紹介。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月22日

Salyu「LIBERTY」

LIBERTY
LIBERTY
posted with amazlet on 08.01.22
Salyu 渡辺善太郎
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<衝動のままに、惜しげもなく注ぎ込まれるポテンシャル>

 2007年にリリースされたシングル曲の個人的ベストです。紹介が遅くなったので「2007年マイベスト」には入りませんでしたが…
 このブログを読んでいただいて感じている方もいらっしゃることでしょうけれど、八方美人な性格のため、これが一番!と選ぶのって苦手なのです。でも、それだけこの曲が印象深かったんだとご理解ください。

 デビュー以来(というか、Salyuとしてデビューする前のリリイ・シュシュ時代から)小林武史のプロデュースによって活動を続けてきましたが、今作からその元を離れ、渡辺善太郎プロデュースに移行しています。と同時に、これまではほぼ他人に任せていた単独での作詞も本格的に開始しています。
 そんな新しい出発のこの曲は、まずとにかくキーが高い。単純に最高点が高いというだけでなく、ハイトーンが続いたり下がったかと思ったらまたすぐに上がったりと、半端じゃない難易度をビンビン感じます。
 それを声量と特徴ある声質で、ねじ伏せるかのように歌い上げているので、とにかくパワフルな歌声が全編に渡り堪能できます。彼女の特徴的な声は好き嫌いの分かれるところですが、相当なパワーを必要とするであろうこのメロディラインは、この密度の濃い声でなければ映えないのではないかなと。
 がっちりと脇を固めているバンドサウンドも、力強さを加速。と思ったらふっと静かに緩やかになって、でまた一気にフルスロットルまで高潮する、という。サビよりさらにキーが上がるCメロなどの力押しをしてくる一方で、緩急のギャップもまたインパクトに繋がってきています。

 小林武史はどちらかというと、楽曲に独自の色合いを持った世界を構築しようとするタイプの人だなあと考えていて。自身が参加していたMY LITTLE LOVERなんかそうでしたよね。Saluyについても、当初からそうした形でプロデュースしていたように感じています。
 ところがこの曲は、緻密に世界を構築するのではなく、むしろ枠組みを吹っ切ろうとするかのようなパワーに満ちています。で、Salyuにはそれこそ思い切り突き抜けるだけの歌唱力があったわけで。そんなわけで、こんな怪作が生まれたのでしょう。

 楽曲からほとばしる突き抜け感は、また、本人による歌詞からも漂ってきています。続きを読む

2008年01月21日

ゴスペラーズ「It Still Matters〜愛は眠らない/言葉にすれば」

It Still Matters~愛は眠らない
ゴスペラーズ ゴスペラーズ with Howie D. 堀向彦輝 K-Muto(SOYSOUL) Howard Dorough 安岡優 Genzo Cheryl Yie
キューンレコード (2007/10/17)
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<途切れない流れに途切れない愛を乗せて/旋律のうねりに言葉の力を乗せて>

 前作「Platinum Kiss/陽のあたる坂道」に続く、両A面シングル。
 どちらも制作体制が豪華でして、「It Still Matters」はバックストリートボーイズのハウィー・Dとの共同制作、「言葉にすれば」は、日本の二大学生合唱コンクールのひとつ「NHK全国学校音楽コンクール」の2007年度の高校課題曲として共同制作に携わったものだそうです。

 「It Still Matters〜愛は眠らない」は、コーラスが心地よいゴスペラーズらしいナンバー。洋楽っぽいなーと感じるのは、音がするすると流れていくせいでしょうか。J-POPでも、こういうスタイルはR&Bの隆盛以降珍しくはなくなったのですが。
 コーラスグループである彼らにとっての真骨頂というと、やっぱりアカペラでしょう。しかし音楽が入ったらそれよりも価値が低くなるかというと、そうではなく。今回のような、切れ目なく続くタイプの曲調は、歌だけでは補えない連続性をきっちりと生み出しているなあと感じます。
 もちろん、コーラスワークもそこに多大な効果をもたらしています。重なり合い途切れずに繋がっていく各パートは、緩やかながらもひとつの確かな流れを楽曲に与えているように感じます。

 歌詞のテーマになっているのは、タイトルにも据えられた「愛は眠らない」、一度は離れた相手に再び優しく愛を呼びかけていくメッセージになっています。『二人の恋は 迷路のようさ/答えなんてない 「さよなら」はまだ早い』と、「迷路」をプラスのイメージに転じさせようとするレトリックが、なかなか思いつかない面白い着想だなあと。
 『傷つけあい 離れていても/心でずっと 扉が待ってるよ』というフレーズや、サビの交互に続いていく波のような構成などは、穏やかで優しくありながらも、二人の関係を「もう途切れさせない」という意志をも感じさせています。続きを読む
posted by はじ at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

更新再開しました。

 ご心配をおかけしましたが、パソコン復旧しました。幸いにして大したトラブルではなかったので一安心。ということで、更新を再開します。
posted by はじ at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 近況やお知らせ。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月18日

パソコントラブルにより、更新休止します。

 木曜夜より自宅パソコンが起動しなくなってしまい、ブログの更新が難しい状況です。
 復旧したら、もしくは何か別の場所から書ける場合だけ、更新します。
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2008年01月16日

安藤裕子「海原の月」

海原の月
海原の月
posted with amazlet on 08.01.16
安藤裕子 山本隆二 松本隆
カッティング・エッジ (2007/10/17)
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<奥行きのある感情を表現する曲とイメージ>

 2004年デビューの女性シンガーソングライター、安藤裕子の新曲。
 2005年にCMで起用された「さみしがり屋の言葉達」で知った人で、その曲では松任谷由美っぽい声と楽曲アレンジだなーと感じたのですが、今回はまた違った歌い方&曲調になっています。

 映画「自虐の詩」の主題歌ということで、感動作品とのタイアップらしくストリングスを多用したなかなか壮大なアレンジ。そしてそれに応じるように、透き通りながらも遠くまで届いていくような広がりを感じさせる歌い方。力強く歌い上げまくるわけではないのですが、この広がりが感じられるぶん、淡々としながらも感動的に響いてきます。
 サビでかなりファルセットを多用しているのも、しみじみとした感慨深い雰囲気を醸し出すためのものなのかも?とも。

 タイトルである「海原の月」ですが、実は、歌詞中には海も月も出てこないのです。状況の描写ははじめの『夕闇に 光るアスファルト』だけ。歌詞だけ見ると、海である必然性はどこにも感じられないんですよね。
 だからこの題は、上記のアレンジや歌い方に見られるような、静かな感動を呼び起こすためのイメージなのかもしれません。広い夜の海に、燦々と輝く太陽ではなく静かに光る月…まさにちょうどいいシチュエーションですし。

 そして同時にこのイメージは、歌詞に描かれる「私」と「あなた」の関係性にもかかってきているように感じます。片想いの相手との別れ際、というシチュエーションのようですが、『翳るような 私の背中を/抱き寄せて あなたは泣いた』という冒頭は、単にそれにとどまらない、二人の間のドラマを感じさせます。
 「あなた」がちょっと弱々しい、あるいはためらいや翳りがあるように描かれているのが気になります。泣いてしまう冒頭もそうですし、「私」は「あなた」からのアクションを待ち望んでいるのですが、『ためらってキスをして』や『うつむいて離さない そう誓って』などのフレーズからは、「好きだ!」「あたしも!」みたいな激しさ/ドラマティックさではなく、どこかぎこちない想像をしていたりするんですよね。単純にはいかない、何か奥行きのある事情を想像してしまいます。

 複雑な事情を感じさせる二人。そんななか『動けない/だって目の前に あなたがいる』という「私」の大きな感情…そんな歌詞世界が、「海原の月」というイメージで包括されているわけですね。
 暗くて、不安定で、静かな中にも確かに輝くものが浮かんでいる。…そんな感じでしょうか。
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2008年01月15日

GOING UNDER GROUND「さかさまワールド」

さかさまワールド
さかさまワールド
posted with amazlet on 08.01.15
GOING UNDER GROUND 松本素生
ビクターエンタテインメント (2007/10/17)
売り上げランキング: 401141


<強くしなやかに現実を見据える新境地>

 胸キュンロックバンドとしてすっかり確固とした地位を築いたGOING UNDER GROUND。すっかり安定感を身につけ、安定した活動をしている彼らですが、今回のこの楽曲は特に「新しい」と感じたので、その辺りを書いていきます。

 ラブソングもいいんですが、個人的には「サンキュー」「ハミングライフ」といった、恋愛要素のないメッセージソングのほうが好きだったりします。言葉の切り取り方や音の響かせ方が巧くて、それに何より疲れないメッセージを投げかけてくれるのが一因なのかなと思います。
 シリアスになりすぎず、こうしたほうがいい!と肩に力が入ってしまうことなく、届けてくれる言葉。そうした彼らの歌詞世界が、この「さかさまワールド」ではさらにもう一歩前に進んだように感じるのです。

 『今見てる世界が 全部ウソだっていいさ』と、ばっさりと言ってのけるのにまず驚き。もちろん、投げやりになってしまった、厭世的になってしまったというわけではありません。世界がウソだったとしても自分は揺るがない、そういう強さをさらっと主張しているフレーズなのです。
 この手の「清濁併せ呑む」といったスタンスを示す歌は、Mr.Children「フェイク」平井堅「fake star」など、ちょうど流れができつつあるようにも感じます(3つパッと挙げられるだけで「流れ」といってしまっていいのかは注意するべきところですが)『ニセモノ』も受け入れてしまおうという強靭さを描く一方、そういう主張をしなければならないほどフェイクが世に氾濫している…という意識も、逆説的に感じさせられるスタンスです。

 ただ、この歌は、そこだけに留まりません。
 『同じ夜を過ごしても 一人ぼっちで歩いてく』
 『「きっと僕らはずっと友達」なんて言葉にすればウソだし』
 と、あえてネガティブな想いをズバズバと口にのぼらせていきます。これでひねくれたり露悪的だったりに聴こえないのが彼らの純粋なイメージのなせる業で、実はすごいところなのですが、とにかくこうして現実的な本音をどんどん並べていくのです。
 でも、そこには常に前向きな意志があります。『ありもしない架空の世界を探して旅してる』ことを笑われたり悲しみを抱えることだと書きながらも、それを否定する言葉はありません。時間は戻らないとすっぱりと受け入れた後で、『全てはここから始まる』と宣言してのけてもいます。世界がたとえウソでも、『僕らには消しゴムでも消せない名前がある』と、臆することなく堂々としているのですね。
 「夢から覚めなさい」とか「現実を見ろ」といった類の言葉は、往々にしてネガティブな文脈で使われます。しかしこの楽曲は、それをポジティブに変えて呼びかけてきているわけですね。

 そんな中でも、特に『今日が昨日を超える事がきっとなくても/僕らは待っている』というフレーズが興味深いポイント。進歩史観の鎖とでも言いますか、「明日こそ」と先の未来に期待を持って発奮を促す言葉が、J-POP内に留まらず世間に溢れている中で、過去を超えられなくてもいい、超えようとしなくてもいい、と呼びかけるのは、これはなかなか凄いことです。
 まあ、「超えなくてもいい」というか、それでも超えたほうがいいし超えようと頑張るべき、というメッセージだと読むのが正しそうな気もします。また、超えなくてもいいのは「今日」なので、それは「明日」に「昨日」を超えるための一息休憩のつもりなのかもしれない、という含みはあります。
 でも、どちらにしろ、聴く側をぐっとラクにしてくれる一言だよなあと思うのです。この点が、先に述べた「疲れないメッセージ」という彼らの歌詞世界の特徴を受け継いでいる部分だなあと。それでいて全体には、今までよりもぐっと先に踏み込んだ呼びかけになっているわけです。

 現実的な視線をポジティブに語る強さ。さらに加えて、受け取る相手をすっとラクにできるような柔らかさ。ふたつを揃えた一曲になっているなあと。続きを読む
posted by はじ at 03:38| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月14日

メルマガ、Vol.131発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.131 2008/01/14 発行部数:めろんぱん 444/まぐまぐ 191

<新着レビュー>
KOH+「KISSして」
 〜ピュアな少年らしさを演出する表現

<ひとこと寸感>
CHEMISTRY「This Night」
High and Mighty Color「Dreams」
東方神起「Summer Dream」
FLOW「Answer」
AKB48「僕の太陽」
森山直太朗「太陽のにほひ」
いきものがかり「夏空グラフィティ/青春ライン」
モーニング娘。誕生10年記念隊 「愛しき悪友へ」
タッキー&翼「SAMURAI」
竹内まりや「チャンスの前髪」


 寸感のコーナー、こんなにも飛ばした曲があったんだと改めて驚いています。本当はどれもこれも取り上げてみたいんですが…いやはや、なかなか。


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。

 ※ニュース系メルマガ大手「忙しいあなたの代わりに新聞読みます」にて
  毎週木曜日、音楽コラムを連載中です。
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加藤ミリヤ「LALALA feat.若旦那」

LALALA feat.若旦那(湘南乃風)/FUTURECHECKA feat.SIMON,COMA-CHI&TARO SOUL
加藤ミリヤ 若旦那 SIMON COMA-CHI TARO SOUL 3rd Productions Miliyah Maurice White
ソニーレコード (2007/10/17)
売り上げランキング: 25322


<理想的なパートナーの通じ合いを提供する、密接な呼びかけの応酬>

 まだ未成年ながら、大人びたボーカルを武器に精力的な活動を続けている加藤ミリヤが、湘南乃風の若旦那とコラボレートしたシングルです。なんでも、この二人は同じ高校出身なのだとか。
 彼女の活動には、はっきりした特徴があります。「ロンリーガール」のようなアンサーソング、「ジョウネツ」のようなサンプリング、また「My Girl feat. COLOR」ではカバー&コラボと、まったくのオリジナルではない楽曲を作りシングルとしてリリースしているのですね。
 こういうスタイルって、どうもJ-POPシーンでは話題づくりとか手抜きだとか批判を受けそうですが、特に彼女の場合はそうは感じられません。多彩にあちこちから取り入れてみたり、単純なカバーはせずに自分のスタイルや表現を持ち込もうとしたりと、とてもクリエイティブに料理しているなあと思えるのです。
 個人的には、歴史を見ても最近の流れを見ても、ジャンル問わず二次創作的なスタイルがそのうちもっと隆盛を極めてくるんじゃないか…という想像をすることがあります。彼女の、既存の作品を使っていかに自分を伝えるかというスタイルは、まさにそうした潮流に繋がる小さな流れなんじゃないかなと。

 で、内容ですが。加藤ミリヤが『ずっと愛しているから』と呼びかけ、若旦那が『ただあなたの傍に居たくて私にはあなたしかいなくて』と応じる、パートナー同士で想いを伝え合う形式を取っています。引用したフレーズからも想像できそうですが、かなり重さの乗った感情がずっと綴られています。
 ただ、ちょっと読むと、恋人同士の歌にしては首をかしげるような言葉が出てくることに気がつきます。ミリヤのパートで『慌ただしく部屋出る/君は笑って見送る』、若旦那パートでは『一日中さりげなく時計を見る』という一文が出てきますが、普通の恋人関係に当てはめるとこれはちょっと不思議。働く女性と、専業主夫の歌?もちろんそうしたカップルも世の中にはいることでしょうけれど、歌としてはなかなか斬新な設定です。
 …と、もちろんそんなわけはなく。これ、「飼い主と犬」の間の情愛を描いた楽曲なのですね。

 と考えると、『いつか別れる日が来ても』『ずっと一緒にいられないけど』などと、何かと悲しい未来を想像しているのにも納得がいきます。どうしても寿命が違いますからね。また、若旦那側の一人称が「私」で、『追いかける四六時中 膝で眠る 夢を見る』なんてかなり甘えているふうなのも、犬からの視点だからなのですね。視点もそうですが、彼のイメージとはかなり違う言葉遣いで、そこも面白いです。

 また、お互いの言葉が密に共鳴しているなあと。ミリヤ側で朝キスをして出て行く日課を描くと、若旦那側で『日が落ちてまた朝が来る 待ち続けてるよあなたのキス』と応える。「別れ」のことを繰り返し考えてしまう飼い主に、『最後のほんの数秒まであなたのぬくもり感じたくて』と「そのとき」の犬からの暖かい言葉を描く。ただ言いたいことを言い合うんじゃなく、それぞれのメッセージに結びつきがあるわけです。
 聴き手は当たり前ですが飼い主側に近いわけで。飼われる側の気持ちは想像するしかないんですが、こうして飼い主の気持ちにしっかりと応える姿を描かれると、実際にペットを飼っている人はグッときてしまうんじゃないでしょうか。このパート同士のコミュニケーションからは、ペットと飼い主の理想的な関係を見せよう、という意識が感じられるのです。

 もちろん、歌詞の細部にこだわらなければ、忙しくてなかなか時間が取れない恋人などにもシチュエーションを当てはめることができそうです。
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2008年01月13日

関ジャニ∞「イッツ マイ ソウル」

イッツ マイ ソウル
イッツ マイ ソウル
posted with amazlet on 08.01.13
関ジャニ∞(エイト) CHOKKAKU 長岡成貢 ha-j 上中丈弥 依田和夫 Madoka
インペリアルレコード (2007/10/17)
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<ユーモア溢れる言葉が、ポップソングの中に奥行きを生む>

 『スーパーの袋しまっとくよーなとこ/そーゆーとこツボなのさ』と惚れた相手に、一途な気持ちで接していく姿をユーモラスに描いている一曲。冷たくされてもメゲないし、『しょげたりしないーい』と明るく言ってのける主人公。砕けた口調がいい味出していますが、こういうキャラクターは関ジャニ∞らしいなーと。
 『まっ今もそれほど可愛いってわけじゃない』とまで言っちゃうのは、たぶん歌う人が人だったらアウト!になってしまいそうな危ないラインですが、彼らならヒョーキンな物言いで何とかなってしまうわけです。

 従来の「大阪」を大々的にフィーチャーした一連の作品群から、最近は地方色が削ぎ落とされてきた模様。今回なんて、曲調としては遊び心はふんだんに見せてくれますが、わりと他のジャニーズポップスに近づいてきている感じ。
 とは言っても、没個性化が進んでいるかといえば、決してそうではないです。「関風ファイティング」そして「ズッコケ男道」とシングルを重ねていく中で、コミカルさやユーモアはそのままに、ポジティブで明るいキャラクターを前面に出したポップソングへとシフトしてきつつあるようです。
 そういう意味ではやはりノリは関西ですし、曲調はともかく、こういうキャラの視点や口調で歌えるというのは、間違いなくはっきりと彼らの個性と言っていいでしょう。

 KAT-TUNがクール&シリアス路線で活動しているのに対し、関ジャニ∞はちょうど正反対、ポップ&コミカル路線を進んでいるという印象があります。ジャニーズ事務所は今はっきりと多層化戦略を展開していますが、その観点からしてもKAT-TUNと両翼をはる重要なポジションだよなあと。

 さてこの曲、ただユーモラスで底抜けに明るい真っ直ぐな歌だ、で終わってしまうことはありません。細かく見ていくと、けっこう面白いのです。続きを読む
posted by はじ at 21:58| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月12日

K×ET-KING「この歌を・・・・・・・・♪」

この歌を・・・・・・・・(音符記号)
K×ET-KING K NAOKI-T VINCENT FORD
ソニーレコード (2007/10/03)
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<意外なコラボの組み合わせが、メッセージの強さに華を添える>

 はじめにこの組み合わせを聞いた時はギョッとしましたが、実際に聴いてみると意外とあんまり違和感がない、不思議なコラボレーションで生まれた楽曲です。

 かたや韓国出身、韓流アーティストが一時期続出した中でも特に声で勝負しようという意気込みがあったシンガーソングライター・K。かたや、ハートウォーミング系ラップの新星、「総合司会」担当がいることからしてもパフォーマンスに力を注いでいるヒップホップユニット・ET-KING。
 あまりにも遠すぎて、なんというか裏側の意図なんかも読みたくなってしまうような組み合わせですが、仕上がった楽曲はきっちりと「コラボ」していますね。

 全体のノリはET-KING寄り。明るいテンポの中で、『人は誰でも うまくいかない時もあるから/悲しまないで その手の中は 未来があふれている』とサビで歌っているように、多くの人に向けて暖かく力強いメッセージを発そうとしています。哀愁を感じさせるバラードを得意とするKらしい要素は、あんまり楽曲には反映されていません。
 なので、ET-KING featuring Kみたいな感じではあります。ただ、featuringだと、楽曲は迎える側ではあるにせよ、わりとゲストのパートが前に出てくるものです。が、今回はメロ部分をK、ラップがET-KING、サビが双方…と公平に分け合っているので、確かに×で表現されるようなコラボ、ではあるのかなと。

 面白いなあと思ったのは、『それでもきっと 明日の朝には 新しい世界 待っているから/泣きやんで』のフレーズ部分。ここまでがひとつの文章なんですけど、最後の「泣きやんで」だけ、KからET-KING側にパートが移り変わっているんですね。メッセージを、双方で歌い継ぐことで双方から送る…というような形になっているわけです。
 ほか、『忘れないでほしい 一つになれた友とこの歌を//走り出したら また別々の道を行くけど』と、コラボそのものに言及し「友」と呼んでいるのも面白いです。このコラボの後はきっともう一緒に歌う機会はないだろう(傍目から見てもなさそうではあります)けれど、それでもこの歌を思い出して!と続くこの部分は、コラボしたこと自体をメッセージに取り入れていて、実に爽快です。
 たとえ一時だけでも同じ場所に立ち、ひとつの曲を作り歌った「友」同士からのメッセージ。こうした背景をきちんと曲中に明示することで、『お前一人じゃねぇぞ』という呼びかけが強さを増して感じられる…そう思いませんか?

 それはそうと、爽やかで明るいサウンドに、けっこうKの声が合うのです。これは新鮮な驚き。バラードもいいですけど、こうしてポップなサウンドでたっぷりと声を響かせていたりすると、やっぱり歌上手いなあ、と感じますし。
 ソロワークの中でこういう曲にチャレンジしていたら、もしかするとファンには期待ハズレ、ファン以外には印象なし…という事態になる危険性も考えられる中、コラボという形で新機軸を打ち出せたことはプラスだったのではないでしょうか。
 ET-KINGも、まさかの相手を自分達色に染めて見せることで、懐の広さを見せることはできましたしね。総じて、これはすごい楽曲が生まれた!というような爆発力はあんまりなかったですけど、お互いにとって利はけっこうあったコラボだったんじゃないかなあと想像します。
posted by はじ at 23:58| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月10日

過去ログ発掘のコーナー その32。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
 毎回そのときの気分で一曲選んで紹介するこのコーナーのバックナンバーから、新しいレビュー更新が滞ったとき、ちょこっとずつ抜き出して紹介していきます。メルマガを読んでいない人にはちょっとした暇つぶしに、読んだことのある人にも何か新たな発見があれば幸いです。



≪現代ポップス雑考。≫ Vol.094 2007/04/15
#L'Arc〜en〜Ciel「Still I'm With You」

『約束のない愛に憧れたまま/どこまでも高く舞い上がる』

 ラルクのブレイク前、3rdアルバム「heavenly」の1曲目。ken作曲の、非常に透明感のある1曲です。

 アルバムタイトルにも繋がってきますが、『枯れてしまったあなたの瞳』といった歌詞からは、「死別」をテーマにした楽曲だということが類推できます。しかし、哀しみに暮れ嘆くといったことはなく、「Still I'm With You」…それでもなお二人の愛を信じて寄り添う、といった内容になっているのですね。

 あなたは『新しい世界を見つめてる』んだ、という言い方からも感じますが、「死」を美化し、ポジティブなイメージを描こうとしているのがわかります。
 『約束のない愛に憧れたまま』というフレーズには、どこかその愚かさを自覚しているようなフシもありますが、まるでそんなことはどうでもいいとでもいうように『どこまでも高く舞い上がる』…非生産的で、退廃的で、病んでいる思考。しかし、だからこそ漂ってくる美しさや純粋な想いを表現しようという意志が、ここにはあります。実に彼ららしい美学だなあと。

heavenly
heavenly
posted with amazlet on 08.01.10
L’Arc~en~Ciel 西平彰 hyde
キューンレコード (1995/09/01)
売り上げランキング: 14428




 最近の何でもあり、どんなコンセプトもこなす熟練を感じさせる楽曲群もいいものですが、初期の何ともいえない透明度の高い退廃感も忘れがたい魅力があります。昔のアルバムは聴いたことがないという新規ファンも、この魅力を味わってみてほしいところです。
posted by はじ at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月09日

B'z「SUPER LOVE SONG」

SUPER LOVE SONG
SUPER LOVE SONG
posted with amazlet on 08.01.09
B’z 稲葉浩志
VERMILLION RECORDS(J)(M) (2007/10/03)
売り上げランキング: 24411


<イメージを小さく限定したくないから、思い切って大風呂敷を広げる>

 アッパーでまっすぐな、B'zらしい王道ロックチューン。いつにも増して飾り気が少なく、太いベースの音が本格的な装いです。で、歌っている内容もだいぶでっかくなっている感じ。

 『論争が終わり 善悪の概念も消える/思わず君が震えてしまうような/SUPER LOVE SONG』を歌ってみたい、と切望する。いわゆる男女の恋愛のラブソングというより、もっと広く隣人愛や人類愛、博愛に近いイメージという印象です。しかも、「紛争」や「冷戦」を正面からはっきりと否定してみせたりするのもおおっときますし、愛は『静かにそこにあって 動かない/人はただそれを見つければいい』なんてあたりのフレーズは胸がすくような名文だなあと思います。言葉にも、かなり気合が入っているなあと。
 たとえば、「愛のバクダン」なんかだと「バクダン」に喩えて愛を降らせたい、と言っていました。そういう置き換えをすることなく、「SUPER」と言ってしまうくらいの大風呂敷を広げながら、よりまっすぐな形で「愛」を主張しているわけです。大きな「愛」を、実に強い表現で言葉に表している、そんな印象を受けます。

 近年のB'zは、男女の恋愛を描くに留まらず、弱さを内包しながらも強さタフさを志向し、呼びかけていくような楽曲をいくつか出していまして。その志向は、「愛のバクダン」だったり、「衝動」だったり、「ゆるぎないものひとつ」だったりというような表現をもって象徴されています。
 共通しているのは、どれも明確なイメージができない、抽象的な表現であるということです。今回の「SUPER LOVE SONG」もそうですが、それってどんなものだろう?と考えたとき、あえて言い尽くせないような広がりのある言葉を選んで据えている、というような気がするのです。
 これは、歌に込めたい思いを限定したくない、どこまでも広がりを持たせたいからこそだと考えられます。大きな爆発力を感じさせる「愛のバクダン」に、激しくほとばしる「衝動」に、どんなものか不確かながら「ゆるぎないものひとつ」だったり…そして、とにかくでかくて広くて深い、途方もない「SUPER LOVE SONG」。これらは、表現は違えども『ぶっとい根っこで ギュッとつながってる』、ほぼ同じ想いを源泉にしてできている言葉なんじゃないかなあと思うのです。続きを読む
posted by はじ at 23:28| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月08日

DREAMS COME TRUE「ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜わたしたちの未来予想図〜」

ア・イ・シ・テ・ルのサイン ~わたしたちの未来予想図~
DREAMS COME TRUE 中村正人 吉田美和
UNIVERSAL J(P)(M) (2007/10/03)
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<積み上がった確かな時間が、思い描いた幸せを未来から今に落とし込んでいく>

 DREAMS COME TRUEが過去に発表していた人気曲「未来予想図」「未来予想図U」の、今現在を思い描いて作られたという今作。奇をてらうことのない、まっすぐなバラードになっています。

 このシリーズ、特に「U」に関しては有名で、シングルA面では発表されていない(アルバム「LOVE GOES ON…」収録、「笑顔の行方」のカップリング)にもかかわらず、おそらく耳にしたことがある人は多いことでしょう。「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」は、『ヘルメット5回ぶつければ』ではなく『ブレーキランプ5回点滅』で覚えている人のほうがずっと多いはず。
 実際、曲ができたのは番号順ではあれど、発表されたのは「U」が先だったりしますし。
 で、この「未来予想図」「未来予想図U」を元にした映画が製作されるにあたり、15年以上の時間を超えた続編という位置づけで、主題歌として作られたわけです。

 二人の幸せな未来を思い描く「未来予想図」。そして、歌詞中で特に印象深い「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」の移り変わり。3作品の間には、このふたつを軸として、確かに進んでいく時間の流れを感じさせてきています。

 そして「未来予想図」に関しては、1作目ではただ未来のなんとなくの夢想、というものでした。ひと夏を楽しく過ごし、これからも一緒にいたい!自分自身の未来に、「あなた」もいてほしい…というものでした。
 2作目では、時間は流れて『卒業してから もう3度目の春』。それでも二人は、相変わらず幸せな時間を過ごしています。そして過去を振り返りつつも、『ずっと心に描く 未来予想図は/ほら 思ったとうりに かなえられてく』とこぼすわけですね。ここには、1作目にはなかった重みがあります。二人の時間の積み重ねは、思い描く未来がかなっていくという表現で、確かな幸せとして感じられているわけです。
 そして今回。『わたしたちの未来予想図は まだどこかへたどりつく途中』。かなえられていた未来予想図は、まだ完成していない。しかし、それは、決して悪いことではありません。というか、完成するものではないんだ!と主張されています。
 二人で日々を過ごしていくことの幸せ。それが「U」では、予想図がかなっていくという形で実感されていました。しかし、その幸せな毎日をさらにずっと積み重ねていくうちに、先の未来を見るよりも『あなたとの“今日”に 感謝している』、『一緒にいるこんな毎日が 積み重なって描かれるの』というように、今このときを大事にしたい!と、そんな想いが強く描かれているのです。続きを読む
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2008年01月07日

メルマガ、Vol.130発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.130 2008/01/06 発行部数:めろんぱん 446/まぐまぐ 190

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
KOH+「KISSして」
 〜それぞれのマルチな才能を組み合わせた一曲

<新着レビュー>
Acid Black Cherry「愛してない」
 〜「狂おしさ」漂う感情を奔放に追求

<ひとこと寸感>
Sowelu「誰より好きなのに」
Berryz工房「告白の噴水広場」
伊藤由奈 with Micro of Def Tech「Mahaloha」
中川翔子「空色デイズ」
abingdon boys school「Nephilim」
MISIA「ANY LOVE」
Fayray「ゼロ」
シド「夏恋」
MINMI「シャナナ☆」
SOPHIA「星」
RYTHEM「蛍火」
中ノ森BAND「旅への扉」
熊木杏里「七月の友だち」
キリト「拍動」
COLOR「Blue Sky」


 今年の年末年始、ブログはまとめなどもしつつ平常更新となりました。本当はもうちょっといろいろできると良かったんですけど。
 メルマガのほう、寸感のコーナーをすっかりほったらかしにしていたので、こちらは年末年始を利用してがーっと進めてしまおうと。今回15曲まとめてみましたが、まだ昨年7月までだったりします。来週も引き続き、総まくりです。


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。

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2008年01月06日

Acid Black Cherry「Black Cherry」

Black Cherry
Black Cherry
posted with amazlet on 08.01.06
Acid Black Cherry 林保徳 村下孝蔵
エイベックス・エンタテインメント (2007/09/26)
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<ほとばしる感情表現は、男性ボーカルゆえのもの?>

 Janne Da Arcボーカルyasuのソロプロジェクト、Acid Black Cherry。1作目「SPELL MAGIC」はヘビーに決めたロックサウンドでしたが、今回はガラリと趣向を変え、ジャズテイスト溢れるハイテンポなスイングになっています。
 情感豊かなイントロから、ホーンセクションが色彩豊かに入ってくる展開にしても、ジャジーなコード展開やメロディメイクにしても、かなり堂に入っているなあと感心。特にメロディラインと歌い方は、スイングのリズムを生かした形に巧く仕上げているなあと感じます。

 で、歌詞は、エロです。「SPELL MAGIC」も相当あれこれ入っていましたが、今回はより多く、直接的。『かじりついた果実は/甘い甘い猛毒で…犯されて』くらいはまだ序の口で、そのうち『中に出して!』『私の中へ種を残して!』という叫びが繰り返されています。
 や、エロ全開なのはまあ、いいんです。ソロの開放感もあるんでしょうし、やたら楽しそうですし。けど、せっかく情緒的なアレンジになっているので、もうちょっと奥ゆかしい感じにしても良かったんじゃないかなーと。淫靡でいい雰囲気の、オトナな一曲にもできたかもしれないなあと思うのです。

 感情が昂ぶるあまりに『こんなに惨めにして!』と感情が倒錯していってしまう、みたいな描き方は、興味深いところです。女性だと、あんまりこういうのやらないですし。
 女性ボーカルがこういう曲を歌うと、こんなに激情をほとばしらせたりはせず、ぐっと抑えた感じにしないと、たぶん共感はされないでしょう。…ああ、そう考えると、奥ゆかしく淫靡にしないで全開で振り切っているのは、男性が女性視点で歌うならではなのかもしれませんね。
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2008年01月05日

ET-KING「ギフト」

ギフト
ギフト
posted with amazlet on 08.01.05
ET-KING NAOKI-T SHANTY-NOB
UNIVERSAL J(P)(M) (2007/09/12)
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<「ハートフルな語り」の新潮流>

 このところ、ハートフルなテーマをリリックに乗せて歌い、人気を拡大してきているHIPHOPユニットです。

 日本のヒップホップシーンでは、曲の中でひとつのストーリーを組み上げストリングスを取り入れて感動的に演出する、ハートフル系の流れが定着してきたように思います。で、大切な人への感謝の気持ちを赤裸々にメッセージに託す、といった形をとるリスペクトソングは、そうした一派はもちろん、他のユニットにも見られる傾向です。
 古くはまず、Dragon Ash「Grateful Days」があります。その後、2001年に三木道三「Lifetime Respect」が大ヒットします。これ、正しくはレゲエですが、ただこの曲が世に出たことによって「砕けた言葉で」「赤裸々な気持ちを」「音程のあるラップ調で語り連ねる」という様式が、一般に浸透するわけです。

 で、ケツメイシ「トモダチ」「涙」あるいはちょっとジャンルは外れますがORANGE RANGE「花」などの哀愁泣き系統や、Home Made 家族「サンキュー!!」THC!!「オメデトウ」湘南乃風「応援歌」といった、恋人や家族や友人、周りの人に感謝の気持ちを捧げるタイプの系統がどんどん現れていきます。端的に言えば「語り系」でしょうか。普通に話すようなトーンなので生の言葉っぽさを出せつつ、かつコードに乗っているぶん感動が増幅する、そんな生かし方をしているわけですね。

 前置きが長くなりましたが、ET-KINGは一作前の「愛しい人へ」は恋人へ、その前の「Beautiful Life」は仲間へのメッセージを込めている作品で、ストーリー性もありかなり「語り系」の要素が強いユニットです。
 今回の「ギフト」では、『それこそこの世でたった一つの贈りものなんや』『One life もろたもんは生き甲斐』など、関西弁を駆使。関西弁は彼らのホームグラウンド性を表すだけでなく、感情と馴染みやすく、より親しみやすさを強調する効果があるのですね。 この分野だと次のブレイクはFUNKY MONKEY BABYSかなと思っていたのですが、こちらは関西弁なぶん親しみやすさを強めに出せるので、その点は有利ではないかなと。

 この関西弁による効果を意図的に狙っていることは、他の楽曲やこの曲内でも場所を選んで混ぜ込んでいることから伺えます。もっとも繰り返されインパクトのあるサビでは、「一生 忘れられへん」ではなく『一生 忘れられないよ』としていますし、『知らず知らずのうちに/どれだけ救われたんだろう』など、シリアスな部分ではずっと標準語で押し通しています。でもって、ラストは『ほんまにありがとう』で締める、と。
 ふたつのイントネーションが混ざっていると、なんだかまとまりが悪い、完成度が低いというように感じる人もいることでしょう。しかし、自分の胸中は標準語/「お前」への呼びかけになると関西弁、とある程度使い分けていますし、また真面目に伝えたいけど照れが混じる、みたいなイメージもできますから、決して悪いことではないんじゃないかなと。

 あと注目したいのは、抽象的/一般的な描写からはみ出し、具体的なエピソードを提示しているという点ですね。「手紙」あたりはまあありがちな小道具なんですけど、『雑誌に載ってた流行りのシャツ』を見つけて届けてくれたことにグッとくる、なんてあたりは、かなり細かいエピソードですよね。
 湘南乃風にもこうした傾向があって、これはまたそうしたフレーズが好まれる潮流がじわじわと来ているってことなのかなーと。今後、こうした「語り系」ハートフル派を中心に、注目しておきたい点です。
posted by はじ at 17:17| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月04日

中島美嘉「永遠の詩」

永遠の詩
永遠の詩
posted with amazlet on 08.01.04
中島美嘉 CHINO 勝手にしやがれ 森俊也 STEPHEN McGREGOR 宮沢和史 Cole Porter
ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ (2007/10/03)
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<言葉の有機的な繋がりが、広さと深さを作り出す>

 レゲエのゆったりと広いグルーヴの中、いつもの中島美嘉の線の細いボーカルが乗っている、映画「サウスバウンド」主題歌。
 彼女は、2006年には「CRY NO MORE」「ALL HANDS TOGETHER」となんだかやたらと壮大でグローバルな作品を歌っていました。ただ、こちらはもっとなじみやすい緩やかな雰囲気。

 でも歌詞は『暗闇へ旅立つ/勇気があれば/終わりのない愛に辿り着く』と、壮大で深い「愛」の形を歌っています。ただ、繊細なバラードでひとつの恋人達のエピソードを描いた「雪の華」や、ひたすらシンプルに想いを伝える「愛してる」の例もあるように、彼女の声や音楽性は、壮大なサウンドよりも繊細な音の中で深い内容を歌うというほうが合っているような気がします。
 しかもこの「永遠の詩」は、シリアスなサウンドではなくてレゲエのゆったりした調子。変に感動を煽るのではなく、じんわりと響いてくるような感覚を受けます。

 歌詞の特徴としては、1コーラスと2コーラスで、ほとんどが対句的に対比して表現されているという点があります。
 たとえば「あなた」をどこまでも追おうというサビのフレーズの中で、1コーラスは『たとえ夕陽が沈まなくても』2コーラスは『たとえ朝日が昇らなくても』と、夕陽/朝日の対比。これだけならわざわざ抜き出すようなほどではないですが、他でも「空/海」「『永遠の彼方』/『終わりのない愛』」「風/雨」「明日/あなた」などなど、歌詞のほとんどが孤立せず有機的に繋がっているのです。
 こうした繋がりから、それぞれの言葉からだけではないイメージやメッセージの広がりが生まれてくるのですね。

 ただ『たとえすべてを失くしても』とだけ言っても、陳腐に感じてしまう人もいることでしょう。そこをこうして構成や表現をきっちり整えて示すことで、言葉に深みを持たせて聴かせようとしている工夫が感じられます。
posted by はじ at 22:34| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(な行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月03日

SEAMO「軌跡」

軌跡
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<ウェットな感情で「泣き」を演出する>

 スローなテンポで哀愁のある旋律が奏でられる、別れた相手のことを想い返す「泣き」の一曲。
 2006年にロングセールスを記録した「マタアイマショウ」の続編!なんて巷では言われていたりして、確かに別れの瞬間の気持ちを切り取った「マタアイマショウ」からその後のこと、という風に繋がりそうではありますが、詞を読んでいくとそんなこともないような。

 「マタアイマショウ」は、別れを寂しく感じていながらも、もう会うことはないだろうとどこかドライな視点もありました。しかし、今回の歌詞は、『進むべき道はまだわからない 神様頼り あの頃のまま』と、とてもウェットな感情に満ちています。別れてからも『それでも僕の中は 君たった一人 今も僕の一番大切な人』と言っていたり、夢の中で会おうとしていたり、全然吹っ切れてない感じ。もちろん、そここそが「切なさ」を醸しだすポイントではあるんですけれど。
 時間が過ぎるほどに思いが募るということもあるでしょう。けれど、ちょっと個人的には同一人物の視点とは考えづらいです。はい。

 こうしたウェットな感情の描き方は、ほぼ同時期にリリースされたSoulJa「ここにいるよ feat.青山テルマ」でも強調されていたものでした。「切ない」楽曲はこのところより求められてきていますが、その多くはこうしたウェットな感情を表に出す形をとっているように感じます。
posted by はじ at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(さ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月02日

2007年マイベスト集。

 年をまたいでしまいましたが、2007年の個人的お気に入りを紹介します。
 「去年1年間にレビューした曲」なので、だいたい2006年10月〜2007年9月の間にリリースされたシングルとなります。

※オリコンシングルチャート2007年1〜50位の一覧は、こちらです。
※オリコンシングルチャート2007年51〜100位の一覧は、こちらです。続きを読む

2008年01月01日

YUI「LOVE&TRUTH」

LOVE&TRUTH
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<マイナー主体の展開は、単なる初期への回帰ではなく>

 映画「クローズド・ノート」主題歌。こちらは沢尻エリカの主演ということですが、以前「タイヨウのうた」でもそれぞれ映画版の主役&テーマ(YUI for 雨音薫「Good-bye days」)とドラマ版の主役&テーマ(Kaoru Amane「タイヨウのうた」)を演じた二人ということで、なんだか縁があるのでそうか。そう言えば、どことなく雰囲気が似ているような気もします。あんまり笑わないところとか…

 曲調は、久しぶりにデビュー当時に近いものを感じました。マイナー主体で、盛り上がっていってもどこかに陰を落としながら進んでいくミドルテンポ…と、1st「feel my soul」2nd「Tomorrow's way」あたりと共通する要素が多いのですね。
 でも、そのぶん、詞の中身が初期とはかなり違っていることが引き立って見えてきます。今回は、『こんなに想っている』と始まり『あなたのこと知りたいよ』と求めていく、強い恋愛感情のこもった言葉が並んでいるわけですね。

 彼女がはっきりと恋愛を主題にした楽曲を歌うようになったのは「Good-bye days」から、そして自分の気持ちをはっきりと示し語るような書き方になったのは「CHE.R.RY」から。明らかに、ここ最近で恋愛感情の表現が増え、そして多彩になってきている…という印象があります。
 今回の切ない想いは、『もう出逢ってしまったの』とどこか悲劇的な匂いのする、しかしドラマティックさを感じさせる語られ方をします。それは、『あなたが今 見つめてる ひとがいると わかっても』と、その想いが一方通行になっている現実を知っているから。しかし、自分の内側に生まれた感情=『“あいのうた”』は、もう消すこと、隠すことはできない。この点が、「出逢ってしまった」から…という悲劇的な描き方や、「愛と真実」というタイトルに込められた意味、そして陰のあるマイナー調の楽曲アレンジに結びついてくるわけですね。

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