2007年12月15日

秦基博「青い蝶」

青い蝶
青い蝶
posted with amazlet on 07.12.15
秦基博 島田昌典 UA
BMG JAPAN (2007/09/12)
売り上げランキング: 208422


<手に入れたいものは、美しくも儚いイメージ>

 新進アーティスト、秦基博の3枚目のシングル。ミディアムテンポの中を豊かな声量と硬軟をつけた歌い回しでしっとりかつドラマティックに仕上げています。キャッチコピーが「鋼と硝子でできた声」と言うらしいですが、なるほどなーと。

 『羽の色 鮮やかな虹色に光るってこと』と言われる「青い蝶」。『まるで悪い夢のよう/ねえ 今どこにいるんだろう』と自分の居場所を見失っていた「僕」は、その蝶を捜し求めにいく…というのが大筋の展開です。
 「青い蝶」というのは、具体的なものではなく、いわゆる「青い鳥」を意識したイメージ上のモチーフなのでしょう。その鮮やかなイメージに、今度こそ手に入れようとしている『欲しかったもの』を託しているわけですね。

 そのまま「青い鳥」ではなく、なぜあえて「蝶」にしたのか?という点については、まあありふれたモチーフをそのまま使いたくなかったのかなーとう想像ができそうです。
 また、鳥よりも小さくてどこか儚さもある、そんな印象を乗せたかったのかもしれません。というのは、歌詞中でも『欲しかったもの 見失うくらいなら/潰れてもいいくらいに 握りしめるんだ』というフレーズがあるんですね。何が何でも手に入れようとする強い意志を感じさせるこの言葉は、手で握ったら潰れてしまうような蝶のイメージと繋がって生まれた表現なんじゃないかなあと感じました。

 あと気になったのは『君も連れて行ってあげるよ』という部分。ともに探しに行こうというのではなく、あくまでも中心は自分自身。「君」という存在は使いやすくてつい安易な表現に使ってしまいがちなものですが、自分の追い求めたものをもう一度探しに行く、というキモの部分をズラすことなくうまく「君」を取り入れているなあと。


 彼はオーガスタという事務所の新人なのですが、先輩方の匂いもしつつ、どの性質も過剰に背負いこまず取り入れて消化しているなあと感じました。
 低音はちょっと陰りのある感じでスガシカオっぽくもあるんですが、でも高音は抜けがいい。言葉遣いや詞の全体構成はスキマスイッチぽくもあるんですが、彼らほど砕けた言い回しだったり緻密すぎたりしない。それに「青い蝶」なんて表現でイメージを広げるのは、どちらかというと山崎まさよしやスガの分野に近いかもしれないなあとも思ったり。

 最近はミックス系とでもいうのか、ひとつの方向性を突き詰めるんじゃなくて、ある程度いろんな要素を含んだもののほうが当たる、というような傾向があるのではとちょっと思っていまして。恋愛だけ、メッセージだけじゃなく、恋愛のシチュにメッセージを込めるとか。主人公のキャラが、言葉遣いや態度は「俺」系だけど実は繊細で情に弱い、とか。中庸がいい、というよりはあれこれ詰め込んだゴージャスさが好かれているのかなーというふうに感じています。
 それだけだと大きな特徴がないとかで目立たないようになってしまいそうですが、声は独自の良さがあるので、今後にも注目していきたいところです。


posted by はじ at 12:18| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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