2007年12月31日

2007年シングルチャート一覧・1〜50位。

 2007年のオリコン年間チャートのうち、当ブログにて取り上げたランクイン曲のレビューへ飛べるようになっています。

※51〜100位の一覧は、こちらです。

・数字はリリース日付。2006年発売の曲は後ろに(06)とついています。

・これからレビュー予定の数曲、リンク先ができてないものがいくつかありますが、そのうち書きますので気長に待っててください。続きを読む


2007年シングルチャート一覧・51〜100位。

 2007年のオリコン年間チャートのうち、当ブログにて取り上げたランクイン曲のレビューへ飛べるようになっています。

※1〜50位の一覧は、こちらです。

・数字はリリース日付。2006年発売の曲は後ろに(06)とついています。

・これからレビュー予定の数曲、リンク先ができてないものがいくつかありますが、そのうち書きますので気長に待っててください。続きを読む

2007年12月30日

BoA「LOVE LETTER」

LOVE LETTER
LOVE LETTER
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BoA ArmySlick h-wonder YANAGIMAN Emi Nishida Shoko Fujibayashi Natsumi Watanabe
エイベックス・エンタテインメント (2007/09/26)
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<多くの人に愛されるキャラクターを描き出す>

 どうもここ最近はバラードのイメージが強くなってきたBoA。冬は必ず出してますよね。
 「メリクリ」とか「Everlasting」あたりに比べると、リズム隊とか音作りが繊細になってような印象がありますが、しかし全体的にはベタなメロディラインと展開になっています。サビ頭『愛し合って 伝え合って もっとそばで 感じたいの』なんて、言葉も合わせてモロにJ-POPの文法ど真ん中、という感じです。
 …と思ったら、前回の冬にリリースした「Winter Love」でも同じことを言ってましたね。こうしてみると、はっきりとブレない路線でリリース展開をしている、ということがよくわかります。

 しっとりした雰囲気、そして歌い方もかなり大人っぽさを意識しているようです。ダンスミュージック一本だった10代とは違い、20代となった今はそういう「成長」を感じさせる面が毎回どこかにあるようです。どうもあんまり冒険はしないみたいですけど。
 とはいえ、歌詞はまだまだ「大人の女性」というよりは「かわいい女の子」。『「好き」とMailにして』なんてメールという小道具からしても若さを感じますし、『やっぱり大好きな人と 幸せになりたいの』と言われると、微笑ましい気持ちになりますよね。

 BoAのようなアイドル性のある人だと、曲の内容って本人のキャラクターにも繋がる特に大事な要素だと思うのです。で、この曲のキャラクターって、同世代の女性にとっては<オトナっぽくなろうと頑張っていて、でもかわいらしい気持ちも抱いている>みたいな、すごく共感しやすい人物像なんじゃないかなと。で、男性にとっては、微笑ましい後輩・妹のような存在として映るのかなと。どちらにしても、好感度の高いキャラクターなのかなと思います。
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メルマガ、Vol.129発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.129 2007/12/30 発行部数:めろんぱん 449/まぐまぐ 190

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
Acid Black Cherry「愛してない」
 〜感情を激しくぶち撒ける小気味の良さ

<新着レビュー>
ケツメイシ「聖なる夜に/冬物語」
 〜隙のないクリスマス感/叙情性より感情を前に

 気がついている人もいるかもですが、ただいまようやくブログ移行前の過去ログの整備・公開を進めています。年末年始の大掃除です。

 現在のところ、2004年のログをあらかた発掘しました。あんまり感傷に浸っているといつまで経っても終わらないのでさっと流し読みですが、あーこんな曲あったよなーとか、当時はこう考えていたよなーと感慨にふけりたくなってしまいます。興味のある方、年始にヒマだという方は、よろしければどうぞ。

 2004年のレビューは今よりもだいぶ短く、そして尖っています。でも、ほとんど変えずにそのまま載せます。今と言っていること違うじゃん!ということもありますが、まあそのあたりはニヤニヤしながら眺めていただければ。


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2007年12月29日

SoulJa「ここにいるよ feat.青山テルマ」

ここにいるよ feat.青山テルマ
SoulJa 青山テルマ 佐藤博
UNIVERSAL J(P)(M) (2007/09/19)
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<「離れても通じ合う二人」しかし「伝えられない想い」…ギリギリまで磨き上げられた切なさ>

 今年メジャーデビューした新進ラッパーSoulJaとR&Bシンガー青山テルマのコラボレート曲。じわじわと話題になり、なかなかの長い期間にわたってヒットを続けていました。
 今回が3作目となるシングルは、その前のアッパーな2作とは対照的に、センチメンタルさ全開のミディアムチューン。『伝えたい気持ちそのまま言えずに 君は行っちまった』と、遠く離れてしまった想い人への心情となっています。

 近年、J-POPは、「切なさ」を醸し出しまくる楽曲が目立つように感じます。もちろん昔から重要な要素ではあるんですけど、どんどんとその傾向が強まった、極端になった楽曲が出て、ヒットしているように思うのですね。それは、「感動」「号泣」が映画やドラマで流行しているように、時代全体の流れなのかなーとも考えています。
 そしてこの曲は、ちょっと究極的なくらい「切なさ」を追求した内容になっているなあと。その辺を追求してみたいと思います。

 ポイントは、その「伝えられなかった気持ち」の発露の仕方です。
 遠くへと行ってしまった相手への気持ちを、『電波でしか会えない日々』とあるように、やりとりしているメールで伝えようとする。しかし、あれこれと言葉は出てくるのですが、決定的な一言はなかなか形になりません。
 思い出を語ってみたり、元気でやっているかどうかと気遣ってみたり。しかし、『ちくしょう、やっぱ言えねえや/また今度送るよ』『言葉出てこねぇや』『まぁ そんな事はいいんだ 言いたいことはそんなんじゃねぇんだ』と、この他にも延々と繰り返し言葉を紡ごうとしては、結局ダメだと投げ出してしまっているのです。

 この手のシチュエーションだと、「今ならわかる」「この気持ちを伝えられる」「会いにいく」と、離れてようやく気持ちを伝えようとできる、というパターンがほとんど、という印象があります。それで会いにいこうとしたり、今はもう伝えられない…と後悔に浸ったりする、という。
 しかし、この歌はそうではなく、離れた今もやはり気持ちを伝えることができないまま、なのです。どうしようもなく伝えたいのに、うまく言えない。そのもどかしさが、切なさに繋がります。

 さらには、サビの青山テルマが歌う部分は、『Baby boy わたしはここにいるよ』と女性からのメッセージという形になっています。この返答では、『どこもいかずに待ってるよ』と、女性側もまた男性側を求めている、アクションを待っているということが示されます。
 また、ただ女性からの呼びかけだけというわけではなくて、途中からSolJaも歌に加わったり(曲の盛り上がりにも繋がっていますね)またはSolJaが一人で「Baby girl」と語りかけたりもしています。これが、「男女のどちらもが相手を待ち望んでいる」ということ暗に示しています。

 お互い想い合っている。でも、その気持ちは『Unsent letter』=送られない手紙、つまりは目に見える形では送られないのです。
 『話かなりそれちまったがわかるよな?俺が言いたい言葉』
 『言いたい事わかるでしょ?/あなたのこと待ってるよ』
 男女パート、それぞれには、こうした相手への理解を求めるフレーズが出てきます。直接は言えない、メールでは送れないけど、この気持ちは伝わらないかな?きっと伝わるよね?とお互いに期待しているのですね。実際に伝わりあっている、でも、平行線のままの二人の関係。このシチュエーション設定が、聴き手の感情を否が応にも揺さぶってくるのです。
 特に男性パートは、長々と語ったあげくハッキリ言えない!と言い出し「わかるよな?」…という流れで、少々苦笑してしまうくらいにヘタレな感じです。でも、それがやっぱり切なさを醸し出すんですよね。
 さすがにここまでは受け付けない人もいるでしょうけれど、行き着くところまで「切ない」心情を描き出そうとしている、というこの過剰さが、ロングセールスの源になっていたんじゃないかなと。続きを読む
posted by はじ at 14:30| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月27日

浜崎あゆみ「talkin’2 myself」

talkin’2 myself
talkin’2 myself
posted with amazlet on 07.12.27
浜崎あゆみ H∧L Yuta Nakano Tatsuya Murayama ayumi hamasaki
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<メロディラインのインパクトが言葉の説得力を増す>

 新曲は、ガッチリとしたリズム隊が印象的。重々しいリズムとハンドクラップ、というパンチが効いたサウンドになっています。メロディラインは、サビがかなり特徴的ではあるものの、そこまで違和感のあるようなものではなく、いつも通りの範疇。なので、全体としては、「Bold&Delicious」ほどは突き抜ていない、メリハリのついた一曲、というところ。

 楽曲的には、何よりもサビの畳み掛けるリズムがポイントと言えそうです。同じリズムをどんどん前のめりに重ねてインパクトを出しつつ、『現実はいつだって/悪戯に僕達を振り回す』と歌っていきます。
 この歯切れのよさが、言葉の響きをも強めている感じ。もともとメッセージ性が高い内容ですが、畳み掛けられる旋律に乗せて『満たされない想いがもし/あるのならそれは君自身の手で/創られたもの』と語られると、説得力がより強まるようです。

 と、投げかけられる一言ひとことに重みは持たせられているのですが、全体としてはひとつのテーマに収束しているという感じがあまりしません。一応、情報や誘惑が多い現代も『僕達はそれぞれの/選択をして行くべきなのだろう』というところが本筋のようですが、「満たされない気持ちは自分が作り出している」「破壊から創造が生まれる」というところも混じってきて、やや錯綜気味かなと。
posted by はじ at 07:16| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月26日

過去ログ発掘のコーナー その31。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
 毎回そのときの気分で一曲選んで紹介するこのコーナーのバックナンバーから、新しいレビュー更新が滞ったとき、ちょこっとずつ抜き出して紹介していきます。メルマガを読んでいない人にはちょっとした暇つぶしに、読んだことのある人にも何か新たな発見があれば幸いです。



≪現代ポップス雑考。≫ Vol.094 2007/04/15
#Mr.Children「彩り」

『そんな些細な生き甲斐が 日常に彩りを加える』

 ミスチル最新アルバムのプロモーションで、やたら街中でガンガンとかかりまくっている気がするこの一曲。確かにニューアルバムのコンセプトが表れている一曲だなあと思います。飾りのない毎日、壮大じゃない日常の大切さ、見えない大きなつながり…そんなものですね。

 この曲の何に衝撃を受けたって、出だしの「ただ」。この、たった2音。曲の入りの、なんでもない2音の、ぽん、と放り出すようなリズム。これ、何の変哲もなさそうで、今まで聴いたことのないリズムです。
 で、このほんのちょっと不思議な歌い出しが、そっと聴き手に穏やかさを与えているような気がします。つまり、この楽曲のコンセプト、アルバムのコンセプトをこの2音が担っていて…とはさすがに言いすぎか。

 で、2番の同じ部分が「今」。ふたつ繋げると「ただいま」で、これは曲中間奏部分で『ただいま/おかえり』と出てくる単語…これもやっぱり考えすぎか。

HOME(通常盤)
HOME(通常盤)
posted with amazlet on 07.12.26
Mr.Children Kazutoshi Sakurai
トイズファクトリー (2007/03/14)
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 今年、もっともセールスをあげたアルバムです。渋谷TSUTAYAで、プロモーションの一環なのか風船を配っていたのを目にしたのが印象的でした。

 この「彩り」の歌い出しのふわっとした入り方は個人的にはかなり鮮烈なインパクトになっていて、今読み返してみるとそれがありありとわかりますね。で、最新シングル「旅立ちの唄」でもリズムは違えどやはりふわっと感がある歌い出しになっていて、この感触はきっと伝えたいことの一翼を担っている表現なんだなあ、と思ったりしています。
posted by はじ at 02:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月25日

おしりかじり虫「おしりかじり虫」

NHKみんなのうた おしりかじり虫
おしりかじり虫 松前公高 うるまでるび
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<コミュニケーション不全社会への果敢な挑戦、なのか?>

 2007年度セールスオリコン43位、10万枚以上を売り上げた怪作。ふと耳にして、何だこれは!と思った方もきっと多いはず。
 もともとは「NHKみんなのうた」で発表され、話題を集めてのCDリリースという流れでした。このへんは「だんご3兄弟」など、同番組や他の子ども向けファニー系のヒット曲と同様ですね。昨年のキグルミ「たらこ・たらこ・たらこ」もCMから火がつきましたし、1年に1枚くらいこの手のヒットが出てくるなあと。

 奇抜、というより奇妙かつキテレツな名前ですが、これはキャラ造形からこの曲まですべてを手がけたアートユニットうるまでるびによると、「世知辛い日本を元気にするため、おしりにかじりつくことで人を笑顔にする」というコンセプトが込められているとか何とか。

 確かに、現代では、コミュニケーションが少なくなっている、という傾向が指摘されています。引きこもり問題もそうですし、ネットやメールなど顔を合わせないコミュニケーションの発達、接客のマニュアル化の進行なども、人と直接やりとりする距離感を狂わせる一因となっているような気もします。
 そんな内向的な現代人へのカウンターとしての「おしりかじり虫」。おしりにかじりつく、なんて行動は、コミュニケーションとしてはかなり突飛で過激です。しかし、それくらいの勢いがなければこの現状を打破することはできない、という危機感を感じてのことかもしれません。インパクトがある名前でなければ、その警鐘も見過ごされかねませんし。…また、「虫」という存在を立てていることも、すでにただ人間同士で取り組むだけではこのコミュニケーション不全問題を解決することはできない、とでも言いたげな皮肉も含まれているのではないでしょうか。
 歌詞中には『「都会のおしりは苦かった…」』なんてフレーズも現れます。その点を考えても、現代の病に真摯に向かい合おうとするはっきりとしたスタンスを見て取ることができます。おしりをかじるなんてという非道徳的なアクションで世の中を変えようとする、アナーキー、革命的な姿勢も感じます。これを子ども向けソングという形にして世に出すのは、既存の価値観を打ち壊す概念をこれからの世代に早い段階で植えつける、啓蒙のためなのかもしれません。

 …などと真面目ぶってあれこれ吹いてみるのはとても楽しいんですが、まあそんなに深い意図はないでしょう、たぶん。
 おしりをかじるというのも、社会的どうこうというよりは、どちらかというと単に「ゆるキャラ」「変キャラ」の範疇でしょう。キャラクター産業は、市場が広がりすぎて今やインパクトがある造形や設定などがないと厳しいですからね。
 「虫」なのも(本当は妖精らしいですが)そりゃ「おしりかじり男」とかだったらただの変態かよって話ですし。「都会のおしりは…」云々も、メッセージ性を真剣に考えるんだったら、「なんだそりゃ!」とツッコまれるのを期待しているユーモアなんだろう、と片付けるほうが近そうです。発案段階では実際に「この歌で世の中を明るくしよう!」という意図もあったのかもしれませんが、基本的にはコミカルさを重視しているんじゃないかと。

 それにしても、ひたすらエフェクト全開のボイスで、『おしりかじり虫』と繰り返すだけのこの楽曲、そのシンプルさゆえにインパクトは絶大。平坦な発音はまるで呪文のようで、聴いているうちに洗脳されそうになります。やたらと多い転調もクセモノ。
 「たらこ・たらこ・たらこ」が民謡/歌謡曲調に激しく上下するメロディラインだったのとは正反対ですが、どちらも中毒性があるという点では凶悪なレベルです。
posted by はじ at 03:55| Comment(5) | TrackBack(0) | J-POPレビュー企画もの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月24日

メルマガ、Vol.128発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.128 2007/12/24 発行部数:めろんぱん 449/まぐまぐ 192

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
ケツメイシ「聖なる夜に/冬物語」
 〜独自の叙情性と中毒性

<新着レビュー>
mihimaru GT「I SHOULD BE SO LUCKY」
 〜「ポップ」再評価が、また一段進んだ?

 年内に、また今年のチャートとレビュー一覧をまとめた臨時号を発行する予定です。ペースがだいぶ遅れているので、年末年始で少しは取り戻したいところです。


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2007年12月23日

絢香「CLAP&LOVE/Why」

CLAP & LOVE / Why
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posted with amazlet on 07.12.23
絢香
WARNER MUSIC JAPAN(WP)(M) (2007/09/05)
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<曲調に合わせた、メッセージの投げ方の違い>

 「三日月」「Jewelry day」とバラードが続いた絢香ですが、今回は両A面、片方は今までの枠内から大きく外れる攻撃的なサウンドに乗せたメッセージソング、もう片方はここまでの路線を引き継いだバラードとなっています。


 アグレッシブな音に乗り、今までにない骨太な声で歌い上げられているのが「CLAP&LOVE」。
 名前のように手拍子が全編に渡り鳴り響いていますが、特に歌詞中には登場せず。これはジャカジャカとかき鳴らされるギターやヘビーなベースと共に、「ハッパをかける」感じなのかなと。応援とか一体感とか、そういう一般的な手拍子のイメージよりも、もっと攻めの姿勢で、『青い空に「戦いのスタート」が鳴る』というフレーズが示すように、気持ちをどんどん前に前にと煽るような響きになっているなあと。

 『変なテクニックばかり身につく』『行ったり来たりの毎日』というような惰性に埋没した日常から脱しようとする、これはメッセージソングの王道ど真ん中。ただ、サビで叫ばれるメッセージ『広がる世界の中で/何度探しても答えは一緒』てのは面白いですね。目新しいことを見つけだそうともがくんじゃなく、いつの時代も答えは同じなんだ、とすっぱりと宣言する。このストレートさは清々しいですね。
 『計画通りになんかいかない人生 だから面白いんじゃないの?』というのも同じメソッドで、うまくやろうともがくんじゃなく思い通りにならないことを楽しめばいいじゃん、という。
 で、どちらも「言いっぱなし」なところが曲調に合ってます。答えは一緒だ、までで、「だから無理しなくていいんだよ」とまでは言わない。面白いんじゃないの?と尋ねておいて、「面白いよ、楽しもう!」と誘ったりはしない。あんまり優しく呼びかけすぎず軽く突き放したまま、というこの距離感が、攻撃的なサウンドにちょうどいいのかなあと。続きを読む
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2007年12月22日

平井堅「fake star」

fake star
fake star
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平井堅 URU
DefSTAR RECORDS (2007/09/12)
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<スターの孤独は、あなたのすぐそばにも忍び寄る>

 今ではすっかり甘いバラードや切ない恋愛ソングが定着している平井堅。ただ「瞳をとじて」の大ヒット以降は、ワンパターンにはならないよう、そういったイメージを踏襲する曲とそれ以外のタイプの曲を交互にリリースしているようです。作風もそうですけど、消費されて終わり、とはならないようきちんと考えてペース配分しているように感じますね。
 今回は、「バイマイメロディー」「君の好きなとこ」といった<王道>路線ではなく、「POP STAR」「哀歌(エレジー)」など、少し毛色の違う意欲的な路線。じっとりとダークな曲調の中で、「スター」の闇と悲哀を見せつける、というような作品になっています。

 『見下ろすパノラマ 空虚なサクセス/広過ぎる部屋に 居場所が無い』『プライベイトも切り売り』なんてあたりのフレーズは、成功した栄光の裏にできる陰を思わせるもの。華やかな一面を世界に見せ続けなければならない一方、その不自由さを嘆く…という苦しさをアピールしています。
 ただ、『携帯メモリー 一周まわったのに/会いたい人は誰?』とか『戦いながら 笑顔はキープ』というような孤独感/空虚さは、もちろん「スターの裏側」の範疇ではありますが、これはまたこっち側=一般人の間にも通じる感覚ではないでしょうか。
 すっかりトップアーティストとなった平井堅本人の心情では?とも思える内容になっているものの、単純な「あっち側」の話ではないのかなあとも思えるのです。「こっち側」の聴き手たちもまた、知らず知らずのうちに同調させてくる…そんな作りになっているようにも感じるのは、自分だけでしょうか。『that's you』とニセモノだと指し示されているのは、現代を生きる我々すべてではないのでしょうか。

 全般に漂う不安げな雰囲気は、コードを微妙に外してぶら下がりがちになるメロディライン(これは「哀歌(エレジー)」にも使われていました)とか、Bメロの半音ぶんの微妙な転調とか、やたらとトリルを入れる歌い方とか、音作りの面でもいろいろと伺えます。
 そんな中、ジャジーな間奏から一転、転調して少し落ち着いた雰囲気を見せるCメロ。ここに歌われている『偽りでいい 見せかけでいい/そのぬくもりが 今は欲しい』…こここそが、包み隠さない本音に当たる部分なのではないかなあと。たとえfakeだらけであろうと、その現在を嘆こうと、偽りでも「ぬくもり」がないと生きていけない…そんな悲痛な心情の吐露となっています。

 そういえば、つい今年はじめにもMr.Childrenが「フェイク」という曲を発表しています。この両曲はどちらも「たとえ嘘だろうと受け入れていく」というスタンスを見せているのが興味深いところ。平井堅はすがるように、ミスチルはあえて積極的にという差はありますが。
 …情報が溢れ、真実も嘘も見分けがつかないくらいになっている現代。何かとフェイクが騒がれる昨今ですが、ニセモノを拒み本物だけを選び抜いていく生き方よりも、酸いも甘いも受け入れていくほうがずっと適している!そんなカウンターメッセージにも感じてしまうところ。このシンクロは偶然ではなく、どちらも時代の流れから考えると出るべくして出たものなのかなあと。続きを読む
posted by はじ at 17:58| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月20日

柴田淳「カラフル」

カラフル
カラフル
posted with amazlet on 07.12.20
柴田淳 澤近泰輔
Viictor Entertainment,Inc.(V)(M) (2007/09/12)
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<初々しさと戸惑いが、成就した想いの強さを物語る>

 活動中にリアル引きこもり期間があったり、部屋に閉じこもって曲を作るというエピソードを持ち、それが納得できるような内省的・翳のある作風が目立つ柴田淳。前作「HIROMI」でも、その胸に迫る鬱っぷりを発揮していました。
 が、今回の楽曲では、「片想いが成就した」という、明る設定を歌っています。

 こういうシチュエーションって、意外とあんまり見覚えがなく、新鮮です。「告白してOKでハッピー」とか、「恋人として安定期」の狭間、付き合いだしてしばらくの初々しさが、フレーズの端々から漂っています。
 憧れの存在だったのに、『目の前にいるあなたが不思議/どうしてわたしと喋っているの?』と戸惑ったり、片想い時代を思い返して『あなたに片想いしてた日々/恥ずかしくなる』と言ってみたり。こういうのって、徐々に二人でいることに慣れてからはきっと、二人で過ごすことに違和感もなくなり、片想いの頃の想い出も薄れてくるのでしょう。まだ不安定な感情なのですが、でも「期間限定」なぶんもあってか、鮮烈な印象を残します。

 『好きになってもどうせ叶わない/そう思って諦めてきたの』と歌う「わたし」は、明らかに控えめな性格の持ち主です。しかも、突然の幸せにどぎまぎしたり、過去の自分を恥ずかしく思う一方で『あなたに出逢う前のわたしを/愛しくなる』と言ってみたり、かなり内向性の度合いが高い感じ。
 そんな「わたし」にとっての「あなた」の存在は、ただ恋人というだけでなく、精神的な拠りどころとして、ものすごく強い存在であるように感じます。「あなた」と気持ちが辻あったら、白黒の世界がカラフルになり、『生きる意味がわからなくて/歩かされてたみたい』だったのが『でも今は歩きたいの/あなたと…』と思えるようになる。「あなた」に寄せる気持ちの大きさを、ひしひしと感じる言葉が並んでいます。

 恋愛感情はもちろん、生きていく力を与えてくれた「あなた」への想い。その大きさ強さを描き出すために、まだ戸惑ったり信じ切れなかったりする「幸せへの慣れなさ」が効果的に作用しているなあ、と感じました。
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2007年12月18日

Kinki kids「永遠に」

永遠に
永遠に
posted with amazlet on 07.12.18
KinKi Kids CHOKKAKU 鈴木雅也 U-SKE Satomi 井手コウジ 紅茉來鈴
ジャニーズ・エンタテイメント (2007/09/12)
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<丁寧な作りのメロディラインが、静かな決意をそっと物語る>

 このところ、ジャニーズ事務所への大物アーティストからの楽曲提供が多数実現しているのはご存知の通り。
 TOKIOへの中島みゆき提供「宙船」「本日、未熟者」、甲斐よしひろ提供の「ひかりのまち」と、歌い上げる男臭い楽曲。嵐にはスガシカオから「アオゾラペダル」、再出発のNEWSにはなかにし礼作詞の「星をめざして」、などなど…
 ただ、闇雲に楽曲をあてがっているというわけでもなく。KAT-TUNは大御所プロデュースとそうではないものを順番にシングルにしていますし、TOKIOにアクの強いものを与え嵐やNEWSにはさらっとした作風の人を…など、意外性や話題性も取り入れつつちゃんと考えて売り出されているなあ、と感心します。

 今回のKinki kidsは徳永英明によるバラードですが、この組み合わせもいいですよね。キンキは、ジャニーズ勢の中でも叙情的で儚げ・切なげなタイプの歌を担当することが多いですし。
 徳永英明の楽曲は、天性のボーカリストっぷりを発揮したメロディライン。なんというか、「丁寧」です。抑揚を生みやすく、揺らめくような印象を聴き手に与えさせる面もあり、スローテンポで激しくはなくとも、動きを感じさせるものになっています。
 サビ頭の『永遠にキミとふたりで』だけを見ても、入りは上にちょっと浮いたサスペンデッドコードのような響きで入ることで、荘厳さを演出。かつ、「ふたりで」は3連符でじっくりと聴かせ、ここだけでぐっと印象を強めています。

 作詞は、「Anniversary」や「ビロードの闇」も担当しているSatomi。この人、中島美嘉「雪の華」もそうでしたけど、しっとりと穏やかな中に強い決意を心にそっと抱く、みたいなシチュエーション好きですよねー。今回で言うと、全体的にそんな感じだけど特に『傘もささず雨のなか/歩いた時に感じたんだ/この愛 守りたい…と』とか。
 『誰より アイシテイル』がカタカナなのは、その前の『こんな男ではあるけれど』を受けてのことなのかなあと。「愛している」と書くとシリアスすぎるし、ダメなやつだけれど…と前置きしているので今ひとつ決まらないような気がします。カタカナ表記にすることで、変に重くしすぎない印象になるわけです。また、「愛の本当の意味なんて本当はわからないけど…」というような想いも、もしかしたら背後に孕ませているのかも。
posted by はじ at 20:56| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月17日

Perfume「ポリリズム」

ポリリズム
ポリリズム
posted with amazlet on 07.12.17
Perfume 中田ヤスタカ
徳間ジャパンコミュニケーションズ (2007/09/12)
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<立体的なサウンドが織り成す仮想世界>

 NHK・公共広告機構の共同キャンペーンCMに起用されたり、またネットを通じた認知度の広がりもあって、オリコンチャート初登場7位に食い込んできたアイドル界の新星。打ち込み全開で近未来的なコンピュータ系サウンドに、機械的かつ浮遊感ある歌声を組み合わせた楽曲が特徴で、位置づけとしては「テクノポップアイドル」というものになるようです。

 機械的にプログラミングされた音楽であるテクノがベースになっていますが、機械的なのは音だけではなく、声も同じ。ボーカルもまた加工され、感情的な要素を排し、音を構成する一部になっているかのような聴き心地です。
 これ、もちろん実際に加工されてもいるでしょうけれど、元々そうした方向性を狙って歌われているように感じます。歌い方から、ナチュラルな発声ではなく、もっと信号音っぽく平坦な発し方をしているんじゃないかなー、と聴いていて思うのです。
 また、メロディラインも多少そうした方向性を意識しているような。特にメロ部分は、ひたすら4部音符のみで構成されていたりして、「躍動感」を排したようなつくりになっていますし。歌い方も相まって、一音一音があたかも電話のプッシュトーンのように置かれていく、という印象を受けます。コーラスワークも、普通はメロディラインを補強するように沿って動くものですが、ちょっと分離しているような。おかげで、メロディラインの「ライン」っぽさを感じさせない、拡散していくような響きになってきているように感じたり。

 さて、表題の「ポリリズム」とは、一言で言うと、多層的なリズム構成のことを指します。長さの異なるリズムを組み合わせて同時に展開し、複雑で立体的なサウンドを作り上げる手法です。
 曲中でも、この手法が取り入れられています。特に中盤、4/4拍子進行の基本リズムの上に、付点8分音符(0.75拍)のリズムが乗り、さらにメロディラインがひたすら「ポリリズムポリリズムポリリズム…」と8分音符×5(2.5拍)がひたすら繰り返されていく部分が、その不思議なリズム感によって強烈に頭に残ります。曲後半は、エコーなども入ってきて、頭の中がぐるぐるになってきます。クセになる感じ。

 歌詞のほうは、「複合的なリズム」から派生して、「巡る」「繰り返す」というところがキーポイントになっているようです。確かに、ポリリズムで構築されたこのサウンドは、ループ感を満載していますし。
 また、機械的、非感情的な世界観は、サウンドだけではなく言葉にも表れています。たとえば『ほんの少しの 僕の気持ちも/巡り巡るよ』というフレーズ。感情が「ほんの少し」だけあって、それがひたすら巡るという言い方もポイントですし、一人称が「僕」である点も、女性ボーカルが少年視点で歌うときの中性的な印象を出そうとしている感があります。

 そして、『くり返す このポリリズム/あの衝動は まるで恋だね』…サビでも何度も「くり返す」という語が頻出してループが強調されていますが、注目したいのは「あの衝動」という言い方。「この衝動」ではないのです。ちょっとした距離感があるのですね。
 <今/この場所>ではない、<いつか/どこか>の「衝動」。それは、『とても大事な キミの想い』だったり「ほんの少しの 僕の気持ち」だったり、さまざまな人の感情なのでしょう。そしてそれらは、「廻る世界」=「ポリリズム」の中で繰り返され、交じり合っていく…というイメージが、ここから広がってきます。
 まるで、水面に石を落として、生まれた波紋が広がっていき「巡り巡る」のを眺め、感じている…そんな印象を受けます。個人的な感情/感覚を遠ざけ、むしろ巡り交じり合う世界そのものの光景を描写しようとしているように思えてくるのです。続きを読む
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2007年12月16日

メルマガ、Vol.127発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.127 2007/12/16 発行部数:めろんぱん 449/まぐまぐ 193

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
mihimaru GT「I SHOULD BE SO LUCKY」
 〜メッセージを頼りにしない自信

<新着レビュー>
UVERworld「浮世CROSSING」
 〜メッセージのスパイスとしての「軽さ」

<年間チャートより抜きレビュー>(2002年)
中島美嘉「STARS」
 〜既存のバラードに埋もれない個性

 気がつけば総読者数が600人を遥かに超えていました。しばらくずっと大きな変化がなかったのですが、最近また、読んでくれる方が徐々に増えてきたような気がします。ありがとうございます。


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  バックナンバーも開放しています。
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2007年12月15日

秦基博「青い蝶」

青い蝶
青い蝶
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秦基博 島田昌典 UA
BMG JAPAN (2007/09/12)
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<手に入れたいものは、美しくも儚いイメージ>

 新進アーティスト、秦基博の3枚目のシングル。ミディアムテンポの中を豊かな声量と硬軟をつけた歌い回しでしっとりかつドラマティックに仕上げています。キャッチコピーが「鋼と硝子でできた声」と言うらしいですが、なるほどなーと。

 『羽の色 鮮やかな虹色に光るってこと』と言われる「青い蝶」。『まるで悪い夢のよう/ねえ 今どこにいるんだろう』と自分の居場所を見失っていた「僕」は、その蝶を捜し求めにいく…というのが大筋の展開です。
 「青い蝶」というのは、具体的なものではなく、いわゆる「青い鳥」を意識したイメージ上のモチーフなのでしょう。その鮮やかなイメージに、今度こそ手に入れようとしている『欲しかったもの』を託しているわけですね。

 そのまま「青い鳥」ではなく、なぜあえて「蝶」にしたのか?という点については、まあありふれたモチーフをそのまま使いたくなかったのかなーとう想像ができそうです。
 また、鳥よりも小さくてどこか儚さもある、そんな印象を乗せたかったのかもしれません。というのは、歌詞中でも『欲しかったもの 見失うくらいなら/潰れてもいいくらいに 握りしめるんだ』というフレーズがあるんですね。何が何でも手に入れようとする強い意志を感じさせるこの言葉は、手で握ったら潰れてしまうような蝶のイメージと繋がって生まれた表現なんじゃないかなあと感じました。

 あと気になったのは『君も連れて行ってあげるよ』という部分。ともに探しに行こうというのではなく、あくまでも中心は自分自身。「君」という存在は使いやすくてつい安易な表現に使ってしまいがちなものですが、自分の追い求めたものをもう一度探しに行く、というキモの部分をズラすことなくうまく「君」を取り入れているなあと。


 彼はオーガスタという事務所の新人なのですが、先輩方の匂いもしつつ、どの性質も過剰に背負いこまず取り入れて消化しているなあと感じました。
 低音はちょっと陰りのある感じでスガシカオっぽくもあるんですが、でも高音は抜けがいい。言葉遣いや詞の全体構成はスキマスイッチぽくもあるんですが、彼らほど砕けた言い回しだったり緻密すぎたりしない。それに「青い蝶」なんて表現でイメージを広げるのは、どちらかというと山崎まさよしやスガの分野に近いかもしれないなあとも思ったり。

 最近はミックス系とでもいうのか、ひとつの方向性を突き詰めるんじゃなくて、ある程度いろんな要素を含んだもののほうが当たる、というような傾向があるのではとちょっと思っていまして。恋愛だけ、メッセージだけじゃなく、恋愛のシチュにメッセージを込めるとか。主人公のキャラが、言葉遣いや態度は「俺」系だけど実は繊細で情に弱い、とか。中庸がいい、というよりはあれこれ詰め込んだゴージャスさが好かれているのかなーというふうに感じています。
 それだけだと大きな特徴がないとかで目立たないようになってしまいそうですが、声は独自の良さがあるので、今後にも注目していきたいところです。
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2007年12月14日

倖田來未「愛のうた」

愛のうた
愛のうた
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倖田來未 Miki Watanabe Tomoji Sogawa Kumi Koda Kosuke Morimoto
rhythm zone (2007/09/12)
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<一心に相手へと注ぐ愛情はいびつに膨らみ、切なさを醸し出す>

 このところずっと両A面シングルや4曲入りマキシシングルなどが続いていた倖田來未、今回は久々にリード曲1つのシングルです。昨年の「恋のつぼみ」以来で、なんと間に5つも挟んでいます。
 そもそも1年半もしないスパンで7シングル出していることになりますし、しかも大部分がリード曲扱いになっているということで、これ以上ないくらい明らかに「量」を重視する方針が見えます。「恋のつぼみ」の前は12作連続リリースでしたしね。

 そんな生き急ぐかのような活動を続けている彼女ですが、世間では「エロかっこいい」というイメージが根付いている割に、実はかなり少女漫画的、感情が渦巻くウェットな詞を書く傾向にあります…これはレビューのたびに言っていますが。
 今回はしっとりバラードで、まさに恋に溺れる主人公の姿が浮かび上がってくる内容です。『もし私 ひとつだけ 願いが叶うとしたら/夢の中でもいいからと 逢いたいと願う』と、実に一途です。

 しかしこの曲、単なるバラードではありません。真摯で一途な想いは、相手も同じなのかというと決してそうではないことが、読んでいくとわかってきます。
 『もし君が この恋を永遠と呼べなくても/今だけは 嘘をついて 淡い言葉で信じさせてみて』…「私」は「君」のことをひたすらに想っているわけです。たとえ、「君」のほうがそうでなかったとしても。『あいまいな関係でもいい』『本当のことは言わないで』と、「君」は薄々その温度差に気がついていながらも、それでも自分の気持ちを止められない、諦められない…そんな何ともいえない悶々とした感情がここには込められているようです。

 嘘でもいいから、「恋」に浸っていたい。そんな内容なのに、タイトルは『愛のうた』というのは、どんな皮肉なのでしょうか。
 いや、もしかしたら皮肉のつもりではなく、ひたすらに想いぬく一途な愛を描こうとしたのかもしれません。自らの湧き出る感情に殉ずることが「愛」なんだ、と声高に主張したかったのかもしれません。もしそうなら、その主張自体には異論があるところですが、しかし結果的に描き出された世界は好きだったり。
 ちょっと聴くとありきたりのバラード風アレンジで、サビ部分の歌詞もオーソドックスな愛のささやきに聴こえてしまいそうなこの曲。ですが、だからこそ『さよならは 言わないでいて』と懇願する、いびつに膨らんだ愛情が何ともいえない切なさを感じさせます。
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2007年12月13日

SOPHIA「青空の破片」

青空の破片
青空の破片
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SOPHIA 松岡充
EMIミュージック・ジャパン (2007/09/12)
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<思い入れのあるカバーで、もっとも深い「愛」の形を描き出す>

 フランスを代表する歌手エディット・ピアフの代表曲「愛の賛歌」のカバー。エディット・ピアフの生涯を描いた映画「エディット・ピアフ〜愛の讃歌」がこの秋に公開ということで、リリースはそれに合わせているのかもしれません。

 この曲は、日本でも越路吹雪や美輪明宏などが歌っていたりと、古くから慕われてきた歴史があります。メロディラインだけなら、聞き覚えがあるという人も多いのではないでしょうか。
 そんなふうに、すでに評価の固まっている楽曲に対し、SOPHIA松岡充が自ら新しく歌詞を乗せ歌っています。かなり大胆なカバーですが、SOPHIAはもともとライブのオープニングにこの曲を使用したり、2005年にシングル「one summer day」のc/wとしてカバーするなど、相当な思い入れがある様子。歌詞にしても、精力を注いで綴り上げた!というか、真正面から名曲に立ち向かおうとしたんだな、という印象を受けます。

 『私はかけている 心にひびがある/生まれおちた道で 破片を探す』
 心が欠けている、これはその後を読んでいくと、「私」だけではなくすべての人がそうだ、と言っているようにとることができます。
 その欠けている部分を埋めるための破片とは、愛する「あなた」。つまり他の「誰か」の存在なんだ…という、ここが曲でもっとも中心となるテーマです。

 誰もがみんな、自分自身の足りないところを愛する相手で埋めてこそ完全な人になることができる。と、これだけでも深い「愛」を描いていると言えそうです。ただ、この詞では、その主題の提示の仕方がさらにもう一段階の深さを持っているように感じました。

 詞を追っていくと、こんなことに気がつきます。「私はかけている」と始まり、誰もが破片を探し求めていると描いていきながら、最終的には『私はあなたの 最後の破片』と、自分ではなく「あなた」の視点で伝えてくるのですね。自分のひびを「あなた」に埋めてほしい!と求めるのではなく、「あなた」のために自分自身を「与える」呼びかけ方になっているわけです。
 『かけた心を何で埋めるの? 奪い合う街』というフレーズからも何となく漂ってくるように、求める/奪うのではなく、与えることを優先するべきなんだ、と訴えたいのでしょう。

 全体を通して、「愛」とは何か?を描こうとしたんだろうなあ、という感触が伝わってくる歌です。好きな「青空」というモチーフを入れていることからも、松岡充自身の渾身を叩き込もうとしたんじゃないでしょうか。
 そして、「愛」とはこういうことだ!と選んだ答えとは、まず「誰もが誰かの一部で、足りない部分を愛する相手で埋めるんだ」ということ。そして、それは求めるのではなく与えるべきものなんだ…そんな愛の形を理想としているんだろうなあと。

 また、この曲のシンプルかつ味わい深いメロディラインは、キーボードが生きやすいし歌詞や声にも適しているように感じます。なので、SOPHIAというバンドととても相性がいいなあとも思わされました。
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2007年12月12日

PUFFY「オリエンタル・ダイヤモンド」

オリエンタル・ダイヤモンド/くちびるモーション
PUFFY 奥田民生 吉井和哉 上田ケンジ 井上陽水 大貫亜美
キューンレコード (2007/09/05)
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<意味よりも響きとイメージで、きらびやかに散りばめられるオリエンタルテイスト>

 さて、2000年代に入ってからはあんまり表立ってブームの風上に立つようなことはなくなったものの、北米で大ブレイクしたり、海外プロデューサーがアルバムを手がけたり、甲本ヒロト提供曲を歌ったりスカパラとコラボしたり、いろいろと幅の広い活躍をマイペースに続けています。カップリングの「くちびるモーション」も、何気に吉井和哉の提供だったりしますし。

 何かと話題の耐えない活動を続けていますが、今回は90年代の大ヒット曲を作り上げた井上陽水/奥田民生のタッグがたいへんひさかたぶりに実現。「渚にまつわるエトセトラ」が1997年リリースなので、ちょうど10年ぶりです。
 で、展開されるのは、やたらハイテンションながらもハチャメチャで意図不明な世界観。オリエンタルのタイトル通り、エスニックな響きの音が鳴り響くなか、アジア各国の名前や文化の単語を羅列しまくり…って、これ「アジアの純真」じゃないか!
 『ブータン バーレン ローレン/香港 九龍 マージャン』と、韻を意識しつつもあんまり厳密でない感じとか、「アジアの純真」の『北京 ベルリン ダブリン リベリア』を彷彿とさせます。…なんだか嬉しくなっちゃうのは自分だけでしょうか。今回は『ヤーレン ソーレン ソーラン/レ・ミゼラブル なのね』と、もうちょっと地域が広がっているような。グローバル化だ。…気のせいでしょうか。

 で、はっきり言って詞にはほとんど意味はないかと思います。あえて言うのであれば、「意味がない内容」を歌うこと、それに意味があるというか。真剣に歌い上げたり何かを主張したりすることの対極、テキトーさ、お気楽さを目指している、ってところでしょうか。
 理解なんてできなくてもいいのです。めくるめく世界中のあちこちを想起させる単語に、なんとなく流されて楽しめばいいのです。『SPARKLING ミャンマー FLYING タイランド/東京 北京 ダイヤモンド』と、文章として整えることをすっぱり諦めたからこそ、言葉は濃密に散りばめられているわけです。しかもうまく音に乗せてあるので、トリップしやすいはず。

 あえて指摘すれば、『We are 算数』はその後の『一 二 三 四』(中国語読みで「イー アル サン スー」)と韻を踏みつつ内容も沿わせていますし、『カメレオン ダイヤモンド』はもしかしたら「カメリアダイヤモンド」と掛けているのかもしれません。
 また、ダイアモンドの形としてイメージされるブリリアントカットなど、宝石の形状というものは、光をうまく反射させて輝きを強く広く見せるために研磨されているもの。「オリエンタル・ダイヤモンド」とは、世界の各地が、また歌っているPUFFY自身がきらびやかに輝くようなイメージを込めて名づけられ、生み出された曲なのかも、とも推測できそうです。
 …なんてあれこれ考えてニヤッとしてみるのが、この手の曲を楽しむ正しい方法のひとつだと考えています。
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2007年12月10日

フジファブリック「パッション・フルーツ」

パッション・フルーツ
フジファブリック 城戸紘志 河合マイケル 志村正彦
EMIミュージック・ジャパン (2007/09/05)
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<官能の枠からはみ出す異質さが生む中毒性>

 このひとつ前のシングル「Surfer King」はアッパーなロック&ホーンに乗せた破天荒な歌詞に度肝を抜かれる思いでしたが、この「パッション・フルーツ」も相当なイカレ具合(ホメ言葉)です。
 もともと情緒的なサウンド作りが巧く、デビュー後しばらくのシングルはそういう方向性だったのですが、2ndアルバム以降、とにかく前衛的かつ攻撃的かつ先鋭的な方向に触れているなあという印象。

 ベースはディスコサウンド。ディスコの時点でロックバンドにしては特殊ですが、これがけっこう相性がいいのです。過去にも「ダンス2000」という怪曲を披露していますし。そちらはちょっとファンクっぽさもありましたが、今回はエレクトロニカルな音色が耳に残ります。非常にレトロな雰囲気。
 彼らの生み出す音は、メロディラインにしろギターやキーボードのフレーズにしろ、どこか独特の味を持っています。ソリッドな洋楽の匂いではなく、どこか懐かしい歌謡曲に繋がるような味。それが情緒的な楽曲では匂いたつ哀愁や郷愁になり、こうした楽曲では何とも言えない奇妙さ、クセになりそうな幻惑的なサウンドになっているっぽいです。

 『夢の中で あやかしパッション』なんていうフレーズがサビのど頭に来つつ、詞に描かれているのは男女間の駆け引き。『化けの皮をはがしてやる』と、お互いに相手を伺い絡めとろうとする、めくるめく官能的なシチュエーションだったりします。
 しかしどこかレトロなサウンドの中や、独特の言葉選びは、単純な官能性には留まりません。ディスコサウンドに乗るメロディラインはシンプルで、かつ言葉の乗せ方がリズミカル。微妙に韻も踏みつつ、『ファンファーレ』『バンパイア』などのカタカナ英語が実にぴったりはまっているので、頭に残ります。『だからダメだったら 駄目だったら だめ』も、うっかりすると口ずさんでしまうくらいの勢いだったり。
 不思議なサウンドもあり、言葉遊び的な要素もありで、総じてエロティックというよりはサイケデリックでコミカルでアブノーマル、という感じ。総じて、彼らの楽曲センスの変態性(ホメ言葉です)が堪能できる内容です。『メガネはどうか そのままで』なんてフェティシズムっぽいフレーズがありますが、確かに「あやかしパッション」としか捉えようのない楽曲の中では、むしろこれが健全なふうに感じられるくらいです。

 とにかく異質なサウンドと歌詞世界。大きな特徴はないのに不思議とインパクトのある声も手伝って、聴いているとしらないうちに頭から離れなくなり、好き嫌いに関わらず中毒を起こす危険があります。気をつけましょう。
posted by はじ at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月09日

メルマガ、Vol.126発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.126 2007/12/09 発行部数:めろんぱん 449/まぐまぐ 193

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
UVERworld「浮世CROSSING」
 〜新しいスタイル確立から、さらにもう一歩を

<新着レビュー>
コブクロ「蒼く 優しく」
 〜回想をドラマティックに演出する技巧

<年間チャートより抜きレビュー>(2002年)
ストロベリー・フラワー「愛のうた〜ピクミンのテーマ」
 〜幅広い層の心をキャッチしたポイントは


 スピッツ20年の軌跡を、メンバー4人が書き下ろしで語っていく一冊「旅の途中」を読破。改めてスピッツの歴史を振り返ることができ、また作品に込めた本人の想いや裏事情を知ることもできる、読み応えある内容でした。
 これを読んでから改めて「さざなみCD」を聴くと、本当に感慨深い気持ちでいっぱいになります…

旅の途中
旅の途中
posted with amazlet on 07.12.09
スピッツ
幻冬舎 (2007/11/30)
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チャットモンチー「橙」

橙
posted with amazlet on 07.12.09
チャットモンチー 橋本絵莉子 高橋久美子 福岡晃子
キューンレコード (2007/09/05)
売り上げランキング: 11015


<感情に任せた、荒削りな呼びかけが渦を巻く>

 前作の両A面シングルのうち、「とび魚のバタフライ」はポップで軽めな作風でしたが、今回はもう一方の「世界が終わる夜に」寄り、かなり重厚な音で歌い上げるミディアムバラードです。というか、このバンドの定番スタイルですね。

 アニメ「BLEACH」エンディングテーマとして使用されていましたが、曲自体はデビューのはるか前、ボーカル橋本絵莉子が高校生時代に作ったもので、地元徳島でのライブでも歌われていたとのこと。
 このリリースは、2ndアルバムの先行シングルという立ち位置。大事な時期という判断もあったのでしょうか。いわゆる「暖めていた」楽曲というのは最近こういう勝負どころで濫用されがちな売り出し方だったり。なので、ちょっと気になりますが、まあ本人たちのスタイルがはっきりと映し出された象徴的な一曲だという印象で、聴いていると思い入れが込められているのをひしひしと感じます。

 まず、メロディライン。基本的にはシンプルなんですが、とりあえず全編に渡ってキーが高い。ほとんどずっとクライマックスのような展開です。
 で、それに対してアレンジがやたらと凝っています。や、凝っているのは今回に限ったことではなく、毎回けっこうクセの強いアレンジを出してくるんですけどね。「シャングリラ」では変拍子が入ってきたりしますし。
 今回は、まず出だしのギターとドラムパターンが意表をつきます。そして、メロが2コーラスで別物といってもいいくらいに違います。というか、展開も前後します。その上で最後にアドリブ的なハイトーンを披露し、終わっていきます。
 シンプルなメロディラインに対する複雑なアレンジは、作りこみの跡を感じさせます。年月を経る中で、手が加わっていったのかもしれません。また、構成を考えると不自然な流れ、でも聴いてみると違和感なく盛り上がって聴けるのも、デコボコさや試行錯誤の繰り返しなどアマチュアイズムを感じさせます。

 合わせて、歌詞にも同様の要素があるように思います。ドラマティックな曲調が『もうこれ以上行かないで』と悲痛な叫びを煽っていますが、落ち着いて言葉を追っていくと、全体的に言葉が散らかっている印象を受けます。現在と過去の追想、自問自答と、唐突に登場する「あなた」の存在…
 読んでいくと、ひとつのストーリーが浮かんできました。目を『一人つぶっていた』主人公は「あなた」を傷つけることもあった。そして「あなた」が去っていくなか、『どこにも行かないで』と呼びかけるしかできることがない、『ゼアイズナッシンアイキャンドゥーフォーユー』というわけです。まあ、かなりイメージを補足しているので、他にも解釈の仕様がありそうですが。
 さて、見てのとおりカタカナで英文が表記されていますが、これは試行錯誤やアマチュアイズムに端を発してはいないような気がします。というよりは、英語表記にするとどうしても生じる距離感を作りたくなかった、身近な母国語で表記することで感情の生っぽさを出したかったのかなあ、と思うのです。

 「できることはない」「行ってほしくない」『もうこれ以上歩けない』というような、ネガな主張をしているのも、またチャットモンチーらしいような。
 インパクトがあったのは『甘えぬき傷つけぬいた私は/今度は何を求めるかな』の部分。甘えや攻撃性を認識していながらも、なお求めようとする欲望の強さ。…というより、きっと求めなくて済むならそれでよくて、でも「もう甘えない、傷つけない」なんてことはできないんじゃないかと感じていて…そんな葛藤が、フレーズの背後に透けて見えるような気がします。続きを読む
posted by はじ at 04:36| Comment(1) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月07日

嵐「Happiness」

Happiness
Happiness
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嵐 北川吟 NAOKI-T Wonderland 多田慎也 櫻井翔
ジェイ・ストーム (2007/09/05)
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<ポジティブソングの要素が盛り込まれまくり>

 メンバーである櫻井翔・二宮和也が主演したドラマ「山田太郎ものがたり」の主題歌となった、明るく爽やかな一曲です。
 作詞の名義が、Wonderland…って、これ、何者?たいへん気になりますが、とりあえず内容を見ていきましょう。

 歌詞は、非常にオーソドックスなパターンのポジティブなメッセージです。『君だけの音を聞かせてよ』と「君」へと呼びかけていたりもしますし、また自分自身を指し示しているような部分もありと、わりと柔軟な感じ。
 『どんなに小さなつぼみでも 一つだけのHappiness』というフレーズから、中心になっているのは「ひとつの幸せを大事にして追い求めていこう」ということなのでしょう。「花」を比喩に使うというのは、実に王道的表現ですね。

 またこの曲、『思い出の後先』『騒がしい未来』『明日を迎えに』といった、どこかで聴いたようなフレーズも盛り込まれています。そんなスパイスも効かせつつ、『幸せの虹は 何色なんて 気にしなくていいから』なんていうのはなかなか面白い独自の表現だなあと。
 …なんというか、あんまりプロっぽくない作り方という気が。主題は「幸せ」ながら「愛」が1個だけ出てきたり、「道を進む」と「花を咲かせる」と軸を示すイメージが2種類あったりなど、統一感を重視するというよりもおいしいフレーズを詰め込んだ感があるところも、アマチュアっぽい雰囲気です。作詞者がちょっと聞いたことのない名前ですし、もしかしてメンバーの誰かが覆面で書いていたりするんじゃないか?とか考えてしまいました。
 まあ、単純にたくさんポジティブソングらしいフレーズを散りばめて、華やか賑やかな雰囲気を出したかったという意図なのかもしれません。
posted by はじ at 20:14| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月06日

過去ログ発掘のコーナー その30。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
 毎回そのときの気分で一曲選んで紹介するこのコーナーのバックナンバーから、新しいレビュー更新が滞ったとき、ちょこっとずつ抜き出して紹介していきます。メルマガを読んでいない人にはちょっとした暇つぶしに、読んだことのある人にも何か新たな発見があれば幸いです。



≪現代ポップス雑考。≫ Vol.121 2007/10/28
#globe「Precious Memories」

『偶然 街ですれ違っても/気付かずに お互いの道を目指してる』

 400万枚を売り上げ、当時の日本記録を塗り替えた1stアルバム「globe」に収録されている一曲。当時の小室哲哉にしては珍しい、ほぼ中心となるピアノのみで聴かせるバラード。

 このアルバムですけど、今聴いても名盤だと思っています。たくさんの人が耳にしたことがあるはずですが、ただそのぶんすっかり「過去の作品」として捉えられてしまっているように感じます。しかも、その中でもあんまり目立たないこちらの曲。ですが、風化させるにはもったいない作品だと思うのです。

 小室哲哉は当時、主に女性ボーカル、恋愛について歌う内容の楽曲を大量に手がけていました。その中でも、個人的には、この曲のような具体的な心理や行動が歌詞中に出てくるものが好きでした。

『最近あいつが 電話してきたよ/あなたは今も 飲み友達で』
『アドレスのデータもほとんど/使わない人ばかりになる』
『誰と 暮らしているかも/知らずに 何かを 忘れてく』

 昔の話から、ふっと時の移ろいを感じていく。戻らない時間と、忘れていく記憶。…そしてリリースからさらに歳月が過ぎた今だと、またそのぶんの時間の重みが、聴き手の印象に加わってきたりもして。

globe
globe
posted with amazlet on 07.12.06
globe 小室哲哉 MARC
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 ふっと思い出して聴いてみると、とっても感傷的な気分になる曲です。
 部屋のどこかにアルバムを眠らせている人は、気が向いたときに聴きかえしてみてくださいな。
posted by はじ at 22:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月04日

宇多田ヒカル「Beautiful World/Kiss&Cry」

Beautiful World / Kiss & Cry
Beautiful World / Kiss & Cry
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宇多田ヒカル Utada Hikaru Kawano Kei Bart Howard
EMI MUSIC JAPAN(TO)(M) (2007/08/29)
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<「ほんの少し」の関係性に宿る「救い」/肩肘の張らない、身近な勇気付け>

 ダブル大型タイアップで話題になった、宇多田ヒカルの両A面シングル。前作の「Flavor Of Life」と合わせ、すっかり人気も復活した感があります。

 「Beautiful World」は、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の完全新作版と銘打たれた映画3部作の第1作、「ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序」のテーマ。宇多田本人が大ファンで、かなり作品側を意識して曲を作ったとのことです。
 ピアノの音色が印象深く鳴り響くスタイリッシュな楽曲に仕上がっていて、はじめは違和感もありましたが、聴いているとけっこう馴染んでくるものです。また、歌詞は確かに意識しているなあという感じ。

 『寝ても覚めても少年マンガ/夢見てばっか 自分が好きじゃないの』というような自己否定、また『何が欲しいか分からなくて/ただ欲しがって』『言いたいこと言えない』というような閉塞感は、作品にも通ずるものですし、また現代社会に生きる若者の病理のひとつでもあります。
 そこに投げかけるのは、「僕」に対する「君」、というような他者との関係性からの救いです。重要なのは、決して「救う」「救われる」わけではないということ。つまり、上から助けようとしたり、何かを要求したりするのではないのですね。等しい関係を歌っているのです。
 それにしても、ただ『君の側で眠らせて』とだけ願っていますが、たったひとつの願いにしてはずいぶんとささやかです。『どんな場所でもいいよ』ですし、ほんのささやかな関係性を作ることを、ひたすらに願っているような印象を受けます。
 「救う」でも「救われる」でもなく、ただ側にいることだけの関係。そこに「救い」がある…そんなところでしょうか?

 多く深くを主張しない「ほんの少し」テイストは、『元気にしてるなら/別にいいけど』『気分のムラは仕方ないね』などのフレーズにも読み取ることができます。
 ただ、『自分の美しさ まだ知らないの』なんて言葉からは、その「ほんの少し」の関係性から相手を変えていきたいと願う、そんな意志も感じられはしないでしょうか。
 ちなみにこのフレーズですが、「エヴァ」原作のオープニングだった高橋洋子「残酷な天使のテーゼ」の『少年よ 神話になれ』に共鳴しているような気がしているのは、自分だけでしょうか。続きを読む
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2007年12月03日

EXILE「時の描片〜トキノカケラ〜」

時の描片~トキノカケラ~
EXILE Sowelu DOBERMAN INC Daisuke”DAIS”Miyachi STY CHO GS KUBO-C TOMOGEN
エイベックス・エンタテインメント (2007/08/29)
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<さらっと流れる中に、ソツなくまとまった表現技法>

 昨年12月の「Everything」から「Lovers Again」「道」までの3ヶ月連続リリース、そして「SUMMER TIME LOVE」と、第二章としての活動を精力的に続けているEXILEです。ドラマ主題歌として、「山おんな壁おんな」に使用されることを想定して書かれた曲だそうで。

 今回は、イントロこそスクラッチの鳴り響くちょっとヒップホップ寄りっぽい出だしになっていますが、中身はいつものミディアムナンバーといった雰囲気です。むしろいつもよりも少々キラキラ感があるかも。
 サビのメロディラインを見ても、それほど大きな起伏がなく、盛り上がるドラマティックな方向は目指していない雰囲気です。さらっと染みる、くらいのイメージなのかもしれません。ハイトーンを歌い上げず、ファルセットも併用して軽く響かせているのも、同様の意図を感じます。

 「かけら」を「欠片」ではなく「描片」と表現していますが、これは素直に巧い表現だと思います。
 こういうのってやりすぎると鼻についたりするものですが、他にはこうした当て字表現はないですし、読みも自然に合わせていますし。何より、『涙で途切れた隙間 微笑みで埋めながら』というフレーズにもきちんと繋がってくるのがポイント。主題を据える言葉として、はっきりとした表現意図に立脚しているなあと。なので、ありがちな「とりあえずかっこよく言ってみました」感がないんです。

 詞の後の部分は、ソツなくまとまってい印象。あんまりわざわざ解説するようなこともなさそうです。
 あえて取り上げるとすると、『「答えなんてあるのかな?」』などの疑問文をカッコ付きにしているところでしょうか。呼びかけっぽさをより強く出していますが、これは受け手に「きっとあるよ!」あるいは「答えなんて要らないよ!」などの反応を促す形になっているわけですね。いわゆるポップス歌詞では<お約束>のフレーズを、あえて言い切らず疑問形にすることで、聴き手に補足させるテクニックです。
posted by はじ at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月02日

メルマガ、Vol.125発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.125 2007/12/02 発行部数:めろんぱん 446/まぐまぐ 188

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
コブクロ「蒼く 優しく」
 〜高いテンションを維持する演出

<新着レビュー>
ASIAN KUNG-FU GENERATION「アフターダーク」
 〜初期衝動を保ちつつ、自らの道を疾走していく

<年間チャートより抜きレビュー>(2002年)
平井堅「大きな古時計」
 〜「楽曲そのものの良さ」を引き出す工夫


 12月になりました。なんだかここ2週間ほどで、すっかり寒くなりましたね。
 11月は、ここ1年でもっとも忙しい月でした。12月は多少落ち着きそうですが、今年の年間チャートとか、紅白歌合戦の出演者とか、あれこれ考察している余裕はあるのかどうか心配です。


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。
posted by はじ at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月01日

松浦亜弥「笑顔」

笑顔
笑顔
posted with amazlet on 07.12.01
松浦亜弥 岡ナオキ 上野圭市 谷村有美
ZETIMA (2007/08/29)
売り上げランキング: 2896


<柔らかく懐かしい感触の「清純派」王道>

 昨年は藤本美貴とのユニット「GAM」での活動を行っていましたが、個人のシングルとしては2006年2月の「砂を噛むように…NAMIDA」以来、1年以上の長いブランクを置いてのリリースとなります。

 しかし、以前までのしっとり系路線に変更はなし。初期の元気ハツラツ能天気系の楽曲で突っ走るイメージが未だに強い方も多いことでしょうけれど、実際のところは2004年1月「奇跡の香りダンス。」を最後に、「風信子(ひやしんす)」「YOUR SONG〜青春宣誓〜」「渡良瀬橋」「ずっと好きでいいですか」「気がつけば あなた」、そして「砂を噛むように…NAMIDA」と、ずっといかにも清純派な内容の楽曲が続いています。
 ただ、彼女の活動コンセプト自体は一貫しているように感じます。元気路線もしっとり路線も、「正統派アイドル」のスタイルを継承し、アイドルという存在の原点に立ち返る…という点では、とても似通っているからです。

 今回は、シンガーソングライター谷村有美が楽曲を提供。『生きてさえいれば 何かが生まれる』と、重めのメッセージが込められています。『だから負けないで/ひとりじゃないから』という非常に真っ当な呼びかけに落とし込んでいるあたりは、いかにも「清純派」らしい内容。アレンジの雰囲気、あるいは白くぼやけた光に包まれているような声でしっとりと歌い上げていくのも、古き良き女声ポップソングを思わせる素材です。
 あと、キーが高い箇所がとても多いのですが、その部分はかなりの頻度でファルセットを響かせています。これも攻撃的でない感触の柔らかい声にすることで、しっとり感が高まっているなあと。歌そのものも、なかなかうまくなったような気が。

 しっとり路線も悪くないのですが、元気路線を踏襲できるソロ適任者が他にまだいない状況。もう7作も続いたらさすがに元路線に戻るのは無理だろうと思いながらも、もっと脳天気なタイプもまたシングルでリリースしてもらいたいところです。
posted by はじ at 22:41| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(ま行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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