ERIKA 白鳥マイカ COZZi 安原兵衛 KENN KATO
ソニーミュージックエンタテインメント (2007/07/04)
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<別人扱いにすることで、キャラクターを独立させる>
「フランス出身の新人アーティスト」としてデビュー、オリコン1位を獲得し颯爽と表舞台に現れた期待のニューカマー…という扱いですが、「沢尻エリカに激似!」どころじゃなく本人です。
覆面での活動というならあんまり野暮なことは言わずにおこうかとも思うんですけど、誕生日などの公開プロフィールも同じだし、あんまり別人だと言い張るつもりは初めからないような感じです。事実上、別名義での歌手活動ということになるのでしょう。
で、なんでわざわざ別人という見せ方をするのか。もちろん、「話題性」という点も大きいでしょう。もともとは清純派な役柄で出てきたのに、いつの間にか芸能ニュース常連、何かとお騒がせキャラで通っているみたいですし…あえて話題を作っているような面はあります。でもただ話題づくりというわけではなく、そういう彼女自身のキャラクターと切り離したかった、という意向もあるのかなあ、と思うのです。
今回のこの曲は、ロック系サウンドに乗せ、『答えがあるから 今を生きてる/守りたいものが ここにある』と、純粋な想いをつづった内容。Kaoru Amane名義で出した「タイヨウのうた」とも違う方向性ですし、彼女自身のこれまでのキャラともちょっと違います。そもそも、一人称は「僕」ですしね。
思うに、この「ERIKA」という設定は、何かとスキャンダラスな存在になった沢尻エリカ本人とある程度切り離して見せることで、音楽は自由にあれこれやっていきたい、自由に聴いてもらうようにしたいからこそのものなんじゃないでしょうか。
たとえバレバレでも、別人として主張することで、「こんなの沢尻エリカらしくない!」という批判を封じ込めることができる…と言うと、わかりやすいですね。
そういう意味では、作品中で演じた役柄名義でリリースした前作とはだいぶ意味合いが違ってくるのかなと。どちらかというと、DJ OZMAなんかと近そうです。あれも、氣志團ではできないディスコサウンドをやるには、本人そのままではなかなか難しい面があったでしょうから…
特に今回なんか、『君がいるだけで 僕は飛べるよ』『失ってきたもの 手にしたもの/全部抱いて 走る』など、歌詞に描かれているのはとてもピュアな感覚です。こうした内容を効果的に演出するには、「あの人気女優が歌っている!」というよりも、「彗星のごとく現れた無名の新人歌手!」のほうが似合っている、ということもあるでしょうから。
それにしても、2003年柴咲コウのRUI「月のしずく」以降、架空の設定でのリリースが増えてきています。フィクションが身近になった、楽しめるようになったという聴き手側の心理も背景にありそうです。