2007年08月31日

L'Arc〜en〜Ciel「SEVENTH HEAVEN」

SEVENTH HEAVEN
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<浮遊せず、ずっしりと腰を落としたサウンドの理由は…>

 シングルとしては実に「Link」以来22ヶ月ぶりとなった、L'Arc〜en〜Cielの活動再開シングル。そんなに空いていたか?と思ってしまうのは、各メンバーのソロワークもそれなりに活発だったからでしょうか。

 さてこの楽曲、ディスコっぽいアッパーさが全編に満ち満ちている、かなり異色のナンバーです。個人的には、ラルクの持ち味は透明感と色彩に溢れる音楽という印象で、同じように感じている人も多いのではと思うのですが、そういうひとにとってはかなり驚きだったはず。

 とはいっても、ラルクらしさがまったくない、というわけでもなく。決して一本気にならずうねりを生み、安定よりも宙にぶら下がるような不安定さのあるメロディラインは、実にhyde曲らしいです。超・自由なベースラインも相変わらずですし…

 トリップ感満載の歌詞もまた健在。『揺らめく楽園』を目指して、『身体の中の殻を破り』『廻りまわり 色は変わり』と、変身/変化を志向する方向性は、今回もはっきりと見てとることができます。そもそも、タイトルからしてそれっぽいですし。
 ちなみに、「SEVENTH HEAVEN」とは、キリスト教における用語。7つあるうちの7番目、最上級の天国のことなのだそう。

 で、この曲最大のポイントは、1コーラスの最後に出てくる『君に最終的なQuestion./何処に存在するかheaven?』という問いかけです。その後、『The answer in a minute thirty one.』=答えは1分31秒後、という不思議なメッセージが続いています。
 さて、そこで実際に、楽曲の1分31秒後を待ってみると…ちょうど2コーラスがひと巡りして、同じ部分で今度は『The answer's waiting under your feet.』と歌われるのですね。「足の下」、つまり「大地」を指していると考えると…この地球そのものが天国なのだ、というメッセージになるわけです。これはかなり各所で話題になった解釈ですが、楽曲のなかで「答えはまた後で!」とするなんて、なかなか面白い趣向です。『ヒントは無い』と言っておきながら直後にヒントを出しているのも、遊び心がきいていますね。

 ラルクは浮遊感を感じさせるタイプの楽曲が多い中、打ち込みのビートが地に足のついた雰囲気を醸し出しているのは、もしかするとこの「地球こそ天国」というテーマとリンクしているのではないかなあ、とも思います。
 そう考えると、歌詞のラストで『この大地へと築き行こう』と締めているのも、さらには、いつもだったら中空に抜けるようなファルセットがどこかで出てくるのに、それがないのも…?


2007年08月30日

過去ログ発掘のコーナー その21。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
 毎回そのときの気分で一曲選んで紹介するこのコーナーのバックナンバーから、新しいレビュー更新が滞ったとき、ちょこっとずつ抜き出して紹介していきます。メルマガを読んでいない人にはちょっとした暇つぶしに、読んだことのある人にも何か新たな発見があれば幸いです。



≪現代ポップス雑考。≫ Vol.064 2006/09/10
#YUKI「夏のヒーロー」

 『最後の花火 揺れて落ちた/夕暮れ 帰り道/涙さっきから こらえてる』

 最新アルバム「WAVE」で、今のところ一番のお気に入りです。本当は今回の内容でも触れているスキマスイッチ作曲の「You've got a friend」を取り上げようとも思ったのですが…

 『泥だらけで 手も 繋げずにいた/いつも 強がりばかりの 夏のヒーロー』

 この曲、なんというかYUKIにしては珍しく、非常に具体的現実的な過去の出来事について描いているような形式なんですよね。多少ファンタジックな部分はあるものの。なんというか、それがすごく新鮮でした。今までの彼女は、現在のこと、未来のことについてばかり言及してきたような印象があるので。

 とはいえ単なるノスタルジックに浸る曲ではなく、『大切に 毎日を 生きていけるから』と、きちんとこの先のことも見据えています。このところいろいろな楽曲に出てきている命の循環のような感覚も、ここにちゃんと宿っているように感じます。

Wave (通常盤)
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 もうすぐ8月も終わりですねー。こういう時期には、やっぱり切なげな楽曲が胸に染みてくるものです。
posted by はじ at 09:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月29日

V6「ジャスミン」

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V6 近藤薫 小幡英之 小川マキ 久米康隆 20th Century HIKARI Coming Century KOMU 家原正樹
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<傷つきやすい繊細な人までを掬い上げる>

 前作「HONEY BEAT」ではストレートなアイドルポップスをやっていましたが、今作は柔らかな雰囲気を持ったミディアムナンバー。その前の「グッデイ!!」からの流れに、ポップ回帰か?と思いましたが、そんな単純に方向性を絞るというつもりはない模様です。

 そういえば何だかんだ言って彼らは芸域が広かったりするんですよね。そりゃ31枚もシングル出していればバラエティは出てくるものですが、デビュー当初はユーロビート一辺倒だったし、それが玉置浩二作曲の「愛なんだ」で等身大ポップ路線を定着させていき…でも「自由であるために」ではちょっとニヒルに決めてみたり、「Orange」ではかなり冒険的な楽曲に挑戦していたり…
 今回も、一言で表すなら「等身大メッセージソング」ですが、たとえば「WAになって踊ろう」や「UTAO-UTAO」あたりのタイプとは違いますし。全世界に向かって呼びかけるようなマクロな「博愛」ではなく、あくまでも自分自身と向き合うミクロな「自問自答」に終始しています。

 「花」をモチーフにした歌詞の表現や、『咲かない種などは無いから』『さよなら 今の僕』などの言葉だけを取り上げれば、いかにも無難なフレーズです。
 ただ、けっこう面白い表現もありまして。『誰かの声に 聞き耳を立て/明日をちょっと疑った』とか、『快晴が続くほどに 少し不安で眠れないけど』とか。この辺りは、あえて人のことを気にしたり、晴れていても落ち着かなかったり…悪い状況にいて落ち込んだり傷ついたりするというわけではないんですね。なんでもないこと、いいことにも不安になってしまうという心情を拾い上げているわけです。
 これは、なかなか注目に値するのではないかなと。もちろん『同情に抱かれながら 泣いて枯れて進めない夜』というバッドなシチュエーションも出てきます。けど、それだけじゃない、もっと些細な瞬間にも人は傷つくんだ、ということも歌に込めているのです。そして、そんな繊細な心までを掬い上げようとしているのです。

 「頑張れ」というような、奮い立たせたり、何かをさせようとけしかける言葉はありません。「進め」とは言わず、『新しい朝へ』とだけ言ったりもしていますね。
 『感情はどんなルールも 追い越して君だけを守るよ/そんな魔法が誰にだってあるんだ』という呼びかけは、自己肯定をそっと促すフレーズです。ここでの「感情」は「誰にだってある魔法」につながるので、他の誰かではない自身の感情のことでしょう。「君」の感情は「君」を守る…考えてみれば当たり前のことですが、まず自分自身を守るということから教えてあげているのですね。内向的な現代人、うつの人にもしっくり馴染むくらいの、優しいメッセージになっているんじゃないかなと。

 そう考えると、数ある花の中でリラックス効果がある「ジャスミン」をこの曲に選んだのにも、ちゃんと理由があるのだろうと思えてきますよね。
ラベル:V6
posted by はじ at 01:38| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月28日

泉こなた(平野綾) 柊かがみ(加藤英美里) 柊つかさ(福原香織) 高良みゆき(遠藤綾) 「もってけ!セーラーふく」

TVアニメ「らき☆すた」OP主題歌 もってけ!セーラーふく
泉こなた(平野綾) 柊かがみ(加藤英美里) 柊つかさ(福原香織) 高良みゆき(遠藤綾) 畑亜貴 神前暁 nishi-ken
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<「印象付け」と「ノリ」に貫かれたカオス>

 オリコン初登場で、6万枚以上を売り上げての2位。2007年上半期シングルチャートでも36位にランクイン。累計10万枚を超えるセールスを記録するなど、近年のアニメソング台頭の中でも破格のヒットとなったのがこちら。アニメ「らき☆すた」のオープニングテーマです。

 最近は、アニメ番組に一般アーティストがタイアップとなる場合もたいへん多いです。そんな中、主役を務める声優陣4人による歌、キャラクター名でのクレジットしかもいわゆる「萌え」系を感じさせるキャラと声、と非常に純度の高いアニソンになっているこの楽曲。いったい何がそんなにヒットする要因になったのでしょうか。
 そのもっとも大きな部分は「話題性」に尽きるのかと思いますが、当ブログは楽曲レビューがテーマなので、まずは曲自体の特徴から触れていきましょう。

 初めてこの曲を聴く人は、きっと大部分は何を言っているかわからないでしょう。そして、何度か聴いてある程度わかってきても、またははじめから聴き取りやすいところでも、何を言わんとしているのかはまったくわからないのではないかと思います。
 『らっぴんぐが制服・・・だぁぁ不利ってこたない ぷ。』
 『驚いたあたしだけ? 豚骨ハリガネおかわりだだだ』
 歌詞カードを読んでも意味が頭に入ってこない言葉が、とにかくひたすら高速でラップのようにまくしたてられていく。ラップのような、としたのは、ラップにしては非常に自由奔放だからです。そもそも、表記だって複雑です。『夏服がいいのです←キャ?ワ!イイv』とか。それがいわゆるアニメ的な高い女の子声で歌われるのを聴いていると、なんだかやたらと頭に残る、クセになってしまう、洗脳されていく…という事態が多発している様子。

 一見バラバラに見える歌詞のひとつひとつに、細かい意味が付与されている…なんてことはおそらくありません。ひとつは≪聴き手にはっきりと印象付けを行うため≫そしてもうひとつは、≪曲の中に独自の「ノリ」を作り上げるため≫。そのために、わざと大きなまとまりを作らないようにし、統一感のない語彙をばら撒き、砕けて軽い語り方/書き方をしているんだろうと思うのです。
 その点に絞れば、方法論としてはJ-POPでも(CMなどの分野でも)普通に行われていることです。それをアニメのフィールドに持ち込み、アニメ声と「萌え」の香りをまぶしてみる…という感じでしょうか。
 ≪印象付け≫という点では、サビの頭にあえて英語フレーズを入れてキャッチーに響かせたりする、とか。独自の≪ノリ≫では、言葉遊びをしてみたり造語を作ってみたりとか。用いる材料が異質なのと、やたら極端に誇張されていたりはしますが、根元をたどればそうそう革新的なことではないわけです。

 個人的にこの楽曲に通じる典型的な例だと思ったのが、今から11年前にブームを巻き起こしたPUFFY「アジアの純真」です。
 井上陽水の書いた詞は、当時、はっきり言って意味不明でした。今でも意味不明ですから、独特ではあっても先鋭的だったわけでもありません。でも、大ヒットした。これこそ、大きなインパクトとPUFFYの持つダラダラさ、リラックス仕切ったスタイルという≪印象≫と≪ノリ≫が生み出したものでしょう。
 「もってけ!セーラーふく」は、アニメソングという人を選ぶ分野だったことはあるものの、PUFFYのブレイクと同じような部分で評価され、ヒットに繋がったのではないかなーと。白のパンダを並べるという歌詞の必要性がわからないように、『ぶつかって溶けましたぼーぜん』が何を表しているかはわからなくていいのです。『なやみン坊ー 高鉄棒ー おいしん簿ー』という韻踏みにしても脈絡のない単語の羅列だって、『美人 アリラン ガムラン ラザニア』を思い起こしますし。

 で、「アジアの純真」がなんとなくアジアっぽい言葉を選んでいたように、「もってけ!〜」もまた、「萌え」的な要素を感じさせる言葉が多めに含まれていたりするわけで。『セーラーふくだからです←結論』なんてアピールしてみるのもそうだし、『汗(Fuu)々(Fuu)の谷間にDarlin' darlin' F R E E Z E!!』とか、『チラみせなんてありきたり!』とか、誘うようなフレーズも垣間見えますね。
 でも、決してアピールや誘惑で統一されているわけではなく、やっぱり中心なのは先に挙げた≪印象付け≫と≪ノリ≫を最重要視して紡がれている言葉の洪水なのです。

 『なんかダるー なんかデるー/あいしテるー あれ一個が違ってるんるー』なんてフレーズを見てみましょう。
 乗せているリズムには「なんか」とか「一個」「違って」といった言葉がするっとはまっている。ここに限らず全体的に、メロディラインに合わせて乗りやすい単語を合わせていたり、詰め込みやすい響きの単語を選んでいるっぽかったり、かなり口語に近い滑らかさがあります。それなのに意味が見えにくいので、聴き手は混乱するわけですが。とにかくこれが≪印象≫に残るのですね。
 また、言葉を「なんとなく」スライドさせてみた感が満載。最後なんて「るんるー」とか文字数揃っていないのにテキトーに合わせたっぽいわけですが、このテキトーさこそが、すなわちこの曲の「ノリ」なんですね。
 ここ、あくまでさらっとだけ「愛してる」が入っていますが「あいしテるー」と表記をおかしくしたり、これ違うねと自己ツッコミさせたり(しかもそれを指しているかどうかは明確にしない)。言わせておきながら、テキトーっぽく、ものの拍子やついでっぽく感じるバランスになっているのですね。
 このテキトーさ加減は、至るところで感じられます。「もーそう伝」「パル神殿」「そーらん節」「てんぷてーしょん」は韻を踏んでいるつもりなのか?とか、『制服はかんたんよ=ラクチン』って言い換えになってないじゃん!とか。極めつけは後半の『うんだかだーうんだかだーうにゃうにゃ/はれってほれってひれんらー』…思わず「詞を書くの飽きたのかよ!」と叫んでしまいそうになりますが、そういう「ツッコミ」を待っているっぽい面もあちこちから感じられますね。

 そんなわけで、たいへん長々と書いてきましたが、ポイントとしてはこんな感じ。

・「高速でまくしたてるアニメ声」が耳に残る
・大きな意味はないが、≪印象付け≫と≪ノリ≫を中心に、あれこれ考えて意図的にハチャメチャに作られている詞
・メロディラインに沿った言葉選びが≪印象≫に残る
・この曲のにおける≪ノリ≫とは、あちこちから漂うテキトーさ加減
・PUFFY「アジアの純真」のヒットに似ていると思うのです ←結論


 ここまで、曲の中身についての考察。
 ここからは、はじめに触れたこの曲の「話題性」について書いていきます。続きを読む
posted by はじ at 03:03| Comment(1) | TrackBack(0) | J-POPレビュー企画もの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月26日

メルマガ、Vol.113発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.113 2007/08/26 発行部数:めろんぱん 435/まぐまぐ 110

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
Aqua Timez「ALONES」
 〜奮起よりもリラックスを促すメッセージ

<新着レビュー>
Every Little Thing「キラメキアワー」
 〜明確な意図に裏打ちされた表現


 来週より、新コーナー<年間チャートよりぬきレビュー>を開始します。
 メルマガ発行100回達成時に企画して、だいぶ間が空いてしまいましたが、ブログでのレビューを本格的に始めた2004年以前の楽曲について、ヒットチャートの状況や当時の世情などとも絡めて書いていくつもりです。

 各年のヒット曲を3〜5曲ずつ、2003年からずっとさかのぼっていく形でレビューしていく予定なので、興味のある方はぜひメルマガをチェックしてくださいね。


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。
posted by はじ at 23:38| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

吉井和哉「WINNER」

WINNER
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吉井和哉
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<強すぎない呼びかけ、漂う静かな強さ>

 昨年にはオンライン配信のみで楽曲の発表を行っていたとのことですが、通常リリースのシングルとしては、かなり久しぶりの登場となる吉井和哉の新曲。サッカー映画「GOAL!2」日本語吹替え版の主題歌で、前向きで勇気をくれる内容となっています。

 とはいっても、普通のメッセージソングとはどことなく違う味わいが、至るところから垣間見えます。
 たとえば、『君の勝利は自分で勝ち取れ』あたりの「いかにも」な言葉もありつつ、過剰に希望を煽ったりはしていないところとか。「きっとできる」とか「自分がついている」とか、そうした呼びかけはありません。『走れこのままじゃ何も変わらない』と煽ったり、『いつか笑い飛ばせますように』と祈ったり、それくらいのものなんですね。
 夢を抱かせるのではなく、不安を和らげたり、発奮を促したりする言葉ばかりなのです。

 「できる!」「頑張れ!」という応援は、誰にとってもわかりやすいメッセージです。でも、それを根拠もなく、外側から言われるのはイヤだ、という人もいます。そういう人にとっては、この曲の放つようなメッセージのほうがきっと耳に響きやすいのではないでしょうか。
 それほど大きな盛り上がりには繋がりませんが、静かな強さを感じさせる内容になっているなあ、と感じるのです。

 オリジナリティがもっとも発揮されているなと感じるのは、『笑顔がキレイな/君の裏側こそが美しい』という、ここでしょうか。
 人は誰も笑顔だけでは生きてはいけません。楽しそうな表情を作ってみせる、そんな作為に自己嫌悪の念を感じてしまう人は多いのではないかなと。でも、笑顔の「裏側」を掬いとってあげるこのフレーズは、そんな自己嫌悪にもすっと光を照らしてあげられるのですね。

 そして、象徴的なのは、『走れ止まらずにこらえるんだWINNER』の一文。メッセージを投げかける相手を、「WINNER」=「勝者」と呼んでいます。つまり、「勝利」は遥かな目標ではなく、前提としてすでにあるんですね。勝つために走るのではないんです。
 すでに勝っている、だから苦しくても止まらずに走り続けるんだ…得られるかどうかわからない「勝利」を目指させるよりも、先に勝者と呼んでしまうことで、まず確かなものを聴き手の意識に植えつけ、それを糧にさせているわけですね。あるいは、止まらずに走り続けるものこそが勝者なのだ、というメッセージなのかもしれません。
 いずれにせよ、誰もが確実に「WINNNER」となることができる、その可能性を充分に持ったメッセージになっているなあと。

 ファルセットを多用しつつ、全体的に緩やかなメロディラインもまた、この曲の持つ密やかな強さをほんおり香らせることに一役買っているなあと。暑苦しくなく、イケイケでもありませんが、確かな前進をもたらしてあげられる歌なのではないでしょうか。

2007年08月25日

美勇伝「恋する♥エンジェル♥ハート」

恋するエンジェルハート
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<「恋する女の子」の魅力をぎゅっと濃縮>

 タイトルのハートは本当は白抜きですが、どうもこのブログでは表示できないみたいなので。

 内容は、ハイテンポなサウンドに乗せて、『この夏には/素直なカラダで伝えたい』と、夏に向けて高まっていく恋の感情を感じさせるものになっています。
 カラダで伝える、というとなんだかちょっとアダルトな雰囲気ですが、でも全体を見るとそうでもないのかなと。『デートは5回目/それでもドキドキね/腕組んだりしないのかな?』というフレーズは、女の子側からの積極的に関係を深めていきたい!という気持ちが表れていますが、腕を組むか組まないかという段階で逡巡しているのは、どちらかというと微笑ましさ・幼さを思わせます。ハートマークの多用もそうですし。
 『大人になっても/こんなに苦しくて』と悩む姿も見られます。自称は大人なんですけど、電話が来ないと不安だったりして、やっぱりあんまりしっかりしていないようです。

 こうした多面的なキャラクターは、「恋する女の子」らしさをグッと濃縮して詞に注ぎ込んでいるからだろうなー、と感じます。
 恋をしているドキドキをアピールしてみたり、幼さ無邪気さを醸し出してみたり、会えないときも一途に寂しがっている面も見せたり、『夏の刺激』を求めてみせてエロスも演出しドキッとさせたり…「恋する女の子」という存在が、さまざまなシチュエーションにおいて見せる「かわいらしさ」を並べてひとつの曲に盛り込んだ、という印象があります。

 『みんなに自慢したい/公認の夏にしたい』という希望もまた、恋に夢中な女の子らしさを表現しているフレーズです。が、ここは例えば「二人きりの秘密にしたい」としても面白そうな部分ですよね。
 プライベートな関係を強調させて気持ちを煽るのではなく、あえて開放的な意志を選んでいるのは、ひとつには曲に合っているかどうか、で判断されたのでしょう。つまり、疾走感のあり開放的な「夏」という季節を舞台にしているから、ということ。そしてもうひとつは、グループの歌だから、という側面もあるのかもしれないなあと。ソロの曲としてリリースしていたら、「二人だけ」のプライベートさを求めるほうがきっと効果的な気がします。
posted by はじ at 08:39| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月24日

桑田佳祐「明日晴れるかな」

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<「郷愁」を受け入れつつも、ほんのちょっと前に踏み出そうと呼びかける>

 サザンオールスターズのボーカリストとして息の長い活動をしながら、ちょくちょくソロでも作品を発表し、ヒットを飛ばしている桑田佳祐。ソロ活動については、今年で通算4期目となるとのことです。

 内容としては、歌い出しは『熱い涙や恋の叫びも/輝ける日はどこへ消えたの?』とあり、過ぎ去った過去を思い返すところから始まります。で、この一文にもあるように、曲中には「?」で終わるフレーズが大変頻出します。Aメロのリピートでも、『耳を澄ませば心の声は/僕に何を語りかけるだろう?』と自問してみたり、『これが運命でしょうか?/あきらめようか?』と悩んでみせたり。
 ただ曲全体を見据えてみると、こうした「?」は、必ずしも疑問を投げかけているだけでなく、その問いかけを乗り越えていこうというような意志を感じさせるのですね。

 始まりこそ郷愁の念で、その後もなかなか煮え切らなさそうな言葉が続きますが、やがて出てくるのは『在りし日の己れを愛するために/想い出は美しくあるのさ』というフレーズ。これは、「想い出が美しく見えるのは、過去の自分を受け入れたいためだ」というような、揶揄を含んだ言い方だと感じます。
 で、過去に頼るのではなく、『もう少しの勝負じゃない!!』と鼓舞し、ほんの少しだけでも前を向かせようとする…それが、最後の『「明日晴れるかな…」』というつぶやきに繋がってきています。この部分だけは子どものコーラスが歌っているという珍しい演出になっていますが、その前の『誰もがひとりひとり』を踏まえての多人数でのコーラス、しかも「純粋な願い」という響きを出したかったからなのかなーと想像できます。
 とりあえず、郷愁に浸りながらも、想い出は想い出として胸に秘め先へと進んでいこうとする、そんな流れのある内容になっているわけですね。続きを読む
posted by はじ at 04:04| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月23日

GReeeeN「愛唄」

愛唄(あいうた)
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GReeeeN JIN
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<「ストレートなラブソング」という楽曲の特徴を貫くために>

 メンバーの全員が現役歯学部生で構成されている今年のニューカマー、GReeeeN。3枚目のシングルにしてスマッシュヒットしたのがこちらの「愛唄」ですね。

 非常に直球なラブソングです。『「愛してる」だなんてクサイけどね/だけど この言葉以外 伝える事ができない』とシンプルで明快な言葉の選択。そして、『君の選んだ人生は僕で良かったのか?/なんて 分からないけど、、、』なんてちょっと弱気になってみせるところも、いかにも現代の若者男子という感じ。
 「守ってみせる」とか「ついてこい」とは言わず、『隣に立って 居れることで』と傍にいること、『隣でずっと 愛を唄うよ』と愛を呼びかけ続けること…こういうところも、今の時代に「共感」を呼ぶ部分ですね。強気に押すのではなく、そんなに強気にはなれないけど誠意を見せる、という形です。

 こういうシンプルイズベストな直球ラブソングは、ある程度の周期を置いてスマッシュヒットになっている気がします。去年のこのポジションは、湘南乃風「純恋歌」でした、たぶん。その前は…河口恭吾「桜」とか、三木道三「Lifetime Respect」あたりでしょうか。
 こうした、わかりやすく単純な言葉だけで構成された詞は「ヒネリがない!」と批判されがちですが、やっぱりこうして定期的にシンプルなラブソングがヒットしているところを見ると、大衆はなんだかんだで「わかりやすい」愛の歌を求めているんだろうな、と感じます。
 …思えば、90年代初め、どちらかというとヒネったりささやかな内容の歌が多かったKANが「愛は勝つ」で一躍大ヒットになった(なってしまった)のなんか、象徴的な気がしますし。

 さて。
 この曲に関しては、注目が集まった頃から「盗作疑惑」が語られていたりします。槇原敬之「僕が一番欲しかったもの」にサビのメロディラインが酷似しているのですね。続きを読む
posted by はじ at 02:46| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月21日

EXILE「SUMMER TIME LOVE」

SUMMER TIME LOVE
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EXILE ATSUSHI Yasutaka Mizushima Shoichiro Hirata
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<「夏への期待感」をストレートに出した、典型的なサマーチューン>

 新生EXILEの初・サマーチューン。軽快なダンスナンバー、いかにもEXILEなサウンドです。

 さて、テーマがはっきりと「夏」で、パーカッションが南米っぽかったり熱っぽさも漂っているのですが、それでもどこか爽やかな雰囲気に仕上がっているなあという印象です。灼熱っぽくギラギラしているわけじゃないなーと。歌詞には『終わらない灼熱』なんて言葉もありますが、「EXILEらしさ」の中には、「熱気」は香っていても「暑苦しさ」は含まれていないんでしょう。

 歌詞はいかにも「初夏リリースの夏の歌」すぎて、逆にあんまり書くところがありません。どういう点が典型的かというと、とにかく「これから迎える夏への期待」に溢れているということ。『今年の夏こそは 最高に楽しむ』なんてそのまんまな意志が歌われています。
 で、どう夏を楽しむかというと、何よりもやっぱり恋ですよね。『きっと運命で僕らは結ばれるよね』と、幸せな恋愛を何の根拠もなく予感していたりします。でも、こういう強気な発言は、夏の前という時期だからこそ言えてしまうセリフでして。夏という季節には、何でもできそうな気分になる「魔力」があるものですから。
 『焼けた肌 眩しい』なんていうのも、強力な「イメージ」です。この曲の中ではまだ夏になってはいないのに、太陽に焼かれるとか、海辺の情景とか、そういう「ステキな夏」のイメージというのは、実に強力に聴き手に作用してくるものです。まだ到来前でも、浮き立った楽しみな気持ちにさせてくれる季節は、灼熱の夏くらいのものです。
 あ、春もそういう面はありますか。でも、冬を耐え忍んで花開く春とは、やっぱりテンションの高さが違いますよね、夏って。

 あと、『秋が来ても/君がいなきゃ/切ない思い出になってしまう』というフレーズがありますが、これは恋する夏が終わっても「君」とずっといたい、ということですね。何を当たり前のことを…と思うかもですが、これはつまり「ひと夏の恋」を歌った曲ではないわけで。
 なんだか近年は、「ひと夏の恋」、この夏だけ盛り上がろうぜ!みたいな主張をする人はあんまりいないですよね。ほんと、サザンくらいじゃないかなー。最近のアーティストは、浮き立つ季節にも遊びの恋愛はしない、真面目で純粋な面々なのです。
posted by はじ at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月20日

メルマガ、Vol.112発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.112 2007/08/19 発行部数:めろんぱん 434/まぐまぐ 110

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
Every Little Thing「キラメキアワー」
 〜ヒットは狙わず、我が道を行く?

<新着レビュー>
ACIDMAN「REMIND」
 〜世界を「発見」する感動を求める密やかな意志

<ひとこと寸感>
nobodyknows+「Hero's Come Back」
織田裕二「Hug,Hug」
CHEMISTRY「空の奇跡」
UA「黄金の緑」
月島きらり starring 久住小春 (モーニング娘。)「ハッピー☆彡」


 ひとこと寸感がようやくブログのペースまで追いつきました。長かった…
 とはいえ、ブログのペースがやはり慢性的に遅れているんですけれど。


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  バックナンバーも開放しています。
posted by はじ at 03:21| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月19日

テゴマス「キッス〜帰り道のラブソング〜」

キッス〜帰り道のラブソング〜 (通常盤)
テゴマス zopp h-wonder CHOKKAKU 伊藤アキラ Mark Davis 長岡成貢 田辺恵二
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<言葉の選び方に見る「等身大らしさ」「微笑ましさ」>

 ソロで活動している山下智久と同様、NEWSメンバーの手越祐也と増田貴久のユニット、テゴマスの2ndシングル。前作「ミソスープ」に続き、ハートウォーミングな雰囲気が漂っています。

 歌詞は、修二と彰「青春アミーゴ」山下智久「抱いてセニョリータ」を手がけた新進の作詞家zopp。今回は、恋人同士の何気ないやりとりを描いているので上記の2作とはちょっと方向が違いますが、でもこっちはこっちでなかなか巧みだなあと思う点がありまして。

 たとえば、『「もしも明日 世界がなくなったらどうする?」』という「僕」の質問に、「君」は言葉では答えず、「僕」の腕をつかむだけです。この仕草自体が「僕」への気持ちを明確に表してはいるわけですが、具体的にどんな想いでそうしたのか、ということは明示されません。
 一緒にいたい、と考えたのかもしれないし、「僕」も自分もなくなってしまうと想像して怖くなったかもしれないし、あるいははもっと別の感情がそこにはこもっているのかもしれない。聴き手は、あれこれと想像を膨らませることができるわけです。

 2コーラスの別れ際の「君」の場合は、『ほっぺたふくらませて 手を離して 「もう行くね」』という動作だけが描かれています。ここでも、聴き手は「君」がどうしてそう感じるのかは「僕」と同じように類推するしかできないわけで。
 たとえばここで詞の上に「不満がある」「怒っている」「寂しい」と書いてしまうと、聴き手は「君」の気持ちを把握して、「僕」の視点の外側に出てしまう。感情移入がしにくくなってしまうと思うのです。
 「君」のことを振る舞いから知ろうとする「僕」から得られる情報しか、ここには描写されていません。ミクロな視点に徹し、恋のドキドキ感を聴き手にも入り込ませようとしているんだろうなあ、という意図を感じるのです。…でも「君」は明らかに「僕」に好意を持っているとわかることばかりなので、安心して見ていられもするんですが。このあたりは、あったかムードを出すためのバランスですね。

 「キッス」というタイトルは、「キス」「kiss」ではなくこの表記にしているのも、意味があるのでしょう。曲中では特に「ッ」が入るべき、というようなメロディに乗っているわけではないですし。
 単語の持つ意味は同じでも、「kiss」と英語表記にするとちょっとかっこよくキメている感じになりますし、あえて「くちづけ」「接吻」などと言ってみると、また雰囲気が変わります。で、「キッス」だと、軽い、ちょっと子供っぽい印象を受けるものです。つまりはそこがポイントで、軽さ、幼さを出したかったんじゃないかなと。
 この歌は、かっこよくキメる!という歌ではなく、初々しい恋人達の微笑ましい雰囲気を見せる、そういうスタンスで作られたのでしょう。帰り道というシチュエーションや一人称に「僕」を選んでいるという根幹のところから、『ギュウっとしたね』『ドキドキ止まらない』という言い方なども、初々しさを感じさせるフレーズです。こういった一連の表現があるから、『世界中を 敵にしても 君を守るよ』なんて強い言葉も、どこか微笑ましい純粋さが香ってきたりするわけで。続きを読む
posted by はじ at 19:07| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月17日

Aqua Timez「しおり」

しおり
しおり
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Aqua Timez 太志
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<「より純粋に」なのか、「より感傷的に」なのか>

 さて、個人的に勝手に「J-POP第2世代」の代表的存在、ということにしているAqua Timez。そう考えている理由としては、ひとつにはミスチルやJ-HIPHOPの影響が見えること、そして歌われる言葉に今の若い世代の空気を感じるからです。

 既発シングル「決意の朝に」「千の夜をこえて」と同じく、今回もややゆたりしたミディアムテンポにぎゅっと詰め込んだ言葉が乗る、というスタイル。そういえば、彼らの名前が広まるきっかけになった「等身大のラブソング」もそうでした。
 まあ、この曲は他よりもメロディラインがしっかり見えていまして。そのぶんなのか、歌われる内容も熱いメッセージではなく、終わった恋の相手を思い返す感傷的なものにスライドしています。

 『綺麗な景色はいつの日も少しだけ悲しいんだ』と、離れてしまった恋人との想い出の風景の中で、一人で過去を振り返る主人公。まだ相手を好きなままでいる彼は、在りし日に二人で歩いた穏やかな景色に「少しだけの悲しさ」を感じます。
 なんとか忘れようとしても、なかなか忘れることはできないままでいる。『あれこれと悩んでは見たものの 答えらしい答えは見つかりません』『幸せのありかなど 僕にはわからない』と、あれこれ考えてみても、結局ストンと気持ちを納得させられないままでいます。

 「少しだけの悲しさ」に浸る感傷と、そしていつまでも結論なんて出せない「行き場のない悩み」…これが、この曲の中心を占めている部分です。
 悲しくてたまらない、絶望してしまうわけじゃない。『悲しくなんかない』と言い聞かせるくらいの分別は付いている。でも、吹っ切ることはできない。強烈な感情にのた打ち回ることはないけど、そのぶん、いつまでも宙ぶらりんのままあれこれと悩み続ける…よく言えば穏やかで真面目、悪く言えばはっきりしない、煮え切らない。そんな態度なのです。

 「失恋後も相手を切々と想い続ける」という歌は、ここでも何度か書きましたが、最近数を増してきたように感じています。で、そのうちの大抵は「まだ君が好きだけど、君との想い出を大事にして生きていくよ」というパターンか、「まだ君が好きだ、いつかまた笑って会える日が来るといいね」というパターンのどちらかに収束することが多いです。後者なんかは多少まだ未練が残っているような気もしますが、どちらにしろ、今はひとまず相手への気持ちに一区切りをつけて、前に進んでいくことで落ち着きます。
 が、この曲では、最終的には『「今日もあなたが好きでした」』と、今すぐ吹っ切ることを諦めてしまう。「あなた」への気持ちに区切りをつけられないことを、ひとまず受け入れてしまっているわけです。上記の2パターンより、少し消極的なスタンスです。
 それだけ愛が深かったんだということもできるし、ただ女々しいだけだと感じる人もいるかもしれません。でも、この曲がヒットしているということは、このスタンスがそれなりに受け入れられていることの証でもあるわけでして。やっぱり今のJ-POP世代は、ひとつ上の世代が親しんでいるよりも少し非アクティブで感傷的な空気感の中にいるんじゃないかなー、と感じたりするのです。
posted by はじ at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月15日

B'z「永遠の翼」

永遠の翼
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<散りゆく命の物語か、それとも生き抜く物語なのか>

 神風特攻隊を描いた映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」主題歌として書き下ろされた、通算43枚目のシングル。熱を帯びたシャウトが堪能できる、B'zらしさ満載のバラードです。

 今回はとにかく、詞が、タイアップ先のテーマに大きく関わっているなあと強く感じました。『愛しいものたちの幸せ』のために、『はかないこの命を 朝日のように燃やしながら/はばたいてゆこう』という、自己犠牲精神の感じられるフレーズ。そこを中心に、『絶望の先に必ずある ひと筋の希望の光』ということは「絶望」は前提で避けられないんだなあとか、『桜の丘』とか、そんなところまでいろいろ推測してしまいます。

 とはいえ、そういった自己犠牲の文脈でなくとも読めるようにはなっていまして。命を燃やすからといって死んでいくとは限らず、むしろ『ただ君のためだけに』生きていこうとしている、とも読めるのですね。このあたりの微妙なサジ加減は、やっぱりうまいなあと。
posted by はじ at 03:15| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月13日

メルマガ、Vol.111発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.111 2007/08/13 発行部数:めろんぱん 435/まぐまぐ 114

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
ACIDMAN「REMIND」
 〜ストイックな音楽性を再確認できる1枚

<新着レビュー>
RIP SLYME「熱帯夜」
 〜エロスの匂いは、こんなところから立ちのぼる

<ひとこと寸感>
100s「ももとせ」
AKB48「軽蔑していた愛情」
河村隆一「誰の為でもなく君に」
小田和正「ダイジョウブ」
COLOR「涙が落ちないように」
樹海「咲かせてはいけない花」


 世間はお盆ですが、帰省したりもしつつ更新は通常どおりくらいのペースになりそうです。夏休みは特にとらないつもりですが、まとめて一気に更新!というのも難しそうかも…


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。
posted by はじ at 04:17| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月12日

森山直太朗「未来〜風の強い午後に生まれたソネット〜」

未来~風の強い午後に生まれたソネット~
森山直太朗 御徒町凧 笹路正徳
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<幅広くイメージを拡げる、リラックスした思考>

 ミディアムテンポ、キーもそれほど高くなく、穏やかに語るように進んでいく一曲です。声も張り上げず、サビで少しだけ出てくるファルセットも、爽やかな雰囲気を演出しています。

 サブタイトルがやたら長く付いているのは、もう今回始まったことでもなく。ちょっと主張強いなーとも感じますが、ただ「未来」とだけするのも確かにシンプルすぎるのですね。

 もしかすると、未来、という概念に関してあーだこーだ理屈を並べている歌ではない、という気持ちが、副題を挟む動機になったのかもしれません。
 出会わなかったら『ふたりの未来は どんな風になっていたのかな』とベタな空想をしているフレーズがありますが、そんなに深く掘り下げてあれこれ思うわけでもない。最後に『君と共に歩む世界に 描いた未来を』とまとめていますが、未来についての想像を具体的に巡らせているわけでもない。ただ穏やかな日々の中、「風の強い午後」になんとなく思い浮かんだことを漠然と綴ってみただけ…と、そんな風情を出したかったのかなと。

 それに、「神様」を持ち出したり『生まれ変わったとしても』と言ったり、大仰な言葉を使っている箇所がいくつか見受けられますが、それらはどれもリラックスした思考の中で生まれたものなんです。そういったマクロな言葉から、『ひび割れたホロスコープ』とか『ブーゲンビリアの花言葉』とか、卑近なものまでを縦横に、自由に思い巡らせていると感じるのですね。
 「神様」を持ち出すのも、『君は笑うのかな』と、愛しい「君」の反応を想像するためだけ。なんというか、ウエイト、足場は「僕」と「君」の穏やかで幸せな日常にしっかりと根ざしていて、その中で身近なものから果てしないイメージにまで空想を拡げている…そんな歌だと思えるのです。

 多少まだ大風呂敷を広げるように思える部分もありつつ、それでも「太陽」や「生きとし生ける物へ」の頃のような、悟りを目指いていくかのような抽象的形而上的な方とは違っています。あくまでも、「君」と「僕」の個人サイズの物語を描きたいんだろうなあ、と。
 森山直太朗については、「さくら(独唱)」のイメージが強い!という人も多いと思いますが、今は和のテイストを出す歌い手というよりも、穏やかで心地よさのある日常系ポップソングの歌い手というようなスタイルで活動しています。真剣にあれこれ悩んだり、壮大なものを壮大に描こうとしたりするのもひとつの方向ですが、こうしてリラックスした思考を平和に思い巡らせて、聴き手を穏やかな感情に包む歌も、またいいものです。
posted by はじ at 22:43| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(ま行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月11日

レミオロメン「蛍」

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レミオロメン 藤巻亮太 小林武史 四家卯大 山本拓夫
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<浮遊感を出す独特のメロディと「匂い」のある言葉>

 すっかりミディアムバラードが持ち味として定着した感のあるレミオロメン。今回は両A面扱いの「RUN」がアッパーチューンではありますが、映画「眉山」の主題化タイアップとなったこちらの「蛍」は、シングルだけで見れば「粉雪」「太陽の下」「茜空」に続く4連続目となります。

 とはいえ、今回も独特のメロディラインを随所に見て取ることができるので、分析していくと飽きがきません。たとえば、歌い出しの『七月の雨に打たれて』をとっても、3連符を使っている、そしてコードからぶら下がった音を使っている、という点が挙げられます。
 4/4拍子、8部音符進行がベースの楽曲の中での3連符というのは、もちろん全体のリズムからは外れた存在なわけです。それをあえて組み込むと、その部分は強調して聴こえてくるものだったりします。決然とした力強い響きを帯びることもありますが、ここでは、滑らかで揺らぎのあるふわっと浮かぶような雰囲気を醸し出すようになっていますね。対して、サビの『逢いに行けたら』の「逢いに」の部分で出てくるときにはどちらかというと前者、きっぱりとした響きになっています。
 コードからぶらさがった音は、響きに深みを作ったり、浮遊感を出す効果があります。この曲のメロ部分がどことなく幻想的な雰囲気に包まれているのは、ただバッキングが静かだからだけではなく、このメロデイの「3連符」「コードにない音」に拠るところも大きいのではないかと。あと、少しずつ語られていくといったように、ひとつひとつ短いフレーズで作られているのもポイントかなと。

 そして穏やかなメロから一転、力強い、「粉雪」を髣髴とさせるサビのシャウト。この出だしの『今、』のコードもまた特殊です。J-POPのお約束を逸脱しているというレベルなので、人によっては調子が外れているようにさえ聴こえるかもしれません。でも、その分、インパクト大です。

 さて詞ですが、『蝉の噎びが止んでしまった』『夜の隙間から蛍が紡ぐ光の先へ』などなど、夏の情緒を感じさせる表現がいろいろ出てきています。5月リリースなのに、描かれている情景は7月。まあこのレビューは8月になっているわけですが…
 最近は日本情緒を醸し出そうとする詞の書き手はけっこう多いです。で、なんかカッコよさげなフレーズを作っているけど、ただ雅語で言ってるだけじゃ?とか、それってどういう意味?な表現も散見されたりします。なんとなく響きの良さだけで言葉を選んでいる感が漂っているなー、なんてものもあったりします。
 が、藤巻亮太の場合は『夏に惚れたと世界は唄う』なんてフレーズを見るに、「なんちゃって和風」な感じはあんまりしないです。こういうフレーズって、綺麗なイメージに囚われ溺れているだけだと出てこないんじゃないよなーと。視覚的な鮮やかさ、言葉の響きの美しさだけを追い求めているんじゃなく、描く情景の「雰囲気」「匂い」を感じて書いているんじゃないかと思わせてくれるのですね。

 ただ、今回はちょいと物足りないかも。自分の進む道筋を蛍のモチーフを使って表現し、その先に「貴方」を見ているわけですが…歌自体から物語を想起するには、もうちょっと内容を拡げてもよかったんじゃないかなと。
 タイアップの映画は観ていませんが、きっとそれと合わせるとストーリーが補完できてちょうどいいのかなあ…という気がします。個人的には、レミオっぽさは感じられるものの、レミオらしさを100%発揮しているという感じは受けませんでした。まあ、新しい方向性に変化している途中なのかもしれませんが…

2007年08月10日

嵐「We can make it!」

We can make it!
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嵐 UNITe 櫻井翔 鈴木雅也 北川暁
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<「みんなで」視点に徹する言葉と曲構成>

 メンバー松本潤が出演しているドラマ「バンビーノ!」の主題歌にもなっている嵐のこの楽曲は、非常に明快な応援ソングになっています。

 真っ当なメッセージに終始していて、ソツなくまとまっているので、あんまり「これは!」と特筆すべきことがないんですが…あえて挙げるとするならば、<「We」という視点>でしょうか。
 一人胸のうちに苦しみを抱えつつそれでも立ち上がっていく自問自答系、「I」の歌ではない。かといって、他の誰かに向かって頑張れと鼓舞するような「You」の歌でもない。共に進んでいこうとする「We」の歌、なのです。

 そりゃタイトルにもあるからわかるよ、だからどうしたの?と言われると何ですが、とりあえず全編通じて、歌詞には「僕」も「君」も出てきません。『My Dream!』と『Your Dream!』は出てきますが、それぞれコーラスごとに入れ替えて言っているだけなので、意味合いとしてはこれも「Our Dreams」ですよね。
 つまり、主語をつけないことで、『カラダに感じるリズム』も『本当の夢』も『あふれる涙』も、誰のものか限定していないわけです。それらの持ち主は「僕」でもあるし「君」でもある。○○がどうして○○はどうした、なんて役割を振り分けずに、全員が同じように頑張っていこう!という内容になっているわけなのですね。
 ラップ部分だけは「僕は」と出てきますが、まあラップというのはパーソナルな表現につながりやすいものなので…

 「We」=「みんなで」路線は、詞だけではなく曲にも表れてきているように思います。
 たとえばメロディラインは、滑らかというよりは、歯切れよく力強いものになっていて、「みんなで」進んでいくからこその確かな足取りを暗に示しているのかなあ…とか。
 それと、個々でバラバラのパートになって歌っている部分も目立ちます。同じ部分でも歌い回しを変えていたり、フェイクが絡んできたりの度合いが、普通の曲よりも大きいような。
 これは「みんなで」じゃないじゃん!…なんて言うことなかれ。むしろ、ひとつのやりかたで歌うんじゃなく、それぞれが違いながらもひとつの歌を作り上げることで、よりいっそう「みんなで」感が増しているんじゃないかなと。ひとつの歌い方だったら、一人でも歌えてしまうわけですし。「みんなで」でないとできない表現だ、とも言えそうなところです。
posted by はじ at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月09日

Monkey Majik + 吉田兄弟「Change」

Change
Change
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Monkey Majik + 吉田兄弟 Maynard Blaise Monkey Majik
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<意表をついた、「新しさ」を求めるコラボ>

 「Around The World」でスマッシュヒットを飛ばした、カナダ人兄弟が主要メンバーとなっているバンド・MONKEY MAJIK。バンド名の元となったゴダイゴの影響を受けたせいか、楽曲にはオリエンタルな雰囲気が漂いながらも、非常に洋楽チックな空気感も漂わせる、新鮮な印象のあるグループだなあ…という印象がありました。

 で、彼ら、今年に入ってコラボレーションシングルを3部作として連続リリースしていまして。
 最初は、こちらも多数コラボ活動を行っているm-floと組んでの「Picture Perfect」。そして、SEAMOとタッグを結成した卒業ソング「卒業、そして未来へ。」。そして最後を飾るのが、吉田兄弟とコラボしたこの楽曲となります。
 吉田兄弟とは、古来よりの伝統の技を受け継ぎつつ、枠にとらわれない活動を広げている津軽三味線界のホープ。ちょっとびっくりしてしまう相手です。MONKEY MAJIKはでデビュー前は東北で活動をしていたというので、ちょっと親近感はあったのかもしれませんが…

 カナダ人兄弟と三味線奏者兄弟の共演。民謡と洋楽サウンドの融合。こういうキーワードだけでもワクワクしてしまいますが、内容もまたたいへんスリリングな一曲に仕上がっています。
 テンポフリーの三味線で幕を開け、ギターリフに絡んでかき鳴らされる三味線の音色は非常に新鮮で気持ちがよいです。安室奈美恵「WANT ME,WANT ME」でもトラックに三味線が使用されていましたが、あちらはアクセントある音としてのみ取り入れていたのに対し、こちらでははっきりとバンドサウンドの一部として…スパイスとしてではなくメインの具材として扱っている、といった印象を受けました。そして、アドリブ?とまで感じさせるギターと三味線の絡みっぷりは、物珍しさだけではなく、スリリングさ、まさに新しい音楽へ「CHANGE」していくかのような興奮を感じます。

 歌詞はたいへん自己言及的。ふたつの異なるベースの音楽がコラボすることが『I NEED A CHANGE』という中心のフレーズと重ねられているのでしょうし、『TAKATANTAN!!! SWEET SOUND OF THE SHAMISEN』とか言ってますし。この「TAKATANTAN」と実際の三味線の音が重なっていて面白かったり。
 あんまり英語には自信ありませんが、『I WAN'T SOMEBODY ELSE LEAD ME NOW』というのは、意訳すると「自分のやりたいように進んでいく」くらいの感じでしょうかね。音楽スタイルの殻にこもることなく、刺激しあって新しいものを生み出していこう…そんなメッセージが暗に込められているんじゃないかなあと思ったりします。
 全英語詞なのは、そうしたメッセージが変に強く出すぎないでいいですね。日本の伝統文化と日本語、ではなく英語なところで一段階さらに遠くなっているわけで、より面白さも増していますし。
posted by はじ at 03:56| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月06日

KinKi Kids「BRAND NEW SONG」

BRAND NEW SONG (通常盤)
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posted with amazlet on 07.08.06
KinKi Kids Gajin CHOKKAKU 成海カズト オオヤギヒロオ 久保田洋司 石塚知生
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<日常風景にスパイスきかせる非日常の香り>

 キンキの楽曲って、オリエンタルっぽかったりなんだりと、ジャニーズの中でもどこか哀愁を感じさせるものが多いです。しかし今回は、わりと普通の爽やかで明るめの路線。
 裏ではしっかりブラスも盛り上げ役に入っているし、ジャニーズ・ポップな作りになっています…が、やっぱり他のユニットに比べるとゴテゴテせず涼しげな印象。コーラスやビブラフォンの音のせいもあるのでしょうけれど。編曲はジャニーズ楽曲を多数手がけているお馴染みのCHOKKAKUだったりするので、意図的に「キンキらしさ」を出すために明るさを控えているのかもなあ…とも思ったり。

 歌詞を見ていくと、『シャツのほころび なにげに見つけるキミ』のような些細なワンシーンを切り出したりしつつ、『やっぱり キミの傍が キミの腕が 自然でいい』と穏やかな日常を礼賛する内容になっています。
 テーマとしては等身大路線ですが、目を引くのは『僕らは何か 忘れ物したみたい』というような、ちょっと切なく儚げなフレーズが差し挟まれていること。やっぱり明るくなりすぎないよう配慮されているんじゃ…
 それと、細かいですが「蒼色の」「時間(とき)」「寄せては還して」「華咲かそう」といった言葉の表記にも注目したいところ。日常の言い回しや表記ではなく、あえてちょっと飾った見せ方をしています。

 何気ない二人の日々を大切にしつつも、ふと遠くを見るように切ないモノローグを入れたり、非日常的な表記をしてみたり…ただ「日常」を描くだけじゃなく、こうした部分をアクセントにしよう、という意図があるように思います。それって、キンキの楽曲って「幻想性が香る」タイプの楽曲がひとつの傾向としてあると思っているんですが、それに近い面なのかなあと。
posted by はじ at 23:37| Comment(3) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月05日

メルマガ、Vol.110発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.110 2007/08/05 発行部数:めろんぱん 434/まぐまぐ 114

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
RIP SLYME「熱帯夜」
 〜ローギアからじっとりと漂ってくるエロス

<新着レビュー>
ポルノグラフィティ「リンク」
 〜曲とも連動、すっきりしたメッセージ展開

<ひとこと寸感>
メロン記念日「アンフォゲッタブル」
Base Ball Bear「抱きしめたい」
エイジエンジニア「君は君のままで」
愛内里菜&三枝夕夏「七つの海を渡る風のように」
後藤真希「シークレット」
中孝介「花」


 近々、メルマガ100号分のバックナンバーへのリンク一覧を作成する予定です。
 今でもバックナンバーはすべて公開していますが、古いものはリンクからでは行けなくなってしまっているようなので。ブログから直接行けるほうが便利ですしね。


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。
posted by はじ at 22:33| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月04日

モーニング娘。「悲しみトワイライト」

悲しみトワイライト (通常盤)
モーニング娘。 つんく 山崎淳 鈴木Daichi秀行
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<盛り上がりを織り込んだ曲展開と、戸惑う心理をコラージュしたような言葉たち>

 いろいろスキャンダル的な話題が世間を賑わせたりしましたが、ここではとりあえずそういうの抜きで楽曲を見ていきます。

 歌謡曲的な哀愁を醸しだしつつ、ダンスチューンの要素も併せ持った、つんくお得意の路線。『男なんてなんて信じない/だってだってウソばかり』と「なんてなんて」「だってだって」というように言葉を畳み掛けてくる手法は、少々形は違えど前作「笑顔YESヌード」にも共通するもの。
 一時期は手広く手広くいろいろやっていましたが、このところの楽曲は、けっこう的を絞って練ってきている感じです。初期っぽい雰囲気もあるような。

 この曲、全体を通してかなり考えられて作ってあります。その根拠は、メロディラインの形式です。
 まずはAメロとBメロを比べてみるとわかりやすいです。どちらも、出だしの2小節のリズムが同じ。で、Bメロのほうはやや音域が上がり、しかもハモリがついてくる…というように、ステップアップしています。
 そして、Bメロではこの2小節のリズムが連続して繰り返されているのに対し、Aメロでは連続しないのですね。一般的に1フレーズは4小節や8小節で構成すると収まりがいいのですが、この曲のAメロは6小節フレーズ。Bメロのように、フレーズを繰り返せば、ちょうど収まるはずなのに。これはおそらく、Aメロの要素をBメロでより盛り上げるように聴かせるため、意図的に間引いているんじゃないかなーと。

 ちなみにAメロは、<Bメロと共通の2小節フレーズ>+<四分音符を並べたやや緩やかなフレーズで始まる4小節>という構成になっています。この形は、実はサビにも繋がっていくのですね。
 サビは<「なんてなんて」など言葉の畳み掛けに繋がる前倒しのリズム2小節×2>+<四分音符を並べたやや緩やかなフレーズ>になっています。さらに、1小節の余白があるAメロよりもフレーズ自体が長く、流れが強固になっていたり。この辺、ただ好き勝手にメロディラインを繋げていくのではなく、きちんと全体を考えて構成していっているんだなあと推測ができるわけです。


 ちなみに、構成を練っている曲側に対し、詞のほうはけっこうバラバラという印象。続きを読む
posted by はじ at 11:35| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(ま行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月02日

ORANGE RANGE「イカSUMMER」

イカSUMMER
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<あえて脳天気さ、ダーティさに徹する姿勢>

 ORANGE RANGEのすっかり毎年定番コースとなった、脳天気ハイテンションサマーチューン。なんというか、相変わらずハチャメチャ破天荒で、そしてどこか不敵で、逆になんだかホッとするくらい。

 とりあえず、内容が盛りだくさん。歌もありラップもあり、そして冒頭や途中にはよくわからない呪文も差し挟まれています。その呪文には、なんだかカッコ付きで、訳?だかセリフだかも乗せてあったり。
 『123で夏が来る』、「ワン・ツー・スリー」と数を数える文句は非常にわかりやすく、耳に入ってきやすいものです。そうやってフレーズを始め、『スーパーULTRA ちゅらちゅらよ』と続く。強調をふたつ並べて馬鹿っぽさを出しています。しかもわざわざカタカナとアルファベットにしたりと、芸が細かい。加えて、文脈と微妙に沿っていないような感じに沖縄方言まで混ぜ込んでくる。
 この一行だけ取り出してみても、キャッチーかつ脳天気さが詰まっているのがわかります。一見ノリだけの意味不明な内容で、それは正しいのですけれど、これだけいろいろな要素を駆使しているところを見るにつけ、意図的に馬鹿騒ぎ感を出しているんだなあと思うのです。

 なので、「アタマ悪そう」とか「歌詞の中身がないじゃん」とか「沖縄方言をわざわざ使う意味あるの?」とか、そういう批判はあんまり意味がないんじゃないかなと。この手の楽曲は、瞬間的にテンションを上げるためのものであって、いちいち意味を考えずメロディやサウンド、言葉の響きやフレーズのイメージで楽しむためのものだと思うのです。盛り上げのための拍手に対して「うるさい!」とか「揃っていない」とか「音楽性が感じられない」とか言うのと同じようなことだと思うのです。ん?ちょっと違うかな?
 少なくとも、パクリだなんだと毎度あれこれ騒がれる中で「イカサマ」にかかるタイトルを曲に冠するあたりも、わざとやっているよなーと思っちゃいますし。「UN ROCK STAR」といい、あえてダーティなイメージを受け入れ、むしろ煽っているようなスタンスを感じます。いろんな意味で「確信犯」的に曲を作っているんだろうなと。

 今回もあれこれキャッチーにできているんですが、むしろいろいろ詰め込みすぎて、あるいはサウンドが賑やかすぎてかもですが、ハッキリとアタマに刻み付けられるような中毒性まではない感じ。それでも、脳天気さノリのよさに徹するその姿勢は評価したいところ。
posted by はじ at 01:45| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月01日

過去ログ発掘のコーナー その20。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
 毎回そのときの気分で一曲選んで紹介するこのコーナーのバックナンバーから、新しいレビュー更新が滞ったとき、ちょこっとずつ抜き出して紹介していきます。メルマガを読んでいない人にはちょっとした暇つぶしに、読んだことのある人にも何か新たな発見があれば幸いです。



≪現代ポップス雑考。≫ Vol.003 2005/07/02
#川本真琴「微熱」

 『聞こえる? 感じてる? 五感閉じて知って/
  抱きしめると世界に弾かれそう//つないでいて』

 1stアルバム以降の川本真琴の楽曲は、迷走している、という感じがよく出ています。不思議空間全開の「ピカピカ」、10分を超える「FRAGILE」、完全にネジが飛んでしまった「ギミーシェルター」…しかし、どの曲にも得体の知れないぎらつき、独自世界があって、これはこれでいいのかなとも思います。
 「微熱」は、どこかエスニックなサウンドとまくしたてる歌、真似できない詞とメロディラインにクラクラしますが、でも初期の頃にあったような「焦燥感」や「必死さ」みたなものもあって、そこがこう、切ない雰囲気もふと見せてきて。

 ということで、たまに聴き返したくなっては、川本真琴という稀有な歌い手について、思いをはせたりします。

gobbledygook
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川本真琴
アンティノスレコード (2001/03/03)
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 すっかり「90年代の人」として、もっと若い世代にとっては懐メロ化しつつある川本真琴ですが、たまーに聴き返したくてたまらなくなる人です。で、いつ聴いても、全然古くなくみずみずしい気分になれるんですよね。
 さすがにもう「復活熱望!」とは思わなくなりました。でも、世に出た数少ない作品は、この先も何度も聴き返すことでしょう。この時期だと、「DNA」「タイムマシーン」、「FRAGILE」や「ひまわり」もいいですね。

 しかし、この「微熱」は、よく読んでみると冬の歌なのかー。いま初めて知りました。
posted by はじ at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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