2007年07月30日

ザ・クロマニヨンズ「紙飛行機」

紙飛行機
紙飛行機
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ザ・クロマニヨンズ 真島昌利 甲本ヒロト
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<熱をあえて抑えたスタイルの裏には、変わりのない初期衝動>

 THE BLUE HEARTS、ザ・ハイロウズの甲本ヒロトと真島昌利が結成したニューバンド、ザ・クロマニヨンズの2ndシングル。
 「タリホー」に続き、またもガンガン前に突き進む感じのロックサウンドが味わえます。ブルーハーツ後期からハイロウズ時代は、わりとミディアムテンポの作品も多数残しているのですが、少なくともこのバンドに関しては、まずは突っ走っていきたい!という思いがあるのではないでしょうか。

 かと言って、ブルーハーツ初期に戻ったかのような疾走感!というわけではありません。「リンダ リンダ」や「TRAIN-TRAIN」など往年の名曲と違うのは、シンプルで勢いのあるバンドサウンドを打ち出しつつも、当時のような「熱気」を持っていないこと。そして、明確な「メッセージ」を打ち出していないこと。この2点が挙げられます。
 こう書くとなんだか批判的に感じられるかもしれませんが、そうではないのです。

 音楽活動を開始して間もない、年齢も若い時期というのは、初期衝動をそのまま形にして行こうという「熱気」がバンドにはあるものです。地道なライブ活動をひたすら展開していることが多いのも、そうした傾向の要因になっているんじゃないかなーとも思います。しかし、年を重ねていく間に落ち着いてしまったり、考え方が変わったり、ヒットした代償として目標を見失ってしまったり、同じような作品ではなく新しい要素を求めていったり…などなどで、失っていくことも多いのですが。
 ヒロトとマーシーの二人はデビュー21年目ということもあり、クロマニヨンズの場合は、そうした「熱」はあまりこもってはいないように感じます。また、社会に対する不敵さ、自分の生き方を貫き突き進んでいこうとする強い意志と衝動を感じさせるメッセージもありません。『揺れて 乱れて 紙飛行機』と、もちろん空を進んでいきながらも、もっと砕けた生き方を乗せているように感じるのです。

 でも、それは悪いことだというわけではなく。
 むしろ、彼らの持っていた初期衝動そのものは、今も強く残っているんじゃないかなーと感じます。『団地の窓から 飛べ紙飛行機』といった何気ない一節も、管理された建物である「団地」を用いることで、それとなく現代社会からの脱出を想起させるフレーズになっていたりします。また、『明日とかわからないし/別にいい』みたいなシンプルな言葉にも、彼らの当初からのスタンスは滲んで表れてきているのではないかなと。
 決して「このくだらねえ窮屈な街から抜け出すんだ!」なんて高らかに言ってはいません。けれども、より身近な、何気ない言葉で、熱を帯びずに歌うようになった…と見るべきではないかなと。『スーイ スーイ スラララ』なんて擬音を持ち出しているのも、それ自体には意味のない響きだけの言葉を多用し、あえて直球ではメッセージを投げつけないように構えているのかなーとも。「タリホー」もまたそうでしたしね。

 新バンドを結成することで気持ちを新たにしようという思いも当然あったでしょうし、初期衝動を忘れずにいよう!という姿勢は間違いなくあると思います。ただ、それがより方肩の力を抜いた表現方法になった…ということなのかなーと。


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2007年07月29日

メルマガ、Vol.109発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.109 2007/07/29 発行部数:めろんぱん 430/まぐまぐ 108

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
ポルノグラフィティ「リンク」
 〜主観と客観でのメロディ作りの違い

<新着レビュー>
KREVA「くればいいのに feat.草野マサムネ from SPITZ」
 〜コラボパートナーを選んだ意図と意義

<ひとこと寸感>
Berryz工房「VERY BEAUTY」
宇浦冴香「-Sha la la-アヤカシNIGHT-」
Monkey Majik+SEAMO「卒業、そして未来へ。」
BENNIE K「1001Nights」
SOPHIA「君と月の光」
THE BACK HORN「美しい名前」


 溜まっていたひとことレビュー分がなかなか終わりません。新コーナーはもうしばらくお待ちください〜…


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2007年07月28日

ウエンツ瑛士「Awaking Emotion 8/5」

Awaking Emotion 8/5/my brand new way (ウエンツ瑛士ジャケット盤)
ウエンツ瑛士 小松清人 Curious K. 小池徹平 Special Supported by TEPPEI KOIKE 水木しげる 前嶋廣明
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<ユニット時とは異なるスタイルとその魅力>

 WaTそのままといった穏やかでフォーキーなポップスだった小池徹平のソロ作「君に贈る歌」に対して、ウエンツ瑛士のソロ作はWaTではありえないロックチューン。やー、正直、かなり驚きました。

 主演している映画「ゲゲゲの鬼太郎」主題歌として見ると合っているのか?という疑問はさておき、曲単体としてはよくできていると思います。ウエンツの普段のキャラとのギャップもありますし、曲自体もまるでロックバンドが大ヒットする足がかりになる代表曲といった雰囲気。よくWaT陣営にこんなサウンドを生み出す土壌があったものだ、と素直に驚きました。

 詞の内容も、意中の相手に甘くささやきかけるようなWaTスタイルではありません。『優柔な決断力 とんがった感覚も/君の存在を求めてる』と、相手主体ではなくオレ主体だったり、『心を鎖から 解き放て』と強くメッセージを投げかけたり。やっぱり、曲調に沿うように強いものに変わっています。
 …ちなみに「優柔」って「優柔不断」という四字熟語くらいしか馴染みがないですが、はっきりしないという意味もありつつ、優しくて柔軟という字通りの意味もあるらしいです。でもこの曲の場合は、やっぱり弱気だっていう意味のほうがしっくり来るのかな。

 「目覚めたばかりの感情」「約束の場所」といったモチーフはそれほど独自性があるというわけではないですが、全体にソツなくまとまっている印象です。テレビでのウエンツ本人は明るい三枚目キャラなので、こういうシリアスめな内容で攻めると、普段とのギャップもあって5割増に響いてくる感じ。
 鬼太郎とはあんまり合うイメージがしなかったんですけど、でもバトル物アニメのオープニングテーマとしては確かに適切なのかもしれないなあ、と改めて考えたら思いました。続きを読む
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2007年07月26日

BoA「Sweet Impact」

Sweet Impact
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BoA Ryoji Sonoda Kazuhiro Hara jam Masaaki Asada
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<「衝撃的」なインパクトをより響かせるために>

 2005年2月のベストアルバム発売後、「DO THE MOTION」「make a secret」とそれまでとは一線を画す新しい境地へとチャレンジしていたBoA、当時はてっきりひとつ上のステージに進んでいくのかと思ってレビューにもそう書いていたのですが、いつの間にかもともとのダンサブルチューンや、ベタベタのラブ・バラードに戻ってきていまして。

 今回も、リズムトラックが強く、エッジのきいているダンサブルチューン。この手の曲は、今はまだやっぱり彼女だというイメージが強いですよね。新しい顔が登場しない間は、コンスタントにこうしたナンバーもリリースしていくのかもしれません。

 『what you feel,what you see 衝撃的 あなたの愛 包まれて』なんていうサビ頭がまさに「衝撃的」です。ただでさえインパクトの強い言葉でこれだけで耳に残りやすいのですが、もう一段、印象を刻み込む工夫があります。入りは発音を詰め込みやすい英語、同じリズムと音型を繰り返した後に、さらに重ねる形でこの衝撃的な「衝撃的」という単語が出てくる。だから、耳にさくっと入りやすいのです。

 あなたへの愛で生まれ変わったように強くなれた、というのが大まかな歌の趣旨なのですが、「衝撃的」にとどまらず『伝説的』まで行くのはさすがにどうなんだろうと思いつつ、こういう過剰ぎみな表現は、彼女の支持層である女の子たちの口語文化につながる部分もあるのかなと。「超」「マジ」「バリ」「激」といった語の多用とか、上の世代には汚いと批判されがちな男言葉の使い方とか、若者文化というのはやたらと強調表現が独自に発達するものなので。
 そこまで狙って使っているのかは知りませんが、主要購入層にとってはこうしたフレーズもあんまり違和感はないんじゃないかなーと想像してみます。続きを読む
posted by はじ at 23:46| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月25日

スピッツ「ルキンフォー」

ルキンフォー
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スピッツ 草野正宗 亀田誠治
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<「カッコイイ」に傾きすぎないように、あえて選ぶ「カッコ悪さ」>

 スピッツ32枚目のシングルは、お得意のミディアムテンポで進むバンドサウンド。前作の「魔法のコトバ」が映画タイアップだったこともあるのかかなりキラキラとポップなアレンジになっていたのに対し、こちらはかなり硬派に鳴らしている印象です。
 内容も、ラブソングというよりも、『どこまでも 続くデコボコの/道をずっと歩いていく』と、彼らにしてはストレートなメッセージを感じる内容になっています。

 タイトルは「looking for」=探す、という意味なのでしょう。英語表記ではなくあえてカタカナになっているのは、なぜでしょうか。まあ草野正宗の独特な表現方法と言ってしまえばそれまでです。英単語をあまり使わない縛りを課している、というのもありそうです。
 でも、あえてカタカナにする、あえて「カッコ悪い」と思われがちな表記にすること、それこそが目的なのかなとも感じます。たとえば別のところでは『ノロマなこの俺も/少しずつだけれど 学んできたよ』と言ってみたり、『モロく強い心』を抱えていたりするんだと書いてありまして。
 自らのスタンスを宣言するメッセージのこもった歌ではあるけれど、自分はそんなに優れた人間ではないし、ひたすらマジメに語りかけるのも少し照れくさい。そんな感覚が、「俺」にダメな部分があることを曝け出しつつ、それでも少しずつ成長したり強く在ろうとするんだ!みたいな表記に繋がっているんじゃないかなと。「ルキンフォー」とダサめな書き方をすることも、例外ではないんじゃないかなと思うのです。

 「不器用な自分」を語ることも「カッコイイ」の側に入ってきている感のある現代ですが、スピッツの場合は、さらにカッコよくならないよう注意を払っているように思ってしまいます。
 『誰にもまねできないような』生き方をすることは個性重視時代ど真ん中の主張ではありますが、その前にあるのは『めずらしい 生き方でもいいよ』というフレーズ。「めずらしい」という単語をあえて選ぶところに、オリジナリティだけじゃなく、「カッコよくなりすぎないように」という配慮(あるいは弱気さ)を感じるのです。
 『届きそうな気がしてる』という、「届く」もしくは「届いてみせる」と言い切らない態度もまた同じです。もっともこれは、「届きそう」と次の状態を示唆する言い方をすることで、聴き手の想像力を押し広げる余地を作る効果もありますが。
posted by はじ at 23:40| Comment(3) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(さ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月24日

SEAMO「Cry Baby」

Cry Baby (通常盤)
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SEAMO Naoki Takada Shintaro“Growth”Izutsu Takahito Eguchi Matty
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<いかにして聴き手を「泣く」行為へと導くか>

 昨年ロングヒットし知名度を上げる足がかりとなった「マタアイマショウ」に繋がるような、「泣き」系統のヒップホップバラード。
 なんだかんだでほぼ全編のメロディに音程があります。そして、韻を踏むのにもほとんど執着はしていない感じ。韻と言うよりは、対句のように文章を揃えていくくらいの箇所もあります。もはやこの類の楽曲に関しては、もともとのヒップホップとはすっかり違う文化として根付きつつあるので、オリジナルの名前が必要な気もしますね…

 こういう歌はやっぱり、いかに泣かせるか、感動させるかがポイントになってきます。そのために必要なのは、何よりも「共感」。聴き手が受け入れられるメッセージかどうか、そしてスッと入っていくような見せ方ができているか。その辺りに気を配るのが「共感」を導く秘訣です。

 『そう、思えば いつも僕は 無理に笑ってた』と一人ごちてみせるのは、聴き手を「僕」に重ね合わせてもらうためなのでしょう。愛想笑いというのは、まあ誰でもしていることです。かつ、「本当の自分」が重宝されるこの時代では、あまりよくないこと/正しくないけどついしてしまうこと、という位置付けのものですよね。
 笑いたくないけど笑っておく。すべての人が抱えているモヤモヤを、「僕」がふと気がつくという見せ方をすることで、すっと掬い上げているわけです。

 そして、全ての人を射程圏内においてから、『Cry Baby 今日は我慢せずに 泣いてみな 思いっきり』と呼びかける。今度は聴き手側と同じ目線の「僕」ではなく、真っ向から相対して呼びかける姿勢を見せています。
 ここも「僕」視点でたとえば「泣いてもいいんだ」としても自然ですが、それだとあくまでも「僕」の主観的な考えになります。自分の感じる苦しさ辛さを、自分で処理するという見え方になるわけですね。そうではなく、あえて「泣いてみな」と別の角度から呼びかけることで、自己完結せず他人に認めてもらえるんだ、と感じさせることができるわけですね。

 泣くという行為は、どうしてもブレーキをかけてしまうものです。そこを、まずは同じ「僕」目線で「無理に笑う」行為を拾い取り、共感を促す。その上で「泣いてみな」と今度は正面から呼びかけることで、泣いてもいい、恥ずかしくない、と感じさせる。ふたつの段階を踏んで、泣くことへの障壁を崩そうとしているわけなのですね。
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2007年07月22日

メルマガ、Vol.108発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.108 2007/07/22 発行部数:めろんぱん 431/まぐまぐ 105

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
KREVA「くればいいのに feat.草野マサムネ from SPITZ」
 〜ユーモアあるタイトルはゲストにピッタリ?

<新着レビュー>
Gackt「RETURNER〜闇の終焉〜」
 〜キャッチーさよりも自分の美学に徹する

<ひとこと寸感>
柴咲コウ「at home」
柴咲コウ「ひと恋めぐり」
藍坊主「コイントス」
RYTHEM「桜唄」
Crystal Kay「こんなに近くで…」
My Little Lover「あふれる」


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2007年07月21日

タッキー&翼「×〜ダメ〜」

×~ダメ~ (通常盤)(ジャケットC)
タッキー&翼 min-hwa 前嶋康明 TAKESHI 森元康介 CHOKKAKU 滝沢秀明 多胡邦夫 家原正樹 今井翼
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<非日常へとトリップさせるための「ツッコミどころ」「やりすぎ感」>

 『ダメ ダメ ダメ ダメ ダメ ダメ』
 連呼すること、6回。普通の曲だったら2回くらい、繰り返してインパクトを出そうとしても4回あれば充分かな…という気がするのですが、そこをあえて、6回。ものすごく強烈です。なぜか聴いていて心配になってくるほど。

 とにかくこれだけでもご飯が食べられそうですが、ダメ連呼以外にもこの曲は見どころがたくさん。『I'm sick tell you(アイシテル)/愛してる My real(マリア)』…と、英語の読みをわざわざ日本語に合わせてるんですね。多少の文法は無視してまでも。いやはや、なんというか、凄いです。
 …でもこれ、実は過去にも「One Day,One Dream」ですでにやっていたりするんですけどね。またやるのか!シリーズ化なのか!しかも、作詞の人は別だし!こんな特殊も特殊なやり方で複数の人が書いているってのは、タキツバの方向性としてこの手法が推奨されているのか…

 やー、前回のレビューではひとすら大爆笑していましたが、2回続いてどうやら本気でこういうのを売り出しているとなると、けっこう本気でこの手法の効果を考察せねばという気になります。そもそもアイドルという存在についても、以前よりはあれこれ考えるようになっていますしね。
 そもそも彼らの場合、今回の楽曲がレアケースだというわけでもないわけです。「Ho!サマー」のタイトルからしてのテンション、「愛想曲(セレナーデ)」のちょっと間違っている感もある耽美調、そして各曲の振り付けなどを見ても、かなりツッコミどころの多いことばかりで。

 ここで、何度か書いているアイドル論を軽く復習しましょう。
 アイドルという存在は、本来は「非日常」、遠くにある憧れの対象としてあるものでした。しかし、SMAP以降の90年代のジャニーズは、「日常」路線、等身大のキャラクターを前面に出していきます。
 それはおそらく、「遠い憧れのカッコイイ存在」よりも「身近なところにいる何気ない優しさをくれる人」のほうがステキだ、というような時代の要請によるものだったのでしょう。社会で見れば「3高」なんて言葉が流行ったバブル時代の終焉があり、女性の社会進出が進み、「面白い人」が好感ポイントの上位になり…音楽界隈で見てもアーティストがトークする形式の音楽番組が増加する、などなど。理想の男性像の主流が、「特別な憧れの存在」から「分かり合える存在」へと移ってきているという仮説は、それなりに説得力があるかと思うのです。
 で、その流れは今も脈々と続いているわけですが、近年はさらに好みが拡散・多様化する時代になってきたこともあるのか、理想の男性像、そしてそれを忠実に実現しようとするジャニーズの路線もまた、多様化してきているわけですね。関ジャニ∞のようなおもしろキャラ&歌謡曲路線、KAT-TUNのようなクール寄りの楽曲を見ると、本当にそう感じます。
 そして修二と彰「青春アミーゴ」やこのタッキー&翼のような、昭和アイドル歌謡への回帰を感じさせる路線は、「憧れの存在」、偶像性が再び求められていることの表れでもあると思うのです。

 上記の文脈で考えると、タッキー&翼のスタイル、ベタさツッコミどころの多さは、きちんと意味があると考えていけます。あえてベタな曲調や振り付けにしているのは、「テンプレをなぞる」ことでより「アイドルらしさ」というイメージの輪郭を強めようとしているのではないか。同時に、パロディ的になることでユーモアも漂わせたり、上の世代の郷愁を煽ったりにも繋がっているのではないか…と考えたりするのです。続きを読む
posted by はじ at 10:56| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月18日

チャットモンチー「女子たちに明日はない」

女子たちに明日はない
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<退屈な日々を抜け出したい、でもそれはゴールではない>

 今めきめき売り出し中の徳島出身ガールズバンド・チャットモンチーの4thシングル。個人的にも、今年いちばん注目しているアーティストといっても過言ではないかも知れません。年内にアルバム出ないかなー。

 彼女達の特性について、前シングル「シャングリラ」のレビュー時には、こう書きました。“ただうっとり幸せなだけの恋愛じゃ物足りないし、満足できない。そんな強烈な衝動が、彼女達の作る歌詞には現れてくる”…なんというか、ちょっと甘い声や「女の子」(決して「女」ではなく)視点全開の歌詞にもかかわらず、その音が生み出す世界は、その辺の男性ロックバンドよりも遥かにロックなスタイルだなーと感じるのです。

 今回は、さっぱりはっきりとしたシンプルな音で疾走する、潔さあるロックサウンドが展開されています。その上に乗っているのは、ひたすら焦燥感に満ちた歌詞でして。
 現状に満足していない、だんだん日常に埋没していくことへの不安を描くというのは、まあJ-POPの常套手段のひとつです。ただ、『メイクもおしゃれも手を抜き出して/くすんでいった赤い糸』というフレーズは、女の子にしか書けない、歌えないですね。
 「シャングリラ」では携帯電話を落としてしまった、という一節がありましたが、こちらでは、『絡まるエクステンション/ひきちぎってさっぱりだわ』と、自ら日常を抜け出そう、「型にはまった自分」を脱しようとする意志が感じられます。

 で、そうやって日常を振り切ろうとガンガン突っ走るわけですが、だからといって、救われるわけではありません。
 『何から何まで捨てられたなら/どんなにも どんなにも』
 逆に言えば、すべてを捨てることはできないのですね。「あなた」の声だって、遠くなる一方です。
 退屈な日々を離れてみよう、そうすればハッピーになれる…これはそういう枠の中の歌ではないのです。結局のところ、『走ったって見つからない 叫んだって届かない』平凡な毎日を捨てたとしても、それがゴールではない、そう感じているのが伝わってきます。

 結局のところ、この歌は明確な答えを示していません。『分かってるのは ただ一つ』と歌いながらも、それが何かは結局のところ明示されないのです。順当に考えれば「あなた」に向けての何かではあるんだろうと思うのですが、あんまり恋愛に絞った内容でもないですし…
 日常を脱しようともがき、それでもはっきりと得られるものはない。この楽曲に溢れている衝動は、曲の中で答えが出てこないために、落ち着くことはないのです。『走ったって見つからない』、だけどそれでも止まっているよりマシだから走り続けなければ、みたいなジレンマが漂っていて。この強力な衝動が、実に新鮮なんです。
posted by はじ at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月17日

BEAT CRUSADERS「GHOST」

GHOST (通常盤)
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<恋に落ちた相手「幽霊」の正体は>

 ビークルらしい、疾走感を溢れさせながらもクールな響きも併せ持った一曲。ゴテゴテしないカッチリとしたバンドの音、そして味付けを担う電子音が、そうした印象に繋がっているのかもしれません。

 特に今回は、前シングル「TONIGHT,TONIGHT,TONIGHT」よりもどこか涼やかで、切ない雰囲気が漂っているような感覚を受けた人も多いのではないでしょうか。
 そこで歌詞に目を向けてみると…

 『I'm in love with a ghost/Such a beautiful thing in the world』
 (俺は今 幽霊と恋に落ちているんだ/こんな素晴らしい出来事は世界中どこにもない)
 幽霊と恋に落ちる。それに大きな幸せを見出していることがわかる一節がサビになっています。素晴らしい出来事だ!という言葉を額面どおりに受け取ろうとしても、曲調はそんなにハッピー満載というわけでもないですし、やっぱり「ghost」なのが気になるところです。

 『I saw a dream/that the world's disappeared』
 (夢を見たんだ/世界が何処かへ 消えてしまう夢を)
 歌い出しはこう。彼らの曲は、ざっと調べた限りではけっこう「消える」というような儚さを感じさせる言葉が頻出しているような気がしました。で、今回は世界が消える夢を見たあと、「だからルールを全て壊してしまうつもりだった」と続きます。
 ここには、「夢」によって苦しみや悲しみといった何かしらの負の感情が生じ、それを発散させたい、といった心理が働いているように思います。

 ここからは、分析というよりも、解釈の域になってしまいますが…
 これ、「死別」の歌なんじゃないかなあ、と自分は考えてみたのですね。

 つまり、「ghost」こそが恋人。彼女を失ったあまり、世界が消えたかのような衝撃が主人公を襲った。それで、滅茶苦茶に暴れたり、理不尽に振舞ってしまいたい衝動に襲われた、のではないか。現実を直視せず、死んでしまった恋人とまだ心が通じ合っている、そう思い込もうとするあまりに「幽霊と恋に落ちている」「それって素晴らしいことだ!」と叫んでいるのではないか…そう考えてみたのです。
 とすると、『Here I am/Watching all people's laughter』(此処にいて/人々の笑顔を見つめてる)というくだりが、何とも言いようのない寂寥感を帯びて立ち現れてはこないでしょうか。

 …でも今回の解釈だと、筋書き的には「TONIGHT,TONIGHT,TONIGHT」とほとんど一緒になっちゃうんですよね。そういうのが好きなのか、自分があれこれと深読みしすぎなのか…
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2007年07月16日

メルマガ、Vol.107発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.107 2007/07/16 発行部数:めろんぱん 432/まぐまぐ 105

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
Gackt「RETURNER〜闇の終焉〜」
 〜トリッキーな中にもしっかりと根付いている美学

<新着レビュー>
グループ魂に柴咲コウが「お・ま・え ローテンションガール」
湘南乃風「睡蓮花」
 〜掛け合いでのユーモア/詰め込みまくりの展開

<ひとこと寸感>
100s「希望」
倉木麻衣「Season of love」
ロードオブメジャー「PLAY THE GAME」
リア・ディゾン「Softly」
ストレイテナー「TRAIN」
いきものがかり「うるわしきひと」
GARNET CROW「風とRAINBOW」
島谷ひとみ「Dragonfly」
SunSet Swish「モザイクカケラ」
MEILIN「SAVE MY SOUL.」


 今年初め辺りからの、「できればレビューしたかったけど時間がないので諦めた」楽曲のひとことレビューを、今こつこつと片付けています。
 これがある程度さばけ次第、2004年以前の楽曲掘り起こしに移りたいなと。


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2007年07月15日

関ジャニ∞「ズッコケ男道」

ズッコケ男道
ズッコケ男道
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関ジャニ∞(エイト) 上中丈弥 白井良明 マサ 馬飼野康二 白井裕紀 新美香 加藤祐介
テイチクエンタテインメント (2007/04/11)
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<「ユーモア」「人情」スパイスの効いた、ごった煮的歌謡曲>

 このところのジャニーズ多角化の象徴ともいえる、地域密着・演歌要素を取り入れたユニット、関ジャニ∞。
 最近では、大阪固有のモチーフは薄れてきて、ユーモアを感じさせる内容だったり、どことなく人情を滲ませる内容だったり、それでいて歌謡曲のこってり感を取り入れていて、といったジャニーズお得意のごった煮てんこもりな方向性になってきている感があります。

 今回は、ドレミソラの5音の日本陽音階をベースとしているので、和な雰囲気が出ています。でも完全に5音なのではなく、締めどころなどの要所では西洋7音になっていますし、曲調は完全にファンクです。
 『男道』というととっても演歌調な世界に思えますが、そこに込められているのは、「世知辛い世の中を笑って進んでいこう」というメッセージ。うまく行かない人生を、面白おかしくちょっと切なく語って見せるのは、確かに昭和から連綿と続く歌謡曲の世界にもありますが、といって今の時代にそれほど珍しいものでもなく。
 結局のところ、『生きてこーや』『きばってこーぜ』といった砕けた語り方、擬音語の多用なども合わせ、見せ方をさまざまな部分で一風変えている以外は、非常にオーソドックスなJ-POPの作りをしているなあと感じます。

 「∞SAKAおばちゃんROCK」くらいハジけているとその範疇に留まりませんが、まあコミックソングばっかだとマズイですし。どちらにせよ、「歌謡曲」要素はともかく、「ユーモア」と「人情」を組み合わせた見せ方というのは今とても珍しいので、ヘンに大阪をフィーチャーしようとしすぎるとか、逆にごく普通のJ-POPになったりとかなく、この路線を続けていくのが一番面白そうだなあと。
posted by はじ at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月14日

ケツメイシ「トレイン」

トレイン
トレイン
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<伝えたいメッセージを生み出すため、モチーフをカスタマイズしていく>

 昨年の「男女6人夏物語」から久しぶりとなるシングル。ケツメイシらしい、歌メロが何とはなしに切なく、どこか郷愁を感じさせる緩やかさのある一曲になっています。

 歌詞のモチーフはタイトルの通り、列車。大ざっぱに言えば、前に進んでいく中でいろいろあるけど、夢に向かって行こう、みたいな内容です。
 「前に進んでいく」というだけなら、単純に歩く/走る、あるいは飛ぶ、あるいは車とか自転車とか船とか、いろいろな手段があります。ここでは、その中であえて列車を選択していて、そこには列車でこそ適切に表現できる感覚が詰まっているはずです。

 ≪歩いていく≫というと、「この道をまっすぐに踏みしめていく」と能動的な印象を出すことができます。時には立ち止まってしまったり、誰かと出会う(「クロスロード」ですね)こともあったり、分かれ道を選ぶこともありそうです。
 ≪走っていく≫の場合は、前向きでがむしゃらなイメージ。「転んでしまう」こともありそうです。≪車≫でもやはり軽快にすっ飛ばすイメージですが、自分の足ではないので疲れることはなく、疾走していく感じが出せます。誰かを乗せたりすることもあるでしょう。
 ≪飛ぶ≫とか≪船≫だと、ひたすら大きな空間に向かって当てもなく飛び出していく…そんな雰囲気になってきます。

 では、≪列車≫の場合、この曲の場合はどうでしょうか。
 列車は、一般的なイメージだと、「線路に沿って一本に進んでいく」とか、やはり乗り物なので「自分の力で進むというより、運ばれていく」というような印象があるものです。
 で、この曲では、そうした電車のイメージを、自分達が伝えたいメッセージ向けにカスタマイズしているなあ…というように感じるんですね。

 『切符 書かれた 「夢駅」の文字』というように、目的地はすでに決まっている。ただし、まだ見ぬその場所はどんなところかはわからないし、『今何処で 何処へ 向かってるかは/分からなくていい』というように「見知らぬほうに運ばれている」感覚もあります。その中で、『夢に向かって走るのか/それとも 途中 腐って錆びるのか』と、線路が終わってしまうかもという不安もある。『途中下車 無効にて』ともあり、ただひたすら先へ先へと運ばれていくしかないわけです。
 こう書くと少し受動的すぎる気もしますが、しかしこの列車は、『子供の頃の 夢見心/それを燃料にして 走り出す』ものだったりするわけで。そしてサビでは力強く『動き出せ 僕の中の 少年のようなピュアなハート』と、自分自身の「夢」を想い信じる気持ちで列車を前に進めようとしているんですね。
 こうして、どちらかというと受動的な「列車」というモチーフを能動的に描き出し、聴き手に届けようとしているわけです。「僕」の心が原動力だ、という流れがあるからこそ、『車掌いない 時刻表無い』というフレーズも、「自分の力だけで進んでいかなければならない」というメッセージを発しだすのです。
 さらには空まで進んでしまう辺りは「列車」モチーフにしては反則な気もしますが、そうやってモチーフのイメージを拡げることで、自分達の伝えたいことにつなげていきたいんだなあという意志を感じます。

 ミディアムテンポの安定したリズムも、ガタゴト進んでいく列車のイメージに沿うものだなあ、と。
posted by はじ at 10:40| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月12日

福山雅治「東京にもあったんだ」

東京にもあったんだ / 無敵のキミ(通常盤)
福山雅治 服部隆之 井上鑑
ユニバーサルミュージック (2007/04/11)
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<見上げるモチーフと感情の細やかな違いとは>

 俳優業をこなしながらも着実な音楽活動を重ねている、福山雅治のこの22枚目のシングルは、映画「東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜」の主題歌。原作者のリリー・フランキーたてのお願いでということでのタイアップだそうです。これは、もちろん音楽性の部分が第一なんでしょうけれど、福山の出身地が長崎で、同じ九州だというのも関係しているのでしょうか。

 非常に彼らしい、ウイスパーボイスでの弾き語り系楽曲。ハイトーンを使わずに勝負できるという意味では、特にJ-POP業界では貴重な存在です。

 歌詞は、東京の街の中で「君」に語りかける、遠距離恋愛を思わせる内容です。コンクリートジャングルとしてマイナスイメージで語られることの多い東京の街は、「それでも強く生きていくよ」というメッセージに利用しやすいものです。この歌では、そんな東京の街で美しい夕陽や月を見つけたと歌うことで、そのメッセージをより美しく強く見せています。


 面白いなあと感じたのは、「キレイ」と描かれるものたちとそれに対する反応の細かな違い。

『こんなキレイな夕陽が/うれしいな 君に見せたいな』
『こんなキレイな月が/うれしいな 君も見てるかな』
『こんなキレイな夜空が/おかしいね 涙こぼれてる』
『こんなキレイな夜明けが/うれしいな 君に見せたいな』

 と、時系列に沿って語られていくわけですが、それに対する「僕」の反応が、何となく違っているわけですね。
 「夕陽」のときは、見せたい!と感じ、「月」は「見てるかな」と想いを馳せる。「同じ月を見上げる」というシチュエーションがいろんな歌で囁かれているように、月というモチーフは、離れていることを実感し、それでもつながっていたらいい、とそんな気持ちを表すのによく使われがちだなあと。…それって「月」が夜に属するものだからなのかなーと思ったりするんですよね。寂しさが募ったり、ふと一人で静かにあれこれ考えてしまう時間だから、という。
 「夕陽」と「夜明け」、明るいときのものは「見せたいな」と積極的な言い方になる。「月」と「夜空」、暗い夜の間は「見てるかな」と離れた相手をしみじみ思ったり、「涙」をこぼしたりしてしまう…そう考えると、それぞれのモチーフと感情はうまく対比されているのかなあ、と思うのです。
posted by はじ at 02:44| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月09日

mihimaru GT「パンキッシュ☆」

パンキッシュ☆
パンキッシュ☆
posted with amazlet on 07.07.09
mihimaru GT hiroko mitsuyuki miyake Hideyuki Daichi Suzuki 古坂大魔王 HIROTO SUZUKI
ユニバーサルJ (2007/04/04)
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<たとえダメダメとわかっていても、それでもこの恋以外は見えない!>

 「気分上々↑↑」でのスマッシュヒットも記憶に新しいですが、今回もタイトルに☆を付けるなど、若者言語っぽさを意識しているのかも…というmihimaru GTの一曲。

 バンドサウンドに軽快な展開、どこが「パンキッシュ」なんだ?と首を捻りそうになりますが…この歌詞、この生き方はかなりパンクです。なにせ『都合のいい女でもいいから「ギュッ」と抱きしめて!』ですから。ラップパートでも『類稀に見るだめんずハンター/何が欲しいのか/解らないけどつくしちゃうオンナ』呼ばわりです。これはパンクだ!
 『周りは大反対で』とあるのに『アタシ次第なの』と言っちゃっていて、これはJ-POPの文脈から考えて、もう止まる気はゼロだと判断してよいでしょう。周囲の忠告くらいは聞いておいたほうがいいような。

 つまりこの主人公、「わかっちゃいるけどやめられない」、それくらいに恋愛にのめりこんで、前向きに考えてしまうという性格なのです。そう考えれば、超ポジティブ志向ともとれる、恋愛のドキドキを強烈に後押ししてくれる歌ではあるのですね。
 かなり好みは分かれそうですが、1本さくっと突き抜けたという意味で、貴重な内容に仕上がっています。

 移動手段が(真夜中だからってのもあるでしょうが)自転車なところ、上での引用中にも出てきた「だめんず」、それから「着メロ」『軽く中毒!?』と、細かいところですが若者用語が頻出しているところも見逃せません。恋に暴走する10代女子のための歌、というスタンスが明確に見て取れますね。
posted by はじ at 01:04| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(ま行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月08日

メルマガ、Vol.106発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.106 2007/07/08 発行部数:めろんぱん 431/まぐまぐ 105

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
グループ魂に柴咲コウが「お・ま・え ローテンションガール」
湘南乃風「睡蓮花」
 〜異色なコラボ/久しぶりの大作

<新着レビュー>
吉井和哉「WINNER」
 〜強すぎない呼びかけ、漂う静かな強さ

<ひとこと寸感>
w-inds.「ハナムケ」
Chara「FANTASY」
東方神起「Step by Step」
斉藤和義「ウエディング・ソング」
ジン「解読不能」
清木場俊介「天国は待ってくれる」
the GazettE「Hyena」
加藤ミリヤ「Eyes on you」


 特別号5回発行を経て、本日よりようやく通常号に戻りました。
 で、来週から100回記念の新コンテンツもうひとつ、J-POPの過去のヒットソングを取り上げる<年間チャートよりぬきレビュー>を始めていく予定です。2003年から遡っていく流れになりますので、それより前のヒット曲の中にレビューで取り上げてほしい!という曲があれば、情報をお寄せくださいませ〜。


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。
posted by はじ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月07日

過去ログ発掘のコーナー その19。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
 毎回そのときの気分で一曲選んで紹介するこのコーナーのバックナンバーから、新しいレビュー更新が滞ったとき、ちょこっとずつ抜き出して紹介していきます。メルマガを読んでいない人にはちょっとした暇つぶしに、読んだことのある人にも何か新たな発見があれば幸いです。



≪現代ポップス雑考。≫ Vol.054 2006/07/02
#GRAPEVINE「風待ち」

 『あれ? いつの間にこんなに疲れたのかなあ
  まだいけるつもり ちょっとはつらい』

 先週は月末ということもあり、非常に忙しい1週間でした。なんとか乗り越えられたのがちょっとウソのようです。この週末はようやく一息つけましたが、そんな時に決まって浮かんでくるのがこの曲だったり。
 『今 夏の香りがしました』とふと感じる描写があり、時期的にもいいタイミングです。

 毎日を、目の前だけしか見る余裕もなくがむしゃらに生きて、たまに息継ぎのようにふと顔を上げてみる。この曲はまさにそんな状況を描いていて、聴くたびに『たまに会う友達は 昔の話ばかり』とか、『思い描いたとおり? ちょっと違う』とか、『あなたなら心の隙間 見抜きそうな気がした』とか…寂しいでもなくやるせないでもなく、どこかに何かを置き忘れてきたような、なんともいえない感覚をむずむずと刺激する描写だらけです。

 どうしても疲れたときに思い出しがちな曲なんですが、でも『晴れた日の空の下で わりとうまくやれてる』というようなフレーズもあり、決して現実逃避の曲ではないんですね。

 新年度から3ヶ月、もうすぐ季節は夏…ちょうど今は区切りの時期です。立ち止まる、後ろを振り返るときがあっても、また必ずきちんと歩き出せるようでありたいものです。

Circulator(サーキュレーター)
GRAPEVINE 田中和将 根岸孝旨
ポニーキャニオン (2001/08/01)
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 ちょうど1年前に書いた内容なのですが、去年の今頃と同じく今年もやたらと忙しい6月でした…
 といっても、忙しい中でもたまにはこの曲を聴いたりして、ふと「顔を上げる」時間も必要なのかなーと思います。いや必要です。

 ま、忙しいとか何とかそういうのがなくても、今の時期になるとどうしても聴き返したくなる一曲なのは間違いありません。
posted by はじ at 06:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月05日

GLAY「鼓動」

鼓動
鼓動
posted with amazlet on 07.07.05
GLAY TAKURO Masahide Sakuma Seiichiro Nagai Ken Harada
EMIミュージック・ジャパン (2007/04/04)
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<懐古もありつつ、世界を肯定する懐の深さ>

 GLAYは、大本にある現実を歩む人間賛歌的な部分のイメージが強く、いわゆるビジュアル系バンドの枠から脱することに成功したバンドです。
 ただ本人達は、人生とか愛とか、確たるものを感じさせる言葉を紡ぎだすというイメージを貫きながらも、シングルではなんだかんだと音楽的にも歌詞的にも新しい要素を取り入れようと常に取り組んでいるフシがありまして。意外と実験作というか、新しい試みを盛り込んだ楽曲のリリースが多かったりします。

 今回は、彼らの音楽的には珍しい3連ミディアムバラードという形式をとり、さらに歌詞的には『さぁ 歩きなさい』など、呼びかけるような書き方になっています。特に3連のメロディメイクに関しては、どうも慣れていない感が漂っているような気も…TAKUROの作るメロディって、あんまり3連には合わないような。
 とはいえ、そのせいなのかBメロはかなり独特の味があって、どこか荒涼とした曲のイメージに沿ったものになっているなあとも思ったり。

 そう、今回はどうも『あの時代に誰もが夢を あの憧れに届くと信じてた』など、懐古的な要素が大きいです。映画タイアップの関係もあるのかもしれませんが、素敵な思い出に対し『明日はケモノ道 この世の痛み 荒野に独り叫ぶ』と、現在を厳しいものとして描いているのが特徴ですね。
 ただ、それでも『人の世ほど愛しい現実はない…』と言ってのけ、力強いメッセージを投げかけてくれる、というGLAYらしさイメージを決して裏切りません。自分自身の置かれている厳しい境遇だけでなく、世界すべてを肯定してしまう辺りに、懐の深さを感じますね。
posted by はじ at 03:48| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月04日

TOKIO「ひかりのまち」

ひかりのまち/ラン・フリー(スワン・ダンスを君と)
TOKIO 甲斐よしひろ 西村智彦 坂井紀雄 TAKESHI 久米康隆
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<シチュエーションに見る「レトロな恋人像」>

 甲斐よしひろが提供した、かなりレトロさの入り混じるミディアムロックチューン。
 前作が、中島美幸提供で大きな話題になった「宙船」でしたが、今回も引き続き大御所の提供曲+渋く骨太な印象ある楽曲という感じで、流れができています。
 少ししゃがれさせて力強い歌いっぷりは、ジャニーズではこの長瀬智也がもっとも適任でしょう。「宙船」で見せたこの特性を今回もふんだんにアピールしています。

 とりあえず男臭さがぷんぷんするわけですが、単純に曲や歌い方だけでなく、歌詞にももちろんそういう印象を与えるための要素はあるはずで。
 まずわかりやすいのは、「僕」と「君」じゃなくて「俺」と「あいつ」だったり(しかも「彼女」と言ってみたり)するところですね。実際には、恋人同士の男側は「僕」「君」を使うより「俺」「おまえ」を使うほうが多いような気がしますが、ポップスの世界はそうではありません。不思議なものです。
 また、『でも気がついたら 浴びるほどの愛をくれた/まばゆい瞳のあいつが 突然いなくなっていた』なんてシチュエーションも、ちょと古びた時代を感じさせるものです。そして、「あいつ」のことをいなくなるまで放っておいてしまう「俺」と、『なんにも告げず』出ていってしまう「彼女」。こういうタイプのキャラクターが、最近あんまりいないタイプなんですよね。

 まず男側。「相手がいなくなってから、わかってあげられていなかったことに後悔する」というパターンは、これは多いパターンです。あの時ああしていれば、とか、もう一度やり直したい、とか言ってみたり。
 でも、この曲の「俺」は、そうした後悔の感情はまったく描かれていません。もちろん、『お前の光さえぎったのは 俺だったのか』というような述懐があったりするので、おそらく後悔はしているのでしょう。でも、それは明確に描かれない…というか、楽曲の中で主張されない。
 メインに据えられているのは、「おまえ」がいなくなった事実と、「おまえ」がいなくなってからの部屋の描写です。寂しいとか哀しいとか、そういった心情は述べられない、でも『いないのは 俺達だけ』というつぶやきに、そうした感情は透けて見ることができるわけでして。
 多くを述べない中に心情を込める、「男は背中で語る」という言葉とも繋がるようなこうしたハードボイルドな描かれ方は、楽曲のレトロさ・男臭さを強めていると言えるでしょう。

 また女性側。自分の気持ちを「俺」に伝えないままに別れを選ぶ、この行動にも「イマドキでなさ」があるように感じます。
 現代の恋愛は、「お互いにわかり合う」ということが大きな命題になっています。気持ちを通じ合わせるのが恋愛であり、理解しあっていないのは彼氏彼女としていけないことだ…そんな、前提ともいうべきものになっているように感じます。
 でも「彼女」は、何も言わずに「俺」のもとを去ります。もっと自分の抱えている不満か何かを知ってもらおうとせず、『逃げるように』。
 そもそも、「彼女」は元は『浴びるほどの愛をくれた』とあります。「俺」の描かれ方から見るに、これも一方通行、ただ与えるだけの愛情だったんじゃないかなあ、と推測できそうです。無償の愛は素晴らしいものですが、相互理解という面はありません。
 こうした、「通じ合っていない」恋人の形は、あまり現代的とは言えないでしょう。イーブンじゃない不器用で不恰好な関係というのは、やはり仁侠映画とかそういう種類のものと親和性があるように感じます。一昔前、昭和の匂いがしますね。

 楽曲そのものは、演奏面でもっとうねりがあるといいのになあ…と感じますが、歌詞を分解していくと、「心境をべらべら語らない」「前世代の恋人の形」という面で、じゅうんぶんなレトロさが醸し出されているなあと思うのです。
posted by はじ at 03:05| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月01日

メルマガ、Vol.105(特別版その5)発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.105 2007/07/01 発行部数…めろんぱん 431/まぐまぐ 104


 メルマガ発行100号を記念して、特別版として<過去レビュー寄りぬき紹介>を特集してきましたが、今回でようやく終了です。ほぼ一ヶ月かかりました…まさかこんなに押すとは。前ブログからの過去ログ移行がいろいろまだ済んでいないため、ちょこちょこ修正しつつだったので、予想以上に時間がかかってしまったのでした。
 でも、これを足がかりに、早いところ完全移行を目指します。早くしないと半年経ってしまう!

 今回の101〜105の内容は、そのうちに改めてブログでも公開し、初めてこのブログに来た方用の索引みたいな感じで使おうかと思っています。少々お待ちください。過去ログ見ればすぐに確認できますが、少し付け足しとかもしようかなと。

 で、次回からは通常号を発行します。また改めてよろしくお願いいたします〜。まだ購読されていないブログ読者の方は、この区切りがいい機会ということで、ぜひ登録してみてくださいです。


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。
posted by はじ at 23:41| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

BONNIE PINK「Anything For You」

Anything For You (通常盤)
Anything For You (通常盤)
posted with amazlet on 07.07.01
BONNIE PINK m-flo loves BONNIE PINK m-flo
ワーナーミュージック・ジャパン (2007/03/28)
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<ポップな中にも、一筋縄ではないセンス>

 ポップな作りでスマッシュヒットとなった前作「A Perfect Sky」は、『君の胸で泣かない』と、恋をしながらもどこかクールな視点がありましたが、今回は『粋な一言に酔いしれたいよ』などなど、恋愛真っただ中といった直球なアプローチで来ている感があります。アレンジも、かなりキラキラした雰囲気ですし。

 第一印象としては全体にポップではあるものの、ひずんだギターやシンセ音などはちょいとクセがある響きを選んでいるようで、やっぱどこか一筋縄じゃいかない音楽だなあという点がちらほら。
 たとえば歌詞にしても、『耳を澄まして』君を待ってみたり、「先を考えるより今が大事」的なことを『未来への背伸びよりも/今と言う大地踏みしめて』と言ってみたり、「恋をすると世界が輝いて見える」的なことを『大きな箱に愛を詰めた/バラ色 無邪気な街』と言ってみたり(あ、でもこれは別解釈もあるかも)…メッセージとしては珍しくない類のものでも、ちょいとヒネった表現で歌っています。

 あと、指を眉間に当てて『「笑え」って魔法をかけて』とか、『タフな腕の中で揺られたいよ』とか、何より『白馬に乗った英雄』とかを見るに、この曲の主人公の想い人は包容力があって自分をリードしてくれるタイプの人のようです。
 最近は強い人よりも優しい人、ちょっと頼りなくても気持ちが通じ合う、側にいてくれる対等の彼を求めている歌のほうがどうも多い印象ですが、そうではないようですね。

 メロディラインもクセがあります。Aメロはかなり短くブツ切りになっていますが、これは鮮烈な印象にもつながるもの。サビは実はまったくハイトーンになっていないけれど、畳み掛けるようなメロディラインでインパクトを強めている。
 そして、『I'll do anything for you』の「for you」のリズムがその前から続かず、ちょっとタメて出るようになっているのは…これはフレーズの流れからすると多少違和感がありますが、同時に「あなたのために」というこの部分を特に強調するような印象も与えてくるもので。

 このように、独特の表現があれこれとありますが、どれもただ奇をてらっているのではなく、きちんと効果を生み出す仕組みになっているんじゃないかなーと思うのでした。
posted by はじ at 15:36| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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