2007年06月11日

レミオロメン「茜空」

茜空 (通常盤)
茜空 (通常盤)
posted with amazlet on 07.06.08
レミオロメン 藤巻亮太 小林武史
ビクターエンタテインメント (2007/03/14)
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<垢抜けなさが強さと説得力を生む>

 レミオロメンの作詞作曲はボーカルの藤巻亮太が手がけているわけですが、彼の生み出すメロディとハーモニーはどこか特徴的で、もっと突っ込んだ言い方をするとちょっと異質だったりします。コードの流れをあんまり意識していないように感じるし、そのせいでコードもたまに不思議な流れになっていたり。滑らかでない、無骨なものになっていることが多々あるのです。
 今回で言うと、2コーラスが終わったあとのCメロの転調部分が特に顕著で、はじめは違和感があるはず。慣れる人は慣れるでしょうけれど。

 その独特のメロディメークは、もちろん独自性としても機能するので、レミオロメンの音楽が好き!という人は、無意識にこの音楽性を受け入れているのでしょう。確かに、彼らの詞のほうの特徴でもある素朴さ、暖かみ、土の匂いといったキーワードを考えると、垢抜けきっていない感触のある(すみません)このメロディセンスは共鳴し合うものだという気がするのです。
 変に滑らかで流麗、線の細いメロディだと、まったく別の世界観になってしまう気がします。

 あと今回は、やたらと細かいコードチェンジが多いです。特にサビは、1小節の中で1拍ごとに変わっていく部分が頻出します。
 こうした1拍ごとにコードを変える手法は、たいていはバラードのキメ所なんかで使われるものです。なぜなら、響きが次々と変わっていくため、強いインパクトを与えがちだから、そして階段状にだんだん盛り上がっていく雰囲気を作り上げやすいから、ここぞという時に使うわけです。それを定常的にどんどん盛り込んでいくのは、やっぱり垢抜けない感じがします。
 ただ、詞を読んでいくと、春の穏やかで柔らかな描写が多くある中で、サビでは『夢だけを信じて駆け抜けろ』『今日の日を迷わず生きていたい』など、かなり強い言葉が綴られていたりしまして。そのメッセージを補強するために、頻繁なコードチェンジから生まれる力強い響きが一役買っているのかなと。

 『瞳には未来が輝いている/そう春だから』…生命力に溢れるポジティブな言葉達は、「そう春だから」という一言で、さらりと説明されてしまいます。あれ?それだけ?…それだけなんです。春は生命が萌え出づる季節だとはいえ、いくらなんでも無理やりだ、なんて感じようと「春だから」なのです。
 そうはっきりと言われてしまうと、逆に、根拠として断言される「春」にはそれだけの強さがあるんじゃないか、と思わされる不思議な説得力が生まれてきます。生まれてくるというか、聴き手が勝手に感じてしまうだけなのですが。

 『夜と朝の狭間』の「茜空」という時間帯の、淡い雰囲気の描写の中で、力強い「始まり」を歌い上げる。その曲の骨子の部分に説得力を持たせるため、細かいコード展開を行い、「春だから」で押し通す。そして、アレンジ全体はふんわりした春めく雰囲気を崩さない。
 この実は複雑なバランスが、「春の始まり」というどこにでもある設定を独自の一曲に仕上げているなあと感じるのです。


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