2007年06月30日

メルマガ、Vol.104(特別版その4)発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.104 2007/06/30 発行部数…めろんぱん 433/まぐまぐ 103


 メルマガ発行100号を記念して、<過去レビュー寄りぬき紹介>特集中です。ピックアップしていたらあれもこれも…と相当な数になってしまい、選んだポイント別に5回に分けて配信していきます。

 明日もう1回特別版を発行して、その後は通常発行に戻ります。よろしくです。

 ところで、金曜の夜から土曜のお昼ごろまでブログが閲覧できなかったようです。管理側の障害だった模様です。お騒がせいたしました。


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。


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GAM「LU LU LU」

LU LULU
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GAM つんく 大久保薫 湯浅公一
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<「離ればなれになる二人」の描き方>

 松浦亜弥・藤本美貴のユニット3枚目のシングル。
 今回は、「メロディーズ」で見られたような百合っぽさは薄れ、一般的な切ない系アイドルポップスといった雰囲気です。

 『I LOVE YOU FOREVER/でもサヨナラ』というフレーズがはっきりと明示しているように、「今も好きだけど別れる」という場面を描いています。
 この手のシチュエーションは、今更言うまでもなく、J-POPの世界では「切なさ」を容易に醸し出すことができるため、とにかく死ぬほど多いです。現実には、そんなキレイなパターンはそう多くないはずなんで、斜に構えて見るとあれこれツッコミどころがいっぱいあるものです。が、まあ現実ではなかなか味わえないからこそ歌で揺さぶられるという面があるので、あれこれあげつらうのは野暮というものですが。
 で、そんな「今も好きだけど別れる」という状況をすんなりイメージしやすいように、「遠く離ればなれになる」「死別(消える)」というような設定や書き方をすることが、歌詞の世界では多いのですね。

 今回の場合は、『嫌われちゃうほどに/あなたを/好きになってしまった』とあるように、「自分のほうが好きすぎてダメになってしまった」という形なのですね。
 これだと、相手の気持ちが冷めてしまったというkとになるので、「両想いだけど別れる」という悲恋の様式に当てはめることはできません。でも、相手から別れを切り出されても自分はまだ好き、という諦めきれない一途さを印象付けることになります。

 あと、すごく未練があるのに『今度はもっと良い恋を/絶対するのよ』とあったりしますが、これは『泣き尽くします』というフレーズが先にあるから生きてきますね。『何もなかったような顔で/ひとりで寝るわ』というのも、忘れようと懸命に頑張っている」という受け取り方を誘っています。
 好きだった気持ちはそのままに、きちんと次の幸せを探しに行く…そんな、過去も未来もポジティブに考えている歌は、これに限らず最近の主流です。これが今の時代の流れなのかなあと。
 現実的に考えると、昔好きだった人のことをずっと忘れないというのは、その次の恋人にとっては複雑に思われるパターンも多い気がします。それは、もしかすると元カレや元カノとも仲がいい人が増えている!みたいな話に繋がってくるのかも…ともちょっと妄想しますが、まあ歌で切り取っているところで盛り上げるには、やっぱり「ずっと忘れない」と言ったほうがずっと響くものですから。続きを読む
posted by はじ at 14:32| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月29日

過去ログ発掘のコーナー その18。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
 毎回そのときの気分で一曲選んで紹介するこのコーナーのバックナンバーから、新しいレビュー更新が滞ったとき、ちょこっとずつ抜き出して紹介していきます。メルマガを読んでいない人にはちょっとした暇つぶしに、読んだことのある人にも何か新たな発見があれば幸いです。



≪現代ポップス雑考。≫ Vol.087 2007/02/25
#Salyu「トビラ」

 『あなたの あなたの奥の方へと 繋がるトビラさ』

 ニューアルバムの1曲目。もちろんスロー〜ミディアムの彼女もとてもいいんですが、アップテンポのSalyuもなかなか力強くていいものです。
 特にこの曲は疾走感があって素敵ですね。

 一青窈の詞を歌うことが増えてきたせいもあってなのか、すごく透明とかセピアっぽかった1stアルバムの頃に比べると、全体的に濃い色合いが増してきたように感じます。この曲は小林武史の作詞作曲ですが、
 「トビラ」が「扉」ではなくカタカナなあたり、無機的ではない、感情がそこに込められているような印象を受けますし。

 『先はまだ見えてない』と言いながら、微塵も不安や後悔を感じさせない疾走感と強い意志の宿った声。このところ何気に身辺が慌しくなっていて、今まで以上にせわしなくなりそうなんですが、この曲のようにまっすぐな気持ちで突き進んでいければなと。

TERMINAL
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Salyu 小林武史 一青窈
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 しばらく新譜の話を聞きませんね。夏フェスにはいくつか参加するようですが、リリースもだんだん待ち遠しくなってきました。
posted by はじ at 02:30| Comment(2) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月26日

コブクロ「蕾」

蕾 (通常盤)
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コブクロ 小渕健太郎
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<印象深さを与えるための、音と言葉の工夫とは>

 ドラマ主題歌採用はこれで4作連続となるらしい、コブクロのミディアムバラード。もはや盛り上げ役として確固とした信頼を得ているようです。
 それもそのはずで、彼らの生み出す楽曲はどれも、真摯な感情を込めようとする詞にドラマティックなメロディラインが合わさり、さらにハモリも加わって、とにかく感動を増幅させるたえに心血が注がれている感があるのですね。

 彼らのメロディラインの特性については「ここにしか咲かない花」「君という名の翼」の際にいろいろと述べました。平たく言えば、前者は「曲のピークが持続する」後者は「山が何度も何度もやってくる」という形式になっていまして。そして、どちらにせよポイントは「盛り上がり」を印象付ける、ドラマティックに聴かせるメロディラインに作られているということです。

 今回もそれは同様。特に目立つのは、「フレーズの引き伸ばし」ですね。
 わかりやすいところで、小節数を数えてみましょう。一般的な楽曲では、4小節くらいを単位にして、8小節や16小節でメロやサビのひとまとまりができていることが多いわけです。それぞれのパートの繋ぎで増えたりすることもありますし、可変ではありますが。
 「蕾」の場合、Aメロこそ8小節ですが、Bメロは10小節。これは主に、次のサビへのつなぎの部分、『きっと きっと きっと わかっていたはずなのに』でひと盛り上げがあるためです。まず「きっと」をハイトーンで3回繰り返してから、いったんメロディは下に戻り、そして再度上がっていって伸ばし…と、サビ直前でしっかりと展開の足場を固めまくっているわけですね。
 そしてサビ、こちらは12小節です。5〜6小節めでひとつピークがあって、そのまま8小節でもまとめられそうなのですが、そうではないんですね。9〜11小節めでは、『上手に乗せて 笑って見せた あなたを思い出す』と同じ型の上昇音型が3回繰り返し。…で、さらにおまけ、最後12小節めで『一人』がつく、と。
 その後の伸ばし2小節ぶんも、コードの完結を考えると含めたほうがいいんでしょうか。そうすると、8小節でも終われそうなところを実に14小節やっている、という形になります。

 まあ、こうした饒舌なメロディラインはもちろん何もコブクロに限ったことではなく、誰でもやっていることです(ヒップホップとかだと、トラックをループさせる関係でほとんどないんじゃないかと思いますけど、それはまた別の話)
 ただ彼らの場合は、かなり意識して取り入れているように感じるんですよね。分析してみるとやたら過剰で冗長に思えるんですけど、聴いているとそうは感じないわけで。それはメロディラインにはっきりした起伏をつけていたり、ハモリの部分とソロとを使い分けたりといった部分を工夫しているからなのかなー、と感じるのです。


 さて、次は歌詞を見ていきましょう。続きを読む
posted by はじ at 19:32| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月25日

AAA「Climax Jump」

Climax Jump 仮面ライダー電王 主題歌
AAA DEN-O form 藤林聖子 鳴瀬シュウヘイ
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<ユニットの特性と、変遷するヒーロー物の相性は>

 ダンスパフォーマンス&ツインボーカルの男女混合ユニット、トリプルエー。かなり押せ押せの宣伝攻勢をかけているわりにはそこまで盛り上がっていない気もしますが、とりあえずコンスタントにリリースを重ねています。
 今回は、「仮面ライダー電王」のオープニングテーマ曲ということで、DEN-O formという表記が加わった名義になっています、が、特に何か変わっているわけではないようです。

 ハイテンポで展開しつつ、広がりのあるサビへと抜けていく、まさに特撮ヒーロー物の主題歌らしい出来になっています。
 とはいえ、派手めな打ち込みトラックや、男女で入れ替わりのボーカル、『心を強くする 大事な言葉とか/かけがえない想い出を集めて』なんていう言葉あたりに違和感がある人もいるかもしれません。熱気溢れるサウンドとはいえ、コンピュータ系統の音を使っていたり、男気あふれる暑苦しい熱気一辺倒ではなく、どこか熱さを出しながらも爽やかなところがあるんですよね。

 そしてやはり、視点が若者目線です。『新しい朝を待つなら/「今」を塗り替えろ』とか『諦めたらそこが終点さ―』とか、聴き手に向けて放つメッセージもありつつも、それは自らに投げかけ、自らが進んでいくための糧にする言葉でもあるわけですね。
 昔のヒーロー物主題歌といったら、だいたいは大人目線というか、立ち上がれ!的な呼びかけをひたすら熱く歌い上げるみたいな面があったわけです。でも、これは確実に子ども
…というか若者目線、育つ側からの歌なんですね。わざわざ
『いーじゃん!いーじゃん!スゲーじゃん?!』なんてコーラスが挟まっていることからしても、若さ、フレッシュさを感じさせようとしているのが感じ取れます。
 …本当にリアルな若者らしさを出したいなら、「いー ↑じゃん ↓」じゃなくて「いーじゃん?↑」と語尾を上げたほうがそれっぽい気がします。まー、「元気いっぱい、砕けていても爽やかさもある」みたいなイメージとしての若者らしさがここでは必要でしょうから、こういう形になるのでしょうけれど。

 とにかく、主題歌のこうした視点の変化は、やはりひとえに時代の変遷によるものでしょうか。ヒーロー物もまた現代は昔とまた違う設定やストーリー展開になっていることでしょうし、視聴者層もお母様方に人気が出てきてそっち路線のアピールも考えなきゃいけなかったりとか、いろいろあるみたいですし。

 とりあえず、AAAは、ツインボーカルという形態のためにむしろ感情移入がしにくいユニットなのだと思うのですよ。若者っぽさを前面に出して、少年の気持ちも少女の気持ちも代弁するぜ!と打ち出すのは両取りな気がするところですが、実際に受け取るのは「少年」か「少女」のどちらかですからね。むしろ受け取る側としてはどこかピントがぼやけたり、薄まっているように感じたりしてしまうんではないかなという。歌って「共感」だけがアピールポイントじゃないですが、やっぱり損しがちなわけで。
 でも、なにかの主題歌であれば、その作品に寄り添う形で共感を得られやすくなる。しかもお得意の疾走系サウンドと熱いメッセージが展開できるとあれば、なかなか相性はよかったのかなと。

2007年06月23日

メルマガ、Vol.103(特別版その3)発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.103 2007/06/23 発行部数…めろんぱん 435/まぐまぐ 101


 メルマガ発行100号を記念して、<過去レビュー寄りぬき紹介>特集中です。ピックアップしていたらあれもこれも…と相当な数になってしまい、選んだポイント別に5回に分けて配信していきます。

 すいません、相変わらず私生活多忙につき、今週もピックアップに費やすことになりました。次の週末は少し落ち着きそうなので、日曜には通常号を発行できればいいなあと思ってはいます。


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NEWS「星をめざして」

星をめざして
星をめざして
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NEWS なかにし礼 あおい吉勇 Shusui Stefan Engblom Axel Bellinder 仲村達史 h-wonder
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<活動再開に沿った?感動を誘う言葉と音作り>

 しばらく活動を休止していたNEWSの、復活第1弾シングル。というか、まだこれで6枚目なんですねー。もっと出しているイメージがあったんですが。

 歌詞を見ていくと、なんというか…『くり返さないさ もう二度とは/同じ過ちを』とか、どうも活動休止と復帰に関してととれる内容が多いような気が。でも作詞は直木賞作家のなかにし礼だったりして、専門の作詞家でもないし、そういう意図を乗せられるっていうのもちょいと考えにくいので、なんとも。映画「ハッピー フィート」の主題歌でもあるとのことで、もしかしてそちらと関係があるんでしょうか。

 「君」に出会って希望を見出した、という内容を語るのに『一度 死んで また生き返る/そんな 魔法を かけられていた』とあるのも、若干違和感が残るんですよね。落ち込むとか立ち止まるとかじゃなくてわざわざ「死ぬ」と言うのとか。
 でも、極端な言い方をすることで、感動につなげたいという表現意図があるのでしょうね。曲の雰囲気全体は、実にキラキラとしたイメージで作られていますし、サビの入りとなんと途中でもコードチェンジがありキーが上がっているのも、鮮烈な印象に結びつきます。「星をめざす」というファンタジックな宣言も、長い伸ばし主体のメロディラインになっているサビも、『行こう!』という呼びかけも、「感動」を揺り動かすためにそれぞれ効果を発揮しているなあと。

 ファンにとっては活動再開という喜ばしい船出でもあることですし、「お帰り!」ムードを出したい、というようなコンセプトもあったのかもしれません。
 でもそうすると、脱退メンバーが出たのに『みんないるかい』は逆にえぐってしまっているんじゃないか…なんて感じるんですけどね。あ、「離れていても気持ちはひとつ」と受け取ってほしいのかも。そうすれば感動的に受け取れそう。

 ところで、なかにし礼の紡ぐフレーズは、なんというかオーソドックスな「うた言葉」ですね。すごく歌らしい歌詞というか。『ふり返らないさ 傷だらけの/少年時代など』とか、ちょっと自分の世代視点な気がします。NEWSの一人称として聴くと、言い方にやや違和感が。
 オーソドックスすぎて、なんだかちょい古めな感覚がしてしまうんですが…でも「グループ自体が原点に立ち返る」という文脈で考えると、今回の提供には適していたのかなあとも思うのです。
posted by はじ at 14:51| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(な行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月22日

過去ログ発掘のコーナー その17。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.052 2006/06/17
#FANATIC◇CRISIS「MASQUERADE IN THE ROOM」

 『愛もジェラシーもコナゴナにしちゃえば分からなくなるよ』

  今回はぐっとマニアックに、90年代ビジュアル系バンドFANATIC◇CRISISの2ndアルバム「THE.LOST.INNOCENT」収録の一曲を。
 分類上はビジュアル系といっても、彼らにはゴスっぽさはカケラもなく、どちらかと言わずともストリートっぽい雰囲気。そんな「普通さ」で、ある意味際立っていた存在でした。

 彼らの2ndシングル「SLEEPER」に惹かれ、注目していたんですが、この2ndアルバムは非常にバラエティに富み、色彩も豊かで、個人的に隠れ名盤と思っています。(1stアルバムはあんなに一本調子だったのに…)
 バンドにしてはシンセ音を多用しまくりですが、これは今でいうミクスチャーバンドに通ずる音楽感性だったのかなと。

 で、そのアルバム中でも異色のナンバーがこちら。基本的にポジティブな彼らにしては、珍しく非常にかなり退廃的な内容になっていて、囁くように『二人壊れちゃおうよ』と誘ってからの上記の一節は、非常に印象的に響いてきます。

THE.LOST.INNOCENT
THE.LOST.INNOCENT
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FANATIC◇CRISIS Tsutomu Ishizuki Yoshihiro Kambayashi FtC
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 このアルバムは密かに名盤です。「火の鳥」「Maybe true」などシングルが5曲も収録されているほか、他にも「メビウスリング」「龍宮」「月の虜」など、クセはあるけど紹介したい曲ばかり。

 とりあえず先週からやたらと忙しいです。しばらくいいペースだったのですが、まあ少々ゆったり見守っていただければと。
posted by はじ at 03:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月21日

tetsu「Can't stop believing」

Can't stop blieving
Can't stop blieving
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tetsu 室姫深 DISCO TWINS
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<ソロの中で堂々と開放される明るさ・ポップ性>

 L'Arc-en-Cielのベーシスト、tetsuのソロシングル。彼は2001年よりTETSU69名義でたびたびソロ活動を行っていて、4枚のシングルを出しているので、ソロとしてはこれが5枚目。ですが、名義は今回あhシンプルな「tetsu」になっています。何か心境の変化があったのでしょうか。

 ラルクというバンドはメンバー全員が作曲するなかなか稀有な人々で、それぞれに味がありつつも、「ラルク」としてちょうどいいバランスになっているんですよね。
 その中で、tetsuの作る楽曲は、基本的にはオーソドックスなスタイルにキャッチーでポップ寄りのメロディラインが多い傾向があります。シングル曲を挙げると、「DIVE TO BLUE」「Driver's High」「STAY AWAY」「READY STEADY GO」「Link」などなど。こうして見てみると、上記の主張にもうなずいてもらえるのではないでしょうか。

 そういうわけで、今回のシングルはポップで爽やか、明るめのロックチューンになっていて、非常に彼らしいという印象を抱きました。
 歯切れの良いギターリフがとてもキャッチー。…ながら、そこにグイグイと存在感を持って絡んでくるベースラインが聴こえて、実にtetsuらしいなあと。この人のベースラインは本当にフリーダムで、ラルクの楽曲でもベースだけ聴いていても飽きない感じだったりします。

 ボーカルはヘタではないですが、大きな特徴もなく。経験もそれほどではないからか、新人バンドのボーカルのような初々しさも感じます。
 そういえば、全体的に新人バンドっぽい。勢いがあって、『眠れない夜は星空見上げて/輝く星座のメロディー聴こう』なんて甘いささやきを歌っちゃうところとか。

 彼のセンスというのは、メロディだけでなく言葉においてもポップに軸があるんだろうなと思います。ラルクでは、kenの作る楽曲やhydeの詞の世界観などは、往々にして退廃的な面があるわけで。しかも、それがラルクらしさにも繋がっているので、あんまり我を強く出せないんじゃないでしょうか。だから、彼の本来持っているポップ性は、こうしてソロで発散しておきたくなるんでしょうねー。
 しかし、『風の中で光集め未来見つけたいから』なんていかにもな言葉を歌ってのける人があんなに変態的なベースを弾くというのは、考えてみると凄い話です。
posted by はじ at 02:21| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月20日

中島美嘉「素直なまま」

素直なまま
素直なまま
posted with amazlet on 07.06.20
中島美嘉 RYOJI YANAGIMAN John Davenport Eddie Cooley 島健 SUGIURUMN
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<今までにない暖かみと、素直なフレーズ作り>

 彼女にしては珍しく、ふんわりした柔らかな雰囲気のスローバラードだなあと思ったら、ケツメイシのRYOJIが作詞作曲なのですか。どういう繋がりなんだろう。
 中島美嘉って、「STARS」「雪の華」とこの前の「見えない星」と、芯の一本通ったというか、背筋の伸びたというか、そんな透徹した雰囲気が主流だったので、こういう暖かみのあるサウンドはちょっと違和感があります。とはいえ、変なわけではないですね。このところ、もとの方向性からより歌唱力を身につけていこうというような動きも感じられるので、その一環なのでしょうか。

 『本当はすごく強がりで 泣き虫な私でいいかな』と、弱さをこぼしたいと本音を漏らす「私」。失った恋を思い返す内容でありながら、どこかかわいらしさも感じさせるこの言い方もあって、切なさもありつつも穏やかさを感じさせる内容になっていますね。
 『今のあなたに 今の私を 見て欲しかった 素直なままの私を』と投げかけるこの部分が詞の核になているようですが、そこには未練もありつつ、自分らしさを取り戻した安堵感のようなものもあるように感じるのです。

 あとは、さすがヒップホップ畑の人というか、1コーラスと2コーラスのほとんどすべて、フレーズが共鳴しています。『窓ガラス見て あなたをふと思う』と『空のグラス見て あなたをふと思う』とか、『それが大事な事と思っていたけど』と『今も大事な事と思っているけど』とか。
 全体を見ても、実にすっきりしています。
posted by はじ at 02:05| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(な行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月18日

メルマガ、Vol.102(特別版その2)発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.102 2007/06/18 発行部数…めろんぱん 438/まぐまぐ 98


 メルマガ発行100号を記念して、<過去レビュー寄りぬき紹介>特集中です。ピックアップしていたらあれもこれも…と相当な数になってしまい、選んだポイント別に5回に分けて配信していきます。

 本当は5回をコンスタントに発行していく予定だったのですが、ここのところ普段に輪をかけて忙しく、むしろ通常よりも遅くなってしまいました。あんまり通常号が止まってしまうのもなんなので、今週でできるだけカタをつけたかったりするのですが。


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posted by はじ at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月16日

倖田來未「BUT/愛証」

BUT/愛証
BUT/愛証
posted with amazlet on 07.06.16
倖田來未 Kumi Koda Tommy Henriksen Masaki Iehara
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<崩れた表現から漂う強さ/視点はテーマの内側ではなく外側に>

 倖田來未の両A面シングル攻勢が連続しています。
 12作連続リリース以降、「恋のつぼみ」だけは違うものの、その後は4曲入りマキシ「4 hot wave」が来て、そして「夢のうた/ふたりで…」「Cherry Girl/運命」に次ぐ3連続目の両A面。明らかに、量を主に置いた戦略をとっています。
 まあ、12連続の時点でこうならざるを得なかったというのはありそうですね。ただ漫然とシングルを出していたら、今頃はもっと人気が失速しているかもしれないという気もします。

 彼女の存在というのは、ある側面から見ると「自由と開放」の象徴になっているのですね。
 彼女は「エロかっこいい」という言葉で表現されていたわけですが、それは彼女が、女性が「エロ」を堂々とアピールできる時代の旗手、象徴としての地位を獲得したことの表れだと思うのです。あんまり詳しくないですが、たとえば見せブラとか見せパンとかローライズジーンズとか、そういった流れが近年の女性ファッション業界にあって。そんな時流にはじめてぴったり符合するキャラクターが彼女、倖田來未だったのかなあと考えたりするわけです。
 もちろん露出の多いファッションそのものはずっと前からあったわけですが、一般層にも浸透し、かつそれが単に性的なアピールという意味合いだけではなく、自己表現の一環として地位を確立したのは、まさに最近のことだと思うのですよ。そんな地盤があったから、倖田來未は絶大な支持を集め、エロだけどかっこいい/エロだからかっこいいという考え方が広まったのだろう、という。

 「エロかっこいい」だけでかなり文字使いましたが、それだけではなく、彼女の歌詞は非常に少女漫画的というか、根っこには純愛があったりするわけでして。それは違和感でもありますが、ファンにとってはセクシーでありながら一途、という二度おいしい魅力になるのですね。…と、このあたりは以前にも述べた主張です。

 要するに、彼女の存在は、既存の女性像の枠には属さずまったくもって自由であり、かつ魅力をいいとこ取りで持っているわけです。女性の性を開放しながら、女性の理想の「恋愛に生きる姿」を描き出す…という。
 なので、そんな彼女にとっては、リリースラッシュ/A面連発というのは実に理にかなった戦略なのですね。曲ごとに違う表情を出し、違うコンセプトを打ち出し、「縛られない」存在であることをもっと強くアピールしていくわけですから。

 ここまでが前段。長いなあ。
 こっからも長いので覚悟してください。


 そんな自由の象徴である彼女ですが、今回の2曲ではさらに、それぞれ「いっぷう変わった形の愛」を扱っているようです。「BUT」は同性愛をテーマに据え、「愛証」はドラマ版「愛の流刑地」の主題歌で、愛するがゆえに死を選ぼうとする狂おしい愛情についてをテーマに据えているとのこと。


 もろもろの事情で、まずは「愛証」のほうから。
 この詞、ひたすらに相手を求める言葉で埋め尽くされています。「深い愛」を全力で主張しているのですが、「あなた」側のアクションが、ほとんど描かれていないんですね。ほとんどすべてが、「私」の気持ちだったり願いだったり考えだったりなのです。
 描かれている「あなた」の行動は『寂しい夜には 必ず耳元から/吐息交じりの言葉』くらいで、これも「聞かせてほしい」という願望とも充分にとれる書き方。『もう止められない/愛は死なない』という言葉は、(少なくともこの「私」にとっては)まさにその通りだと感じさせられます。

 ほとんど展開もなく、徹底的に相手を求める言葉で満ちたこの散文は、表現のクオリティで言えばかなりアレな部類に入ると思います、正直。突っ込みどころは山ほどあります、『眠れないほど ギュッと抱きしめて』ってこれ眠ろうとしているシチュエーションじゃないでしょとか、『認めたいの あなたにはまってると』ってもっと言い方なかったのかとか、いくらなんでも2行連続して「あなたの愛」って言葉使うなよとか…

 ただねー、この過剰すぎる「愛」の詰め込みがあるからこそ、共感されたり支持されたりしているんだろうなあ、とも思うのですよ。子どもが「一億万」なんて言葉を使うとき、そんな単位はないんだけど、とにかく大きな数字を表したいってことはわかるじゃないですか。おんなじです。レトリックとしては破綻しているからこそ、描きたいものの大きさが感じられるというか。

 即物的な表現なのも、伝わりやすいという点では貴重なわけで。十代女性の間で増殖しているケータイ小説なんかも同じで、誰でもできそうな表現の拙さだからこそ、広く支持されているわけですよ。それを是とするか否かはまた別の話ですけれども。

 もろもろ書きましたが、その背景には、「倖田來未って、ヒットする前はもっとしっかりしたレトリックで詞を書いていなかったっけ…?」という個人的な思いがあってのことだったりして。
 ハイペースで曲を連発したためにすり減ってしまっているのかもしれませんが、意図的に崩している可能性もありうるのかなあ、と。続きを読む
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2007年06月15日

KREVA「アグレッシ部」

アグレッシ部
アグレッシ部
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KREVA 熊井吾郎
ポニーキャニオン (2007/03/14)
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<自らを強く肯定する「部」のメンバーとは>

ヒップホップ系のアーティストの中でも、どちらかというとどっしり重量感のある楽曲を多く生み出すKREVA。今回も、「音色」あるいは「THE SHOW」あたりを思い出す、聴かせるトラックが楽しめます。

 ヒップホップって自己肯定メッセージ色が強く、そこが苦手という人も多いようです。自分も正直、そんなに感情移入できるほうではなかったりするんですが、KREVAの場合は何となく受け入れやすいんですよね。
 というのは、どこか落ち着きのある目線で語っているからかもしれません。『他の誰でもない オレがキーマン』なんて、すっごく自己主張が強いんですけれど、『いただきます おはようございます/ちゃんと言えるよう』とか節度をわきまえたフレーズもあったりして、微笑ましかったり。
 あと、自分を肯定するとき、他を否定していないのも好感度の高くなる理由かもしれません。「〜なんかよりオレは凄え」とか「ウジウジしている奴は置いてくぜ」みたいなdis発言が、彼の詞からはあんまり見えなくて。そのぶん親しみやすい、というのはありそう。むしろ今回なんかは、周りは関係ない、ただ自身を高めるために自分の内側で完結させようとするストイックさに溢れています。

 で、歌詞中では普通に表記してあるのに、タイトルが「アグレッシ部」な件ですが。
 「部」であるからには、一人では成立しない。KREVA本人は入るとして、じゃあ後は誰だ?上述のとおり自分自身についてフォーカスしていて、他人が挟まる余地はなさげなのに…続きを読む
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2007年06月13日

過去ログ発掘のコーナー その16。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.052 2006/06/17
#椿屋四重奏「紫陽花」

 『笑いながら君は 雨に流れて消えた
  ずぶ濡れの紫陽花みたいに/綺麗で悲しい』

 今の時期にぴったりの曲ということで。紫陽花って地元の名物でこの時期お祭りとかしていたりして、昔から好きなんです。雨の中でこそ映える紫陽花の美しさに、この季節に「僕」から離れていった「君」と、儚く消えた恋を重ね合わせている、とても繊細に作られているなと感じる一曲。

 椿屋四重奏はなぜかこの曲だけいたく気に入ってしまって、ちょうど一年前にはじめて聴いて以来、ちょくちょく聴き返しています。他の曲はどうも今ひとつグッとこないんですが…まあ、そのうちまたじっくり聴いてみたいところです。

薔薇とダイヤモンド
薔薇とダイヤモンド
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椿屋四重奏
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 この季節の花といえばこれ。東京は昨日今日と快晴ですが、やっぱり雨でこそ映える花ですよねー、紫陽花って。
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2007年06月11日

レミオロメン「茜空」

茜空 (通常盤)
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レミオロメン 藤巻亮太 小林武史
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<垢抜けなさが強さと説得力を生む>

 レミオロメンの作詞作曲はボーカルの藤巻亮太が手がけているわけですが、彼の生み出すメロディとハーモニーはどこか特徴的で、もっと突っ込んだ言い方をするとちょっと異質だったりします。コードの流れをあんまり意識していないように感じるし、そのせいでコードもたまに不思議な流れになっていたり。滑らかでない、無骨なものになっていることが多々あるのです。
 今回で言うと、2コーラスが終わったあとのCメロの転調部分が特に顕著で、はじめは違和感があるはず。慣れる人は慣れるでしょうけれど。

 その独特のメロディメークは、もちろん独自性としても機能するので、レミオロメンの音楽が好き!という人は、無意識にこの音楽性を受け入れているのでしょう。確かに、彼らの詞のほうの特徴でもある素朴さ、暖かみ、土の匂いといったキーワードを考えると、垢抜けきっていない感触のある(すみません)このメロディセンスは共鳴し合うものだという気がするのです。
 変に滑らかで流麗、線の細いメロディだと、まったく別の世界観になってしまう気がします。

 あと今回は、やたらと細かいコードチェンジが多いです。特にサビは、1小節の中で1拍ごとに変わっていく部分が頻出します。
 こうした1拍ごとにコードを変える手法は、たいていはバラードのキメ所なんかで使われるものです。なぜなら、響きが次々と変わっていくため、強いインパクトを与えがちだから、そして階段状にだんだん盛り上がっていく雰囲気を作り上げやすいから、ここぞという時に使うわけです。それを定常的にどんどん盛り込んでいくのは、やっぱり垢抜けない感じがします。
 ただ、詞を読んでいくと、春の穏やかで柔らかな描写が多くある中で、サビでは『夢だけを信じて駆け抜けろ』『今日の日を迷わず生きていたい』など、かなり強い言葉が綴られていたりしまして。そのメッセージを補強するために、頻繁なコードチェンジから生まれる力強い響きが一役買っているのかなと。

 『瞳には未来が輝いている/そう春だから』…生命力に溢れるポジティブな言葉達は、「そう春だから」という一言で、さらりと説明されてしまいます。あれ?それだけ?…それだけなんです。春は生命が萌え出づる季節だとはいえ、いくらなんでも無理やりだ、なんて感じようと「春だから」なのです。
 そうはっきりと言われてしまうと、逆に、根拠として断言される「春」にはそれだけの強さがあるんじゃないか、と思わされる不思議な説得力が生まれてきます。生まれてくるというか、聴き手が勝手に感じてしまうだけなのですが。

 『夜と朝の狭間』の「茜空」という時間帯の、淡い雰囲気の描写の中で、力強い「始まり」を歌い上げる。その曲の骨子の部分に説得力を持たせるため、細かいコード展開を行い、「春だから」で押し通す。そして、アレンジ全体はふんわりした春めく雰囲気を崩さない。
 この実は複雑なバランスが、「春の始まり」というどこにでもある設定を独自の一曲に仕上げているなあと感じるのです。

2007年06月10日

メルマガ、Vol.101(特別版その1)発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.101 2007/06/10 発行部数:めろんぱん 440/まぐまぐ 96


 メルマガ発行100号を記念して、<過去レビュー寄りぬき紹介>特集中です。ピックアップしていたらあれもこれも…と相当な数になってしまい、選んだポイント別に5回に分けて配信していきます。

 全部を配信し終わったら、頃合を見てブログのほうにもまとめておくつもりです。初訪問の方へのおすすめ記事として活用できそうなので。


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。
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2007年06月09日

アンジェラ・アキ「サクラ色」

サクラ色 (通常盤)
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アンジェラ・アキ 亀田誠治 河野伸
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<しっかりとした意志のもと、過去の記憶を抱えていこうとする強さ>

 さて、つい最近「アキ」は苗字のほうなんだと知って驚いたアンジェラ・アキです。「安藝(安芸)」らしい。そりゃアンジェラが名前なんだから当たり前だよなあと。

 すっかり、春といえば桜ソングみたいな流れができて、去年今年あたりはタイトルに「桜」があるってだけで差し引かれて見てしまうような人もいそうですが、今年の「桜」はどうもハッピーな桜が多かったようで。
 FUNKY MONKEY BABYS「Lovin’Life」は咲き誇る桜を結実した愛になぞらえ、℃-ute「桜チラリ」は両想いの幸せを謳歌し、YUI「CHE.R.RY」は片想いながらも微笑ましい明るさを感じさせ…
 去年までは、舞っては散っていく儚さ切なさが主流だったわけで。同じ「桜」でも、だいぶ持たされる意味合いが変わってきていたのかなあと。流行というものはこうして移るのでしょう。

 この曲は『時間との流れと藍の狭間に落ちて/あなたを失った』とあるように、なくしてしまった恋を思い返す歌です。だから決してハッピーなわけではないのですが、『サクラ色のあなたを忘れない』と歌う様子には、あんまり後悔は感じられません。
 華やかな楽曲の雰囲気が、そう感じさせるのかもしれません。また、この人の声はすっきりまっすぐなので、背筋の伸びてしっかりした印象を与えがちです。その響きの強さが、過去に溺れるような弱さを感じさせない、ということもあるのかもしれません。「忘れられない」ではなく、「忘れない」であることも、なし崩しに思い出に浸るのではなく、はっきりした意志を持って「あなた」との記憶を大切にしようとするかのような印象に繋がってくるのかもしれません。
posted by はじ at 00:10| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月07日

YUI「CHE.R.RY」

CHE.R.RY
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YUI northa+
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<些細な出来事へのフォーカス>

 デビュー当初はやたら一人であれこれと悩んでいた彼女ですが、ここ最近はそんな時期も脱し、持ち前のピュアさ等身大感を保持しつつ、新しい方向性に果敢に挑戦していっています。

 今回もこれまでの彼女のイメージにしては明るすぎる気もしますが、そんなことはものともしないくらいの潔さを感じるんですよねー。3分台という曲の短さも影響しているのかもしれません。
 『かけひきなんて出来ないの』と気弱さを覗かせたり、『たぶん 気付いてないでしょう?』なんて心のうちで語りかけてみたり、いかにも初々しい女の子の恋、といった雰囲気。『絵文字は苦手だった だけど君からだったら ワクワクしちゃう』というくだりは、やっぱりケータイ世代ならではのフレーズだなあと。
 ちなみに出だしの『手のひらで震えた』というのが当初何のことかわからなかったんですが、これメール着信お知らせのバイブですね。このあたりタイアップとも巧いこと連動しています。
 まさに「TOKYO」から、それまでのかたくななピュアさが開花して、いま どんどん世界が広がっているなーと感じます。恋する気持ちをつづるこれらの言葉は、聞いているほうが照れるほどの初々しさ、無防備さに溢れていて。
 変に飾った言葉より、このくらいのほうが本当に等身大っぽいですよねー。

 デビュー当初の言葉が硬かったことも、この曲のハッピーさを際立たせているような気がします。ほんとこの子から『キュンと』なんて形容が出てくるとは思わなかったもんなー。
 ずっとシリアス路線だったのに、ここまで恋する女の子ができちゃうのは実にインパクトがあって。もしや本当にYUI本人が…と思わせられますし。それだけ、わかりやすくイマドキのティーン恋愛模様を描いているなあ、と感じます。

 彼女の強みは、これ「TOKYO」で強く感じたことなんですが、ドラマティックじゃない場面を切り取って持ってくることができるんですよね。今回の携帯メールの一件がまさにそれ。どこにでもありそうな現実味あふれる描写を入れることで、聴き手の感情移入を誘うことができているんだろうなあと。

 『ウソでも信じ続けられるの』とか言っちゃうあたりは、シリアスな思考回路の名残が垣間見えますが…とりあえず柔軟にいろいろ吸収していってくれることに期待ですね。

2007年06月06日

ゆず「春風」

春風
春風
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ゆず 葉加瀬太郎 岩沢厚治 北川悠仁
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<寒さの残る場面を一変させる「君」という春風>

 葉加瀬太郎フィーチャーで話題を呼んでいるこの楽曲。岩沢厚治作にしてはシンプルな詞で、確かに原点回帰的な落ち着きのある一曲です。シンプルでゆったりとしたメロディラインは、彼ららしいハーモニーを改めて聴かせるにはちょうどいい感じ。
 そのハモリに絡んでくるのが、葉加瀬太郎のソロバイオリン。厚いストリングスにするんじゃなく、一筋の強く流麗な響きであるところが、変に盛り上げすぎずでも琴線に触れるような高揚感を誘ってきます。この作りは、コブクロやWaTとははっきりとカラーが違ってくるところ。

 このソロバイオリンの繊細な響きもあって、タイトルにも冠せられたように「春風」が重要なモチーフになっていながら、暖かさというよりもまだ肌寒さを感じる曲想になっています。シチュエーションもまた、『窓の外は冷たい雨が降り続いてる』と描写されています。

 それは、『どうすれば君に伝えられたのでしょうか』と、打ち明けられずにいた気持ちを自覚する主人公の心境に近いもので。今更とも思いつつ、それでも煩悶してしまう主人公の心持ちそのものは、まだ「雨」「寒さ」に寄っていると感じるのです。

 しかし、そんな中で「君」だけは、『春を告げる風が今吹いて』くるかのように、「僕」の心を暖かく鮮やかに染めてしまうのですね。『今頃になって』などとうだうだと考えていたのが、『今ならまっすぐに 伝えられそうだから』と思えるくらいまでに一変させてしまう。
 寒々しいシチュエーションの中に突如として登場する春風になぞらえて、それくらい強い存在として「君」が描かれているわけです。

2007年06月05日

DREAMS COME TRUE「大阪LOVER」

大阪LOVER
大阪LOVER
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DREAMS COME TRUE 吉田美和 中村正人 JEFF COPLAN
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<外からの視点で描く「ご当地」ソング>

 ドリカムの贈る大阪ソング。ご当地ソング、最近だとaiko「三国駅」とか関ジャニ∞の一連の活動とかが思い浮かびますが、どちらにせよ「大阪」だなーと。まあ、YUI「TOKYO」とか東京が冠せられた歌は多いですけど、東京はなんか都会での生活とか上京とか、「その土地らしさ」とは別の意味を与えられるケースが多いんで、本来のご当地ソングとはまた違ってくるような気もします。

 で、こちらもご当地ソングにしては特殊なケースで。それは、主人公が東京の女性で、大阪の恋人に会いに行くというシチュエーションであること。その土地をよく知る人間ではなく、外部の視点から「大阪」という場所を描いているんですね。

 遠距離恋愛、遠い道のりを経て会いにきて、東京ではなくこの大阪で暮らしていくくらいの決意を伝えてみても、煮え切らない相手にやきもきする。そんなシチュエーションなのですが、この裏には、上で述べた「ヨソモノから見た大阪」視点を絡めつつの、実に巧妙な作り込みがあるなあ…と感じるんです。

 「あなた」の他には馴染みのない場所、だから「あなた」だけが頼りだし、不安でも頑張りたいと思う女心。それを際立たせているのが、『何度ここへ来てたって/大阪弁は上手になれへんし』というフレーズです。慣れない言葉遣い、でもゆくゆくはここで暮らしたいから、なんとか上達したい…という気持ちをここに見ることができます。

 で、自分も関東人なのでよくわかりませんが、実際のところこの曲の歌詞の大阪弁はかなりアヤシイらしいのですね、どうも。でもそれはたぶん、慣れていなくても頑張ってここの言葉を使っていきたい!…と考えている、一途な「わたし」というキャラクターを浮かび上がらせるために、わざとエセ大阪弁で書いているんでしょうねー。ただユーモアや大阪らしさを出すだけではなさそうだなと。

 で、二人の温度の差というか、すれ違ってしまう感じも、遠距離恋愛ならではのものだなーという。
 かたや東京モンの「わたし」は、大阪にもっと溶け込みたいという気持ちがあるから『万博公園の太陽の塔 ひさびさ見たいなぁ!』と大阪らしいスポットに行きたがる。でも、地元に住んでいる「あなた」側にしたら、そんなものは珍しいわけでもなく、わざわざ見に行くようなところでもない。で、生返事してしまい『「そやなぁ‥」って行くの?行かないの?』ということになってしまう、と。

 また、東京タワーと通天閣を比べてみたりするのも、同じように大阪に寄っていこうとする気持ちがあるからこそなんでしょうね。真剣にそう言ってのける女心もよくわかりますが、言われた男としては確かにちょっと笑ってしまいそうです。
 やっぱりこうして比較を持ち出してくるのとかを見ると、大阪という地の内側に入ってきたというよりは、まだ外から扉をノックしている段階なのでしょう。知らない土地に慣れるのはただでさえ大変なのに、そこには恋愛という要素があるため、『毎週は会えないから けんかだけは避けたいし』というような遠慮もあったり…なかなかに道のりは長そうですねー。

 …と、「わたし」と「あなた」の行く末に思いを馳せてしまうくらい、細かい部分まで設定とキャラが生きているなあ、という。続きを読む
posted by はじ at 02:57| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月04日

メルマガ、Vol.100発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.100 2007/06/03 発行部数:めろんぱん 435/まぐまぐ 94

<雑考バトン・新曲レビューリレー>
吉井和哉「WINNER」
 〜上辺だけのメッセージではない、静かな力強さ

<新着レビュー>
森山直太朗「未来〜風の強い午後に生まれたソネット〜」
 〜幅広くイメージを拡げる、リラックスした思考

<レビューの裏話>
宇多田ヒカル「Flavor Of Life」
 〜五感を生かした豊かな表現

<おまけ>
○100回発行記念コンテンツ制作発表


 ほぼ毎週1回を2年続けて、このたびメルマガ発行100号を達成しました。なかなか感慨深いです。読者のみなさま、いつもお読みいただきありがとうございます。

 で、まあ記念ということで、メルマガで新しい読み物をやってみるつもりです。内容はここでも下のほうに書いておきますので、まだ購読していない人も、興味が沸いたらぜひこれから読んでみてくださいです。


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。続きを読む
posted by はじ at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月03日

絢香×コブクロ「WINDING ROAD」

WINDING ROAD
WINDING ROAD
posted with amazlet on 07.06.03
絢香×コブクロ 絢香 小渕健太郎 黒田俊介
ワーナーミュージック・ジャパン (2007/02/28)
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<相互作用を意識しつつ、それぞれ伸び伸びと歌い上げる>

 力強いアカペラで始まる、絢香とコブクロによる夢のコラボレーションシングル。ガツンと来る歌い出しだけでなく、全編に渡って、3人の歌唱力をフルに使ったパワフルなボーカルが堪能できます。
 どちらも、ソロではあんまりここまで「力強さ」に寄った歌い方はしていないと思うのですよね。絢香は「三日月」のヒットもあり、パブリックイメージは強さより優しさ柔らかさのほうに傾いているような印象がありますし、コブクロは言わずもがな、ハモリを駆使した溶け合う響きが売りなわけで。どちらも、「思いっきり歌う」じゃなく、うまくセーブして豊かに使いこなすといったスタンスなわけで。
 そういうわけで、この2アーティストが伸び伸びと歌う姿を見ることができるだけでもなかなか価値があるなあと思うのです。

 歌詞は、いわゆる自己肯定系統のメッセージ。共作ということで、無難にまとまっているなあという印象です。まあ悪くはないですが、やっぱり多少絞りきっていないというか、漠然としている部分もあるなと。
 たとえば、『曲がりくねった道の先に/待っているいくつもの小さな光』というサビ頭部分を取り出してみましょう。道を歩んでいく、というのは誰にでも共有しやすいイメージなので、こういう共作の場合は使い勝手がよいです。
 その後、目指すものは「いくつもの小さな光」…これが漠然としているのですね。険しい道のりの先に目的地がある(→だから頑張ろう)というのはもはやJ-POPのテンプレですので、聴き手のほうはこれで充分にイメージし感情移入もできちゃうものです。
 でも、この「小さな光」たちが何なのかは、具体的に示されてはいません。「希望」とか「ステキな未来」とか「目指している理想の自分」とか「愛するあなた」とか、まあ何でもいいんですが、明確にコレだ!と決めたほうが、より内容が引き締まるはずなのです。イメージするのがさらに容易になったり、他の部分にも関連させるフレーズを入れて、膨らませることができたりしますし。
 その点、やっぱりコラボレーションだとそこまで深めていくのは難しいでしょうから、これは仕方ないと思います。聴き手側で勝手に代入してしまいましょう。伸びやかな歌声には、あんまり細分化された内容よりもこのくらい大きなまとまりのほうが合ったりしますし。

 とはいえ、『逃げ出してた昨日よりも/ぶつかりあった今日に 流した涙』なんてのは実にいいフレーズですね。逃げるの対極に、「立ち向かう」とかではなくてあえて「ぶつかる」とマイナスイメージもある語を入れる、というのが好きです。相互に作用すると言う意味で、コラボレーション自体にも繋がってきますしね。
posted by はじ at 03:27| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月02日

mihimaru GT「かけがえのない詩」

かけがえのない詩
かけがえのない詩
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mihimaru GT hiroko mitsuyuki miyake Hidemi Takashi Morio Hideyuki Daichi Suzuki
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<一対一ではなく、一心同体となって進もうという想い>

 「詩」と書いて「うた」と読ませるタイトルは、音楽界ではちょくちょく見かけます。いちばん古いものがいつ誰の曲かはわかりませんが、少なくとも1970年にはすでに吉田拓郎「イメージの詩」がありますね。有名どころでは杉田かおる「鳥の詩」とか、Mr.children「名もなき詩」、Do As Infinity「真実の詩」などなど。最近でも、中村中「友達の詩」スキマスイッチ「アカツキの詩」といったタイトルがありますね。
 傾向として、「歌」ではなく「詩」を選ぶタイプの歌はどれも、特に伝えたいメッセージがあり、それを独白していく…といった趣向のものが多いように感じます。上のタイトルを並べてみても。詞の言葉が大事なんだ!と主張したいが為に、「詩」と書いておきたくなるのではないかなと。
 脇道の話ですが、あえて「唄」という字を選んでいる歌もまた意図があるだろう…というのは容易に想像できます。あえてひらがなで「うた」と表記する場合もですね。

 そんなわけで、このmihimaru GTの新曲もまた、大切なメッセージを込めているからこその「詩」なのでしょう。『そばにいて そばにいて そばにいて』と3回繰り返すサビからも、気持ちの強さを感じます。
 詞を読んでいくと、「二人」の絆の強さを振り返り改めて愛を伝える、というような流れになっているようです。どうも『一緒に描いた 宝探しの地図』という辺りを見ると、幼馴染みの二人なのかなという気もします。そうすると、『お互いの違い感じながらも/奇跡をくれた「Perfect World」』なんてフレーズは面白いですね。小さいころは何もかも一緒だったけど、成長するにつれて少年と少女の違いが生まれて、異性として意識するようになって…みたいなストーリーが想像できます。幼馴染みなのかも?という推測がなければ、単に個性を認め合うみたいな意味になるところですけれど。

 『もしも哀しみで言葉なくしても/私が詩にして伝えるから』と、「詩」がでてくるフレーズがあります。この一節も、単なる恋愛感情を超えたものを感じますよね。一心同体、二人で一人として生きていこう、みたいな。
 たとえばこれが、「言葉がなくてもぜんぶ感じ取ってあげる」みたいなフレーズだったとすると、「君」と「私」で完結する世界になります。そうやって関係を閉じてしまうほうが、恋愛関係をアピールするには強くなります。他の誰も入ってきませんから。
 でも、「詩にして伝える」と言うからには、そこには伝えようとする第三者の存在があるわけです。世界は愛し合う二人だけではなく、他の誰かにも向かって開かれているんですね。そんな開かれた世界に向けて、「君」の言葉を「私」が伝えようとする。そこにはただ恋愛感情だけではなく、ともに歩んでいこうという「二人で一人」な考え方があるのだろうなと思うのです。
posted by はじ at 14:33| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(ま行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月01日

平井堅「君の好きなとこ」

君の好きなとこ
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平井堅 亀田誠治 中西康晴 HALFBY
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<ただ列挙するだけじゃない、より深く印象付けるためのテクニック>

 本格男性R&Bシンガーから、最近はすっかりポップス職人に移行しつつある平井堅です。今回のこの曲は、なんというかまさにJ-POPど真ん中とでも言うべきポップさに溢れた一曲になっているなあと。

 列挙、というのは非常にシンプルかつ効果的な表現手法です。たくさん重ねれば重ねるほど、気持ちの強さがそこに立ち表れてくるのですね。この曲の場合は、タイトル通り「君の好きなとこ」を列挙して、それだけ好きだという感情を強く伝えられているわけです。

 こういう風に「君」の特徴を挙げていくのは、パッと思い浮かぶところではMr.children「over」とかでしょうか。こちらはもう会えなくなった「君」のことを幾つも思い出すことで、失恋後も引きずっている思いの深さを表しているのですね。
 この手の「過去」を列挙する歌は、特に感動を与えやすいもので。卒業式の答辞で、「みんなで行った遠足」「クラス一丸となった運動会」…とか、行事の数々を振り返っていく時って、やっぱり泣きどころじゃないですか。
 なのですが、現在進行形の恋人の好きな部分を挙げるこの歌も、ただ列挙するだけでなく、ひとひねりを加えることで印象を深めていたりします。それは何かというと、『いざ目の前にすると 何も言えなくなってしまう』ってことでして。

 サビ前半を丸々、2コーラスさらにリフレインに至るまで同じフレーズを繰り返さず(ここに、列挙の手法を最大限に活用しようとした意図が見て取れます)多数挙げて、こんなにも「僕」は「君」のことが好きなんだ、と訴えかけてきながら、実際に会ったら『一つも言葉に出来なくて』…ただ好きだという感情をまっすぐにアピールするのではなく、そこに「うまく言えない」という逡巡を付加する。そうやって、じれったさやもどかしさといった心のひだをくすぐる感情を混ぜ込み、そしてまた、「うまく表せないのは、本当に好きだから」というような主張も暗に潜ませることができているのですね。
 実際、好きなのにうまく「好き」と伝えられないというのは、共感する人も多いことでしょうしね。『困った顔 見たくて いじわる言ってみる』なんて辺りも、特に男子連中にとっては、わかるなーとうなずける人ばかりなのではないかなと。続きを読む
posted by はじ at 02:14| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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