2007年05月30日

宇多田ヒカル「Flavor Of Life」

Flavor Of Life
Flavor Of Life
posted with amazlet on 07.05.30
宇多田ヒカル Alexis Smith 冨田謙
東芝EMI (2007/02/28)
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<質感のある描写の中で、シリアスさと遊び心が溶け合う>

 感情のこもった(そして奇をてらっていない)詞、親しみやすいメロディライン。ひさびさにパブリックイメージど真ん中、「宇多田らしい」楽曲をリリースしてきました。メロウなアレンジと表情豊かな声に浸ることができる佳曲ですね。こういう曲をさらっと出してくるあたりはさすがだなーと。

 メロディラインは、ほぼ2オクターブのとても広い空間を自由に動き回っています。メロは女性としてはかなり低い位置まで潜っているんですが、その分『収穫の日を夢見てる』からぐっと『青いフルーツ』に昇るのが印象的。
 この「青いフルーツ」という表現は、友達以上恋人未満の関係にある自分自身を喩えているわけですが、オトナっぽい言い方ですよね。これってやっぱり「熟れた」状態を知っているからこそ出てくる言葉だろうと。青いフルーツなんて言葉自体は青春真っただ中な感じですけど、そんな頃を見つめる視点で描かれているなあと。

 タイトルについてもそうで、恋愛の一歩手前で踏み出せずにいる純情な等身大の少女そのままの感覚では、初々しく描かれるひとコマひとコマを『淡くほろ苦い/Flavor Of Life』なんて総括した視点では言えないと思うんですねー。初恋のような気恥ずかしい切なさを感じさせつつ、視点はすごく冷静でオトナっぽい。これは「First Love」でもそうでした。

 『さようならの後に消える笑顔/私らしくない』とか心理描写が巧いのでなかなか気がつきませんが、宇多田ヒカルの詞はどこか客観的な視点から描かれているフシがあって。
たとえば「Traveling」では恋人に会いに行く浮き立つ気持ちをすごくコミカルに描いていたり、どこかで演出があるんですよね。今回も、切ない感情を炙り出す中に『じれったいのなんのってbaby』みたいな、ちょっと軽い言葉もすっと混ぜ込んでいたりして。作者自身が曲の主人公に完全に没入してしまうと、どうしても重くなりこういうフレーズは出てこないものです。
 こうした遊び心を含んだ演出こそが、彼女の最大の魅力だなんて個人的には思っていたり。そして、生々しい描写と雰囲気のあるボーカルがあるからこそ、シリアスもユーモアも自然に一体となって迫ってくるのだろうなと感じるのです。

 原点回帰・王道のようでいて、アレンジは最近の深めの響きがしますし、節々にはユーモアも感じさせます。スキのない出来だなあと思いつつ、スキのある曲をぽんと出せるのも彼女ならではなので、まだまだ遊び心のある曲も作っていってほしいものです。


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2007年05月29日

℃-ute「桜チラリ」

桜チラリ
桜チラリ
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℃-ute つんく 高橋諭一 山崎淳
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<低年齢アイドルユニットのコンセプト分け>

 いつの間にかハロプロ新ユニットが誕生していました。「キュート」という名前ですが、はじめの文字はCではなく℃です。

 なんでも、ハロー!プロジェクト・キッズという、ジャニーズで言うところのジュニアのような組織から、まずBerryz工房がデビューし、彼女らは本来はメンバーの入れ替え要員として待機していたようだったらしく。でも、今回で晴れて7人組でのデビューと相成ったとのこと。

 全員90年代生まれという低年齢グループで、またつんくのユニット濫発か!と憤慨する人もいるかもしれません。でも、決して無考えにユニットを組ませてデビューさせた、というわけではないと思うのですよね。

 ハロプロの女性アイドルたちは、男性ファンはもちろん、小中学生女子の憧れ的なポジションも今や獲得しています。彼女達の前身である「キッズ」のオーディションがテレビ番組連動で行われ、応募が集まったことがその証左になるでしょう。
 そうした傾向は、モー娘。のバラエティ進出からがありましたが、その後Berryz工房の登場で決定付けられました。彼女達は常に、少女が背伸びしたオトナの恋愛を求めるといった類のシングルをリリースし続けています。つまり、小中学生女子にとっては、少し前でオトナへの階段をリードしていってくれる先輩役のような位置づけで活動しているユニットなのだと考えられるわけです。

 で、この℃-ute。彼女達はこのシングルを聴く限りでは、Berryz工房とはまた少し違い、オトナ志向はそれほどないように感じます。
 ちょっと汁っ気を含んだ歌い方はやっぱり色気を(間違っていると思うけど…)出そうとしてのことだと感じますが、『だけどあなた 全部全部/受け止めてもくれた』と「あなた」に委ねているのとか見ると、積極的にリードしたいとかじゃなさそうです。前へ前へとどんどん進みたい、いろんなことを知りたい!じゃなくて、『私たちは いつまでも 手をつなぐ/かわいい恋をする』と、急がずに手を取り合っていこうという気持ちが見て取れたりもします。

 そういうわけで、現段階ではちゃんとコンセプト分けをしてやっていくのかな?と考えています。
 なんというかBerryz工房ともども賞味期限は20歳くらいまでのような気がしますが、こうした低年齢組のほうが今ハロプロでは勢いがあると思うので、まあ今後も注目していきたいなと。
posted by はじ at 01:53| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月28日

メルマガ、Vol.099発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.099 2007/05/27 発行部数:めろんぱん 434/まぐまぐ 93

<雑考バトン臓新曲レビューリレー>
森山直太朗「未来〜風の強い午後に生まれたソネット〜」
 〜一時期とは違う、肩の力の抜けたスタイル

<新着レビュー>
ウエンツ瑛士「Awaking Emotion 8/5」
 〜ユニット時とは異なるスタイルとその魅力


 相変わらず更新がぽつぽつと不定期で、コメント返信も全然返せていない状況です(ホントすみません!)。
 そんな中でも、新しいレビューをアップするたびに1時間ごとのアクセス数がいつも倍になっていたりして。更新を待っている人がこれだけいてくれているのだなあ、と嬉しい気持ちになります。

 そんなこんなで99回です。次週は100回目ということで、とりあえずいくつか考えてはみたんですが、
・実際にできるかはわからない
・それが面白いかはわからない
 という感じなので、まああんまり期待しないでやってくださいです…


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。
posted by はじ at 00:56| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月27日

クレイジーケンバンド「てんやわんやですよ」

てんやわんやですよ
てんやわんやですよ
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クレイジーケンバンド
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<悩みをコミカルに描けるのは、「オトナ」ゆえの余裕から?>

 クレイジーケンバンドを取り上げるのははじめてですね。ボーカル横山剣を中心とした、大人の魅力溢れるバンドでございます。なんでも横浜市のゴミ清掃車がBGMに使っているとか何とかいう噂もありますね。なんにせよ、横浜の港町を根城にしているような、昭和レトロの香りがぷんぷんする音楽をしています。

 彼らのファン層は比較的年齢が高めです。それはレトロな雰囲気があるせいかというと、必ずしもそれ自体が一番ではないんじゃないかなと。だって今の30代、また40代くらいでも、こういう歌謡曲サウンドよりももっとポップな音楽になじみがあるんじゃないかと思うのですよ。だからルーツを感じたり、懐古趣味というわけではないんじゃないか、と思うわけです。

 ポイントは、このバンドの持つユーモア、諧謔味なんじゃないかと。
 最近登場した若い世代のバンドって、基本的にみんなマジメです。恋愛のすばらしさを歌い上げたり、真剣に悩みながら答えを探したり、生きていく為のメッセージを投げかけたり。もちろんそれはそれで素晴らしいことなんですが、やっぱりあれこれ人生に悩むのは思春期とか、思春期/学生時代の特権的なものでもあるわけですし、そればかりだと疲れてしまうものでもあります。
 この曲もまあ『もうやんなっちゃうよ Everyday』とあるように悩んでいる歌ではあるんですが、最近の若い世代のそれと比べればもっと現実的/即物的ですし、どこかしらユーモアがあるんですよね。

 『だから結局あれだな』から『もうなんなんだよこれ』、そして『もうてんやわんやですよ』って、具体的には一体何がどうなっているんだかさっぱりですが、これはわざと説明しないようにしているんでしょう。パニクっている様子はこのほうが伝わりますし、頭の中が混乱している男の姿を、意識的に情けなく、面白おかしく描こうという意図があるんだろうなあと考えられます。
 客観的な視点からユーモラスに悲哀を描いてみせるやり方、特にこういうリアルに取り乱した姿を描く手法は、やはり10代20代だと難しいですし、やりたいと思う人もそういないものでしょう。だから、彼らの存在は貴重でかつ重要です。主観的でマジメな歌だとちょっとお腹に溜まる…という人にとっては、こういう肩の力の抜けたスタンスがちょうどいいんだろうなあと。
posted by はじ at 10:30| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月26日

中島美嘉「見えない星」

見えない星
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posted with amazlet on 07.05.25
中島美嘉 長瀬弘樹 羽毛田丈史 尾崎豊 Tomi Yo
ソニーミュージックエンタテインメント (2007/02/21)
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<再会を心待ちにする、切なくも甘い「寂しさ」>

 映画「NANA2」主題歌「一色」でNANAとしての活動に区切りをつけた中島美嘉、再び原点とも言えるシンプルなバラードに戻ってきました。

 彼女のバラードは「WILL」だったり「雪の華」だったり、なんだか壊れそうな雰囲気があるものが印象深いですが、今回もその系統。昔はかなり危なっかしいな…と感じていましたが、最近はこれが味なんだとわかったこと、そしてもっと安定して聴こえるようになったので、繊細な音楽として耳に入ってきます。
 この不安定さは、少なくともこの曲に関しては、メロディラインとコードの対応の不安定さに一因があります。彼女の曲はセブンス以上、4音以上ある深い響きの和音構造になっている率が高く、さらにはサビ頭の『立ち止まり見る星のない空』の前半なんかは、その深いコード構成からも外れた音でメロディが動いていて、なんともいえない浮遊感が生じていたりします。リズムはそこまで砕けてはいませんが、響きだけならジャズに近いセンスがあるんですね。

 で、詞も今回はなかなか面白い。
 『寂しさ共感(わか)り合えた人より/こんな寂しさくれるあなたが 愛しい』
 現代J-POPにおいては、「孤独を分け合う」という関係が何かと描かれがちです。傷ついていた自分に手を差し伸べてくれたとか、あなたといると不安な気持ちが溶けていくとか、まあそういった類のフレーズを、きっとどこかで聞いた覚えがあるはずです。
 「寂しい」気持ちをダシに使うのではなく、あえて肯定してみせる。共感できる関係が何かと持てはやされるポップス界隈にぽんと放り込まれたからこそ、斬新さを感じさせられます。
 安心でなく、不安をもたらしてくれるからこそ、大事な相手と感じる。心を揺さぶられているのだから、と思えば、確かに説得力があるように感じます。実際、よく考えると、安心も不安も両方とも抱えるものなんじゃないかなあという気もしますが、かなり印象的なフレーズになっているので、これは素直に見事です。

 そんな、会えない間の不安を表現するのに、「星の見えない夜空」を持ってきているわけですね。
 確かに輝いているはずなのだけど、闇の中に紛れて見えない。…それはとてももどかしいものではありますが、でも、「そこにある」という感覚が前提にあることを忘れてはいけません。何が言いたいかというと、この曲の寂しさは、片想いの寂しさではなく、両想いゆえの寂しさなんだ、ということですね。
 すでにパートナーである二人。離れている間も心は繋がっている(=星は空にある)のだと思えはするけど、姿が見えないとつい寂しくなってしまう…そんなバランスが、実は背後にあるんです。
 「星が見えない」といっても、そこにある寂しさは絶望感に繋がるものではありませんし、孤独に打ちひしがれるわけでもないのです。「私」が『どれくらい会えない時間を/また埋められるだろう』と考えているとき、その想像は、やがて必ず訪れる再会の瞬間を思い描き、甘い感情に包まれているはずなのです。
 この曲の寂しさは、どこか心地よくすらある、スイートな寂しさなんですね。
posted by はじ at 03:09| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(な行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月24日

過去ログ発掘のコーナー その15。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
 毎回そのときの気分で一曲選んで紹介するこのコーナーのバックナンバーから、新しいレビュー更新が滞ったとき、ちょこっとずつ抜き出して紹介していきます。メルマガを読んでいない人にはちょっとした暇つぶしに、読んだことのある人にも何か新たな発見があれば幸いです。



≪現代ポップス雑考。≫ Vol.065 2006/09/17
#LINDBERG「君のいちばんに…」

 『誰かが誰かをいつも支えてるように
  あの月でさえ 太陽の光で輝いてる
  宇宙の法則の中では みんなひとりじゃない』

 LINDBERGって、リアルタイムでハマったアーティストってわけではなかったんですが、この曲だけはすごく好きで、唯一シングルでゲットした経験があります。

 確かCMで流れていた『もう少し もう少しだけ』のキャッチーなサビに惹かれて購入したんだと思います。買ってからも、やたらと含蓄深い表現が多い歌詞に、失恋をバネにして強く歩き出そうとしているポジティブソングでありながら、いきなり『君のいちばんにほんとはなりたかった』と弱々しく挟まれるつぶやきと、魅力的な要素が詰まっていて。今でも根強く気に入っている一曲です。

LINDBERG BEST FLIGHT RECORDER III(1988-1998)
LINDBERG 朝野深雪 井上龍仁 渡瀬マキ 神長弘一 須貝幸生 佐藤達也
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 最近よく思うのは、「もう少し」「あと一歩」といった言葉に自分は弱いんだなあ、ということ。ほんのちょっとずつ前に進もうとする感じ、あるいはギリギリで届きそうな感覚、そういった境界線上の心理状態に惹かれやすいようなのです。
 ちょうどマジメにJ-POPを聴き始めたころ、この曲と波長が合ったのはそのせいなのでしょうか。…それとも、この曲の印象が強かったからこそ、自分の内側に「もう少しだけ」の感覚を求める傾向が生まれたのでしょうか。今となってはわかりません。
posted by はじ at 03:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月22日

大塚愛「CHU-LIP」

CHU-LIP
CHU-LIP
posted with amazlet on 07.05.22
大塚愛 愛 Ikoman
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<フシギなこともわざわざ悩まないお気楽さ>

 すっかり楽曲のサイクルが決まってきつつある感じの大塚愛。今回は「さくらんぼ」「SMILY」といった脳天気系アッパーソング。陽気なホーンセクションと肩の力の抜けた歌、こういうタイプのイメージが一番強い人も多いのではないでしょうか。
 とは言っても、こういうアッパーなのが聴きたい!という人、メロウなバラードだけならいいのに…と思っている人、どちらもいそうな感じです。まあ、どっちもやっちゃうからこそ、彼女の独自性が出てくるんだろうなあとも感じるのですけどね。

 花のチューリップと「CHU-LIP」、つまりキスを掛け合わせているわけですが、そういう駄洒落のしょーもなさ、キスではなく「チュー」という言葉をあえて連発するのって、まあ上品にまとめようとするとなかなかできないことです。大塚愛というキャラクターだからこそ歌うことができる、という意味では、見事に個性を獲得できているなあと。
 そんな中で『チューすれば気付く運命のお相手』というお気楽な主張が中心にあるわけですが、これ、明確な「私」というキャラクターが登場するわけではないです。ひとつの主観的な恋のストーリーを描くんじゃなく、恋する人々を見下ろす客観的な視点から、恋愛全般における考えを述べていくというスタイルです。で、それが恋における『謎』だと言っているわけですね。

 「パパ」や「ママ」が登場したり、『彼と暮らすと 癖が似てくる/ユニゾったりする』と言ったり。近しい人と惹かれあいながら、繰り返し恋愛を続けていく人間という存在の不思議…なんて言っちゃうと堅苦しいところを、『なぞ 遺伝子』でもう潔くばっさり片付けてしまう。恋愛というもの、遺伝子というものがどういうメカニズムなのか…みたいな深い洞察は、恋してハッピーな人にはちょっと疑問に感じこそすれ、そこに明確な回答はいらないわけです。
 「チューすれば気付く」から問題ないし、「なぞ」のままにしておけばいい、という。

 「CHU-LIP」というタイトルの目の付けどころは面白いので、もっとそちら関連を掘り下げてくれてもよかったかなーとは思います。花のほうのチューリップを入れる、とか。両親を持ち出しての遺伝子のフシギも、それはそれでいいんですけど、「CHU-LIP」というタイトルとはちょっと違うところに行っちゃっている感じなので。

 歌詞の内容にしても、またメロディの作り方にしても、今回はちょっとアラが多めかなー。アレンジが相変わらず多種多様で飽きさせないので、かなりカバーしている感じ。
 ま、そういう細かい部分は『理屈も理論もいらないわ』ということで。
posted by はじ at 01:48| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月20日

メルマガ、Vol.098発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.098 2007/05/20 発行部数:めろんぱん 434/まぐまぐ 93

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
ウエンツ瑛士「Awaking Emotion 8/5」
 〜大きくイメージを転換するソロ作

<新着レビュー>
BoA「Sweet Impact」
 〜「衝撃的」なインパクトをより響かせるために

<ひとこと寸感>
Berryz工房「胸さわぎスカーレット」
Abingdon Boys School「INNOCENT SORROW」
Dragon Ash「夢で逢えたら」
いきものがかり「流星ミラクル」
JYONGRI「Possession」
田村ゆかり「Princess Rose」
川中美幸「金沢の雨」
愛内里菜「薔薇が咲く 薔薇が散る」


 発行予約後にミスに気がつき、あわてて修正を行ったのですが、もしかすると時間ギリギリだったので2通届いている人がいるかもしれません…すみません。


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posted by はじ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

嵐「Love so sweet」

amazletツールが不調のようなので、CD詳細はまた後ほど。とりあえずのところはこちらからどうぞ。

<メロディラインの特徴を、さらに強く印象付けるための「促音」とは>

 前クールが好評だったおかげか、続編として放映されたドラマ「花より男子2」のテーマソング。
 シンコペーションで軽快に進む曲調も、『明けない夜はないよ/信じることが全て』と言ってのける内容も、たいへん爽やかなもの。青春ドラマの体裁にはちょうどいい気もしますが、メンバーの松本潤が務めるヒーロー役のキャラクターとは違う感じがします。や、内容しっかりとは知らないんですが。

 サビの大きく上下するメロディラインが印象的に感じる人も多いことでしょう。これは動きそのものもそうですし、コードとしても広がりが出てインパクトを感じさせるようにできているのですが、加えて言葉の乗せ方も考慮されています。
 それは、『思い出ずっと ずっと忘れない空』の「ずっと ずっと」の促音、いわゆる小さな「つ」の存在です。音の上下動に合わせて詰まる音を発音することで、よりダイナミックさが強調され、耳に残るようになるわけですね。
 その後の同メロディの反復部分でも、『光ってもっと 最高のLady きっとそっと想い届く』と、見事に「光ってもっと」「きっとそっと」と「っ」のオンパレード。想いが届く、に対して「きっと」は問題ないですが、「そっと」は多少違和感がある気もしますが、付けたほうが圧倒的に語感がよろしいですね。

 こういうテクニックは、重ねれば重ねるほど、韻を踏む効果もあるので、印象付けはどんどん高まっていきます。
 特に今回もフル活用されている「ずっと」「きっと」「そっと」「もっと」あたりはそれぞれの語の利便性も高いですし、他にも「ぎゅっと」抱きしめるとか「ぐっと」力を込めるとかまだまだ広がりようはあるので、作詞する人にとっては実に重宝する単語です。たいへん多くの歌に使われているパターンですね。
 こういう単語のバリエーションは、困ったときのためにメモしておくとよいでしょう。って、ここは作詞講座じゃないですが。

 にしても、V6が「HONEY BEAT」で華やかなアイドルポップスに傾いた一方で、嵐は「アオゾラペダル」に続き、切ないとハッピーとの違いはあるものの、等身大爽やか路線を貫いています。時代のニーズに合わせ、このまま差異化は行われるんでしょうか?
 とはいえ今回の楽曲は、目線こそ等身大からのものではありますが、『輝いたのは虹でも 太陽でもなくて 君だと 気付いたときから』なんて、かなりドリーミーな装いもありまして。やっぱり「不器用でもまっすぐな心意気」から、「うっとりするような素敵なエスコート」、タイトル通り甘い、ポップな方向へと若干傾いている感じではあります。
 まあ、今回1曲だけで判断できることでもないので、もうしばらく様子見でしょうか。
posted by はじ at 02:27| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月18日

SUEMITSU&THE SUEMITH「Allegro Cantabile」

Allegro Cantabile
Allegro Cantabile
posted with amazlet on 07.05.18
SUEMITSU & THE SUEMITH SUEMITSU atsushi
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<音楽世界のイメージを、音と言葉で伸びやかに広げていく>

 昨年ドラマで放映され好評を博し、大人気少女漫画からさらに一般層に広く浸透した「のだめカンタービレ」。7年ほど某楽器をやっていた関係で、クラシックもある程度は聴く自分としても、流行っていくのが嬉しい作品だったりします。でも、そろそろホルンをクローズアップしてほしい…
 とにかく、ドラマの勢いに乗ったまま今年はアニメ版が放映されていまして。そのオープニングテーマになっているのが、この曲なのです。

 SUEMITSU&THE SUEMITHという不思議なアーティスト名ですが、後ろのTHE SUEMITHはサポートメンバーによる可変バンド…つまり曲によって変わっていくバックバンドというような位置づけらしく。ピアノ&ボーカルを務めるSUEMITSU=末光篤+α、という形なわけで、実質ソロユニットという理解でよいようです。
 「グラインドピアノロック」を提唱し、ピアノを駆使してクラシックとロックの垣根を越える活動を目指しているとか。なんというか、この「のだめ」テーマにするはこれ以上ないくらい適した人材だなーという。

 タイトルは「快活に、歌うように」という意味のクラシック用語。まさに、ピアノの音色が華やかに軽快なバンドサウンドに乗って流れていくような一曲です。
 こういうの個人的には好きなタイプ。ユンナ「ほうき星」を彷彿とさせます。

 歌詞は、とにかく至るところに音楽用語が散りばめられています。『終わり無きクレッシェンドは深く/誰かの元へ向かう』とかは誰でもわかりやすいところです。でも『88の場面の中に』『三度を重ねここに響かせて』『インテンポで躓いて』あたりは首をひねる人も多いのではないかなと。
 ちなみにそれぞれ、「88」はピアノの鍵盤の数、「三度」はいわゆる「ハモる」ことができる音の幅、「インテンポ」は音楽が一定に流れること。一人一人たくさんの場面、寄り添いあい響きおうとする意志、ひるまずずっと進んでいたら何かに足をとられた…といった意味合いになるわけですね。
 『悲しみは積み上げられたエチュード』なんて表現、好きですねー。エチュードとは練習曲のこと。美しい人生の音楽を奏でるためには、悲しみを重ねることが重要なのです。

 こうして音楽用語を効果的に使いまくりながらも、そこに表されるのは明確なストーリーではなく、抽象的なフレーズだったりします。結局何が言いたいんだ!?と困ってしまう人もいるかもしれませんが、変に細かく意味を追わず、音に囲まれた素敵なイメージを思い浮かべるのが正しい楽しみ方なのかなと。
posted by はじ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(さ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月17日

川嶋あい「My Love」

My Love
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川嶋あい 長澤孝志 enzo
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<デビュー時と変わらないままの、曲世界のピュアさとまっすぐさ>

 「あいのり」主題歌となった川嶋あいのアップテンポナンバー。
 すっかりソロでも定着しましたが、もともとはI WiSHという覆面ユニットだったということはみなさん覚えて…いますよね、さすがにまだ。そちらでのデビュー曲、大ヒットとなった「明日への扉」もまた「あいのり」の主題歌でした。なので、川嶋あい名義でははじめてですが、通算では2回目のタイアップということですね。

 とはいえ、「明日への扉」からそうは変わっていない感じです。『恋の魔法に今 かかっている はじめてだよ どうしようもない』と、まっすぐでピュアなラブストーリーを紡いで歌っています。「君」に出会って、はじめての感情に気がついた。『生まれ変わってもね』『ギュッと抱きしめて ねえ』…とにかくお約束のフレーズを、それでも何のためらいもなくストレートに歌い続けるというのは、これは凄いことです。
 あと、『窮屈な風 飲みかけのコーラ 読みかけの雑誌 作りかけの地図』といった単語を並べていく表現は、まさに「明日への扉」の『光る汗、Tシャツ、出会った恋』あたりを思い出すような。清々しいくらい、自分のスタイルを貫いているんじゃないでしょうか。

 で、『くじけそうな時は 私が守るから』という一文。女性側である「私」が「君」を守る、という図式が提示されています。いつでも、じゃなくて辛い時にという限定がつけられているので、普段、あるいは「私」が辛いときには「君」に守ってほしい、のかもしれません。
 何にせよ、初恋のピュアな感情をときめかせる女の子でも相手を「守る」と言うことにも、まったく違和感がなくなっているなあ、という。単純に女性が強くなった、と言ってしまうのも早計な気がしますが、でもやっぱりそうした傾向はあるんじゃないかなーとは思ってしまいます。10年前20年前のデータもきちんと調べないとフェアじゃないですけどね。
posted by はじ at 23:17| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月15日

EXILE「道」

道
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EXILE Shogo Kashida Daisuke Kahara NHK東京児童合唱団ザ・ユースクラス 栗友会ユースクワイア
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<断片的なフレーズが思い出を掘り起こす>

 第二章の活動開始から、精力的な連続リリースを重ねたEXILE。3ヶ月連続リリースのトリを飾るのは、卒業をモチーフにしたバラードです。前回の「Lovers Again」もスローナンバーでしたが、あちらは失恋切ない系、こちらは旅立ち感動系と、少々毛色が違います。

 『見慣れた景色 二度と並べない/思い出の道』…シングルには合唱バージョンも入っていたりして、はっきりと「卒業」を意識した内容です。
 卒業、旅立ち、道を歩いていく、『キミを忘れない』…と、要素だけを見ていくと非常にベッタベタな内容ではありますが、でも全体を読んでいるとあまり「ありがち」だとは感じないんですよね。

 それはなぜかと言うと、言葉の並べかたがやたらとバラバラになっているというせいなのかなと。短いフレーズごとの繋がりが薄いというか…たとえば、『誰も消せない 心のアルバム』の後ろが『笑えるかもね』だったりするんです。今までの思い出を「心のアルバム」とする表現はわかりますが、そこから「笑えるかも」という心情に繋がるのはかなり不思議。失くしたくない、とかならわかるんですが。
 でも、この途切れ途切れ感が新鮮だったりするわけです。思い出を失くしたくない、だともういかにも過ぎてまったく面白味はないわけで。その点、「笑えるかもね」という語は唐突ですが、聴き手は勝手に(今なら)笑えるかもね、とか(君のおかげで)笑えるかもね、とか勝手にあれこれ想像を巡らせることができるんですよね。
 同じようなことが、あちこちに言えます。『愛と優しさ 教えてくれた/泣かないで歩こう』なんかも、2行の繋がりは薄いものの、それぞれ「歌詞らしい」フレーズで、なんとなく共通点もあるような気もする。

 断片的に言葉を並べると、受け手は自然とその行間を読もうとします。しっかりと繋がった文章の流れを作るよりも、こうしたやり方のほうがイマジネーションが膨らみやすかったりするわけです。この曲の場合、『「希望」「夢」「愛」話したい』とか『「心」「勇気」「友」「笑顔」』などと単語をずらっと並べてみたりもしていたりするので、おそらくは意図的に言葉を断片的に散りばめて、聴き手の想像力を刺激しようとしているのだと推測できます。
 特に、テーマは「卒業」。区切りの時です。切れ切れに浮かぶ言葉は、数々の想い出を振り返ろうとする心の動きと、非常に親和性が高いのですね。
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2007年05月13日

メルマガ、Vol.097発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.097 2007/05/13 発行部数:めろんぱん 432/まぐまぐ 92

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
BoA「Sweet Impact」
 〜新しい方向に進めない、進みたい?

<新着レビュー>
BEAT CRUSADERS「GHOST」
 〜恋に落ちた相手「幽霊」の正体は


 おかげさまで、もうすぐメルマガ100号発行が近づいてまいりました。記念に何かやりたいなーと思うのですが、何やるのがいいのかなあと思案中。と言いつつ、いつもはこう書く時点である程度これやろうかなあ、というアイディアはあったりするんですが、今回は本当にまだ何も考えていません。最近はずっと時間もないし…うーん。
posted by はじ at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月12日

モーニング娘。「笑顔YESヌード」

笑顔YESヌード
笑顔YESヌード
posted with amazlet on 07.05.12
モーニング娘。 つんく 松井寛 BANANA ICE 鈴木Daichi秀行
アップフロントワークス(ゼティマ) (2007/02/14)
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<曲と内容のギャップ・「モーニング娘。文法」>

 ひさびさに、でしょうか。どこか仄暗さも漂うディスコチューンに乗せた、アダルト路線のナンバーです。
 個人的には、この前に誕生10年記念隊として選抜メンバーで歌った「僕らが生きる MY ASIA」そしてその前「歩いてる」等々の毒気のない優等生的な歌よりも、こういった挑発的な雰囲気のほうが好きですね。そもそもつんく♂の得意分野だし、聴いていて刺激的だし、レビューで書けることも多いし…

 さて、この曲のもっとも大きな特徴はもちろん、3音/拍子1拍分という短いスパンで、メンバーが入れ替わり立ち替わり一言ずつ歌いつないでいくところですね。『あなた;だけの;私;だから/遠慮;せずに;強く;してよ』と畳み掛けてくる手法はなかなか新鮮です。
 グループユニットの常として、大勢で歌わざるを得ないために1対1の恋人関係を描くとどうも感情移入しにくかったり焦点がブレやすかったり、という問題点が出てくるもので。まさに上のフレーズにもある「あなただけの私」という主人公をみんなで歌うというのは、よくよく考えれば不自然なわけです。
 そこをあえて複数で、ガンガン廻して歌っていくというのは、違和感を覚えさせる前にガツーンとインパクトを与えてしまう力技。多人数グループであることを逆手に取った作戦と言えます。
 まあ、たまに流れに違和感があったり、二人でひとつの区切りなのはどうなんかなーと思ったり、吐息までリレーするのはやりすぎじゃ…と思ったりもしましたが。

 ところでこの曲、雰囲気はアダルトなのですが、中身は意外とそうでもなく。歌い方なんかは、非常にハロプロ的なお色気歌唱法をとっているものの『あなたの胸で/笑顔で眠る』『どうしてこんなに楽しいの』『願い事を唱える前に/手を強く握ったの』と、セクシーな女性というよりも恋する少女然としています。
 もちろんこれは詞と曲の組み合わせミスではなく、やっぱり狙いが「アダルトな雰囲気も出せるかわいい女の子」というイメージで行きたいからなんでしょうね。求められるのはあくまでも「オトナっぽさ」であって、オトナの色気ではないのです。少女性がなくなってはいけないんですね。

 そもそもモーニング娘。は、組み合わせのギャップを売りとするアイドルグループなわけです。女性アイドルには少女性は必須ですが、その理解のうえであえて逸脱したパフォーマンスをして、そこが受けたんですよね。
 まず、ストレートな清純派路線の曲「モーニングコーヒー」よりもむしろ「サマーナイトタウン」で注目を集め、やたら明るい「LOVEマシーン」でブレイクしたという歴史が根底にあります。ダンスのコンセプトにもたまに「あえてヘンな動き」を混ぜているように感じますし、バラエティでの面白キャラクター披露もそうですね。また、ツッコミどころの多い歌詞もそう。イロモノ認定されない微妙なバランスで、イロモノ的な演出を随所で行ってきたわけで。
 そういうグループのコンセプトが、妖艶さのあるトラックに『でもね(でもね)でもね(でもね)/LOVELY(LOVELY)LOVELY(LOVELY)』というフレーズを乗せちゃうんですね。吐息混じりに「ラブリー」て。だいたい「でもね」も、前からの繋がりがおかしいし!…でもね(でもね)、これが「アイドル文法」の中の一カテゴリ、「モーニング娘。文法」なのですよ。続きを読む
posted by はじ at 17:14| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(ま行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月10日

小池徹平「君に贈る歌」

君に贈る歌/ラッキーでハッピー
小池徹平 ウエンツ瑛士とガチャピン・ムック 小池徹平 小松清人 前嶋康明 ウエンツ瑛士とガチャピン・ムック TSUKASA
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<たとえ離れても、どこまでも「君」に理解を示す彼氏像とは…?>

 WaT・小池徹平のソロシングル。ソロとはいえ、カップリングにはウエンツ瑛士がガチャピン・ムックと連名での楽曲を歌っていて、しかもそちらの曲順が先のバージョンも発売と、あんまり一人立ちという感じではないようで。
 あくまでもWaTの活動の一環としてバラバラに曲を作って歌ってみる、くらいの意味合いが強いのかなあというところでしょうか。ソロ活動を始めるにはちょっと早いような気もしたのですが、こうした意向があったのならば納得もいきますし、またアーティストではなく男性アイドル界隈での牽制のためにも、それぞれの個性を強く打ち出しておくことは重要だという判断があったのかもしれません。
 まあ、2バージョン出してくるあたりは、正直ファン狙いの売り上げ向上の臭いもしますが…

 さて楽曲ですが、なんというかWaTのど真ん中路線をそのまんま持ってきたような印象です。どこがって、そりゃもうまさにサビ『わかるわかるよ君の気持ち』です。つまりこれって、「5センチ。」「ボクラノLove Story」に見て取れたのと同じ、「女の子の気持ちをすべて理解し受け止めてくれる」ある種の理想の彼氏像なのですね。
 とはいえ本当にすべてを理解できる!なんてことは難しいですし、そこまで完璧にやっちゃう完全無欠人間というのは、今の時代は流行りません。だから、『そう言える僕になれるように』『心からそう言えるように』と、これはまだ実現できていない願望だけど気持ちはそうなりたいんだよ…という補足が付きます。
 できない言い訳ではなく、むしろ真摯な答えだ、という風に受け取られるんですね。つまり、これがまさに現代の模範解答なのです。たぶん。

 この言葉をさらっと言えるのは凄いよなー、やっぱり自覚的に理想の彼氏を演出しているよなー、素だったらほんと天然記念物ものだ!なんて感心しきりだったんですが、でもこれ全体を見ると恋人同士の歌ではないんですよね。『別々の道歩いたって』とあるように、別れ別れになる展開だったりするのです。
 これがちょっと違和感ありまして。続きを読む
posted by はじ at 02:28| Comment(1) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月09日

過去ログ発掘のコーナー その14。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
 毎回そのときの気分で一曲選んで紹介するこのコーナーのバックナンバーから、新しいレビュー更新が滞ったとき、ちょこっとずつ抜き出して紹介していきます。メルマガを読んでいない人にはちょっとした暇つぶしに、読んだことのある人にも何か新たな発見があれば幸いです。



≪現代ポップス雑考。≫ Vol.093 2007/04/08
#ムーディ勝山「右から左へ受け流すの歌」

 『この歌を思い出して/そして左へ受け流してほしい』

 21世紀に、名前どおり昭和ムード歌謡の雰囲気を漂わせる風貌と装い。
 そして、ドラマティックな中にも哀愁を感じさせ、何よりも匂い立つようなレトロさが、彼の生み出すメロディラインからは漂ってきます。

 あまりにも古臭いスタイルと思う方も多いでしょうが、しかし、なんだかんだ言ってもJ-POPの底流には確かに歌謡曲が残っている…と自分は感じていまして。特にジャニーズの楽曲などは、こうした歌謡曲を現代風にアレンジするノウハウが蓄積されているように感じます。
 やはり、見かけは今っぽくてもどこかに歌謡曲テイストがある曲は、広く日本で育った者の心を掴みやすい傾向があるなあと感じるのです。

 最近はこの歌謡曲テイストを本当にすっぱり排除した「洋楽っぽい」音を出すアーティストも“やっと”増えつつあります。そんな中、さらにそのカウンターとして登場したのが、まさしく彼、ムーディ勝山なのかもしれません。現代風などのアレンジは考えず、真正面から歌謡曲で勝負するその潔さは、評価される価値のあるものでしょう。
 その渋い声のみで伴奏までも行ってしまうあたり、信念の強さを感じさせます。

 そして、代表曲であるこの「右から左へ受け流すの歌」は、ひたすら愚直なまでにひとつのテーマを繰り返し続けます。すなわち、「受け流す」という、ただ一点。

 『右から右から 何かが来てる/僕はそれを左へ受け流す』
 右から「僕」のほうへとやってくる「何か」は、唐突にやってくるものらしいという以外、曲中でははっきりとは明示されていません。ただ、『もしも あなたにも/右からいきなりやって来ることがあれば』とあるように、それは「僕」個人の問題ではなく、「あなた」=誰にでもやってくるものなのでしょう。
 「困難」?「試練」?「悲しみ」?「苦しみ」?他の部分に手がかりはないので、あとはそれぞれが想像するしかありません。聴き手の想像力が試されます。

 それにしても、「受け流す」ことは、現代のライフスタイルにおいて今まさに重要さを増している行為ではないでしょうか。
 格差社会や勝ち組負け組といった語が象徴するように、より実力主義に向かおうとしているこの日本社会では、精神的な負担は重くなっていく一方です。だからこそ、辛いこと、苦しいこと、右からやってくるさまざまな何物かを「受け流す」ことは、これから先まさに重要になってくるとも考えられるわけです。

 「受け流す」という行動に注目し、ピックアップし、ここまでひたすら丹念に歌い上げたムーディ勝山は、その古いスタイルとは裏腹に、現代の最先端からメッセージを投げかけているのです。
 古きよき時代を忘れず、また懐古主義に堕さず鋭い視点でこの現代に必要なスタイルを提示する彼は、まさに稀代の名歌手ではないでしょうか。




 …というわけで、ムーディ勝山の名を知っている人には言わずもがなですが、ジョークレビューです。本気にしないように!
 今年のエイプリルフール用に思いついたネタだったのですが、ブログでもメルマガでも別のものを採用したという経緯がありまして。でも来年まで取っておくと面白さの賞味期限が切れそうだったし、人知れず眠らせておくにはもったいないかなと考えたので、翌週4/8のメルマガで公開しました。
 ちなみに個人的には、こういう笑いは大好きです。

 結局これって何なの?いったい誰なの?という方は、こちらを参考にどうぞ。
posted by はじ at 02:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月06日

メルマガ、Vol.096発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.096 2007/05/06 発行部数:めろんぱん 431/まぐまぐ 91

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
BEAT CRUSADERS「GHOST」
 〜言葉よりも「こだわり」重視の時代なのか

<新着レビュー>
GLAY「鼓動」
 〜懐古もありつつ、世界を肯定する懐の深さ

<レビューの裏話>
Mr.Children「フェイク」
 〜スキャンダラスなフレーズに見る変遷の跡


 連休を利用して、世界遺産にも指定されている合掌造りの集落・白川郷などに行ってきました。

 20070428_1 20070428_2 20070428_3

 とてもリフレッシュしたので、また気持ちも新たに頑張って更新していきます。
posted by はじ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ENDLICHERI☆ENDLICHERI「空が泣くから」

空が泣くから
空が泣くから
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ENDLICHERI ☆ ENDLICHERI 十川知司 SC△LE 上田ケンジ
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<雨から広がる壮大な愛のイメージ>

 堂本剛ソロユニットも1年、シングル3曲目に突入です。
 「ソメイヨシノ」「The Rainbow Star」と今回と見てきて、音楽を作っていく上で一貫した傾向やコンセプトがあるというよりは、とにかく「オリジナリティ」「個性」のある新しいものを何とか生み出したい、というような思い入れを強く感じます。
 それはまあ、ENDLICHERI☆ENDLICHERI名義になる前のソロ活動からして、アイドルとしての側面からとらえられたくないんだ!みたいなオーラは漂っていましたが。でも、ソロプロジェクト始動以降は、さらに徹底して自分の世界を創りあげようとしている感があります。

 冒頭から独特の音色で独特のフレーズが鳴り続けていたり、音が何度も途絶えたり、仕掛けがいろいろあります。凝っている、というよりは、独自色を出したい、という感じ。
 空が泣く、というのはもちろん雨のことでしょうけれど、この曲ではそこから『身体を 濡らし 濡らし/愛 伝えてくれる』と自然の愛を感じるところに始まり、『龍の背に 乗って』みたり、『大宇宙で在りたい』と壮大な思いを抱いたりまでになっていって。「ソメイヨシノ」と同じく、何かの情景を観察する目がまずあってそこからイメージを広げていくような展開なのですが、今回は相当なところまでスケールが広がっているわけですね。

 全体を読むと、単純にくくれないような大きな愛を表現したかったんだろうなーというふうに考えます。ただ、どうも、明確に作りたい音楽があってそのために世界を築き上げているというよりも、その前段階、とにかく「自分だけの世界」を一から繰り広げたくて、いろんな表現方法に手を出しているといった印象を受けますねえ。
 今回で言うと、たとえば言葉では、フレーズのそれぞれがたいへん断片的だったりしていますよね。雨から感じ取ったこと、自分の思い、届けたいメッセージが入り乱れていて、おそらくは言いたいことがまとまりきっていないんだろうなあと。んで、でもそんな混沌とした気持ちを「飾らずに、正直に」吐き出そうとしたいんだろうなあと。詞の表記にしても、やたらと短く区切ってスペースを入れているのとか、全体の体裁を考えてか『答えのない…/魂で終わりはしない』と、不要なんじゃないかと思われる「…」を他の部分に合わせて入れていたりとか。

 そういうわけで、まだ模索中の感があるものの、前も書きましたが良くも悪くも好きなように振る舞って創作活動ができる地位の人ではあるので、面白いことを続けていってほしいなーと。ファンを置いてけぼりにするスタンスが心配でしたが、自分が思っていたよりもついてきている人は多いようですし。
 あとは、オリジナリティ・ありのままの自分を追求しようとするあまりに、逆にがんじがらめになってしまわないかが気になるところ。今はまだ実験的なこともまだまだやる余地はありますけど、どこまでこのスタンスで続けていられるか…たまにはもっと力の抜いた活動をするくらいの余裕が出てくるといいんですけどね。
posted by はじ at 19:36| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月04日

Gackt「野に咲く花のように」

野に咲く花のように
野に咲く花のように
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Gackt Gackt.C Chachamaru
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<どんな人も、名前のない花として「咲く」ことができる>

 シンプルなアコースティックのスローバラード。どちらかというと派手で空想的な楽曲のイメージがあるGacktにしては異色だなあ、と思ったら、ラジオ番組の縁で知り合った高校生のために、その卒業式で披露された幻の楽曲なのだとか。

 卒業をテーマに、『僕たちはそれぞれの思い出を胸に抱いて歩き始める』というメッセージ。飾り気はないですが、そのぶんわかりやすく、実際に卒業する人にとってはグッとくるのではないでしょうか。
 あんまり書くこともないのですが、とりあえず「野に咲く花」というモチーフに注目してみましょう。ポイントはいくつかあります。
 (1)匿名性。桜とかタンポポとか、名前のある花じゃないということ。
 (2)派手ではない、どこにでもあるもの。
 (3)育てられるわけではなく、一人でたくましく育つもの。
 一人称は「僕達」。新しい道を歩みだす仲間たちは、特に目立った存在ではないけれど、それでもみんなそれぞれに人生があるわけです。『決して負けずに強く咲きたい』というのは、個人的な思いではなく、名もないすべての人に向けてのメッセージとしてとらえるべきでしょう。
 誰もが大輪に咲き誇る美しい花ではないけれど、そんな人全員をすくい上げ呼びかける歌というわけです。まさに卒業式に合唱するにはぴったりですね。

 そんな「みんな」へのメッセージであるのに、『君だけに伝えたい』と「君」側を限定しちゃっているのはどうもなあ、という気もしますが…まあ、これは一人の高校生をきっかけに作られた歌なので、その辺がちょっと混ざっちゃっているんでしょうか。
 ついでに言うと、「野に咲く花」がテーマなのに、このジャケットの花はそぐわないような気も…ささいなことですが。Gacktがこういう素朴な歌を歌う、ということ自体は、うまいことギャップにもなって面白いなあと想います。
posted by はじ at 15:33| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月03日

AKB48「制服が邪魔をする」

制服が邪魔をする
制服が邪魔をする
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AKB48 秋元康 井上ヨシマサ
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<恋のためなら躊躇せず強気な行動をとる、「現代の」女子高生>

 秋元康が手がける新時代アイドルグループ、AKB48。その名の通り、秋葉原をホームグラウンドに総勢48名のメンバーで成り立っているわけですが、これだけ規模がでかいともはやユニットとかグループとか言うより一大プロジェクトという感じですね。
 実際、テレビ番組に出演するなどメディア攻勢を仕掛けていくのではなく、自身の専用劇場を持ってそこでほぼ毎日講演を行い、そして公演情報をブログで発信していくという、今までにないアピールの仕方をしています。
 新しい見せ方ではありますが、いかんせん露出がないため、成功しているかどうかはいまひとつよくわかりません。形式として、よりコアなファンに特化した売り出し方だなあ、と言う気はするのですが、これだけの人数を固定ファンだけでまかなっていけてるのかしら。

 秋元康プロデュース、大人数アイドルと、どうしてもおニャン子クラブを想像しがちなこのグループですが、今回の曲はタイトルから「制服が邪魔をする」とあって、どうしても往年の「セーラー服を脱がさないで」を連想してしまいますね。
 といっても、「セーラー服〜」が、『友達より早く/エッチをしたいけど/キスから先に進めない』と興味はありつつも躊躇してしまう「恥じらい」を描いていたのに対し、こちら「制服が邪魔をする」のほうは、もっとずっと積極的。『制服を脱ぎ捨てて/もっと 不埒な夢でもいいから/スリルを味わいたい』『誰か/見てても/関係ないわよ/キスしなさい』と、強気な発言をしています。曲調も、やたら明るかった「セーラー服〜」とは対照的に、ちょっと憂いを含みつつアップテンポなマイナー調です。

 ここにはやっぱり「時代」を感じるわけですが、でもただ「女の子が強くなった」とだけ言っても平々凡々なわけで。もちろんそれもあるわけですが、もうひとつ、ここには現代の「恋愛至上主義」みたいなものが見え隠れしているなあと。
 『どんな視線も/愛の本能 止められない』『何されてもいいわ』と言う彼女には、何よりもまず「愛し合う二人」が優先されています。二人の愛の前では、周りの目なんて気にならないし、どんなことだって躊躇せず受け入れられるのですね。
 何を当然のことを、とお思いでしょうか?別に珍しくもないじゃないかと感じるかもしれませんが、「セーラー服〜」を見ると、恋愛感情そのものというよりも、恋愛のプロセスとか周囲とか、そちらのほうに興味がある感じだったりして。20年前の「等身大女子高生」として描かれたおニャン子クラブが歌っていたのは、そういう内容でした。

 おニャン子全盛時代にはまだ小学生にすらなっていなかった自分があれこれ言うのもなんですけれど…いわゆる「好き」という感情がすべてに優先される「恋愛至上主義」的な主張は、この20年間にJ-POPの土壌の中で育ってきたものではないか、と思ったりするのですよね。
 それ自体は悪いことじゃないんですけど、結果として、打算的に受け取れるものが嫌われ排除され、無視されるようになっているような気もするのです。「セーラー服〜」に見られたような『“MI・MI・DO・SHI・MA”』な感覚、友達よりも先へ行きたいっていう焦りとかって、今だって変わらずあるもんだと思うんですよ。けど、AKB48もまた歌わなくなってしまったわけで。
 そう考えるとちょっと微妙な面もあるなーって思ったりします。この辺りの考察はしばらくゆっくりとやっていきたいなあ。

 ところで、秋葉原を拠点としている彼女らですが、この曲の舞台は渋谷だし、特に「萌え系」という訳ではなく、「イマドキの女子高生」そのままをイメージしているようですね。まあアニメ好きとアイドル好きは文字通り次元が違うわけですし、その辺はかぶっていないのかな。
posted by はじ at 18:13| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月01日

V6「HONEY BEAT」

HONEY BEAT / 僕と僕らのあした (通常盤)
V6 近藤薫 鈴木雅也 竹仲絵里 小幡英之 木下智哉 中村康就 KOMU YU
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<一歩だけ新しさを取り入れるメッセージ>

 アッパーなサウンドで、等身大メッセージを投げかけてくる、V6らしさど真ん中の一曲。ただ、サビ頭が英語だったり『あぁ誰かの為に(生きたって)君は君だよ』というコーラスパート分けとか、アイドルポップス的な部分が目につきます。…とはいっても、「君は君だよ」というあたりはやっぱり今まで通りのメッセージなので、大きな方針転換!という感じはありませんけれど。

 またオンリーワン路線か!という声も聞こえてきそうですが…画一的な思考よりも個性を重視する今の時代、そう簡単にこのテーマは衰えないでしょうね。今クローズアップされている「格差社会」の一連の話が、「個人主義が進むあまり格差が開くのは問題だ、軌道を修正しよう」という方向で進んでいったら、また変わってくるのかも知れませんけれど。

とはいえ、ただ「君は君」なのではなく「誰かの為に生きたって」それは君自身なんだと、自分自身を肯定する幅を広げてみたりもしていて。ただ既定路線をなぞるだけでなく、新しい要素を入れて行こうという姿勢が見えます。『大抵どんな奇麗事だって穴があるんだ』というのも、自己言及的にとってみると面白いですし。

 最近のジャニーズは、今までいなかったコンセプトで登場したKAT-TUNやソロ・ユニット等、バラエティ豊かに攻めてきています。それはまさしく時代に応じた戦略だなあと感心するばかりです。ただ、そうなると、90年後半くらいからのV6・NEWS・嵐といった、基本「等身大ラブソング」な一連のユニットの動向が気がかりではあって。
 今回の曲が「飾り気なし」だけではなく、適度にキラキラ感もまぶしてあったりアイドル的な展開を加えたりと、味付けがやや華やかな方面に卒っているのは、今後の方向性を示唆しているのでしょうか…?
ラベル:V6
posted by はじ at 01:57| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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