2007年04月27日

Mr.Children「フェイク」

フェイク
フェイク
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Mr.Children Kazutoshi Sakurai
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<嘘と偽物だらけの世界で、それでも前に進んでいこうとする強さ>

 「しるし」という壮大で感動的な作品の後にリリースしたのは、ダークで尖ったサウンドに乗った、『すべてはフェイク』など、後ろ向きとも感じられる言葉の並ぶ楽曲でした。
 遠くは「マシンガンをぶっ放せ」、そして「ニシエヒガシエ」「掌」あたりを想起させるこうした曲調は、最近の人間肯定路線からは離れてはいますが、しかしこれもまたミスチルらしいものではあります。

 そして、近年のポジティブなメッセージから、ただ奇をてらって反対方向に揺り戻してみた、というわけでもないのではないかなと。つまり、一見後ろ向き、否定的ではあるものの、そこには以前のような苦悩や諦めは感じられないなあと。

『言ってしまえば僕らみんな 似せて作ったマガイモノです』
 「フェイク」「マガイモノ」「上げ底」「偽者」「嘘」…隠したりごまかしたり、そんなキーワードがごろごろと出てきて、いかにも負の感情に彩られた内容なんだと思ってしまいがちです。
 しかし、そうした「フェイク」を肯定することは、イコール諦めなのでしょうか。自分には、どうもそうは感じられないのです。確かに斜に構えてはいるものの、それは後ろ向きな姿勢なのでしょうか?続きを読む


posted by はじ at 21:30| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(ま行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

旅に出ます。

 この3連休はちょっと旅に出てきます。ので、更新はストップします。ただでさえ遅れているのになんだかなーですが、ご了承をば。
posted by はじ at 21:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 近況やお知らせ。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月26日

モーニング娘。誕生10年記念隊「僕らが生きる MY ASIA」

僕らが生きる MY ASIA
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モーニング娘。誕生10年記念隊 つんく 高橋諭一
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<原点に回帰しつつも、なお広がっていこうとする意志>

 10周年。もちろん多くの入れ替わりはあったものの、女性アイドルグループの寿命としては相当に長い年月です。まずは10年もの長きにわたり一時代を築き上げたことを賞賛しておきましょう。

 アイドルという存在は、商業的に多数の人々を巻き込むことを想定して生み出されるものであり、つまりは時代を映す鏡なのです。だからこそ、時代が変わり人々の趣向が変われば、おのずと飽きられてしまう。賞味期限が短いものなのです。
 その点、男性アイドルの大御所ジャニーズ事務所は、ただ「カッコいい」だけの存在から「親しみやすさ」も付与し、さらには多人数多グループを揃えて、そのつながりを強固なものにするという戦略をとっていると思われるわけで。そしてハロプロもまた、バラエティへの積極的な進出や大ファミリー化など、同じ道をたどりました。

 で、10周年に歴代メンバーも加わり、精鋭によってドリームチームが結成されたという。わざわざ新旧5人の選んだのは、結成当初の13歳〜24歳の5人メンバーを意識してのことだとか。
 正直、ジャニーズにおけるJ-FRIENDSのように、一家総出でリリースしたほうが話題も売れ行きも好調だったと思うのですが、原点回帰という意味ではまあいいマイルストーンになったのではないでしょうか。あんまり多くて大合唱になるのもなんですし。

 10年という歳月は上で述べたように、この手のグループとしてはかなりの長さではあるわけです。その10年の記念に、あえて『万年行き交うこの道に』と、桁の違う数字をあえて入れているのは、これからも末永く続けていこうという意志の表れととるべきでしょう。
 「日本」にとどまらず「ASIA」としたのも、まだまだ広がっていこうとする決意めいたものを乗せたかったからかもしれません。まあもちろんアジア友好の旗手になろう!みたいな意図も大きくて、『シルクロード進もう』『こんな近くに歴史もある』などはちょっと露骨すぎてどうだかなーとも感じます。

 どうしても、記念ソングとか、豪華キャストとかになると、視点の大きくて優等生的な内容になってしまうもので。こうした曲を歌わせるのは「国民的アイドル」としての矜持からなんでしょうけど、やっぱりアイドルにはもっと個人的な歌のほうが合うんじゃないかなあと。
 ま、とりあえず、「歩いてる」やこの曲など決して派手じゃない楽曲もレパートリーとして組み込めるようになったのは、ひとつユニット全体としての(今回はまあ特別ですけど)成長かもしれません。
posted by はじ at 03:08| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(ま行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月24日

過去ログ発掘のコーナー その13。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
 毎回そのときの気分で一曲選んで紹介するこのコーナーのバックナンバーから、新しいレビュー更新が滞ったとき、ちょこっとずつ抜き出して紹介していきます。メルマガを読んでいない人にはちょっとした暇つぶしに、読んだことのある人にも何か新たな発見があれば幸いです。



≪現代ポップス雑考。≫ Vol.088 2006/03/04
#APOGEE「夜間飛行」

 『走り出したら そのまま飛べ
  止まるな 逃すな
  そこに何かあるはず そこに何かあるはず』

 独特の音楽世界を表現しているバンドAPOGEEの1stアルバム「Fantastic」を聴いていると、よくわからない世界に浮遊しながら連れて行かれるような、何ともいえない心地よさと、少し遅れてうすら怖さを感じます。
 ちょっと言葉に表しづらい世界。

 愛とか恋とかの要素は、ほとんど感じられません。もっと透徹した世界、感情に汚されていない心象風景のような世界。かといって空想イメージに終始する閉じた世界なんじゃなく、そこには切れ切れながらも実感があります。
 あるはずの「何か」を目指して飛ぼうとしているように、どこかに向かおうとする衝動があります。、イメージの向こうには、生々しさが隠れているんです。

 恋愛に傾かない詞世界、独自路線を突き詰めていくストイックな音楽への姿勢などは、どこかACIDMANと近いスタンスなのかな。でも、そこから生み出す音はかなり違っていますが。ACIDMANが3ピースのシンプルな構成で何ができるを硬派に突き詰めているのに対し、APOGEEはシンセなど鍵盤なども駆使し、より明るく広い世界を表現していて。じゃあポップなのか、と聞かれると難しいんですよね。とにかく一筋縄ではいかないので。構成の凝りようは物凄いものがありますし…

 売れ線のポップスはベタベタしていてイヤだ、かといってゴリゴリしたハードな音にもいまいち乗れない…そんな屈折した人に向いているのかもしれません。


Fantastic
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APOGEE
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 ちょっと時間がないので、久しぶりにこちらのコーナーをピックアップ。APOGEE、わからない人はわからないでしょうけれど、ハマる人は中毒になる良さがあります。ぜひお試しを。
posted by はじ at 02:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月22日

メルマガ、Vol.095発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.095 2007/04/22 発行部数:めろんぱん 433/まぐまぐ 92

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
GLAY「鼓動」
 〜揺るぎないスタンスと、その上での特徴付け

<新着レビュー>
BONNIE PINK「Anything For You」
 〜ポップな中にも、一筋縄ではないセンス

<ひとこと寸感>
RIZE「ピンク スパイダー」
HOME MADE 家族「EVERYBODY NEEDS MUSIC」
NIRGILIS「SNOW KISS」
松たか子「みんなひとり」


 やはりあんまり更新のできない状態が続いています。でも昨日のFUNKY MONKEY BABYS「Lovin’Life」から、先にメルマガ「新着レビュー」のコーナーで紹介したものを多少手直しして出していくことができるので、忙しいときなどの負担がちょっとばかり減りそうです。
 毎週1曲のみなのですが(そして来週はお休み予定なのですが…)、メルマガでは今のブログよりも新しい楽曲を扱っているので、ブログのみの読者の方で興味がある方はぜひメルマガもよろしくです。宣伝でした。


 ※メルマガについての詳しい説明は、こちらへどうぞ。
  バックナンバーも開放しています。
posted by はじ at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月21日

FUNKY MONKEY BABYS「Lovin’Life」

Lovin’Life
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<結実するものとしての「桜」>

 宮崎県知事になったそのまんま東をはじめ、芸能人をCDジャケットに起用することでも話題を呼んでいる、ヒップホップユニットの4thシングル。
 『さくら さくら さくら 咲くよ』という連呼が印象的な一曲です。かなりポップな作りで、近年外しの少ない叙情的ミディアムナンバー路線で、印象的なフレーズもあり…ということで、なかなかのロングヒットとなりました。この辺、昨年の湘南乃風「純恋歌」に似ています。

 近年、「桜」をモチーフにした曲が続けてヒットしていたのは誰もご存知かと思いますが、ただ今年のこの曲は、それらの曲とは実はちょっと毛色が違います。
 森山直太朗「さくら(独唱)」河口恭吾「桜」ケツメイシ「さくら」コブクロ「桜」…などなどで描かれている「桜」は、どれも基本的には「舞う」「散る」「舞い散る」と、満開〜散っていく時期の情景が描かれています。桜は散るのが美しい花ですし、その絵になる情景とそこに「切なさ」を重ね合わせやすいのですね。上に挙げた以外の最近の「桜」ソングも、基本的にはほぼこちらという印象があります。

 でも、この曲は「咲くよ」です。『咲き乱れてる』というフレーズもありますが、これは比喩的な使い方ですし、どちらにせよ「これから咲く〜満開」までの時期の「桜」をモチーフにしているんですね。

 それは歌詞全体が「これまで」の二人について語っているからという側面もあります。出会い、二人の日々。『君を好きになって良かった』と、過去を感慨深く振り返る。そんな積み重ねてきた軌跡があってこそ、心の中に今「さくら」が花開いたんだと高らかに歌い上げる主題に結びつくわけです。

 「桜」というモチーフは、華やかな春の花の代表格、毎年咲いては散る姿が印象的なことから、巡る季節を表すのにも使われやすいです。ただ今回は『君に捧ぐただ1つの愛』と重ねていることもあり、「毎年咲いて散る」と言ってしまうと全然感動的ではないわけで。だからそういった方向に繋がっていくような表現はなく、合格に繋がる「サクラサク」などと同じように、冬を越えて春に咲き誇る、ただそこに特化して用いられているなあと。
 発売は1月と、桜の歌にしてはかなり時期的には早めですが、受験合格・卒業ソングとしての浸透を狙っていたのかもしれませんね。
posted by はじ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月20日

安室奈美恵「Baby Don't Cry」

Baby Don't Cry
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安室奈美恵 Nao’ymt
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<波状に畳み掛けながら、誰から誰へでもなく広がろうとするメッセージ>

 マイペースな音楽活動を続けている安室奈美恵ですが、今回はかなりポップよりなダンサブルナンバー。コーラスを絡めつつ切れ目なくひたすらに流れゆくメロディライン、どこか漂うオリエンタルさなどは非常にクールな洋楽テイストを感じます。
 とはいえ日本語の歌詞が乗って安室が歌うとJ-POPに聴こえる不思議。や、いい意味で。洋楽ぽさをうまくJ-POPのフォーマットに溶かし込んだという感じがします。

 サビでは、『そうだからBaby悲しまないで/考えても分かんない時もあるって』…と、切れ目なく続く優しいメッセージがかなり心地よい雰囲気を作り上げています。ただ、自分励ましソングかと思いきや『一人になんてしないから』というフレーズも出てきて、完全なセルフメッセージではないことがわかります。
 では、神の視点からの呼びかけなのでしょうか。確かに、『だってそうして人は何度でも/闇に立ち向かう強さあるはず』というような言葉は、広くさまざまな女性たちに投げかけているようにも感じます。ただ、一人称っぽい部分もあったりもしますし、『ねえ 良くなる方に捉えたら?』と語りかけるのは、まるで親友からの助言のようでもあります。

 きっと、この詞の主人公は誰だとか、明確な人物なんて設定されていないんじゃないかな、とも思うのです。それは視点の混乱というマイナスポイントではなくて、あえて細かく考えずごちゃ混ぜにしているんじゃないかと。
 自分から自分への勇気付け、友人へのアドバイス、不特定多数の頑張る女性へのメッセージ。どうとでも解釈できるし、どうとでも拡げていきたい、投げかけたいからこそ、あえて切り分けを行っていないのでは、なんて感じちゃうのですね。
 そんな風に感じるのは、みんなで元気だしていこう!みたいな、やたらポジティブな考え方のせいかもしれません。『望みはあるから』『いつか笑って話せる日がくるから』とか、はっきり信じられるような根拠がなくても、次から次へと勇気を奮い立たせるような言葉が連なって放たれてくる、そんな曲展開が、言葉に力強い印象を与えるのに一役も二役も買っているように思えるのです。続きを読む
posted by はじ at 02:54| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月17日

YUI「Rolling star」

Rolling star
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YUI northa+ Hajime Mizoshita
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<汚れながら進んでいくのは、今や主流なのか>

 これまでは主にミディアムテンポ以下の楽曲をリリースしてきたYUIですが、ハイテンポで疾走する攻撃的な音楽に挑戦したのがこの一曲。特にYUI for 雨音薫の名義でリリースしヒットした「Good-bye days」から比べると一気に世界が変わったような気になります。

 「Rolling star」というタイトルは、Rock'n Rollも多少踏まえているんでしょうけれど、どちらかというと言葉どおり『つまづいたって Way to go!!』と言うような、転んでもひたすらがむしゃらに前に進んでいく、それが「star」なんだ、というメッセージが込められているんでしょう。
 『転んじゃったって いいんじゃないの』とか、『泥だらけ』とか。汚れてもカッコ悪くてもいいんだ、というスタンス。こういう「カッコ悪いカッコよさ」というテーマ、今はもはやメインストリームになっている感があります。もちろんカッコ悪いのがいい、という単純なことではなくて、カッコよく飾ることよりも『言いたいことは言わなくちゃ』、ありのままを出しているほうが受け入れられる時代なんだということなのでしょう。

 歌詞は、自分の内側にこもるのではなく、どちらかというと『君のFighting Pose 見せなきゃ』と呼びかけたりする、開かれた内容になっています。内省的な曲を生み出してきたYUI、ただハイテンポというだけでなく、外側へ向かう内容のメッセージを歌い始めたという点でも新しい動きかなと。
 とはいえ、全体的には外向きなのか内向きなのか、言葉がややとっ散らかり気味で、まだ慣れていないのかもしれないなあ…とも思わせられたり。感性が鈍っているわけではなさそうなので、まあ今後を期待して見守りましょう。

2007年04月16日

紹介されました。

 歌詞GET!!ブログの編集部おすすめブログのコーナーで、当ブログをご紹介いただける機会に恵まれました。まだ引っ越してきて2ヶ月なのにいいのかなーと思いつつ、嬉しいです。
 早いとこ過去ログを移動してこっちでも閲覧できるようにしなければ…

 というわけで、最近またやたらと忙しくなかなか時間が割けていませんが、これからも頑張りますのでよろしくお願いします。
posted by はじ at 23:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 近況やお知らせ。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月15日

メルマガ、Vol.094発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.094 2007/04/15 発行部数:めろんぱん 433/まぐまぐ 88

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
BONNIE PINK「Anything For You」
 〜無理やりではないナチュラルな変化か

<新着レビュー>
YUI「CHE.R.RY」
 〜些細な出来事へのフォーカス 

<おまけ>
○「夢」がテーマの曲、紹介編(6) 


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2007年04月14日

GLAY「100万回のKISS」

100万回のKISS
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GLAY TAKURO 佐久間正英
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<その数は無限ではなく、確かに築きあげていくもの>

 たとえば空想的、退廃的な観念の世界を作り上げるL'Arc〜en〜Cielに対し、現実を確かに歩んでいこうとするスタンスの楽曲を作り続けているGLAY。今回も、まさに彼ららしい、この社会のどこかに生きる人の息遣いが聞こえる内容です。

 「100万回」という数字は、かなり突飛ではあります。でも、もしかしたら不可能ではないくらいの数字でもあるわけで。『永遠など 信じちゃいないよ』というように、この100万という数は「無限」とほぼ同等に使われているのではなく、あくまでも達成できるだろう遥かな目標として設定されているものです。
 なんの紐付けもない「とりあえず大きな数字」ではなく、やはり今この現実から積み上げていこうとする数字、なんですね。

 それにしても、『現代に生きる 僕達の悩みとは』とか、『決して 楽じゃない 暮らしの 終わりに』とかを見ると、恋愛へのトリップ感は全然ないです。その分、確かな足取りで二人歩んでいこうとする強い意志を感じさせるわけですが。
 そもそも、この曲のテーマである「KISS」というのは、恋愛の中でも特に甘い部分なわけじゃないですか。でも、この曲ではそこに『愛を伝えるだけじゃなく』、「あなた」の全てを伝えてくるもの、お互いをそのものを感じる行為なんだ、というように、甘さ以上の深い意味を付与しています。
 こうした描き方もまた、彼らのスタンスがはっきりと表れている部分でしょう。
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2007年04月12日

平井堅「哀歌(エレジー)」

哀歌(エレジー)
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平井堅 亀田誠治 石成正人
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<「愛」に溺れ殉じようとする、不安定な倒錯した感情>

 何かと話題になった映画「愛の流刑地」の主題歌ということで、名前どおりムードのある一曲です。この人の本分はR&Bですが、そちら系の哀調ではなく、リズムが跳ねたりせずにべっとりしっとりの、純和風な哀調です。

 テーマは、早い話が「愛しすぎてしまったがゆえに、倒錯した感情に溺れていく女性の歌」というところでしょうか。もっとも象徴的なのは『いつか滅び逝くこのカラダならば/蝕まれたい あなたの愛で』という一文。愛に「蝕まれる」というような表現が、この曲には頻出しています。

 たとえば「ずっと一緒に生きていこう」というのが、まあ一般的な「愛」の示しかたです。二人の時間がずっと続いていく、それが一番の幸せだと感じる人は多いでしょう。
 ただ、この曲の主人公「わたし」はそれでは物足りないのです。これから「ずっと一緒」なんて待っていられない。だから、『今引き裂いて あなたの愛で』と願うんですね。今この瞬間にでも、自らの生、自分自身をすべて「あなた」の愛に注ぎ込み、殉じようとしているわけです。未来さえも見えないほど、今の感情に溺れているというか。
 心中する人たちって、こんな気持ちなんでしょうかねー。

 さて、そんなアンバランスで倒錯した感情を描いているだけあって、楽曲のいたるところからこのテーマを引き立てる要素がびしびしと匂ってきます。
 自らを「花びら」にたとえるのは、もちろん危なっかしさ、不安定さを表すため。さらに、「ひらひら」「ゆらゆら」といった擬音語も、印象深いメロディラインと合わせ、より不安定さを感じさせるのに一役買っています。
 メロディラインは、特にサビでは、コードから外れぶら下がった形になっていたり、がっちり安定した響きを作らないよう計算されているなあと。聴いていてゆらめくような雰囲気を感じたなら、それはコードとメロディラインが単純な組み合わせになっていない、奥深い響きを生み出しているからでしょう。続きを読む
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2007年04月11日

木村カエラ「snowdome」

Snowdome
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木村カエラ Jez Ashurst
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<すっきりと切ない、思い出の風景>

 覆面バンド・BEAT CLUSADERS作曲という点でも話題となった、今や女性シンガーの中ですっかり独自の存在感を築いた木村カエラのシングル。

 なんというか、「素直な」メロディラインです。ちょうどいいテンポに乗って、変に複雑なことをしていなくて。だから、サビの伸ばしもとても伸びやかに響いてきますし、心地よい空気を生み出しています。
 で、それに合わせてなのかもしれませんが、歌詞もいつもよりも素直。二人の思い出の場所で雪景色を見て『私はあなたのその笑顔を忘れられないままでいる』と回想する。そこには、過剰な感情は込められていません。忘れられないと言いながらも、どこかさっぱり清々しい空気がここに漂っているような気がするのです。少なくとも、涙は流していない感じ。
 でも、それが何とも言えない情感を生み出しているわけで。個人的には、変にドラマティックに盛り上がるよりはこのくらいの淡さのほうが好みです。

 ただ、彼女の場合、モデル出身ではあるもののアイドル的な方向には進まず、自由奔放な音楽活動をしていて。枠にとらわれない歌を進んで歌ってみたり、なかなか他では聞けないような言葉をぽんと放り投げてきたりするという魅力がある人なので、そもそも失恋というモチーフが物足りないかなーという気持ちもあったりします。
 とはいえ、ずっとマニアックな方向に進み続けるのもそれはそれで偏るし、年に一回はポップな楽曲も歌うくらいのバランスがちょうどいいのかもしれません。これだけ素直な言葉を紡げるというのも、なかなかないですし。
posted by はじ at 00:32| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月08日

メルマガ、Vol.093発行。

メールマガジン≪現代ポップス雑考。≫
Vol.093 2007/04/08 発行部数:めろんぱん 433/まぐまぐ 85

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
YUI「CHE.R.RY」
 〜変化が感じさせる初々しさ、等身大っぽさ

<新着レビュー>
DREAMS COME TRUE「大阪Lover」
 〜外からの視点で描く「ご当地」ソング

<レビューの裏話>
柴田淳「HIROMI」
 〜それでも「あなた」を嫌いにならない 


 最近また忙しくて、これから一週間あたり更新が滞るかもしれません…できるだけ書きたいんですけどねー。気長に見守ってやってください。


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2007年04月07日

EXILE「Lovers Again」

Lovers Again
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EXILE Kiyoshi Matsuo Jin Nakamura ATSUSHI h-wonder
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<「今でもずっと好き」な想いを煽る言葉たち>

 第二章2枚目のシングルは、切ない心情の込められたミディアムテンポのナンバー。
 前回の「Everything」はすっきりさっぱり前向きなメッセージソングという感じでしたが、こちらはひとつの恋を回想するかなり具体的、パーソナルな想いが込められています。

 街で「あの人」がしていたマフラーを見かけて思わず振り向く…似たような人や、身につけていたものから面影を探してしまうというのは非常にベタなシチュエーションですね。
 ただ、この曲の場合それは『スカイブルーのマフラー』です。折りしも季節は恋が終わってから『この退屈な街に二度目の冬』の初雪の中、という描写があります。冬、しかも「僕」の気持ちは晴れない。そんなモノトーンの情景に、あまりにも鮮やかなスカイブルーという色。この対比が、今もなお鮮やかな「あのひと」への想いをはっきりと際立たせています。
 ただ色の説明だけなら「青い」でも済むところを、わざわざ「スカイブルー」ですからね。これはほぼ間違いなく意図的な演出ですねー。

 『つよがりだと本当は気づいていたよ』なんてのもズルい台詞ですよねー。相手からしたら、気づいていたんならなんで…という気持ちにもなっちゃいそうですが。
 まあ、この心理は、けっこう最近のトレンドの上なのかなという気持ちもあります。つまりこの感情は、「わかっていてもどうしようもできなかった」ということですよね。で今もなお忘れられない…ということは、つまり、付き合っていて、でも別れて、それから時間の経った今、のずっと相手を「好き」なままだった、ということになります。
 これがたとえば、「あれはあなたの精一杯のつよがりだったのかな」とか、「あれはつよがりだったと今ならわかる」だったとしたら?と考えてみましょう。この言い方だと、別れる間際は何らかのすれ違いがあった、と想像できるわけで。

 好きな気持ちはそのままに離れてしまう。こうしたシチュエーションを盛り込んだ歌が、当ブログでもしばしば指摘しているように、最近は増えているような気がします。映画やドラマなどでも、同じ流れを感じますし…
 そういう意味でもこの楽曲は、今の潮流に乗っている内容だと言えるでしょう。
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2007年04月04日

柴田淳「HIROMI」

HIROMI
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柴田淳 重実徹 羽毛田丈史
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<虚飾に満ちた別れの場面を冷ややかに見つめながら、それでも尽きない想い>

 別れの歌というと、ほんの少しのすれ違いなのに、まだ好きなのに…という切ない感情を描いたり、また幸せな日々の思い出を回想したりと、何かと美しく哀しく彩られがちなものです。
 しかし、この曲はまったく違うんですね。むしろ、そうしたある種「J-POP的な別れ」を演出しようとする相手を、醒めた視線でもって受け止めているんです。

 別れを告げる「あなた」は、哀しげな表情をしています。「私」のためなんだ、と自分の苦渋の決断をアピールし、さらには涙さえ流します。
 しかし、それはすべて『私のためなんかじゃない』のです。『見抜かれてないと思ってる/その程度しか通じ合えてなかった』なんていう、失望のため息が聞こえてきそうなきっついフレーズ。こんな言葉がさらりと出てくるほど、「私」にとっては「あなた」の嘘は前々から気がついていたことで、だから、「あなた」のこの『明日から気兼ねせず あの子に会うために』、キレイに決着をつけてしまおうとする「別れ」の演出は、出来の悪い茶番としか感じられないのです。

 何かとキレイに描かれがちな別れの場面には、往々にしてこうした冷ややかな視点が存在するものです。でも、あえてそこは見ないフリを決め込んで美しい面だけ描き、聴き手を浸らせるのも歌のひとつの切り口です。
 対してこの曲の場合は、相手の「嘘」を見抜いていたという設定を使って、冷ややかな視点からの生々しい感情をつらつらと綴っているわけです。その赤裸々ですっぱりとした本音は、別れ際に「嘘」をついた覚えがない身でも肝が冷えるくらいです。この淡々とした生々しさが、キレイに飾らない本音が、柴田淳という人の持ち味なのですね。


 さてこの曲、ただ相手の「嘘」を白々しく見つめるだけの歌ではありません。
 「私」は、「あなた」に思いきり幻滅しながら、しかし嘘を暴こうとせず、怒鳴りもせず、「あなた」の演出を壊すことなく付き合います。『微笑んであげたの』というのはむしろ激昂するよりも怖いですが、そんな態度にはちゃんと理由がありまして。

 『ステキな思い出にさえ させてくれなかったね』と、ここに「私」の偽りのない本心が隠れています。「ステキな思い出」にしたかったのに、バレバレの「嘘」をつかれたことでその願いは消えた、という。逆に言えば、「あの子」に「あなた」の気持ちが傾いているのを知っていた「私」は、せめて二人の日々を「ステキな思い出」にしたかった、ということになります。
 『見え透いた嘘ついて 嫌いにさせたって/思いたいよ 思わせてよ』なんかを見ると、いっそう顕著です。別れを告げられることを否定したいという気持ちよりも、むしろ、バレている嘘をつく「あなた」の無様さを信じたくないという気持ちのほうが強そうに感じるんです。
 つまり、ひどいフラれ方を体験しているこの瞬間にも、まだ「私」は「あなた」を愛しているんです。

 さらに、曲の最後に出てくるサイズの合わない指輪のエピソードも秀逸なんですが、長くなりすぎるのもなんなのでカット。とにかく、やたらと内容の濃い一曲です。
 嘘の演出に彩られた別れを表向きは受け止め、水面下では非難と幻滅を、そしてそれでも捨てきれない想いを、一人で抱えようとする。別れを一面的なキレイさでは描かずに、愛憎が入り混じる複雑な感情で満たしているわけですが、でも現実にはやはりこういう本音はあるのでしょう。冷ややかで生々しい、等身大の感情を描こうとしたからこそ、「HIROMI」という固有名詞がこの曲にはつけられたのではないでしょうか。
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2007年04月02日

4月1日はエイプリルフールでした。

 はい、ということで、エイプリルフールネタです。
 昨日の更新2件は、どちらも丸っきりの≪嘘≫でございました。騙された方はすいません&ありがとうございました〜。続きを読む
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2007年04月01日

重大発表があります。

 本日、読者のみなさまに、重大なお知らせがあります。
 驚かれるかもしれませんが、まずはご一読ください。続きを読む
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セントバーナード「綿毛」

watage
セントバーナード
フォースラッシュワン・エンタテインメント (2007/04/01)
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<現代的なメッセージを織り込んだ、少し切り口の違うモチーフ使い>

 最近の春先は、どうも「桜」がテーマの楽曲が目立っていて、その他の花があんまり注目されていない傾向があります。そんな中、タンポポをモチーフにした楽曲をご紹介。セントバーナードという新進3ピースバンドの最新シングルです。

 こちらも春を象徴する花ですし、数多くの歌が作られているので、斬新さには欠けます。しかし、この曲はちょっと着想がひねってあります。
 サビの最後、『真っ白な綿毛はまた新しい場所で 強く根を張り花を咲かすでしょう』と、これだけを読むと、ありきたりなメッセージソングそのままですよね。しかし、その前には『たとえ乗る風が あなたのため息だったとしても』という一文があるんですね。
 ため息もまた「風」として、綿毛を飛ばし、新しい命に繋げることができる。つまり、辛いことや苦しいことがあっても、それは新しい何かに繋がるきっかけになるんだ、というメッセージとして受け取ることができるわけです。

 失敗しても次があるさ!と真正面からぶつける励ましじゃなく、ワンクッション置いたこのさりげなさが、ありがちな「綿毛」というテーマへの切り口を少しだけ変えてみる工夫になっています。また、『ふわふわ漂って生きることも/怖がらなくていいよ』というフレーズも合わせて考えると、暑苦しすぎない現代的なメッセージの投げ方なのかもしれません。
 まあ、とはいえ「綿毛」なので、もちろん最終的にはどこかに落ち着くことを想定しているのでしょう。いつまでもフラフラし続けるんじゃなく、『見果てぬ遠くで花を咲かせましょう』と、最終目標はきちんと示されています。
posted by はじ at 17:08| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(さ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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