2007年02月27日

Aqua Timez「千の夜をこえて」

千の夜をこえて (通常盤)
Aqua Timez 太志
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千の夜をこえて/Aqua Timez - 歌詞GET

<わかっていても真似できない「ひた向きさ」には、壮大な表現はいらない?>

 個人的に、自分よりも一回り下の年代の旗手になるだろうと予測している、…だからこそどうも感情移入しきれずに困惑しているAqua Timezの、メジャーとしては2枚目のシングル。
 ミディアムテンポの中にストリングスも混じり、飾り気のない「ありのまま」感を!という信念が伝わってくるような気がするメッセージと、前作「決意の朝に」との共通点は多いです。ただ今回は『怖くたって 傷ついたって/好きな人には好きって伝えるんだ』とテーマがはっきり明確に提示されているので、内容ははっきり異なっています。

 とにかく愚直なまでに、赤裸々に素直に、考えていることを綴る、その点においてはすごいなーと感心します。なんたって、『その想いが叶わなくたって 好きな人に好きって伝える それはこの世界で一番素敵なことさ』ですからね。若くないと、いや若くてもなかなかこうはっきりとは口に出せないものです。感心します。
 『「あなたが僕を愛してるか、愛してないか」なんてことは もうどっちでもいいんだ』という超・ポジティブ思考は、ちょっと押し付けがましくないかって感じちゃう人もいるかと思います。ただ、そう考えることで自分自身の勇気を奮い立たせようとする、すごく純粋な信念を背後に感じるので、個人的になかなか好きです。こういうひたすらピュアなとことかがダメだと感じる人って、もしかするとこんなに赤裸々になれない自分を知っているから、ちょっと悔しくなっているのでは。

 わりと自問自答に終始していた「決意の朝」に比べると、外側へ伝えようと向かっていく感情を描いているせいか、思ったよりひた向きな感情に違和感がないなあと。…ということは、自分自身の内側で結論を出してしまおうとすることに共感できるか否かが世代の分かれ目になってくるのでしょうか。サンプル自分の感覚だけなんで断言できませんけど、今後ちょっと注意していきたいですね。

 ところで、「千の夜をこえて」というタイトルは実にカッコイイですが、こうして壮大に時間を示してみせることが、主題の「好きと言う気持ちを伝える」という部分にあんまり結びついてこない気がします。「伝えにいく」という宣言の後押しをしてはいますけど…秋〜春の季節が移り変わっていく描写もそうですが、どうも冷静に読むと時間経過を描く必然性がないような。「いいこと言ってる感」は漂っているんですけどね…
 『無傷なままで人を愛そうとしていた』なんて表現はいいなあと思いますし、こうした地に足のついた言葉だけでまとめられたらよかったかなと。季節や「千の夜」を持ち出すのも壮大でいいですけど、せっかく若さピュアさを存分にぶちまけられるのだから、そこに情熱をつぎ込んでみてほしいなあと。


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2007年02月25日

メルマガ、Vol.087発行。

≪現代ポップス雑考。≫ Vol.087 2007/02/25 発行部数:めろんぱん 426/まぐまぐ 88

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
V6「HONEY BEAT」
 〜既存ユニットも多様化していくのか?
<新着レビュー>
FUNKY MONKEY BABYS「Lovin’Life」
 〜「結実するもの」としての「桜」

<レビューの裏話>
Mr.Children「しるし」
 〜「半信半疑」が感動的な理由

 えっと、ブログとメルマガをずっと続けてきているわけですが、もうちょっと手を広げる機会に恵まれまして。レビュー遅れまくりな状況ですが、すみません、チャレンジしたいなと。
 また詳細は報告できるかもしれません。


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宇多田ヒカル「ぼくはくま」

ぼくはくま
ぼくはくま
posted with amazlet on 07.02.25
宇多田ヒカル 冨田謙
東芝EMI (2006/11/22)
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<言葉遊びのセンスをゆる〜い童謡に取り入れる>

 テディベアのぬいぐるみをプレゼントされた際にできたのが、「みんなのうた」に提供することにもなったこちらの楽曲。

 ひたすら「くま」を連呼するこの童謡めいた内容は、今までの宇多田ヒカルのキャリアとはまったく異なるアプローチです。よく言えば柔軟性のなせる業、悪く言えばお遊び要素ですね。とはいえ実はなかなか凝っているなーと思わされる部分もちらほらあったりもしまして。 

 『くるまじゃないよ』とか『くま 九九 くま/ママ くま くま』、あるいは『夜は「おやすみ、まくらさん」』などなど、言葉遊び的な向きが強いです。言葉遊びはマザーグースを引き合いに出せばわかりやすいですが、語感、発音の妙を楽しむもので、意味や内容は二の次だったりします。
 とはいえ単なる言葉遊びに留まらず、『歩けないけど踊れるよ/しゃべれないけど歌えるよ』と「くま」のキャラクターへの肉付けも混ぜ込んでみたりして。この辺りはおそらく「動かして遊んでもらう」ぬいぐるみの特性を面白く表現してみているのかなーと。続きを読む
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2007年02月24日

UVERworld「君の好きなうた」

君の好きなうた (通常盤)
UVERworld TAKUYA∞ Satoru Hiraide Alice ice
ソニーミュージックエンタテインメント (2006/11/15)
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<切なさも決意も…の「いいとこ取り」のスタイル>

 この曲リリース後に事件がありましたが、当ブログのコンセプト的にその辺のことは基本的に範囲外なので特に触れずに、楽曲のみで内容を見ていきます。悪しからず。

 シングルとしては初のバラードということで、いつものデジタルな疾走感はないです。どちらかというと泣き系のHIPHOPに近い雰囲気もありますね。
 細かい中で3連も混ぜ込んだメロディラインは個人的に好きです。乗る言葉もそのリズムに合わせた工夫をしてくれたら言うことなかったかなー。

 『好きだよと 今日も言えないまま』の「僕」。内側だけで広がる思いを、『会いたくて 君の好きなうたを繰り返し/口ずさんだ 帰り道』と、「君の好きなうた」に乗せているわけです。
 気持ちを伝えられないもどかしさはあるものの、この曲からはあんまり「片想いの切なさ」を感じません。それは『もう一度 誰かのために生きたいと思えた/この気持ちを伝えに行くよ』と曲中できっぱりと決意しているからかもしれません。また、『僕の全てを受け入れてくれる気がした』と相手への望みも確かだからかもしれません。

 迷いのある不安定な思いではなく、しっかりとした確かな思いが描かれている。そのこと自体は全然問題ないですし、HIPHOPぽい軽いリズムトラックと適度なストリングスの味付けと絡み合って、感動的に響いてきます。
 ただ、はっきりとそういう方向と決め手やっているのかなー、というのは疑問でして。『今日も言えないまま』⇒『この気持ちを伝えに行くよ』というのは、「言えない」切なさと「伝えに行く」決意の強さがちょっと混在気味かなあと。まあ、曲中でストーリーが流れていると考えれば、理解はできますが…
 また一方では笑顔や声やクセといった「君」の特徴を列挙している箇所もありまして。これはこれで感動的なフレーズなんですけど、上記の混在も含めて、ちょっと四方に内容が広がりすぎな気がします。全体としては、名フレーズは多いけどどこに感情移入したらいいか判りにくい、不思議な感じ。

 音楽のいいこと取りをするミクスチャーバンドのスタイルは、何かと物議を醸したりもしますが、新しい化学反応が生まれる場所にもなるのでいいことだと思っています。でも、どうも詞もいろんなパートのいいとこ取りになって、散漫になってしまっている気が…
 中心になっている「君の好きなうた」を口ずさむというシチュエーションはいいなあと感じますし、基本的にセンスは悪くないと思うので、もっと曲全体のコンセプトを明確に打ち出してほしいところかなと。
posted by はじ at 19:36| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月23日

チャットモンチー「シャングリラ」

シャングリラ
シャングリラ
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チャットモンチー 高橋久美子 福岡晃子
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<ポジティブじゃ物足りない、負の感情さえも巻き込んで暴れまわる強い衝動>

 個人的に大注目しているチャットモンチーの、アニメ「働きマン」エンディングテーマになったシングル。

 タイトルにもなっている「シャングリラ」は、「理想郷」を意味する言葉です。曲中で繰り返し放たれるし、それだけでなく、手前で拍子を1拍余らせ一定のリズムをわざと崩すことで、余計に印象づかせてもいます。
 しかし、これは楽園のような「どこか」を明確に目指している歌ではありません。『僕らどこへ向かおうか?』と、進む道さえも、いやその前に「君」と二人で共に進んでいけるかさえ、かなり不安だったりします。

『夢の中でさえも上手く笑えない君のこと/ダメな人って叱りながら愛していたい』
『君を想うと今日も眠れない僕のこと/ダメな人って叱りながら愛してくれ』
 叱る。あんまりJ-POPではお目にかからない言葉です。
 ここ、叱らないでただ「愛する」だけだと、互いに相手の弱さを受け入れあいたい、みたいな文脈になり、そっちのほうがより「ラブソング」らしいです。でも、そうじゃない。反発し、それでいて愛していたいし、愛してほしい。「受け入れる」じゃぬるい、もっと赤裸々な関係でいたい。そんな激しい感情が背後には見え隠れしています。

 チャットモンチーの本質はそんな激しさだと個人的には感じていて。ポップスの歌詞って、何かと優しさを感じさせる内容や甘いささやき、退廃やノスタルジーなどキレイなものに終始しがちなのですが、その裏側にある「負」の感情を曝け出してくるんですね。
 「恋の煙」では独占欲、「恋愛スピリッツ」では嫉妬心。ただうっとり幸せなだけの恋愛じゃ物足りないし、満足できない。そんな強烈な衝動が、彼女達の作る歌詞には現れてくるんです。

 聴きやすいボーカルと適度にソリッドで実験的なサウンドメイクよりも、自分はこの強い衝動に惹かれるんですよね。
 転んでも『君の手を引っ張って離さない 大丈夫さ』なんて、何が大丈夫なんでしょう。すごく自分勝手な主張で、しかもそれをわかった上で(だってそんな「僕」を「叱りながら愛して」ほしいんですから)言ってのけている。
 利己的な自分を曝け出しながら、それだけ「君」といたいんだと主張している。優等生じゃない言葉だからこそ、その強い感情が浮き彫りになるんです。
 『希望の光なんて/なくったっていいじゃないか』…その強い感情の行く先が、たとえ悲劇であってもですね。そう考えると、理想郷「シャングリラ」というタイトルは、なにか逆説的な響きを帯びても響いてきます。
posted by はじ at 00:23| Comment(2) | TrackBack(1) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月22日

ヘッダにロゴが付きました。

 ということで、近しいイラスト描き:mamさんのご好意でタイトル画像を作っていただきました。素敵なイラストありがとうございました〜。
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2007年02月20日

Mr.Children「しるし」

しるし
しるし
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Mr.Children 桜井和寿 小林武史
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<心のうちに込み上げる感情を、もっとも確かに伝える方法とは>

 ミスチルの中でもかなりのロングヒットとなった、壮大さを漂わせる歌い上げバラード。

 桜井和寿が長年思い悩んできたテーマのひとつ、「思いを伝えること」が、この曲のひとつのテーマになっています。
 「君」への気持ちを、他ならぬ「君」に伝えたい。でも『どんな言葉を選んでも どこか嘘っぽいんだ』と、言葉では正しく表現できない感情にやきもきする「僕」。言い表すことはできない、ならば『心の声は君に届くのかな?/沈黙の歌に乗って…』と、心そのものが伝わればいいとも考えたりもします。確かに、強い気持ちはどんなに言葉を尽くしても伝えられるようには思えない、この言葉にできない気持ちがそのまま伝わったらどんなにいいだろう、そう思ってしまうことは誰にでもあることでしょう。
 しかし、その考えは、曲中で自ら否定しています。『心の声は誰が聞くこともない/それもいい その方がいい』…それは果たしてなぜなのでしょうか?

 さて、閑話休題。
 以前リリースされた「Sign」という曲。こちらは今回とかなり近い性質を持つ語であり、最初に新曲が「しるし」という題だと聞いたときは、それって「Sign」とはどう違うんだろう?と疑問に感じました。
 そして実際にフタを開けてみると、両者の単語の意味合いはかなり違うなー、と感じまして。さて、では「Sign」と「しるし」のふたつの似た単語に持たせられた意味の違いとはなんでしょうか?続きを読む
posted by はじ at 00:12| Comment(4) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(ま行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月19日

メルマガ、Vol.086発行。

≪現代ポップス雑考。≫ Vol.086 2007/02/18 発行部数:めろんぱん 427/まぐまぐ 88

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
FUNKY MONKEY BABYS「Lovin’Life」
 〜話題の上昇気流を味方にできるか 

<おまけ>
・「夢」がテーマの曲、紹介編(3)


 もろもろ忙しかったりデータ移転を進めていたりで更新少なくてすみません。
 ブログ側がどうも最新曲からだいぶ隔てられてきているので、来週以降メルマガでひとつずつより新しいものを取り上げるようにしていこうと思っています。


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2007年02月18日

BENNIE K「Joy Trip」

Joy Trip
Joy Trip
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BENNIE K HAMMER Mine-Chang Mick Jagger Keith Richards
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<シリアスにだけではなく、陽気に華やかに進みゆく旅路>

 カントリーテイストの混じった陽気なトラックに乗る、女性ボーカル&ラップ二人組の一曲。
 スマッシュヒットした「サンライズ」以後も、やや地味ながらも着実なファン層を獲得している感じの彼女たちですが、その理由のひとつとしてスタイルの独自性があるのではと。まず、ボーカルとラップの両立そのものはそれほど珍しくはないにせよ、女性のラッパーは希少ですし、しかもこれだけパンチが効いた声をしているのは大きな武器ですよね。

 そして、明るい曲調。彼女たちはもともともっとR&B調の楽曲を主にリリースしていたのですが、それが「サンライズ」以降はアッパーチューン主体の楽曲にシフトしていますよね。大部分の人はそっちのイメージではないかなと。
 元からのファンにとってその切り替えが良かったか悪かったかはまあ意見の分かれるところでしょうけど、でも当時は特にゴロゴロ乱立していたR&Bではなく今のスタイルだったからこそ広く受け入れられることに繋がったのだろうな、と思うわけです。

 歌詞は『心のままに 道を行くんだ 嵐が来ても 崖にあたっても/軽くかわしてこう』というように、非恋愛のポジティブメッセージソング。ただ、曲調のせいもあり、タイトルの表すように「楽しげな」雰囲気がありまして。
 どうも一時期のメッセージソングは、真摯な飾り気のない気持ちを表さなくては!というムードが全般的にあって、シリアスに作ってあるものが大半を占めていたような気がします。この曲のように「旅」をテーマにしたものでも、苦しくてもひたすらに進んでいくぞ!みたいな、ストイックな感じで。その点、この曲は、ロードムービーの一場面のように周りの美しい景色を眺めながら歩いている余裕があります。より自然体で、楽しげな印象。
 そういう意味でも「アッハッハッハ」と間に入る「サンライズ」は新しかったですし、だんだんとシリアス一辺倒からポップな曲調も戻りつつある(と個人的には感じている)J-POPシーンの流れにもちょうど乗っていたのではないかなと。
posted by はじ at 12:57| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月16日

MY LITTLE LOVER「り・ぼん」

り・ぼん
り・ぼん
posted with amazlet on 07.02.16
My Little Lover akko tetsuhiko and other 鈴木雅也
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<基盤にあるイメージから、透明感清潔感を押し出しメッセージも込めて>

 90年代に一世を風靡したユニットMY LITTLE LOVERが、AKKOのソロとして活動再開でございます。

 とりあえず主観に基づく解説をしておきますと、もともとはプロデューサー小林武史が生み出す楽曲世界とAKKOの透明なボーカルによる独自の味わいを醸し出していたユニットでして。小林武史が関わらなくなり、しかもレコード会社もavexに移籍ということで、今までとはまったく違った音になっていくんじゃないかとも考えていました…
 が、ふたを開けてみるとそんなこともなく。むしろ古き良き時代のマイラバへと回帰したかのような雰囲気を持った楽曲になっています。

 ま、細かく見ていけば、もちろん完全に同じだということはなく。かなり近づけてはあるものの、たとえばメロディとコードの回しかたを見ると、一般的な進行の中にちょっとひとひずみを混ぜてくる小林武史の作り方まではコピーしていない模様。清廉さという面では、Akkoの声がびっくりするほど変わっていないこともあってかなり近いんですけど、たとえば「Hello,Again〜昔からある場所〜」にあったような、どこかセピアにくすんだかのような雰囲気はあんまり感じられないなと。
 ただ、それは取り入れようとしてできなかったのか、それともあえて切り捨てたのか、と一考の余地があります。なかなか真似できるところではないですし、そもそもAkkoの清々しいボーカルを清く明るく際立たせたいのであれば、このくらいの密度を上げすぎない爽やかな曲のほうが合っていますから。

 詞の言葉選びも同じような方向を感じます。星とか夢とか空想的な表現も多いですけれど、抽象的なイメージのみで作りこむのではなく、『大切な仕事まかされるけど』『寂しさ埋める衝動買いで』と、わりと現実的な内容も普通に混ざっていたりして。
 『ルラ 赤いリボン 冬の街に 輝きだす』という一文も、かなり鮮やかなイメージを描いてはいるものの、「リボン」という非抽象的なものですしね。

 さてこの赤い「リボン」ですが、タイトルの区切り点から考えても「Re-born」の意を含ませようとしているんでしょうね。詞からは、全体としてポジティブな姿勢が感じられます。
 生まれ変わっていこう!と主張する歌でも、込められたメッセージによっていくつか細分化はできて。ただ前向きになればいいっていうんじゃないんですね。それは実は一度『乗り越えられない 壁はないとか あり得ないのに』と、見事にばっさりと否定しちゃっています。これは面白いなー。
 それを踏まえると、この曲の場合にもっとも重要なのは『そして弱さ 受け入れるため』ということでしょうか。これは「あなた」がそうやって生きているんだと想像している部分なのですが、おそらくはその裏に「わたしもあなたのように…」という気持ちが隠れているのではないかなと。
posted by はじ at 02:53| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(ま行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月15日

FLOW「COLORS」

COLORS
COLORS
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FLOW Kohshi Asakawa Keigo Hayashi KOICHI TSUTAYA Takeshi Asakawa
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<透明な「君」という他者>

 以前よりもぐっと落ち着いた楽曲にシフトしているような印象があります。そしてどうもアニメタイアップづいている模様。いつの間に。海援隊「贈る言葉」をカバーしていた頃は昔になりにけり、という感じです。
 それは決して悪いことじゃなくて、むしろ「days」くらいからのメロウ路線はその前の勢い一辺倒よりもむしろ個人的には好きですね。

 変わったとはいえ、根本にあるのはダンスっぽいトラックとか裏打ちのリズムとかで、サウンドメイキングや歌詞がちょっとメランコリックさを孕んだ感じになっていて。言葉で言うと、『朝陽に独り 柔らかな声に 振り向けば/眩い陽射しの中 ふと君が微笑む』といったフレーズとかですね。

 基本的には自問自答の中で進む道を見つけようとする歌ですが、そこに「今はもういない君」が出てくる。このパターンはけっこう多いんですが、たいていの場合はこの「君」はどんな人物かは描かれない。非常に透明な存在であることがほとんどです。
 「僕」が苦悩から立ち直るストーリーを構築するためには、他者を媒介にしたほうが一人で立ち直ってしまうよりも説得力もあるし、共感を得ることができます。で、たいていの場合、それは異性、想いを寄せていた相手だったりするわけですね。
 この楽曲の場合は特に明示はしていませんので、もしかしたら友人なのかもしれません。でも、そこは判断できない。「君」が非常に透明な存在だからこそ、聴き手が自由にそこに想像を広げる余地が残っているわけです。
 しかも『君がくれた 言葉ひとつ 戸惑いは消え去り』と、「僕」を強くしてくれた「君」がなんと言ったのかさえもぼかされているので、ここでもまたあれこれ考えることができるわけですね。
 まあ本当は、「君」が言ったという素晴らしい一言を具体的に表現してもらえるのが表現行為としてはベストなんですけどねー。
posted by はじ at 01:42| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月12日

メルマガ、Vol.085発行。

≪現代ポップス雑考。≫ Vol.085 2007/02/12 発行部数:めろんぱん 431/まぐまぐ 90

<雑考バトン:新曲レビューリレー>
木村カエラ「Snowdome」
 〜ポップ方向への揺り戻し

<おまけ>
・「夢」がテーマの曲、紹介編(2)


 移転してもまだ前のブログのほうのアクセスが多いです。もともと検索でやってくるアクセスが膨大だったので、記事をこちらにアップし直すまではこんな状況なのかなと。


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m-flo loves BONNIE PINK「Love Song」

Love Song
Love Song
posted with amazlet on 07.02.12
m-flo loves BONNIE PINK m-flo BONNIE PINK m-flo loves DOPING PANDA Yutaka Furukawa m-flo loves MINMI MINMI Yasutaka Nakata
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ (2006/11/08)
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<「ありふれたラブソング」で気持ちを伝えるラブソング>

 さまざまなアーティストとコラボを続けているm-flo、今回は「A Perfect Sky」のスマッシュヒットも記憶に新しいBONNIE PINKとの競演です。

 早いテンポでもなく、曲調もボーカルもラップもそれほど派手な感じでもないですが、和太鼓のようなリズム隊とキラキラしているシンセの不思議な響きはなんだか聴き入ってしまいます。
 メロディラインは平坦な部分と起伏がある部分があり、起伏がある部分が印象的に響いてきます。といっても『さよならはいけない/でも何か足りない』など同音でワンフレーズを押しきっちゃっているのとかは逆にインパクトがあります。

 『You and I 重ねようHeartbeats/二人でひとつの歌』と、多の凸凹を孕みつつもも「君」に愛を告げる内容になっています。
 ポイントは、『誰の物かも判らないカセットに残されてたLove Song』というフレーズ。名前のない、使い古しの「Love Song」は、『リピートされる愛の歌は/ありきたりのキザな台詞』とも表される、陳腐なもの。しかし『けどlet me sing FOR REAL』と続くように、そんなありふれたラブソングを現実に当てはめて歌おうとしているシチュエーションを描いているわけです。
 で、ひいては「Love Song」と題しているこの曲自体も、言っていることはありふれているよ、という主張も暗に込められているのでしょう。

 実際、人の心情はそれほど変わるものじゃありせんし、ツボが急に変わるということもないはず。多少の時代による表しかたの違いはあるにせよ、ヒットチャートのラブソングは毎回まったく違うメッセージを開拓しているなんてことはないです。
 よくある表現というのは、それだけ実際必要とされるものだと言えるでしょうし、生まれるのは必然的なんですよね。もちろんいかに上手く独自に表現することは、素敵なことには違いありません。
posted by はじ at 11:03| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月10日

移転しました。

 2007年2月10日をもって、J-POPレビューブログ「現代ポップス考。」はこちらに移転しました。以前から読んでいただいている方も、ここではじめて訪れたという方も、どうぞよろしくお願いいたします。


●移転の経緯

 以前のブログサービスも機能的にはそれほど不満はなかったのですが、慢性的なサーバ不調により重い状況が改善されないため、移転を決意しました。

 で、移転先としてこちらの歌詞GETブログを選んだ理由としては、

・重くない
・前ブログからのデータの移行が可能であり、今後どこかに移行することも簡単
・デフォルトで歌詞検索がついているので、レビューを読む際にその曲の歌詞をすぐ調べることができる
・その他、アクセス解析、テンプレート調整など自分がほしい機能が揃っている
・決して主流でないマイナーな立ち位置のサービスが好き
・試しに登録してブログURLを「j-pop」にしてみたら、すんなり通ってしまった

 というところ。
 本当はつい1週間ほど前まではSeesaaに引っ越すつもりで、準備を進めていたのですが…
 たまたま見つけたここが、中身のシステムがほとんどSeesaaと一緒で、そしたら「歌詞検索」のあるこちらがいいかなと。Seesaaと違いタグ機能がないのはちょっと不満ですが、まあそこは仕方ない。


●過去ログについて

 データは移行できているのですが、日付や内部リンクなどの細かい調整をしなければおかしなことになってしまうので、おいおい作業してアップしていきます。これまでのブログも更新はしないものの基本的には残しておくつもりなので、しばらく過去ログはあっちを見るようにしてください。


●その他

 リンクをしていただいている方、アンテナやRSS等に追加していただいている方は、お手数ですがリンクのご変更をよろしくお願いいたします。

 デザインはロクにCSS知らない素人があれこれいじくっている最中なので、しばらくの間いきなり変わったり表示がおかしくなったりするかもですが、温かい目で見守ってください。

 また、ブログの説明をしている「このブログについて。」の各記事も一部改訂しましたので、よろしければご確認くださいませ。
posted by はじ at 18:11| Comment(2) | TrackBack(0) | 近況やお知らせ。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

RADWIMPS「セツナレンサ」

セツナレンサ
セツナレンサ
posted with amazlet on 07.02.10
RADWIMPS 野田洋次郎
東芝EMI (2006/11/08)
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<大事なメッセージを印象付けるため、言葉を絞りに絞って放つ>

 個人的には前シングルの「有心論」でその独自性と非凡さを認知したのですが、いまやすごい勢いで注目を集めつつあるバンドになってきています。

 冒頭から聴いていくと、いきなり英語でまくし立てるラップから始まり、ハードな海外バンドかと思わされます。メロに当たる部分はずっとそのまま英語。しかし、途中でようやく日本語詞が出てくると一転。馴染みやすいメロディラインと聴き取りやすい言葉になります。

 『楽しくないのに僕たちは 心に黙って笑えるから』などなど、チクッと刺さるようなフレーズ。弱くてズルい自分を曝け出すだけでなく、「僕たち」とすることで聴き手もそこに巻き込みます。
 けれどその一方で『優しくないのに僕たちは 誰かを守ってみたいんだ』とも言ってのける。誰もが弱い人間だけど、それでも誰かを守ったり一緒に笑ったりしていたい、そんな願望も同時に吐き出しているわけです。
 その根拠となるものは、『今の僕は ここにいるよ 大事な人もいるんだよ』ということ。自分の存在の肯定、そして大切な人の存在が、弱い存在である自分に諦めではなく希望を植えつける…という構図になっているわけです。

 展開としてはそれほど珍しいものではないにせよ、そのメッセージが強く迫ってくるのはなぜでしょうか。思うに、いくつかポイントが考えられます。
 まず構成。高速の英語パートがかなりの部分を占めているなかで、日本語の部分が非常に鮮やかに対比されているということは外せないかなと。目まぐるしいラップの後に、さくっと定型の覚えやすいメロディラインへと切り替わることで、強く印象付けができているなあと感じます。
 この日本語部分のフレーズそのものも、余計なものを省き核となるメッセージをぎゅっと凝縮していて。日本人なら日本語で勝負しろ、という主張もありますが、たとえばこの曲などは伝わりやすい日本語を絞ることによって、はっきりと楽曲における焦点を作る効果を生んでいるわけです。
 英語パートはなかなか聴き取れないし、詞を読んでもかなりわかりづらい、というか正直あんまり理解できていませんごめんなさい。ただ心象世界へのトリップっぽい内容で遠回りしている感がありますし、またここはメッセージを主においているというよりも音楽的・技術的なアピールが強いのではないかと思ったりもします。重要なメッセージはやはり日本語に込められているかなと。

 ハードな曲調に柔らかいボーカルが乗っていることもポイントですね。この融合はある種バンド名にも通ずるものがありそう。

モーニング娘。「歩いてる」

歩いてる
歩いてる
posted with amazlet on 07.02.10
モーニング娘。 つんく 鈴木Daichi秀行 平田祥一郎
アップフロントワークス(ゼティマ) (2006/11/08)
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<強い主張ではなく、ふとしたときに何気なく願う幸せを形に>

 今回はぐっとシックなメッセージソング。シックといってももちろん賑やかなアレンジではありますが、派手派手しいというほどではなく、「歩いてる」のタイトルに沿って、ヘンに広がりすぎたりせずまっすぐな印象を抱かせるくらいには控えめかなと。

 つんくにしては珍しく歌謡曲っぽさのない、いかにも爽やかなアイドルポップス調の旋律。クセのない、非常にオーソドックスでシンプルな流れ。濃いインパクトがあるわけでも大きく盛り上がるのでもなし。そして全体としてはメッセージソングに分類できるだろうものの、そこまで強力な主張をしているわけではなくて。

 でも、それこそがポイント。派手でない雰囲気、ほんのささやかな言葉だからこそ、伝わることもあるわけです。特にアイドルである立場からすると、変に大きく強く主張をするのはウソっぽく取られてしまいがちで。また、このくらいのほうが普段とのギャップも魅せることができる。等身大サイズで、あんまり真剣ぶらず、楽しげに歌うこのスタンスはとてもいいと思います。わりとウケがいい声があがっているのも、そのあたりが影響しているんじゃないかなと。

 繰り返される『歩いてる』も大きなポイント。聴き手に「一緒に」進むという印象を与え、等身大さをより強めているなあと。歩くにしてはちょっと遅めのテンポになっているのも、『「遅い」なんて/決めつけなど/耳を貸さずに』というフレーズを地で行っているかのようです。
 何より、最終的に「○○しよう」「○○しなければ」という自論を一番に掲げるのではなく、「歩いてる」が何よりも一番前に出てきていることで、重たさ、押し付けがましさを
薄めているわけで。
 正直言って『いつの時代も/正義がある』とか『切に平和 願って』とかいったフレーズには抵抗がありますが、そこが最終地点ではなくそんな想いを抱いて「歩いてる」というのが着地場所になっているおかげで、抵抗感がだいぶ軽減されているような。
 こうだ!と決め付けるんじゃなく、主義を押し通すのでもなく、「歩いてる」中でなんとなくこうだったらいいな、そんな程度の感覚なんですね。で、日常の中で浮かぶそんな思いをそっと支える、この曲の位置づけはそのあたりなのではないでしょうか。

 「Na Na Na」など言葉でない部分が多いのも、強く何かを主張するんじゃないスタンスには合っているとも言えます。…が、やっぱりちょっと多すぎるかな。前半はもうちょっと言葉を費やしても良かったのでは。
posted by はじ at 16:33| Comment(6) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(ま行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Salyu「プラットホーム」

プラットホーム
プラットホーム
posted with amazlet on 07.02.10
Salyu Takeshi Kobayashi
トイズファクトリー (2006/11/01)
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<待ち望む二人の「再会」の時を、幻想的な風景に描き出す>

 前々作「Tower」前作「name」と作詞に一青窈を起用していましたが、このアルバム先行シングルではプロデューサーの小林武史がまた詞を書いています。

 一青窈は感情的かつ色彩感が強めな言葉を生みますが、小林武史の場合はどちらかというとどこか浮世離れしている透徹した視線で、透明感を感じさせる言葉になります。この曲でも『音の隙間を流れていく』とか『舞い上がる 木の葉のように切ない時』あたりでそれを感じることができますね。

 さてタイトルにもなっている「プラットホーム」。曲中では『二人のプラットホームは/きっと現れる』と、待ち焦がれる場所、見つけたい場所として描かれています。位置づけとしては「人と人とが出会う場所」。つまりは、クロスロード(交差点)に近い表現なのでしょう。
 でもクロスロードではなく、わざわざプラットホームという単語を当てたのは、ちゃんと理由がありそうです。単に使い古しではない表現を選んだということもあるでしょう。また、言葉のイメージ的に、単なる交差点よりも駅のホームのほうが、より明確な「スポット」であるイメージができます。そのため、「約束された場所」的な印象を強められているのではないでしょうか。
 また、「交差点」だと「道を歩いて到達する」という地に足のついた雰囲気を同時に喚起させてしまうので、それだと浮遊感のあるドリーミーな曲調に多少そぐわないかもしれません。ここでの「きっと現れる」という言い方も、そのあたりを意識した表現なのかもですね。

 さて、プラットホームで出会いたいのは当然「あたし」と「あなた」なのですが、詞を読んでいくとこれは初めての出会いを待ち望んでいるというわけではなく、再会を果たしたいという心情が込められているようです。『あなたを思い出したら』というフレーズもありますしね。
 『あの時 あたしが選んだ道の端は/途切れて 見えなくなってしまっても』という回想。「選んだ道の端」というのは、つまり分岐点のこと。そして、…おそらくはそれが「あなた」と道を異にした別れの地点のことなのではないかな、と想像することができます。
 二人離れた日がはるか遠くになってしまったけど、それでも再会するはずの「プラットホーム」が現れることを願い歌い続ける。ドリーミーで空想的な世界観で、でも芯のある独特のボーカルがそこに一本はっきりした芯を貫いているように響いてくるのが印象的です。
posted by はじ at 15:40| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(さ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

矢野絢子「てろてろ」

 えー、有線でばりばり流れていて気になった歌です。この曲はこのひと本人の作詞作曲なんですが、まだリリースされてなくて5/26発売とのこと。なんですが、なぜか同曲は提供したとかなんとかで岡山出身の路上系男声デュオ「nifu(ニーフ)」という人たちがすでに出したシングルに収録されてたりしてまして。どっちもまだ有名ではないため情報が錯綜してこんがらかりかけたんですが、オフィシャルページ の試聴を聴くと、どうやらこっちが有線で流れているほうみたいです。ああややこしかった。

 少年みたいな声で、そうとう歌が前面に出ていてガツンときます。穏やかな情景描写の続く長いメロから、サビで突然マイナーに変わり『本当はいつも誰よりも君の事を想っているんだ』とストレートな言葉を投げてきて、ドキッとさせられます。バラードなのに、とてもインパクトが強い。ちょっと後半しつこい気もしますが。
 リリース前なのに三月あたりから確か有線で流れ続けてます。これは一青窈、平原綾香と同じ、大プッシュしているパターンなんでしょうか。

BUMP OF CHICKEN「アルエ」

 インディーズ時代の代表曲をシングルカット、だそうです。そういえばタイトルだけは前から見たことあるような。

 バンプはどれもおんなじ曲な気がしてしまうんですよね。メロディとか曲のアレンジの仕方とか。最近はそうでもなくなってきましたが。
 詞も、一曲ごとに物語を構築するのがうまいんですけど、方向性はやはり共通で、僕も君もいろいろ辛いけど頑張ろう、みたいな、とにかく前向きな結論になるわけです。そういうなんでもプラスに引っ張っていくエネルギーが、好きな人はとことん好きなんでしょう。自分はやや自己完結に過ぎる気がして、やや敬遠してしまうんですが。
 物語性のある歌詞を書くのはポルノグラフィティもそうですが、ポルノが大人の童話というか、寓意を含ませる手法なのに対して、バンプは箱庭的な世界を作る感じがします。やっぱり内側で完結している雰囲気が強いんですね。それはつまり内省的とも言えるわけなので、決して悪いことではないと思いますが。

 バンプ全体のことばかりになってしまいました。この曲は、物語をうまい具合に進める特色がいかんなく発揮されてますね。全体として「アルエ」という女の子の感情を解放していってあげるという流れがある中で、一コーラスでは悲しさについて、二コーラスでは嬉しさについてと、段階を踏んでハッピーエンドへと持っていくわけです。ついでに『コスモス』も場所を変えて最後には花開きます。この移り変わりのうまさはなかなか。

 ちなみに、「アルエ」とは「R・A」というイニシャルのことで。これが誰かというと。ボーカルの藤原基央は相当な「新世紀エヴァンゲリオン」マニアで、その登場人物「綾波レイ」をモチーフにしたのだそうです。うん。確かにそんな感じだ。
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V6「ありがとうのうた」

 ほんとに和風が流行ってますね。シンプルに「ありがとう」という言葉から作った詞も、完璧に時勢に合わせているのを隠そうともしてません。ほとんど何も新しいところも見るべきところもないです。
 辛うじて語るものがあるとすれば、メロもサビも同じ音型になっている締め方。ここでは、階名読みのドレミで言ってしまえば「ドレミソラド」である日本陽音階を使っているこの曲で唯一「シ」が出てきます。つまりここだけは西洋音階(ドレミファソラシド)。
 ちょっと難しく言うと、旋律のシは「導音」と言いまして、半音上のドに向かうベクトルを所持しているのです。ちなみにファはミに下がる「導音」です。この性質のために、G→CよりもG7→Cのほうが、より音楽がまとまる感じがする(和音が解決する)わけだったりします。
 まあ、ぶっちゃけて言えば、旋律のまとめをスムーズに流すためにそこだけ五音音階の枠からわざとはみ出ている、で説明は済むのですが。
posted by はじ at 02:25| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月06日

BoA「Winter Love」

Winter Love
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ
BoA, Natsumi Watanabe, ats, Emi K.Lynn, Takuya Harada

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<消えない強い想いも、前に進む強い決意も、どちらも強く主張する>

 冬は一般的にバラードが多くなる季節ですが、BoAは一昨年の「メリクリ」、昨年の「Everlasting」に続きまさに典型的なリリースを行っています。

 BoAのバラードの特徴は、しっとりながらもメロディがわりと泥臭いところ。今回も、細かい譜割りになっているメロディラインとはいえ、サビなんかはどこか懐かしい歌謡曲の響きがします。
 基本的に頭拍重視の進行なんですよね。最近はR&B系の、裏拍を多用するリズムで進行する曲も増えていて、どちらかというとそっちのほうが現代的な香りがするんですが、そうじゃない。わかりやすい、耳に残りやすい旋律を選んでいる感があります。

 さて失った恋を歌う内容ですが、『忘れなくてもBaby好きでもいいですか?』とかなり強い感情がまだある模様。ただし、それは「未練」とはまた別種の感情のようでして。
 『あなたで良かったって心から言えるよ』とか、「あなた」への強い気持ちはあるものの、それが未練とか後悔とか、マイナスの感情にはどうも繋がっていないんです。「あなた」が忘れられない一途さも、その二人の日々を糧にこれからも進んでいこうという強い決心も、両取りしようとしているんですね。その貪欲なポジティブさはすごいなと思いつつ、ちょっと無理があるような気もします。
 会いたい、とも言ってはいますけど、またやり直したい、という感じではないんですよねー。『約束した映画の長い列に 二人してもう並ぶ事はないの』と断言しながら、それでも想い続けるというこの状況の「切なさ」に浸っている、そんな感があります。

 ま、これはこの曲に限ったことではなく、最近の失恋ソング全般に言えることなんですが。
 消せない想いを切々と歌い上げるのが「未練型」だとすると、その終わってしまった恋の思い出を力に変えて進んでいこう、ときっぱりと前を向くのが「ポジティブ型」。未練型は聴き手をどっぷりと感情移入させられる一方、ウジウジしていると反感も買ったりする。対してポジティブ型は前向きに元気付けてくれるものの、共感のボルテージは「好き」という感情を募らせる未練型にはかなわない部分があったりして。
 この曲なんかは、そんなふたつの傾向のまさにいいとこ取りをしようとしているわけです。『会いたくてキスが100億の雪を伝うの』と、雪に絡めてドラマチックに「あなた」への冷めない想いを歌う一方で、『時が流れて 違う恋してもあなたを想い出すでしょう』と「違う恋」の礎として「あなた」の記憶を足場にしようとしているんですね。

 個人的にはちょっとそりゃ無理があるんじゃないの?と思いますが、まあ矛盾する感情を同時に孕んじゃったりするのが人間の面白いところですし、細かいことに目をつむれば「まだ好き」という強い感情に浸れつつポジティブさも得られる豪華な歌だとも言えるので、そのあたりは各自のご判断でどうぞです。


 それにしても、どうしてこんなに平凡なタイトルを付けちゃったんだろう。漠然としすぎていて曲の内容を的確に示しているとは言いがたいですし、せっかく歌詞にも登場している「100億の雪」というインパクトあるフレーズを付けることもできたのに。
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2007年02月04日

KREVA「THE SHOW」

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<自分自身にも、そして周囲を沸かすことにも手を抜かないスタンスを表明>

 サウンドメイキングも歌詞の方向性も、「音色」を思い起こすような一曲。すなわち、ゆったりテンポに太いリズム、どこか熱っぽい音、自分自身の考えを表明するかのような、ユーモアも交えつつシリアスな言葉。

 『狙い外さねぇ つーか狙わねぇ』スタンスで進み続ける決意表明とも言える内容ですが、注目すべきは『one for the money,two for the show,/three for the people』だと述べていること。つまり「一にお金、二にパフォーマンス、三に観客」ということでしょうか。これは非常に興味深いです。まずは稼ぐことが一番で、ファンは後回し…ととれてしまいそうです。そんなこと言っちゃっていいのか!?という。
 でも現実を考えれば、まあこうかもしれません。ファンが何よりも大切、と呼びかければ聞こえはいいけど、そういう奇麗事は言いたくない、そんな思いが見え隠れしているように思います。
 他の部分を読んでも、『人は人 俺は俺/やいのやいの言う前によこしなbeat beat』などなど、まず誰よりも自分自身を押し出そうとしているのがわかります。なので、「money」=自分が生活していくこと、「show」=楽しめる場を作ること、そして「people」=観客を楽しませようとすること、この「自分→周囲」へと広がっていく流れも主張に沿っていると言えそうです。

 もちろん、別に番号順に優先順位がついているというつもりではないのかもしれません。タイトルに座っているのも二番目の「show」ですし、『人の心に通じなくちゃつまんねぇ/でも楽しむ気持ちなくさねぇ』というフレーズはそれぞれ「people」「show」を見据えてのものでしょう。少なくとも、3つ挙げたうちのどれにも手を抜こうとは思っていないことは間違いないのではないでしょうか。
posted by はじ at 05:15| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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